EVENT COVERAGE

グランプリ・広島11

読み物

Round 8: 山本 賢太郎(東京) vs. 高橋 優太(東京)

By Shiro Wakayama  2007年に行われたプロツアー・サンディエゴ。あとにも先にも1度だけの特殊なフォーマット、双頭巨人戦で、堅実なプレイを続け、準優勝した日本人がいた。  今、フィーチャーエリアに座っている、山本と高橋がその二人である。  二人から漂う空気は異なっているようで、似ている。温和で、どこか儚げで、純正イケメンの山本。方や、抜身の刀のような鋭い眼光で、仕事中に「ジェイス!」とか叫んでしまう高橋。  最早比べるベクトルすらわからない二人だが、うちに秘めている、強い意志の色は明らかに同じだ。勝利に対して、真摯で愚直な二人が、1敗ラインで衝突する。    緑単色の《ケッシグの狼の地》が多い中、赤マナ供給源を増やし《金屑の嵐》等、クリーチャーデッキに比較的強い構成にチューンしている高橋と、青白の人間デッキを操る山本。  下馬評では高橋に有利がつきそうだが、先に2日目に進出する権利を獲得するのは、どちらか?
Game 1
 先手の山本がマリガンしてゲームがスタート。  マリガンながらも、3ターン目におもむろにプレイされる、《ミラディンの十字軍》。これに対処できる火力を有していない高橋。  そして、4ターン目、土地を置いて淡々と山本がプレイしたのは《天使の運命》。  《内にいる獣》が手札になく、もはや対処のしようがない12点クロックを提示され、プロツアーをともに戦った盟友による、あまりにも唐突な、理不尽な強襲が、開始3分でGame 1の終わりを告げた。 高橋 0-1 山本
Game 2
 高橋は土地1枚の手札を、表情を一切変えずにキープ。後手の山本がまたも1マリガン。  まるで当然のように《墨蛾の生息地》を引き込んだ、高橋の《不屈の自然》で《》をサーチする動きでゲームが開幕。  その後、順調に土地を引き、《ヴィリジアンの密使》《酸のスライム》とプレイする高橋だが、《酸のスライム》は《マナ漏出》され、山本の3ターン目には、先ほど一気にゲームを決めた《ミラディンの十字軍》が場に降り立つ。
山本 賢太郎
山本 賢太郎
 6マナ揃った高橋だが、先ほどの瞬殺劇が頭をよぎる。ジャッジに《天使の運命》のオラクルの確認を求め、最悪の事態の想定を終えると、意を決して《原始のタイタン》をプレイ。《ケッシグの狼の地》と《墨蛾の生息地》をサーチして、ターンを終了する。  対する山本は、《天使の運命》こそ持っていないものの、《悪鬼の狩人》をプレイして《原始のタイタン》を追放。《ミラディンの十字軍》をレッドゾーンへと送り込み、ダメージレースを先制する。  だが、緑マナの不安定さを無視しながら《》を最初に持ってくるくらいに、赤マナを要求する手札からプレイされるのは、当然と言っても良い《金屑の嵐》。  《原始のタイタン》が戦場に舞い戻り、さらなる《墨蛾の生息地》と《ケッシグの狼の地》がサーチされる。  もう一度、《悪鬼の狩人》をプレイして《原始のタイタン》を追放して戦線の再構築をしたい山本だったが、3枚並んだ《墨蛾の生息地》がクリーチャー化し、《感電破》が金属術を達成し《悪鬼の狩人》を撃破。  《原始のタイタン》の能力によって、都合4枚の《墨蛾の生息地》と複数枚の《ケッシグの狼の地》が並ぶであろう陣容になることを悟って、投了。  最終ゲームに、勝負の結果はもつれ込む。 山本 1-1 高橋
Game 3
高橋 優太
高橋 優太
 今度はお互いにマリガン無し。  土地を置くだけの山本に対して、高橋が《不屈の自然》で突っかける。これは《マナ漏出》でいなして、3ターン目に、山本の場に三度《ミラディンの十字軍》が現れる。  高橋は、テンポを失い気味ではあるが、《不屈の自然》を再度プレイしてマナベースを安定させ、《ミラディンの十字軍》によって提示された残り少ない時間をどう使うかを考える。  ゲームの主導権を握った山本。《ミラディンの十字軍》が高橋のライフを4削り、数多ある選択肢から、《教区の勇者》をプレイ。マナを3つ立たせて、高橋をけん制しつつ、《金屑の嵐》を警戒しながら、少しずつクロックを展開する。  さきほど《不屈の自然》で4マナに到達した高橋。ここで、X=3と比較的珍しいマナ域で《緑の太陽の頂点》をプレイする。これを少し悩んでスルーする山本。  高橋の戦場へと降り立つのは《夜明けのレインジャー》。変身前は《深夜の出没》からのトークンをけん制しつつ、変身した後は格闘能力で、場のクリーチャーをなぎ倒す、強力なクリーチャーだ。さらに土地を置いてターンを返す高橋。  強力なクリーチャーをサーチしてきた高橋だが、山本の場にある《ミラディンの十字軍》には対処ができない。《教区の勇者》(カウンター=1個)と《ミラディンの十字軍》が容赦なく高橋のライフを蝕み、残りのライフは10。  しかし、自らのライフを犠牲にして、ここで高橋がプレイしたのは、《業火のタイタン》。前環境ではポピュラーだったが、新環境に入って、《ケッシグの狼の地》デッキとソーラーフレア等のコントロールデッキが台頭し、見かけなくなったカードだ。  「人間デッキを食べるために《業火のタイタン》入れました。」  と津村が言っていた理由が、目の前で明らかになる。
 《深夜の出没》によるトークンと《ミラディンの十字軍》が焼き払われ、そのまま山本が押し切りそうだった場が、一気に、絶望的な程に高橋有利の場へと変貌する。  直接的に《業火のタイタン》を対処できない山本は、《深夜の出没》をプレイしてお茶を濁してみるものの、《業火のタイタン》が蹂躙し、高橋がいち早く二日目進出を決めた。 山本 1-2 高橋
  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索