読み物
Round 8: 山本 賢太郎(東京) vs. 高橋 優太(東京)
By Shiro Wakayama
2007年に行われたプロツアー・サンディエゴ。あとにも先にも1度だけの特殊なフォーマット、双頭巨人戦で、堅実なプレイを続け、準優勝した日本人がいた。
今、フィーチャーエリアに座っている、山本と高橋がその二人である。
二人から漂う空気は異なっているようで、似ている。温和で、どこか儚げで、純正イケメンの山本。方や、抜身の刀のような鋭い眼光で、仕事中に「ジェイス!」とか叫んでしまう高橋。
最早比べるベクトルすらわからない二人だが、うちに秘めている、強い意志の色は明らかに同じだ。勝利に対して、真摯で愚直な二人が、1敗ラインで衝突する。
緑単色の《》が多い中、赤マナ供給源を増やし《》等、クリーチャーデッキに比較的強い構成にチューンしている高橋と、青白の人間デッキを操る山本。
下馬評では高橋に有利がつきそうだが、先に2日目に進出する権利を獲得するのは、どちらか?
Game 1
先手の山本がマリガンしてゲームがスタート。
マリガンながらも、3ターン目におもむろにプレイされる、《》。これに対処できる火力を有していない高橋。
そして、4ターン目、土地を置いて淡々と山本がプレイしたのは《》。
《》が手札になく、もはや対処のしようがない12点クロックを提示され、プロツアーをともに戦った盟友による、あまりにも唐突な、理不尽な強襲が、開始3分でGame 1の終わりを告げた。
高橋 0-1 山本
Game 2
高橋は土地1枚の手札を、表情を一切変えずにキープ。後手の山本がまたも1マリガン。
まるで当然のように《》を引き込んだ、高橋の《》で《》をサーチする動きでゲームが開幕。
その後、順調に土地を引き、《》《》とプレイする高橋だが、《》は《》され、山本の3ターン目には、先ほど一気にゲームを決めた《》が場に降り立つ。
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山本 賢太郎 |
6マナ揃った高橋だが、先ほどの瞬殺劇が頭をよぎる。ジャッジに《》のオラクルの確認を求め、最悪の事態の想定を終えると、意を決して《》をプレイ。《》と《》をサーチして、ターンを終了する。
対する山本は、《》こそ持っていないものの、《》をプレイして《》を追放。《》をレッドゾーンへと送り込み、ダメージレースを先制する。
だが、緑マナの不安定さを無視しながら《》を最初に持ってくるくらいに、赤マナを要求する手札からプレイされるのは、当然と言っても良い《》。
《》が戦場に舞い戻り、さらなる《》と《》がサーチされる。
もう一度、《》をプレイして《》を追放して戦線の再構築をしたい山本だったが、3枚並んだ《》がクリーチャー化し、《》が金属術を達成し《》を撃破。
《》の能力によって、都合4枚の《》と複数枚の《》が並ぶであろう陣容になることを悟って、投了。
最終ゲームに、勝負の結果はもつれ込む。
山本 1-1 高橋
Game 3
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高橋 優太 | |
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今度はお互いにマリガン無し。
土地を置くだけの山本に対して、高橋が《》で突っかける。これは《》でいなして、3ターン目に、山本の場に三度《》が現れる。
高橋は、テンポを失い気味ではあるが、《》を再度プレイしてマナベースを安定させ、《》によって提示された残り少ない時間をどう使うかを考える。
ゲームの主導権を握った山本。《》が高橋のライフを4削り、数多ある選択肢から、《》をプレイ。マナを3つ立たせて、高橋をけん制しつつ、《》を警戒しながら、少しずつクロックを展開する。
さきほど《》で4マナに到達した高橋。ここで、X=3と比較的珍しいマナ域で《》をプレイする。これを少し悩んでスルーする山本。
高橋の戦場へと降り立つのは《》。変身前は《》からのトークンをけん制しつつ、変身した後は格闘能力で、場のクリーチャーをなぎ倒す、強力なクリーチャーだ。さらに土地を置いてターンを返す高橋。
強力なクリーチャーをサーチしてきた高橋だが、山本の場にある《》には対処ができない。《》(カウンター=1個)と《》が容赦なく高橋のライフを蝕み、残りのライフは10。
しかし、自らのライフを犠牲にして、ここで高橋がプレイしたのは、《》。前環境ではポピュラーだったが、新環境に入って、《》デッキとソーラーフレア等のコントロールデッキが台頭し、見かけなくなったカードだ。
「人間デッキを食べるために《》入れました。」
と津村が言っていた理由が、目の前で明らかになる。

《》によるトークンと《》が焼き払われ、そのまま山本が押し切りそうだった場が、一気に、絶望的な程に高橋有利の場へと変貌する。
直接的に《》を対処できない山本は、《》をプレイしてお茶を濁してみるものの、《》が蹂躙し、高橋がいち早く二日目進出を決めた。
山本 1-2 高橋
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