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戦略記事

チャレンジャー・ガントレット メタゲームブレイクダウン

Frank Karsten

2021年8月5日

 

 8月6~8日に行われる「チャレンジャー・ガントレット」では、先のシーズンで特に優れた成績を収めたプレイヤーたちが「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」(リンク先は英語)の4つの席を懸けて競い合う。リーグ所属選手以外で『ゼンディカー』/『カルドハイム』/『ストリクスヘイヴン』の各チャンピオンシップの上位入賞者が出場する本イベントには、その3大会の王者――ブラッド・バークレイ/Brad Barclay、アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbeth、サム・パーディー/Sam Pardeeの姿もある。本イベントの模様は、twitch.tv/magicにて8月6日の9時(日本時間25時)より生放送でお届けする。

 チャレンジャー・ガントレットは、スタンダードとヒストリックの2フォーマットで行われる。全出場選手のデッキリストは8月6日の第1回戦開始時に「チャレンジャー・ガントレット」公式イベントページにて公開されるが、ここではメタゲームを見てみよう。(編訳注:デッキリストの日本語訳も追って公開予定です。)

メタゲームブレイクダウン(スタンダード)

 チャレンジャー・ガントレットでは初日、2日目ともに第4~6回戦が(BO3の)スタンダードで行われる。加えて、3日目のトップ12による決勝ラウンドのフォーマットもスタンダードだ。さて、今大会のメタゲームは以下のようになった。

Challenger-Gauntlet-Metagame-Standard.jpg
アーキタイプ 使用者数 使用率
グルール・アドベンチャー 8 33.3%
ナヤ・ウィノータ 4 16.7%
ディミーア・ローグ 3 12.5%
ナヤ・アドベンチャー 3 12.5%
スゥルタイ・コントロール 2 8.3%
ティムール・アドベンチャー 1 4.2%
ジェスカイ・サイクリング 1 4.2%
イゼット・コントロール 1 4.2%
スゥルタイ根本原理 1 4.2%

 『フォーゴトン・レルム探訪』の導入で、スタンダードには(《ハイドラの巣》などの)クリーチャー化する土地や(戦場に着地した《恋煩いの野獣》や《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》を手際よく除去できる)《バーニング・ハンズ》といった強力なカードが加わった。これらの新カードは「グルール・アドベンチャー」や「ナヤ・ウィノータ」を強化し、今大会におけるメタゲーム上位2つを占めるほどに押し上げた。『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップで上位2デッキの座にあった「スゥルタイ根本原理」や「イゼット・ドラゴン」は、完全にその座を追われることになった。

 『フォーゴトン・レルム探訪』で特に多くのものを得たのは、「ナヤ・ウィノータ」だ。先ほど挙げたカードの他にも(3ターン目《軍団のまとめ役、ウィノータ》を実現するための完璧な1枚である)《裕福な亭主》や、(ライブラリーに人間、戦場には人間でないクリーチャーをもたらす)《敬愛されるレンジャー、ミンスク》の姿も見受けられる。その高い勝率も相まって、「ナヤ・ウィノータ」の使用率はここ数週間で激増していた。私自身も先週のアリーナ・オープンで使用したが、同系戦に多く遭遇した。

 だが無論、チャレンジャー・ガントレットに出場する選手たちはそのようなスタンダード環境の展開を把握している。「ナヤ・ウィノータ」を使用する側のプレイヤーがいる一方で、ほとんどの者がそれを打ち倒すプランを持ってきているのだ。

Ray-of-Enfeeblement.jpg

 デッキを調整して、《軍団のまとめ役、ウィノータ》に1マナで対処できるカードを追加しているのもその一例だ。すでに《レッドキャップの乱闘》はサイド・カードとして広く知られているが、『フォーゴトン・レルム探訪』の《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》は《無私の救助犬》があってもなお《軍団のまとめ役、ウィノータ》を除去できるため、素晴らしい解答になっている。

 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》は「ディミーア・ローグ」のメインデッキにも採用されており、驚くべきことに「グルール・アドベンチャー」のサイドボードにも散見される。「小道」や《ヤスペラの歩哨》、《厚顔の無法者、マグダ》、《黄金架のドラゴン》で黒をタッチしたこの形には、メインデッキに《嘘の神、ヴァルキー》までも採用されている。その形を「ジャンド・アドベンチャー」に分類することも考えたが、黒のタッチがごく少量のため、ここではより馴染み深い「グルール・アドベンチャー」とさせていただく。いずれにしても、黒の干渉手段が「ナヤ・ウィノータ」に対する解答をもたらしているのは間違いないだろう。

 別の角度から「ナヤ・ウィノータ」に対抗したのが「スゥルタイ・コントロール」だ。先週「MTG Melee」で開催されたスタンダード・イベントの結果を受けて持ち込まれたこのデッキは、「ナヤ・ウィノータ」に有利な数少ないアーキタイプの1つとなっている。

 念のため解説しておくと、このアーキタイプはマナ加速からの《出現の根本原理》を決める形ではない。その動きは、4ターン目《軍団のまとめ役、ウィノータ》に対して遅すぎるのだ。「スゥルタイ・コントロール」は《本質の散乱》や《パワー・ワード・キル》(この『フォーゴトン・レルム探訪』で追加された1枚は、現在のメタゲームにおいては《取り除き》よりも優れている)といった軽い干渉手段で攻勢を抑え、その後《メア湖の海蛇》や《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》、《ストーム・ジャイアントの聖堂》、《空を放浪するもの、ヨーリオン》などで勝負を決める形だ。

 「スゥルタイ・コントロール」はまた、《軍団のまとめ役、ウィノータ》の能力を大きく削ぐ《悪意に満ちた者、ケアヴェク》をメインデッキから採用している。3/2というサイズは《砕骨の巨人》に弱いものの、「ナヤ・ウィノータ」はそのカードを減らす傾向にある。私としても「スゥルタイ・コントロール」は「ナヤ・ウィノータ」に対して有利だと予想するが、ではメタゲーム上の他のデッキに対してはどうなのか。とりわけ最も人気を集めている「グルール・アドベンチャー」との相性は果たして。

 メタ外のスタンダード・デッキがお好みの方にとっても、いくらかスパイスの効いた今大会のメタゲームは嬉しいものだろう。「イゼット・コントロール」は打ち消し呪文や盤面を一掃する《燃えがら地獄》、それから勝ち手段として《キオーラ、海神を打ち倒す》を複数枚採用している。この組み合わせは、これまで競技の舞台では見られなかった。活躍のほどが楽しみだ。

メタゲームブレイクダウン(ヒストリック)

 チャレンジャー・ガントレットでは初日、2日目ともに第1~3回戦が(BO3の)ヒストリックで行われる。ヒストリックの方の今大会のメタゲームは以下のようになった。

Challenger-Gauntlet-Metagame-Historic.jpg
アーキタイプ 使用者数 使用率
ジェスカイ・コントロール 10 41.7%
ラクドス・アルカニスト 2 8.3%
オルゾフ・オーラ 2 8.3%
黒単アグロ 2 8.3%
ジャンド・フード 2 8.3%
アゾリウス・オーラ 1 4.2%
セレズニア・カンパニー 1 4.2%
ジャンド城塞 1 4.2%
イゼット・フェニックス 1 4.2%
赤単ゴブリン 1 4.2%
ドラゴンストーム 1 4.2%

 最近《渦まく知識》が一時停止されたこともあり、ヒストリック環境は『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップから大きく変化している。呪文を連鎖させるのに《渦まく知識》を頼っていた「イゼット・フェニックス」は、結果的に大きく使用者数を減じることになった。今大会に《弧光のフェニックス》を持ち込んだプレイヤーはただ1人なのだ。

 代わりに環境を支配しているのが、「ジェスカイ・コントロール」だ。今大会でもおよそ半数が《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《稲妻のらせん》を使っている。このアーキタイプは、《渦まく知識》を必須としない。デッキの安定性や手札破壊への耐性を増すことはできるが、核となるのは全体除去や打ち消し呪文、火力呪文、そしてプレインズウォーカーであり、《渦まく知識》がなくとも十分に形を保てるのだ。

 「ジェスカイ・コントロール」使用者のうち8名は、《奔流の機械巨人》や《ミジックスの熟達》から唱える《マグマ・オパス》を勝ち手段に据えている。残る2名は《大祖始の遺産》で墓地の悪用を止め、《サメ台風》で勝利するプランだ。いずれにしても「ジェスカイ・コントロール」がヒストリックの圧倒的最大勢力を占めることになった。

 ではそれをどう倒すか? 《渦まく知識》が去った後のヒストリックは新しい環境になっているため、「ジェスカイ・コントロール」に有利なデッキを明言するのは難しい。それでも、私としては「ラクドス・アルカニスト」や「オルゾフ・オーラ」、「黒単アグロ」に期待したい。それらが採用している《思考囲い》と《コジレックの審問》は、一番取り去りたい呪文を《渦まく知識》で隠されなくなった今、より効果的になっているはずだ。「ジェスカイ・コントロール」の動きを妨害し、勝利を手にできるかもしれない。

 それから他にも、『フォーゴトン・レルム探訪』のカードを含む刺激的なデッキが2つある。

 1人のチャレンジャーが今大会に持ち込んだのは、「赤単ゴブリン」。3マナ域を少し削って《雄叫ぶゴブリン》と《ホブゴブリンの山賊の頭》を追加した形だ。《雄叫ぶゴブリン》はこのデッキにさらにアグレッシブな動きをもたらし、《ホブゴブリンの山賊の頭》は《群衆の親分、クレンコ》との組み合わせで極めて強力な1枚になる。《上流階級のゴブリン、マクサス》を引けない展開になっても、これらの追加カードのおかげでこれまでとは大きな違いを見せるだろう。再びこのアーキタイプが活気づくかどうか、楽しみだ。

 また《裕福な亭主》によって大幅に強化された「ジャンド・城塞」を選択したチャレンジャーもいる。《裕福な亭主》は《ボーラスの城塞》を繰り出すためのマナをもたらすだけでなく、《ボーラスの城塞》で呪文を唱え続けるために必要なライフももたらしてくれる。そして宝物・トークンは、《波乱の悪魔》の能力も誘発させる。

 パーマネントを生け贄に捧げて唱えた《ボーラスの城塞》が「ジェスカイ・コントロール」の《記憶の欠落》でライブラリーの一番上に戻されるのは辛いが、通りさえすれば強烈な力を見せてくれるだろう。

まとめ

 チャレンジャー・ガントレットのメタゲームは、スタンダードとヒストリックのメタゲーム展開をよく示すものになり、刺激的なデッキ選択も見受けられる。世界選手権の席を懸けた戦いの模様は8月6日の9時(日本時間25時)からtwitch.tv/magic(英語)にて生放送でお届けするので、お見逃しなく。

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