読み物
Round 3: 森田 雅彦(東京) vs. 鬼塚 寛(福岡)
By Takeshi Miyasaka
プレインズウォーカーポイントという新しい仕組みが導入されたことで、以前よりもプレイヤーがトーナメントに参加するようになったという噂をちらほら聞く。たとえば、フライデーナイト・マジックの参加人数が増えていたり、グランプリに興味が無かったプレイヤーが併催イベントの倍率 5 倍を目当てに会場へ足を運んでいたり。
イベント倍率で言えば、このグランプリ・広島のプレインズウォーカーポイントのイベント倍率は 8 倍であり、オープン形式のイベントでは最高峰となる。レベルを上げたい地元の人からすれば格好のイベントであろう。
そうした思惑が働いたか否かは分からないが、2011 年のグランプリ・広島は、過去のグランプリ・広島と比べてほぼダブルスコアとなる 798 人が参加しており、上記の噂もあながち嘘ではないのかもしれないと思わされる。はたまたいまのスタンダードがとんでもなく魅力的なのか。
鬼塚 「森田さん、レーティングどれくらいなんすか?」
森田 「2000 超えてるかなあ......」
鬼塚 「すげえ。ぼく 1800 くらいすよ」
森田 「まあ、もうレーティングなんて関係ないしね」
第 3 回戦のフィーチャーマッチに呼ばれた森田 雅彦と鬼塚 寛はシャッフルしながら談笑をしていた。お互いのレーティングが気になるプレイヤーはいつの時代もいたものだが、森田の言うようにこれからは他人のレーティングは気にしなくていいのかもしれない。自分が出れば出るほどグランプリの不戦勝へと近づくのが、新たな報奨システム・プレインズウォーカーポイントなのだから。
Game 1
 |
| 森田 雅彦 |
ダイスロールに勝った鬼塚がテイクマリガンしてスタートしたこのゲーム。先攻の鬼塚は《》プレイから《》《》、《》とテンポよくパーマネントを展開していく。
一方の森田は《》スタートで、《》の返しに《》で《》を追放、、次ターンに《》を《》で排除と、鬼塚の繰り出したブローを受け流してみせる。
鬼塚のボードには装備する先を探す《》がさみしそうに佇んでいる。寂しさのあまり、2 枚目、3 枚目の《》を鬼塚の元にもたらしてしまうくらいには。
序盤戦を制して天秤を自分の側へと傾けることに成功した森田は、《》が生み出す狼と《》、おともの兵士たちによって、もたついている鬼塚を《》で介錯してみせるのであった。
森田 1-0 鬼塚
Game 2
ふたたび先攻の鬼塚は元気よくキープ宣言・・・するも、土地を並べること淡々と 3 タ ーン、ファーストアクションは《》。一方の森田は《》のおかげで一ターン早く《》の返礼に《》を戦場へと送り出す。
殴ろうと考えていたであろう鬼塚は、4 枚目の土地をプレイしたのち森田の前に佇む《》を一瞥すると、《》 2 体目をプレイして攻撃することなくターンを終える。
《》を 4 枚目の土地としてプレイした森田はここでしばらく思慮の海へと飛び込む。十分にシミュレートを終えたのち《》をレッドゾーンへ。ともにレッドゾーンへと登場した兵士たちはそれぞれ《》によって打ち倒されるが、英雄が鬼塚ののど元へ切っ先を突きつける。
攻撃後、森田はもう一体《》を戦場へ呼び出して鬼塚へターンを渡す。さっさと対処しなければ、兵士たちが戦場を蹂躙するぞ、とばかりに。
むろん、鬼塚には回答があった。
《》!
《》へ剣をまとわせることで 4 色のプロテクションを与えて単身攻撃へと向かわせる。神の化身か、悪魔の使いか。鬼塚にとっては前者であり、森田にとっては後者であろう。森田はしばし戦場を見つめ、ダメージを甘んじて受ける。


4/4 二段攻撃、プロテクション(黒)(緑)(白)(赤)、(ある意味)絆魂。森田は自信の 5 ターン目を迎え、引いたカードを含めてしばらく逡巡していたが、絶対不可侵の十字軍を前には無意味な抵抗だ、と手早くカードを片付けた。
森田 1-1 鬼塚
Game 3
鬼塚 寛
初めて森田先攻で迎える最終ゲームは、両者ともにオープニングハンドに納得してスタートする。が、ゲームの展開は怒濤の展開であった。
土地を並べるだけの森田とは対照的に、鬼塚は激しいアクションを見せる。ファーストアクションで呼び出した《》を次のターンには《》と《》で 3/3 へと成長させてから攻撃へと繰り出す。なにもできない森田はライフで受けて 17 へ。
みたび土地をプレイするだけの森田を気にすることなく、勇者を育ておえた人間たちにも活躍させるべく鬼塚は《》で彼らをバックアップ、人間を 3 人レッドゾーンへと送り込む。《》をプレイしてスピリットを 2 体呼び出してしばらく考える森田だが、そのままライフで受けることを選び残りライフは 9 となる。
このまま虐殺劇が繰り広げられるのか、と筆者がはらはらしているのを横目に、森田は《》をプレイすると、《》へ 3 点与えてこれを排除、ガラクは《》へと変身する。これで、スピリット・トークン 2 体とクリーチャー 2 体、数で言えば拮抗した状態となる。
もちろんそのまま終わるわけもなく、いけいけの鬼塚は《》を戦場へと繰り出して森田のスピリット・トークンを一体追放し、さらに《》をもう一体追加して《》へカウンターを載せて 5/5 へ育て上げると《》とともにレッドゾーンへ。《》は森田のライフを守り最後の役目を終える。森田にもたらされたのは《》。狩人が狙うは鬼塚が育て上げた《》。一方がクリーチャーを展開すれば、他方がクリーチャーを排除する。数の上では一進一退が続いていく。

しかし鬼塚の人間たちは《》で自信に満ちあふれ、ドヤ顔で戦場を支配していた。《》《》《》が戦場を駆け抜け森田を襲う。スピリット・トークンと《》が《》を相打ちするも、残された人間たちが森田のライフを削り取る。4 点のダメージを受けた森田のライフはわずかに 5 である。
軽くてデカい人間たちを従えている鬼塚は、《》をさらにもう一体と《》をプレイして、ターンを終えた。鬼塚の手札はゼロだ。とにかく戦場にいるクリーチャーの数を平衡にしておきたい森田は、《》をプレイして《》を排除してターンを返す。
鬼塚はドローしてしばらく戦況を検討する。鬼塚のコントロール下には《》《》《》《》と土地 4 枚、一方の森田のコントロール下には《》(《》を追放中)《》(《》を追放中)と土地 5 枚だ。思考が結実したのか、鬼塚は《》に《》を装備させると《》とともにレッドゾーンへ。森田はこの攻撃に対して《》でスピリット・トークンを呼び出すと、《》をチャンプ、《》は《》でブロックしてライフを守る。自身のターンにできることはドローゴーだ。鬼塚が大事にしている手札が気になる。
手札の行方はすぐに明らかになった。鬼塚は《》をプレイし、これを《》で育て上げるとターンを終了する。一ターンで鬼塚のコントロール下に 3/3 が 2 体も出現! なんとかしたい森田だが、彼にできたのは《》を戦場へ追加するのみだ。
鬼塚は《》を《》へ装備させると、《》とともに攻撃へ。それぞれ《》と《》でブロックしてライフを守り次のドローに最後の望みをかけてみる森田だったが、鬼塚の誇る人間軍の怒濤の攻撃を前に、それ以上できることは、無かった。
森田 1-2 鬼塚
レーティング 2000 超えの森田を 1800 の鬼塚が倒したことで、鬼塚には多量のレーティングをもたらし、森田は多量のレーティングを失った。
・・・のは以前のレーティングシステム。
森田はこのゲームではなにも失わず、鬼塚は勝利による 3 点にイベント倍率 8 倍をかけ、24 点のプレインズウォーカーポイントを得た。負けることにリスクはなく(レベルが上がらないというジレンマはあるけれども)、勝利することによるメリットがある。それがあたらしいぼくらのレーティングシステム、プレインズウォーカーポイント。
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