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EVENT COVERAGE
グランプリ・北京2015
決勝:チーム Wescoe/Hoaen/Hron vs. チーム 渡辺/三原/市川
By Atsushi Ito
これほどまでに豪華な決勝戦があろうか。
渡辺 雄也。クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoe。
三原 槙仁。リッチ・ホーエン/Rich Hoaen。
市川 ユウキ。マイク・フロン/Mike Hron。
いつからここは世界選手権の舞台に変わってしまったのだろうかと一瞬錯覚しかけるほどに、このグランプリ・北京2015の決勝戦は、最高のチームと最高のチームのぶつかり合いとなった。
チーム渡辺/三原/市川にとって、この決勝戦に込められているものはとてつもなく大きい。
第13回戦でチームWescoe/Hoaen/Hronと対戦したとき、三原と市川が1本目を落とした段階でIDを申し込まれ、リスクを避けるためとはいえ屈辱のIDを承諾した借りがあること。
そして渡辺にとってこの戦いが、8回目のグランプリ優勝という大記録を成就するための最後の障害であること。
さらに三原にとって、2年前のグランプリ・京都2013の決勝戦で最後に負けたのがまさしくホーエン/フロンのチームであること。
それらすべてが、ここでの1マッチにかかっている。
だから決勝戦の相手がチームWescoe/Hoaen/Hronと決まったとき。渡辺たち3人のテンションは最高潮に達していた。
市川「いよいよラスボスの登場かー!」
三原「ここからだから。グランプリは今始まったばかりだから。優勝以外は無価値!」
渡辺「よし、絶対倒す!」
「生粋の白使い」ウェスコーと、リミテッドマスターにして「チームリミテッドの優勝請負人」ホーエン/フロン。
対するは最強/殿堂/ライジングスターという日本が誇るドリームチーム、渡辺/三原/市川。
どちらが勝っても歴史に名を刻むであろう、グランプリ・北京2015の最後の戦い。
決勝戦。
その火蓋が、切って落とされた。
A卓:クレイグ・ウェスコー vs. 渡辺 雄也
マリガンのウェスコーが2ターン目《フェリダーの仔》で仕掛けるが、これが即座に《オラン=リーフの発動者》と相打ちになると、対する渡辺が後手4ターン目にプレイしたのは《下生えの勇者》!!
さらにウェスコーの土地が4枚でぴたりと止まってしまう。《髑髏砕きの補充兵》まで追加されての戦線に対して、何らの効果もない《沸き立つ大地》をプレイし《下生えの勇者》のカウンターを1個でも多く減らしにかかることくらいしかできない。
際限なく成長するクロックを前に、ウェスコーはほどなくして投了を余儀なくされてしまった。
ウェスコー 0-1 渡辺
チームWescoe/Hoaen/Hron |
B卓:リッチ・ホーエン vs. 三原 槙仁
お互いマリガンだが、青白であるにも関わらず《島》を引き込むのが遅れて思うように行動がとれないホーエンに対し、《獣呼びの学者》から次々とクリーチャーを展開していく三原。
一方《カラストリアの夜警》、《タジュールの獣使い》と並べられたところで、ホーエンがプレイしたのは《乱動を刻む者、ノヤン・ダール》!!
だがこれを放置すると一発逆転もありえるところだったが、返すターンに三原がプレイしたのは《影響力の行使》!!
緑多色の利点を活かしたレアをレアで奪うビッグプレイにより、クロックが一気に膨れ上がった三原の戦線を見てホーエンは潔く投了。
ホーエン 0-1 三原
C卓:マイク・フロン vs. 市川 ユウキ
先手3ターン目も何もプレイせずターンを返すフロンに対し、市川は様子見とばかりに《棘撃ちドローン》を送り出すが、エンド前の《完全無視》から《精神を掻き寄せるもの》でアドバンテージを取られると、さらに《タイタンの存在》も《呪文萎れ》でカウンターされた上で2枚目の《精神を掻き寄せるもの》をもプレイされてしまう。
しかしそれでも《掴み掛かる水流》と《ハリマーの潮呼び》でクロックを作って対抗するのだが、フロンは落ち着いて《塵の予言者》《威圧ドローン》《マラキールの使い魔》とクロックを並べ、さらに「覚醒」した土地を《ハリマーの潮呼び》ごと《荒廃の一掴み》で葬り去る。
ブロッカーを立てて時間を稼ぎたい市川だったが、《逆境》を打たれてあえなく敗北となってしまった。
フロン 1-0 市川
チーム渡辺/三原/市川 |
A卓:ウェスコー vs. 渡辺
先手ながら《城砦化した塁壁》《不快な集合体》と並べて「上陸」デッキ対策を見せるウェスコー。
だが渡辺の「上陸」デッキは常識を超えていた。
《下生えの勇者》プレイから《進化する未開地》をセットして成長させると、さらに《領地のベイロス》を追加する。
ウェスコーも《オンドゥの蜂起》でダメージレースを開始しようとするのだが、渡辺が送り出したのは《オラン=リーフのハイドラ》!!
そして続くターン、「上陸」クリーチャー3体を並べた渡辺が満を持してプレイしたカードは......?
渡辺「勝ちました。あとよろしくお願いします!」
ウェスコー 0-2 渡辺
B卓:ホーエン vs. 三原
《珊瑚兜の案内人》と《影の滑空者》に殴られながらも、《乱動を刻む者、ノヤン・ダール》を《骨の粉砕》したことでテンポをとり、《古参の戦導者》で盤面を制圧しつつある三原。
三原「勝てそうかも」
だが長時間悩んだホーエンが意を決してフルタップでプレイしたのは《希望を溺れさせるもの》!
三原のライフは8点。とはいえ《珊瑚兜の案内人》の能力を活用しても盤面には7点しかない、と計算した三原は1つしかない緑マナを使って《地下墓地の選別者》をプレイし、《古参の戦導者》の打点を上げて詰めにいく。
しかしここでホーエンが公開したのは《石術師の焦点》!
実はこのとき三原の手札には《異常な攻撃性》もあり、《地下墓地の選別者》をプレイせずにホーエンがフルタップの隙に《珊瑚兜の案内人》を除去してさえいれば突然死はなくなるはずであった。
三原、痛恨のミスで勝負は3本目へ。
ホーエン 1-1 三原
ホーエン 対 三原の際どいゲームに、すかさずチームメイトが助け舟。 |
C卓:フロン vs. 市川
《泥這い》2体で果敢に殴ってくるフロンに対し、《アクームの石覚まし》と《棘撃ちドローン》をコントロールする市川は悩む。
が、1ゲーム目で《呪文萎れ》を見たこともあってカウンターを構えているだろうと一点読みをした市川は《アクームの石覚まし》の「上陸」で生んだエレメンタル・トークンと合わせてフルアタックを敢行するが、《墓の出産》でインスタントタイミングでブロッカーを生み出され、クロックを打ち取られてしまう。
それでも《雲マンタ》を《荒廃の一掴み》されつつも、逆に《バーラ・ゲドを滅ぼすもの》を《氷の猛進》し返してすれ違いのダメージレースを挑みにいく。
だが虎の子の《ハリマーの潮呼び》が《呪文萎れ》されてしまうと、市川の攻め手が尽きてしまう。そして奮闘空しくフロンの軍勢に押しつぶされてしまった。
フロン 2-0 市川
B卓:ホーエン vs. 三原
チームの勝敗はホーエンと三原の3本目に委ねられることとなった。
そう、奇しくも2年前のグランプリ・京都2013の決勝戦と同じシチュエーション。
そのとき三原はフロンに負けた。そして今は、ホーエンが立ちはだかる。
Mihara "GP Kyoto, do you remember?"
Hoaen "Yes"
Mihara "I lost. Reveeeeeenge!!"
あのとき獲れなかったトロフィーを、今度こそ。万感の思いを込めてシャッフルを終え、やがてゲームが始まる。
だが三原は先手3ターン目の3/4《タジュールの重鎮》を《手酷い失敗》されると、《影の滑空者》、さらに《雲マンタ》とクロック面で圧倒的に先行されてしまう。
《影響力の行使》で《雲マンタ》を奪い、ホーエンの土地が4枚で止まったのを見てすかさず《タジュールの獣使い》で押し込みにいくが、これは《呪文萎れ》で弾かれ、奪った《雲マンタ》も《真っ逆さま》で除去される。その間にも《影の滑空者》が三原のライフをじわりじわりと削っていく。
最終ゲームをチームメイトたちが見守る |
それでも《カラストリアの夜警》と《深水の大喰らい》を並べ、長期戦にも対応できる構えを見せる三原だったが、ホーエンは《コジレックの媒介者》からマナを伸ばすと、2ゲーム目をもぎ取った《希望を溺れさせるもの》を再び送り出す!
渡辺がホーエンに流してしまったたった1枚のレアが、チームの勝敗を決定づけた。
返すターン、可能な限りのブロッカーを立てる三原だったが、エルドラージ・末裔トークンを生け贄に捧げてのタップと《氷の猛進》「覚醒」によって14点アタックが確定しているのを見てとると、降参の証として自ら手を差し出したのだった。
ホーエン 2-1 三原
チーム Wescoe/Hoaen/Hron 2-1 チーム 渡辺/三原/市川
グランプリ・北京2015チャンピオンは、チームWescoe/Hoaen/Hron!おめでとう!!
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