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グランプリ・北九州2013

観戦記事

第9回戦:行弘 賢(和歌山) vs. Ivan Cheung(香港)

By Tetsuya Yabuki

行弘 賢(ナヤ・ミッドレンジ)vs. Ivan Cheung(ナヤ・ミッドレンジ)

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 ビデオ・マッチで繰り広げられる華の全勝対決のすぐ隣で、激しい火花が散っている。その場に籠もる熱はビデオ・マッチに劣らず、いや、それを凌ぐほどだろう。

 ここはバブル・マッチ、進退を決める分かれ道。

 自然、シャッフルをする両者の手にも力が入り、わずかに震える。ただ一点を見つめる両者の目は、何を映すのか。奇しくもナヤ・ミッドレンジの同系対決となったこの試合は、電撃の攻めが勝負を決めた。

「Higher」と行弘がダイスを示してIvanに声をかける。

 応じてIvanがダイスをふると、出た目は6の目ふたつの「12」。これには思わず笑みをこぼす両者。「ツイてるかな」とIvanがひと声あげ、ゲームが始まった。

試合

Ivan Cheung

 動き出しは行弘から。1ターン目《アヴァシンの巡礼者》に続けて《ロクソドンの強打者》を繰り出すと、Ivanはそれを《ミジウムの迫撃砲》で除去。その直後、行弘の盤面へ《ドムリ・ラーデ》が送り込まれる。

 行弘の攻勢は止まらず、ドムリの[+1]能力で手に入れた《セレズニアの声、トロスターニ》から《復活の声》と続け、瞬く間に盤面を強化していった。

 Ivanも押されるまいと《修復の天使》と《セレズニアの魔除け》で行弘の《ドムリ・ラーデ》を落とし、《復活の声》を戦場に加える。

 行弘はさらに《雷口のヘルカイト》を繰り出して全軍で攻撃。ブロックを悩むIvanだったが、すべて通してライフを20点から11点へ落とした。

 Ivanは《ボロスの反攻者》を加えてターンを返す。行弘が《復活の声》と《雷口のヘルカイト》で攻撃。それを通してIvanのライフは残り4点に。

 Ivanは2枚目の《修復の天使》を出し、《雷口のヘルカイト》に備える。2体でブロックに入ったものの、行弘は通った《復活の声》に《セレズニアの魔除け》を与え、押し切った。

行弘 1-0 Ivan


行弘 賢

 行弘の攻めは第2ゲームも緩むことがなかった。

 1ゲーム目と同様《アヴァシンの巡礼者》から、今度は《ボロスの反攻者》を高速展開。Ivanも同じように《ミジウムの迫撃砲》を合わせるが、今度は自軍の《東屋のエルフ》も焼かれてしまう。続く行弘の動きも、まるで1ゲーム目を繰り返しているかのように《ドムリ・ラーデ》。3マナのプレインズウォーカーが着実にクリーチャーをめくり、行弘にアドバンテージをもたらす。

 Ivanも《雷口のヘルカイト》で《ドムリ・ラーデ》を退場させるが、そこへ間髪入れず2枚目が降り立ち、息を吐くのも許さない。

 《雷口のヘルカイト》による再度の攻撃は《セレズニアの魔除け》で絶たれ、やがて行弘の盤面に舞い降りた《テューンの大天使》が、戦場を制圧したのだった。

行弘 2-0 Ivan


「これでナヤ3回目。やっぱりみんなビートダウンを意識して来てるから、ナヤも数が増えてますよね」

 試合後、2日目進出を決めた行弘にこれまでの当たりを聞くと、彼はそう答えた。他に「やりたくない」マッチアップとして、「呪禁バント」と《スフィンクスの啓示》を使うデッキを挙げる。

「と言っても啓示使うデッキは向こうも嫌がると思うんですけどね。でも当たりたくはない。2日目はそういうデッキが減ることを願っています」

 それから最後に、

「あー! あと緑黒コン。あれはホントに勘弁してほしい」

 と付け加えた。彼にはまだこれから長い戦いが待っている。


 フィーチャー・エリアを去る前に携帯電話を取り出し、「行弘との写真を撮ってくれ」とIvan。ここまで9ラウンドの激闘を経て出会った両者は、握手を繰り返し、カメラの向こうで笑顔を寄せ合った。

「Good Luck」と力強く言葉をかけ――Ivanは駆けつけた仲間の方へと振り返る。

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