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グランプリ・神戸2017
「フェアリーマスター」高橋 優太の選択は?
By Sugiki, Takafumi
(本記事はグランプリ本戦1日目に取材した内容をもとに作成しています)
「情が理に負けました。」
こう語るのは、日本人初の偉業となる、グランプリ・静岡2008、グランプリ・神戸2008と国内グランプリ2連覇を果たした高橋 優太。しかも、いずれもそのシーズンで最強を誇っていた「フェアリー」を巧みに操り、見事栄冠を勝ち取っている。
そんな「フェアリーマスター」高橋優太は、現在は晴れる屋のプロチーム「Hareruya Pros」に所属し、プラチナレベル・プロとして今シーズンを送っている。しかし、現在のところ、プロポイントは20点と奮っておらず、来季のゴールド以上を確保するために、少しでもグランプリで上位入賞を重ねたいところである。
高橋 優太 |
情より理。フェアリーをあきらめ、青黒コントロールへ。
モダンは、レガシーと同様にカードが禁止カード制定以外では使えなくなることはないため、ひとつのデッキを使い込むプレイヤーが多い。そんなレギュレーションであることをもって、モダンは「情」と呼ぶ人も多い。
2011年にモダンが制定されて以来、「フェアリー」のキーパーツである《苦花》は、そのスタンダード時代での活躍ぶりから、ずっと禁止カードに制定されていた。それが、他のデッキパワーが強化されたことに伴い、禁止解除されたのが2014年。以降、ずっと「フェアリー」をモダンで使用する機会を伺ってきた高橋。
そんな高橋が一言目に発したのが、
「情が理に負けました。フェアリーはあきらめです。今日はフェアリー崩れの青黒コントロールを使っています。」
なんということだろうか。あの、フェアリーマスターが、グランプリの戴冠を二度共にしたデッキを諦めるとは。その理由を高橋に聞いてみた。
「最初はやっぱり、フェアリー好きだし、フェアリーで勝った神戸という地だしということで、フェアリー使ってたんですよ。
ただ、やっているうちに、カードパワーの高いモダン環境では、《ヴェンディリオン三人衆》で相手の手札のいちばん強いカードを抜いても、それでドローされるカードが強いし、《霧縛りの徒党》は《沸騰する小湖》のようなフェッチランドを起動してからの《致命的な一押し》の格好の的になるので。」
「そうなると、必然的にそのあたりのフェアリーパーツが抜けていき、最終的には、青黒コントロールのような形になりました。」
そう語る高橋が今回使用しているデッキは、下記のような形となっている。
3 《島》 1 《沼》 2 《湿った墓》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《沸騰する小湖》 4 《闇滑りの岸》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《瞬唱の魔道士》 3 《呪文づまりのスプライト》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(8)- |
4 《祖先の幻視》 4 《致命的な一押し》 4 《コジレックの審問》 4 《苦花》 4 《差し戻し》 4 《謎めいた命令》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(28)- |
1 《ワームとぐろエンジン》 4 《儀礼的拒否》 2 《集団的蛮行》 2 《滅び》 4 《虚空の力線》 2 《地盤の際》 -サイドボード(15)- |
フェアリーパーツが抜け、フェアリーは3枚の《呪文づまりのスプライト》と《苦花》4枚だけ。代わりに、《ヴェールのリリアナ》が4枚入っているのが特徴的である。
この形には1か月ほど前に落ち着き、Magic Onlineリーグでは、5-0はできないものの、安定して4-1を続けており、高い勝率を保つことができているとのことだ。
このデッキで、高橋は先ほどの話にもあったとおり、除去と1対1交換してしまうようなカードは極力デッキから排除し、構造として1対2を取り続けられる構成を目指している。
また、中速より遅めのデッキは、土地を多く引きすぎる、いわゆる「フラッド」という現象にどう対処するかが鍵となるのだが、《忍び寄るタール坑》、《変わり谷》が4枚ずつ入っており、フラッドに対する受けもきちんとできている。
苦手なデッキを明確に意識したサイドボード構築
サイドボードに目を移すと、このデッキは何が苦手であるのかが明確に判る。《儀礼的拒否》はエルドラージを対策している。《虚空の力線》は発掘などの墓地を活用するデッキ対策だ。高橋いわく、発掘は逆立ちしても勝てないため、この《虚空の力線》は4枚固定のパーツであるとのことだ。
その他は、赤バーン対策の《集団的蛮行》、《地盤の際》はエルドラージ、青白コントロールなどの土地が強いデッキ相手にサイドインする。《ワームとぐろエンジン》は消耗戦になる緑黒系のデッキなど全般に入れ、エルドラージ相手では、《精霊龍、ウギン》で除去されない盤面を制圧するに足るカードである。
フィーチャー席で奮闘する高橋 優太 |
また、サイドボードを含めて《思考囲い》が1枚も入っていないのは特徴的である。これについて高橋は、ライフの水準を少しでも高く保つことが青黒コントロールではカギとなり、それを意識した結果、手札破壊はすべて《コジレックの審問》にしたとのことだ。
来季のゴールドレベルを確保するためには、このグランプリ・神戸2017での加点が少しでも欲しい高橋。本グランプリでの活躍に期待したい。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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