EVENT COVERAGE

チャレンジャー / ライバルズ / MPLガントレット

観戦記事

チャレンジャー・ガントレット トップ12ハイライト

Corbin Hosler

2021年8月9日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況です。)

 チャレンジャー・ガントレットは、この週末の大規模トーナメントへの参加権利を手にした24名の競技者たちにより開幕した。最初の足切りは土曜日、スイスラウンド12回戦を終えた後だった。予選の上位12名が日曜日へと進出し、そのうち上位4名が直接世界選手権の予選へと進むこととなった。参集的に、4人のプレイヤーが人生最大のトーナメントへの切符を手にし、残るプレイヤーはマジック・ライバルズ・リーグへの招待を確保し、世界選手権出場への道筋を残した。ここに至るまでの過程を見てみよう。

トップ12の戦い

Challenger-Gauntlet-Top-12-Social.jpg Challenger-Gauntlet-Bracket-Top-12-Bracket-01.jpg

 上位4名(サム・パーディー/Sam Pardee、アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbeth、茂里 憲之、そしてマッティ・クイスマ/Matti Kuisma)のうち2人は直接世界選手権への参加権利を手にすることになり、残る2人は敗者側ブラケットの最終戦へと進むことになる。世界選手権への権利を手にする2度目のチャンスであり、生き残りを懸けた勝ち抜き戦だ。

 そして日曜日の戦いが幕を開け、佐藤啓輔が引き続きスタンダードにおいて素晴らしいパフォーマンスで駆け抜けた。タイブレーカー・マッチを経て上位12人を決めた佐藤。トーナメントのヒストリック・ラウンドで苦戦を強いられた彼が欲していたのは、上位12名によるシングルエリミネーションに入るため、スタンダードの総合成績7勝2敗という記録を打ち立てることだった。そして彼はまさにそれをやってのけたのだ。佐藤の「ナヤ・ウィノータ」はガヴィン・トンプソン/Gavin Thompsonの「グルール・アドベンチャー」(この週末の注目デッキ)を2ゲーム連取で退け、次のラウンドへと歩みを進めた。

佐藤 啓輔 - 「ナヤ・ウィノータ」
チャレンジャー・ガントレット / スタンダード (2021年8月5~7日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《平地
1 《
4 《枝重なる小道
4 《岩山被りの小道
4 《針縁の小道
2 《ハイドラの巣
1 《バグベアの居住地
3 《寓話の小道
-土地(23)-

4 《ヤスペラの歩哨
3 《無私の救助犬
4 《裕福な亭主
3 《水蓮のコブラ
1 《絡みつく花面晶体
4 《精鋭呪文縛り
2 《敬愛されるレンジャー、ミンスク
1 《砕骨の巨人
4 《軍団のまとめ役、ウィノータ
2 《刃の歴史家
2 《帰還した王、ケンリス
-クリーチャー(30)-
2 《レンジャー・クラス
1 《髑髏砕きの一撃
4 《エシカの戦車
-呪文(7)-
2 《運命の神、クローティス
3 《アゴナスの雄牛
3 《レッドキャップの乱闘
1 《巨人落とし
2 《バーニング・ハンズ
1 《引き裂き
1 《ヴァドロックの神話
1 《アクロス戦争
1 《怪物の代言者、ビビアン
-サイドボード(15)-

 続くラウンドで彼はイアン・ビレル/Ian Birrellの「スゥルタイ根本原理」か、スタンダードの常連となっている「ディミーア・ローグ」を使用するジョアン・モレイラ/João Moreiraのどちらかと対戦することになっていた。「ローグ」のリストは柔軟性を持たせたものになっており、柔軟にカードを引くことにより、メタゲーム内のどんな相手にも対応することができるが、モレイラのデッキはビレルに2ゲーム連取され敗戦した。

 そうして、次の負けられない戦いが始まった。敗者はこの週末の戦いを終え、勝者は世界選手権への参加権を懸けた戦いへと進むことになる。スタンダードでの勢いを持続させるべく、佐藤は再び《軍団のまとめ役、ウィノータ》に背中を預けた。直近の『フォーゴトン・レルム探訪』で(《軍団のまとめ役、ウィノータ》へのマナランプ手段である)《裕福な亭主》と《敬愛されるレンジャー、ミンスク》を手に入れたデッキだ。そして、第1ゲーム、《軍団のまとめ役、ウィノータ》がその力を見せつけた。

 

 

 第1ゲームを取るには十分だったが、ビレルは第2ゲームに巻き返す。ゲームを長引かせ、《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》に乗り込む。《キオーラ、海神を打ち倒す》を解き放ち、タイに持ち込んだ。

 しかし、この日は佐藤の日だった。第12シードという後方からやってきた佐藤は、またしてもやってのけたのだ。ビレル相手に番狂わせを演じ、決定戦へと進出したのだ。

 勝ち抜き戦によるブラケットの反対側では、待機中だった試合、オンラインと紙の両方で恐れられるローガン・ネトルズ/Logan Nettlesとヤン=モーリッツ・メルケル/Jan-Moritz Merkelの試合が開始された。2人合わせて、トップ8入賞は6回だ。

 

 メルケルは15年前のプロツアー優勝後、長きに渡る活動休止からマジックへとここ数年で舞い戻ってきた。彼は2021年前半にMagic Online Championship Showcaseで勝利をおさめ、気づけば世界選手権への席を待ち望む位置にいた。

 快進撃はこのガントレットでも続いた。3ゲームの接戦の末にネトルズを下して勝ち残ると、チームメイトであるサム・ロルフ/Sam Rolphを3ゲームで退けたばかりのデイヴィッド・イングリス/David Inglisとの対戦に進んだ。クイスマとハッシェンビスとともにテストプレイを行ったこの2人を加えて、4人のメンバー全員が上位12名に残ったのだった。とはいえ、ロルフとイングリスが最初のラウンドで戦ったことで、少なくとも1人はトップ4に彼ら以外の競技者が残ることになったのだが。

 メルケルの「ナヤ・アドベンチャー」デッキはイングリスの「グルール・アドベンチャー」との疑似ミラーマッチにおいて、有利になるよう構築されていたが、メルケルが計画していたようには事が運ばなかった。イングリスのデッキは一方的な展開の2ゲームを描いた。そして、ここぞという時の《アクロス戦争》がイングリスを決定戦へと送り込む決定打となったのだった。

 

世界選手権の座

 そうして敗者側ブラケットが終了し、残るは世界選手権への出場権を獲得するか、1か月後に開催される次のガントレットへ回るかを決める4試合となった。

 まずは、この週末のトーナメントが開幕した時点で本命視されていたプレイヤーの対戦が始まった。パーディーは上位12名の中では最も実績のあるプレイヤーで、ハッシェンビスは王座に輝いた経験を持っており、最高のシーズンを過ごしている。

 連勝は途切れたが、パーディーは彼のデッキのようにエンジンを全開にしていた。ハッシェンビスは力強く1ゲーム目をスタートさせたが、パーディーは《火の予言》を完璧なコンバットトリックとして活用し、巻き返し始めた。

 

 複数の《エッジウォールの亭主》により、出来事クリーチャーさえ見つけることができればデッキを奥深くまで掘り進む準備を整えていたにもかかわらず、ハッシェンビスは数ターンを無駄にし、パーディーがゆっくりと復活してきた。《エシカの戦車》がトップから現れ、パーディーはこの日最も印象的な逆転劇を完遂したのだった。

 

 パーディーに邪魔は入らなかった。第2ゲーム、彼は鍵となる《スカルドの決戦》を見つけると、互角の盤面をリードした。そして、数度の爆発的なターンを経て、サム・パーディーは1人目の世界選手権出場者となり、ハッシェンビスは敗者側ブラケットへ転落し、2度目の挑戦へと回ることになったのだった。

 

 続く決定戦は2人のトップシードによって行われた。茂里とクイスマだ。クイスマはこのトーナメントで台風の目となったテストチームの一員であったのに対し、茂里はこのイベントに向けて、異なる方向性で自身のスタンダードデッキを作り上げた。そして、トーナメントに先駆けて睡眠時間を完全に調整し、日本の早朝であるにもかかわらず万全な状態だった。

 クイスマが先制攻撃を浴びせる。茂里が自身のターンに《神秘の論争》を手札に抱えたまままタップアウトしたため、クイスマに恐るべき《黄金架のドラゴン》の解決を許し、数ターン後に彼に勝利を届けた。

 

 背水の陣となり、茂里はクイスマのアグレッシブなアドベンチャー・デッキに対し、サイドボードから除去を追加し、土地を多く引いたクイスマから第2ゲームを取り返した。《キオーラ、海神を打ち倒す》がその力を見せつけ、雌雄を決する舞台は第3ゲームとなった。

 再び序盤にリソースを交換しあう展開となったが、クイスマの《恋煩いの野獣》と《アゴナスの雄牛》が茂里をライフ9まで脅かした。だが、《キオーラ、海神を打ち倒す》がまたしても鍵となり、茂里に盤面を膠着させるのに十分な時間を与え、《ストーム・ジャイアントの聖堂》を起動し、強大な致死量の攻撃を行い、世界選手権へと送り出されることとなった。

 

 

 「サポートしてくれたすべての人に感謝したいです」 茂里は勝利後に語った。「世界選手権へ出場することは私の夢でした。今日、その夢をかなえることができました」

 勝者の座はまだ2つ残っている。クイスマとハッシェンビスはその輪に加わるための再チャンスを手にした。彼らはそれぞれ佐藤啓輔とデイヴィッド・イングリスを相手にすべてを懸けることになった。イングリスにとっては日曜日2度目のチームメイトとのマッチアップであり、友と「グルール・アドベンチャー」のミラーマッチで相対することになった。

 ゲームそのものは長期戦になった。長引く要因は主に戦闘の計算であり、ハッシェンビスが事前に冗談めいて言及していた通りだった。それぞれのゲームで、盤面は早期に膠着したが、ともにハッシェンビスが難解な盤面に誘導することに成功し先手を取った。2体の《黄金架のドラゴン》が決定打となり、《砕骨の巨人》が効果的にイングリスの「到達」クリーチャーを「踏みつけ」、2度目の挑戦で世界選手権への切符を手にすることとなった。

 

 シーズン初期のプレイヤーズツアー予選から始まり『カルドハイム』チャンピオンシップでの優勝、そして世界選手権出場権獲得を完遂したハッシェンビスの勝利と同じくらいに、彼のインタビューは忘れられないものになり、完璧な週末を決定づけたのだった。

 

 世界選手権出場権は3席が埋まり、残すはあと1つ。マティ・クイスマはスイスラウンドでの圧倒的なパフォーマンスを経て2度の挑戦を手にし、佐藤はトップ12のタイブレーカー・マッチから始まった奇跡的な展開で日曜日まで勝ち残ろうとしていた。

 チャレンジャー・ガントレットの最後を飾るには、3ゲームを要するマッチ以上にふさわしいものはなく、彼らの対戦は実際にそうなった。クイスマはマナ供給が厳しい佐藤から第1ゲームの勝利を手にしたが、その次のゲームでは彼自身がマナに問題を抱えることになり、最終的には土地と装備先のない《エンバレスの宝剣》のみとなり、佐藤が星を取り返し、第3ゲームへの扉が開いた。

 

 最終ゲーム、佐藤は早くも厳しい状況にあった。クイスマが《恋煩いの野獣》《砕骨の巨人》と《嘘の神、ヴァルキー》を含む強固な盤面を展開する一方で、佐藤の手札には高コストのカードたちが並ぶ。4枚目の土地は、ない。

 そして、50,000ドルのトップデッキが現れる。

 

 手札が解き放たれ、佐藤は準備を整えていく。盤面を膠着させればさせるほど、《軍団のまとめ役、ウィノータ》によるビッグターンが近づいていった。ついにそのターンが訪れた時、満を持して佐藤は世界選手権出場への道を完走したのだった。

 こうしてチャレンジャー・ガントレットは終了し、以下の4人が第27回マジック世界選手権へ進むこととなったのだった。

  • サム・パーディー
  • 茂里 憲之
  • 佐藤 啓輔
  • アルネ・ハッシェンビス
  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST