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グランプリ・神戸2017
第8回戦:坂東 潤一郎(茨城) vs. 柳下 拓也(埼玉)
By Sugiki, Takafumi
国際港、神戸が誕生して約150年、日本の近代化は、この神戸から入ってきた西洋文化による影響も計り知れない。そんな、歴史ある街神戸で、マジックの近代(モダン)フォーマットでのグランプリが開催されるのは何かの縁であろうか。
2,802名のプレイヤーが神戸国際展示場に集結し、2011年に制定されたモダンという環境への自らなりの解答を持ち込んでいる。近代マジックの歴史をなぞるかのような幅広いカードプールから自由自在に編み込まれた、それらの解答の中で、果たして栄冠を勝ち取るのは誰なのであろうか。
第8回戦でフィーチャーマッチに呼ばれた中から、テキストカバレージテーブルに招待されたのは、ここまで6勝1敗の坂東 潤一郎(茨城)と柳下 拓也(埼玉)。
坂東は、大の青白好きとして知られており、今回も「青白コントロール」を解答として持ち込んでいる。
対する柳下は、岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第1回「親和」でも紹介された「親和」を持ち込んでいる。しかし親和と言っても、この記事にも書いてあるとおり、《金属ガエル》《マイアの処罰者》といったような「親和(アーティファクト)」能力を持つクリーチャーが入っていたのは、石器時代の話である。近代化された現在は、2マナまでのアーティファクト・クリーチャーを大量に並べて、《頭蓋囲い》を適当なクリーチャーにつけて会心の一撃を繰り出したり、あるいは《鋼の監視者》がずらりと並んだクリーチャーを強化し、相手を圧殺するというのが主な勝ちパターンである。
ゲーム1
先手の坂東が、《天界の列柱》をタップインする一方、柳下は、《墨蛾の生息地》、《溶接の壺》、《信号の邪魔者》、《メムナイト》、《羽ばたき飛行機械》と一気にパーマネントを5枚展開する。
まさに「静と動」。モダンというフォーマットの楽しさは、こうしたデッキの振れ幅の広さにもその一端がある。それでいて、いい勝負を繰り広げられるデッキは数十種類とあり、その多様性が何と言っても魅力である。
柳下 拓也 |
坂東が、《前兆の壁》、《広がりゆく海》(対象は柳下の《ダークスティールの城塞》)とひたすらに耐える展開に対して、柳下は《電結の荒廃者》、《搭載歩行機械》と、その攻め手を緩めない。
坂東の4ターン目は少考の後の《至高の評決》。対する柳下も、ここで《溶接の壺》を起動していずれかのクリーチャーを守るべきかどうかを悩む。柳下の出した結論は、「起動しない」。《電結の荒廃者》の接合で大きくなった《搭載歩行機械》が破壊され、飛行機械・クリーチャー・トークン5体が空に舞う。
柳下が《刻まれた勇者》、坂東が《台所の嫌がらせ屋》と盤面に追加し、依然として、柳下のペースでゲームが進んでいることには変わりがない。柳下からの攻撃を受けて、坂東のライフは1。
《ギデオン・ジュラ》が身代わりとなって攻撃を受けている間に《至高の評決》を引ければというところであったが、坂東に残された選択肢は、盤面を片付けることだけであった。
坂東 0-1 柳下
ゲーム2
再度先手の坂東は、《前兆の壁》、《広がりゆく海》(対象は柳下の《ちらつき蛾の生息地》)、《前兆の壁》2枚と鉄壁の守りを築き上げる。
しかし、それでもそれを乗り越えるのが親和の爆発力だ。1ターン目には《ちらつき蛾の生息地》、《バネ葉の太鼓》2枚、《羽ばたき飛行機械》、《オパールのモックス》、《思考囲い》と展開し、次のターンには《頭蓋囲い》をプレイ。一気に7点のダメージを坂東に与える。3ターン目にも再度ダメージを与えることに成功し、すでに坂東のライフは4だ。
坂東 潤一郎 |
ここで、坂東は《前兆の壁》で《拘留の宝球》をなんとかドローしており、《頭蓋囲い》を追放することに成功する。続いて、《聖別されたスフィンクス》が盤面をなんとか保持。対する柳下は少しでもダメージを稼ぐべく攻撃を続ける。
坂東は《聖別されたスフィンクス》でおもむろに攻撃してターンを終了。柳下からしてみれば、怪しすぎる。あのカードが脳裏にちらつくが、流石に無人の荒野に対して、攻撃をしないわけにはいかない。柳下が攻撃クリーチャーを指定したところで、坂東は予定調和の《修復の天使》。
これで柳下のクリーチャーは壊滅。盤面をさらに《石のような静寂》で固めた坂東が2ゲーム目を取り返した。
坂東 1-1 柳下
ゲーム3
ノッている親和の勢いとはこれほどまでのものなのだろうか。《メムナイト》、《鋼の監視者》と展開し、《鋼の監視者》に《流刑への道》を打たせた上で、3ターン目に《頭蓋囲い》を《墨蛾の生息地》につけての攻撃で坂東は早くも毒カウンターが5つ。
再度《墨蛾の生息地》が攻撃し、《幽霊街》に破壊されるも、2枚目の《墨蛾の生息地》が坂東の毒殺を狙う。
坂東は《広がりゆく海》を《墨蛾の生息地》にエンチャントし、柳下が繰り出した《熱烈の神ハゾレト》も《拘留の宝球》で除去し急場を凌げたはずだった。
が、柳下が繰り出したのは、《摩耗 // 損耗》。《広がりゆく海》が破壊され、《墨蛾の生息地》が息を吹き返す。《頭蓋囲い》をまとった《墨蛾の生息地》が攻撃に繰り出され、坂東は投了する他に無かった。
坂東 1-2 柳下
モダン環境最速のデッキと、最も遅いデッキの対決となったこのマッチは、柳下がドローにも恵まれ勝利し1敗を堅持した。現代の日本のグランプリでは1敗の重みが非常に大きい。坂東は、トップ8に入るためには負けられない戦いが待っている。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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