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グランプリ・神戸2017
加藤 健介の「Next Level Tezzelet」。我に魔女封じの秘策あり!
By 森安 元希
(本記事はグランプリ本戦1日目に取材した内容をもとに作成しています)
サーチ戦略を中心に、多角的に対戦相手を苦しめる「テゼレッター」は、いま進化のときを迎えていた。
モダンでの解禁を受けてから、潜伏を続ける「有限」コンボだ。
大きな大会での活躍は控え目が、どっしりと重いパワーを秘めている。
そして、《罠の橋》ロック。
《集団的蛮行》で能動的に手札を捨てる手段を得たのは「ランタン・コントロール」だけではない。
最後に、《ボーラスの工作員、テゼレット》と《求道者テゼレット》。時代の異なるテゼレットが2人、時代を超越して手を組んだ。
この3要素を中心としたのが加藤 健介の「Next Level Tezzelet」だ。
2 《島》 1 《沼》 2 《湿った墓》 1 《繁殖池》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 4 《闇滑りの岸》 2 《涙の川》 2 《産業の塔》 1 《アカデミーの廃墟》 1 《発明博覧会》 -土地(22)- -クリーチャー(0)- |
3 《オパールのモックス》 2 《溶接の壺》 4 《致命的な一押し》 3 《コジレックの審問》 1 《処刑人の薬包》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 4 《五元のプリズム》 2 《集団的蛮行》 2 《弱者の剣》 2 《飛行機械の鋳造所》 1 《精神石》 2 《罠の橋》 4 《発明品の唸り》 1 《交易所》 3 《ボーラスの工作員、テゼレット》 1 《求道者テゼレット》 -呪文(38)- |
1 《発明の領事、パディーム》 2 《艱苦の伝令》 2 《思考囲い》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 2 《突然の衰微》 1 《集団的蛮行》 1 《大渦の脈動》 1 《滅び》 1 《魔女封じの宝珠》 1 《死の支配の呪い》 -サイドボード(15)- |
「Next Level Tezzelet」の全体像
「2種類のテゼレットが入ってるデッキは、僕のリストをどこかで見てないと他にないと思いますよ。」
《ボーラスの工作員、テゼレット》と《求道者テゼレット》を手に、加藤が微笑みを見せる。
確かに、《ボーラスの工作員、テゼレット》が親和のようなデッキでごくまれに採用される他、両方を同時に取るリストは知られていない。
「《発明品の唸り》と《五元のプリズム》がキーパーツとなっています。《五元のプリズム》が即席によって3マナ換算となってオールマイティなサーチが可能です。1ターン目に1マナのアーティファクトを出していれば、サイドの《艱苦の伝令》も3ターン目に出せますね。
メインはクリーチャーカードがないので、《流刑への道》などを抜いてくることを見越して投入して対処されずゲームを決めることも多いです。」
柔軟な対応力とモダンに必要な「押し付け」力、その両方を兼ね備えるのが《発明品の唸り》のようだ。
加藤 健介 |
「そして《交易所》はプレインズウォーカーのようなものです。特にソプター(飛行機械)トークンを、ドローや回収など他のリソースに切り替えられるので素晴らしいですね。
対バーンのメイン戦にも4点回復がとにかく優秀で、特にテゼレット2種のようなカードはハンド(手札)に溜まりやすいので(《集団的蛮行》ともども)能動的にハンドを捨てられるのはとても優秀です。」
サイドボードにも特徴的なカードが多そうだ。
「サイドのカードとしては、《魔女封じの宝珠》もバーンに強いです。
またコンボを決める動き、『スケープシフト』のようなデッキの《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が誘発して自分を対象にしたところで、《発明品の唸り》から持ってくると、自分が呪禁になって全て対象不適正になるんです。
『アドグレイス』にも強いカードですし、《求道者テゼレット》の[-X]能力で即座にサーチできるのも強いです。」
コンボカードを実際に使わせて「噴火」してから、インスタントタイミングで止められる。《神聖の力線》だとできない挙動だ。
「アーティファクト破壊が大量に入ってくる相手には《発明の領事、パディーム》も良いカードですね。《突然の衰微》も当たらず死にづらく、追加の1ドローで消耗戦にも強くなります。」
スタンダード在来のカードだが、構築戦で見かけたことのあるプレイヤーは少ないだろう。
得意な相手、苦手な相手
「苦手なデッキは土地コンボ系ですね。逆に、《罠の橋》が効くデッキには全般強いです。特に『バント・エルドラージ』のような《罠の橋》を対処するカードが極端に少ない相手ですね。《真髄の針》で《仕組まれた爆薬》を指定すると、対処されなくなります。
『赤緑トロン』の《忘却石》のような全体除去のカードは辛いですね。『エルドラージ・トロン』は、五分五分かなと感じてます。」
ビッグマナ系統では、苦手とする赤緑トロンの勢いが落ちているのも、追い風のようだ。
「また、《死の影》デッキはジャンド型よりはグリクシス型の方が少し苦しいと感じてます。《コラガンの命令》を《瞬唱の魔道士》で使いまわしてされてるとリソースが足りなくなりますね。
あと使っているデッキタイプというよりは、ソプターコンボは直接対戦している経験が少ない人が多いと肌で感じています。『1/1出るくらい』と思われていて、即座に手がつけられないくらいの勢いになるのですが、見過ごされがちですね。《求道者テゼレット》は重いこともあるので後手ではサイドアウトすることもありますが、ソプターコンボを抜くことは殆どないですね。どうしてもサイドインが多いと《弱者の剣》が減ることがあるかな、くらいです。」
今、「トロン」などとともにモダンのメタを支配する「死の影」に対しても、やり合える。隠れたる実力者のデッキであることは間違いなさそうだ。
《古えの遺恨》のようなクリティカルなカードへの対応
「グラッジ(《古えの遺恨》)はどうしてもキツいですけど、ただそれだけで負けるというほどでもないですね。対象を取る破壊には《発明の領事、パディーム》も貼れますし。
それよりは、やはり《粉砕の嵐》や《引き裂く突風》のような全体破壊が厳しいです。後者はエルフのようなデッキが積んでますが、幸い、そこまで採用されていないカードですね。
アーティファクトが極端にメタられると厳しいですね。《石のような静寂》も効かないというほどではないんですが。《罠の橋》や《真髄の針》自体は対処されないですし、(支払いには影響ない)即席の《艱苦の伝令》もあります。」
サイドボードの《死の支配の呪い》について
「本当は1マナ軽い《魂の裏切りの夜》を採用したかったんですけど、自分のソプタートークンも流れてしまうので(笑)。
ただ無限マナ(《療治の侍臣》+《献身のドルイド》)にはやはり滅法強いカードなので取りたかったですね。エンチャントなのでサーチできたりするわけではないんですけれど、影響力が大きいですね。
逆に相手側の《魂の裏切りの夜》は、ソプターコンボを止めてしまうので、意外と、うん、辛いですね。」
《魂の裏切りの夜》を貼られた状態では、ソプタートークンは0/0で戦場に出てくるため、《弱者の剣》が誘発しない。
明確に自分の勝ち筋であるこのコンボを犠牲にしないよう、かつ無限マナへの対策となるよう相手だけに影響がある《死の支配の呪い》が選択されていた。
「Next Level Tezzelet」についての思い
「デッキ自体は、いわゆるTier 1の『エルドラージ・トロン』やシャドウ(死の影)デッキを使ったとき、大負けもしないが、大勝ちもできないと踏んでいて。
あとモダンは経験値が大切なフォーマットという認識でもあるんです。対戦相手がどう動くか。どう動くと予測してゆくのか。
そこで相手の『裏』をかける今回のテゼレットは、チャンスがあると思ってます。情報のアドバンテージが、有利なんですよね。
《発明品の唸り》で何が出てくるのか、相手が分からないので、《真髄の針》や、《罠の橋》《魔女封じの宝珠》がいきなり着地するんです。相手のコンボを止めて、もしくはこちらのコンボが始まって、そのまま勝てることも多いですね。
『テゼレッター』というデッキ自体は、3年前に、ヤソさん(八十岡 翔太プロ)がグランプリで使って勝っていた姿を見て、『面白いな』って思ったのが最初です。
『カラデシュ』で《発明品の唸り》《艱苦の伝令》が出て、動き的には全く別物になったんですが、流れはそこからですね。」
相手と同じことをしていれば、負けない。けれど、相手と同じことをしていれば、勝てない。
そのために掴んだのは、八十岡 翔太にしか使えないとも称されてきていたヤソコンの1つ、「テゼレッター」。
加藤が後を継ぎその刃を磨いた歳月が、デッキをネクストレベルへと昇華させていた。
加藤 健介の「Next Level Tezzelet」。
モダンのメタゲームに、力強く介入する!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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