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EVENT COVERAGE
グランプリ・広島11
決勝: Martin Juza(チェコ) vs. 白木 高広(山口)
By Tomohiro Kaji & Shiro Wakayama
唐突ではあるが、チーム宗男、という集団をご存じだろうか?
日本人初代殿堂の藤田 剛史や、黒田 正城らを擁し、日本マジック黎明期に、マジックをチームで調整し、トーナメントに参加するというスタイルを初めて採用したのが彼らだそうだ。
正直、書いている私も、伝説上のチームというレベルでしか知らず、関西出身の中村 修平に聞いても、古い話過ぎてよく知らない。という程に伝説的なチームなのだ。
日本人が海外に遠征しても、まだまだ勝てなかった時代。プロツアーで、日本人がTop50に入ったことが、トピックになっていた時代。海外グランプリに50人を超える日本人が遠征するなんて、信じられない時代。
そんな時代に、日本勢は何故勝てないのか?どうやったら勝てるのか?ということを真剣に考えていた集団がチーム宗男だ。
何故こんなことを突然話したかと言えば、その、伝説のチームであるチーム宗男に所属していたのが白木なのだ。
聞けば、現在は山口在住だが、過去には大阪で、若かりし頃の藤田達と切磋琢磨しあっていたとのこと。マジックが日本で発売された頃から2001年までプレイし、その後しばらく離脱。復帰はアラーラブロックの後半頃という。
日本が世界のトップだった時代は、離脱していた白木。日本の黄金期を経て、また、海外プレイヤーが活躍する時代が訪れ、現代の、強い海外プレイヤー勢のヨーロッパ代表とも言えるのが、Martin Juza。
白木が操るのは、ほぼ白単に《聖トラフトの霊》をタッチした、白青人間デッキ。Juzaは緑白人間デッキ。
《ケッシグの狼の地》と青黒デッキが猛威を振るった2週間前のグランプリ・ブリスベンの結果を踏まえたチューンを施した二人が、決勝テーブルで、激突する。
お次はJuzaのマリガンでゲームが始まる。
先攻の白木は先のゲームとは打って変わって、白ウィニーらしい立ち上がり。《教区の勇者》から《堂々たる撤廃者》へ繋げる。
これをJuzaはマナ効率の悪い《忘却の輪》で《教区の勇者》を追放し、手札が芳しくないことを匂わせた。
展開の悪いうちに1点でもダメージを稼ぎたい白木は、《悪鬼の狩人》で《アヴァシン教の僧侶》を取り除く。
しかし、Juzaはもう一枚の《忘却の輪》で《悪鬼の狩人》を追放、マナ人間を復帰させる。
しかし、さらに白木は《悪鬼の狩人》で《アヴァシン教の僧侶》を再度除去!
このマナクリーチャーをめぐる攻防の間も白木の攻撃の手は止まることなく、白ウィニー必殺の《清浄の名誉》も戦場へ加え、一気にJuzaのライフを残り9まで追い詰めた。
防戦一方になってしまったJuzaは、パーマネント数の差を埋めるべく《霊誉の僧兵》を唱えても、サイズアップの関係でブロッカーとしか使い道しか残されていなかった。
白木のトドメの《刃砦の英雄》に、さすがのJuzaも苦い顔。
Juza 1-1 白木
対してJuzaは、初動《アヴァシンの巡礼者》からの《戦争と平和の剣》!
後手後手にまわってしまっている白木がまだクリーチャーを唱える前に、白いビートダウンに決定的なパーマネントが登場してしまった。
このままではダメージレースどころではない、甚大なライフ差をつける1枚のカードだけに負けてしまう白木は、手札を消費するという意味も含めて《教区の勇者》《宿命の旅人》と連続でキャストする。
実は最高のスタートに見えたJuzaだが、唯一の白マナが《アヴァシン教の僧侶》であり、《戦争と平和の剣》での攻撃プランを選べば後続は唱えられない。
他に選択肢として《刃の接合者》もあるのだが、あえてリスクを負ってゲームの短期決着を狙ったのか?
そして彼は《森》《森》《ガヴォニーの居住区》というマナベースに諦めをつけ、最速でゲームに勝つことを選択した。
お互いのライフが攻撃前はともに20だったはずなのだが、一度戦闘ダメージが解決されるとJuza25-12白木という13点もの開きになってしまった。
白木にとって、この状況を解決できるカードとして《忘却の輪》、《四肢切断》の6枚が残されているが、いずれかを2ターン以内に引かなければならない!
可能な限り攻撃し、《聖トラフトの霊》を追加してターンを終える白木に、さらに《戦争と平和の剣》の重たい一撃を与え、
ライフは27対5!
最後のトップデックは・・・《悪鬼の狩人》。
そこに一瞬可能性を感じてしまった白木だが、
実質白単色な構築である彼のデッキにはプロテクション(白)は止められなかった。
Juza 2-1 白木
世界を転戦し、経験を積み重ねたJuzaが、勝利した。
中村 修平にならって、海外グランプリをサーキットし、プロポイントを稼ぐJuza。
今季のプレイヤー・オブ・ザ・イヤー(POY)レースを、トップのOwen Turtenwaldに12点の差をつけられていたところを、この優勝で2点差の暫定2位。という好位置にまでつけた。
既に3年間のLv8生活を続けながらも、POYには今一歩届かないJuza。
日本人が5連覇をする前は、Kai BuddeやGabriel Nassifなど、POYレースはヨーロッパ勢が主役だった。
Juzaは、ヨーロッパ大陸にPOYの称号を6年ぶりに持ち帰ることができるのか。
今季絶好調のチャネルファイヤーボール勢、もといアメリカが2年連続でPOYを獲得するのか。
はたまた、渡辺 雄也、八十岡 翔太、中村 修平の奮起によって、日本人が奪還するのか。
もう、あと2週間で、世界選手権が始まる。
おめでとう、Martin Juza!! 世界選手権でも、その雄姿を見せてくれ!
Game 1
ここで勝てばグランプリ・チャンピオン。あとこの1マッチを勝てれば長い戦いも終わり。 ほぼ毎週のように、グランプリに参加し、1週間前にも地球の裏側でTop8のフィーチャーテーブルに呼ばれたJuza。 是が非でも欲しい先攻を取ったのは、Juza。後攻の白木、痛恨のダブルマリガンでゲームが始まる。 先攻Juzaの《アヴァシン教の僧侶》から《ミラディンの十字軍》という立ち上がりに、白木は《宿命の旅人》を出してはチャンプ、出してはチャンプとダメージを緩和しながら飛行クリーチャーへと転生させる。 しかし、飛行とはいえ所詮は1/1クリーチャーなので、Juzaの後続の《刃の接合者》が登場すると、とてもではないがダメージレースはできないパワー差ができてしまった。 これに何とか《ミラディンの十字軍》同士の相打ちで応えようとするも、ゴーレム・トークンが止まらない。 もちろんマナコストが違うのだから1枚のカードの強さが違うのは当たり前なのだが、初手の少なかった白木に手数で勝負することは難しい。 変な紛れが起こる前に勝負を決めたいJuzaの後続は、1枚で白木を圧倒できそうな《刃砦の英雄》。 これの攻撃が通れば話が早いのだが、《忘却の輪》がそれを阻む。 では《情け知らずのガラク》はどうだ?と、新しいプレインズウォーカーでトークンを除去しつつ変身させると、それを対処するカードは白木には残されていなかった。 完全に息切れしてしまった白木をしり目に、手札を持て余しているJuzaの《忘却の輪》で《刃砦の英雄》が帰ってくると、両者はサイドボードに手を伸ばした。 Juza 1-0 白木Game 2
白木 高広 |
Game 3
7枚の手札にため息をつき、天を仰ぐ白木。 結局マリガンをすることはなかったが、白ウィニーでありながら《氷河の城砦》のタップインでスタートと思わしくない。Martin Juza | |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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