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エターナル・ウィークエンド・アジア2018

観戦記事

ヴィンテージ第1回戦:小林 瑠(東京) vs. 鳥海 貴(東京)

Yohei Tomizawa

 「エターナル・ウィークエンド・アジア2018」の2日目が始まった。大会の目玉の一つでもあるヴィンテージトーナメントには、参加者154人が集まっている。第1回戦でフィーチャーするのは鳥海 貴と小林 瑠の2人だ。

 ヴィンテージ界で、今最も波に乗るプレイヤーを挙げるのならば、それは鳥海だろう。

 「ASIA VINTAGE CHAMPIONSHIP 2016」本戦出場、「BIG MAGIC Open ヴィンテージシリーズ」、「第10期神挑戦者決定戦」とさまざまな大会でトップ8入賞を果たしている。

 そして現在、新たなステージへと挑戦中の身でもある。「第11期ヴィンテージ神挑戦者決定戦」を見事勝ち抜いたのだ!

 鳥海が所属するのは「日本煙突協会」。かつては《煙突》使いたちが集ったグループであるが、現在は「カーショップ型 MUD」使いの集団へと変貌を遂げつつある。天敵《ダク・フェイデン》への意識を高めた《高速警備車》入りの「MUD」だ。鳥海の言葉を借りるなら、《Mishra's Workshop》をこよなく愛し、《ダク・フェイデン》を憎む集団とのことだ。

 対する小林も「日本煙突協会」には所属しないながらも、一緒にヴィンテージを楽しんでいるとのこと。

 昨日はヴィンテージ強豪プレイヤーである伊藤 裕道が使用する「MUD」と調整し、普段より厚めにサイドボードを用意し、本日の大会に参加している。

 メインに取られた3枚の《ダク・フェイデン》、サイドボードに《削剥》、《力ずく》、《破壊放題》とアーティファクト対策を3種5枚も取っているのだ。

 
小林 瑠(写真左) vs. 鳥海 貴(写真右)
ゲーム1

 お互いに見知った顔同士、和やかな雰囲気で準備が行われる。

 先手の小林は《意志の力》2枚を含む7枚の手札をキープし、後手の鳥海はマリガンを宣言、デッキトップを確認する。

「これはあれだな、今日はやった方が正解だった。」

「デッキトップのみぞ知る、ですね。」

 と小林も合いの手を入れる。

 6枚でキープし、占術したカードをデッキトップに乗せると、いよいよスタート。

 小林は《汚染された三角州》を生け贄に捧げ《》をフェッチ。《定業》は2枚のカードを上に積む。

 この《》は小林の生命線だ。土地の少ない手札をキープしたため、マナベースを強化するデュアルランドよりも、制限カードである《露天鉱床》以外で対処されない、基本土地を敢えて選択する。

 その安全牌は、鳥海の《露天鉱床》によって脆くも崩れ落ちる。

 小林は《不毛の大地》を警戒し、《溢れかえる岸辺》を置いたのみでターンを返すと、鳥海は《不毛の大地》をセットしつつ《ファイレクシアの破棄者》。

 「MUD」の天敵《ダク・フェイデン》を指定する。

 さらに「デッキトップのみぞ、知る。」という言葉は、小林へも降りかかる。

 ドロー、セットなし、ゴー。小林はカードを引いては、力なくターンを返す。

 まさかのマナスクリューに対し《アメジストのとげ》、《電結の荒廃者》と強力カードをプレイし、小林の手から《意志の力》をあぶり出す。

 その上で、プレイ《抵抗の宝球》。これにより全てのカードコストは{1}増え、小林は一切の呪文を使うことができなくなってしまう。

 鳥海のクロックは増えない。淡々と2点、その2点を維持するだけで十分なのだ。

 鳥海が《Mishra's Workshop》のバックアップの元《歩行バリスタ》を召喚すると、最後の最後まで土地を引かなかった小林は悔しそうにデッキを片付けた。

小林 0-1 鳥海

 
鳥海 貴

 サイドボーディング中、小林はごちる。

「これねえ、非常にまずいっす。土地引かねえ。」

 小林の言葉を受け、鳥海は

「確かに。今のはラッキーだったね。」

 と答える。ただし鳥海のラッキーは、ただの偶然ではない。「MUD」というデッキの性質上、相手の事故に付け込むことに優れている。事故に付け込み、逆転の芽を摘んでいっただけだ。

 
ゲーム2

 またも鳥海のマリガンで始まった2ゲーム目は、小林の《思案》から。さらに《ギタクシア派の調査》をプレイすると、鳥海の豪華な手札が明らかとなる。

 《Mishra's Workshop》、《Mox Pearl》、《ミシュラのアンク》、《クルーグの災い魔、トラクソス》、《鋳造所の検査官》、《高速警備車》。

 「MUD」が誇る最強の土地《Mishra's Workshop》あり、クリーチャーとマナアーティファクトとなんでもある。確認を終えると《Mox Ruby》を置き、ターンを返す。

 鳥海は、最速で動く。問題は何を優先すべきか。《Mishra's Workshop》をセットすると《Mox Pearl》、《鋳造所の検査官》。《Mox Pearl》からコストの軽減を活かし《ミシュラのアンク》と豪華に4枚のパーマネントをプレイし、ターンを返す。

「これ難しい盤面だな。」

 小林はつぶやくと、2点ダメージを受けながら《露天鉱床》。血を流しながら、このマッチアップのキーカードである《ダク・フェイデン》を着地させると、直ぐに《鋳造所の検査官》を奪う。

 一転、厄介なプレインズウォーカーの登場で、不利になった鳥海。《ダク・フェイデン》が残ってはゲームにならないため、鳥海は《高速警備車》を《ダク・フェイデン》へ向かわせ、《鋳造所の検査官》と相打ちながら《ダク・フェイデン》を破壊する。

 小林は《露天鉱床》で《Mishra's Workshop》を割ると、《Volcanic Island》から《Mox Sapphire》で2枚目となる《ダク・フェイデン》で、今度は《Mox Pearl》のコントロールを得る。

 これで鳥海のパーマネントは《ミシュラのアンク》のみ。この最後のパーマネントすら《削剥》で破壊すると、鳥海の場からは全てのパーマネントが消え失せてしまう。

 小林は《Demonic Tutor》で《Ancestral Recall》をサーチすると、新たな3枚のカードを手札に加える。鳥海が何もできずにいる間に《瞬唱の魔道士》で再度3枚のカードを加え、2点ずつビートダウンを開始する。

 何よりも、このターンの《ダク・フェイデン》のルーティング効果で捨てたのはキーカードである《実物提示教育》。それは1枚にとどまらず、3ターンをかけ、合計3枚の《実物提示教育》を墓地へと送ったのだ。

 小林はゆっくりと2点のクロックを刻む。ゲーム1の鳥海と同じように。特別なカードはいらない。必要なのは、打点は低くても確実なクロックと絶対的な防御である。

「《瞬唱の魔道士》で殴りきるつもりですね?」

「そりゃ裏目ケアしますよ。」

 互いに、わかりきった、手堅いプレイ。

 そしてこの状況で、小林はついにエンドカードへとたどり着く。青の絶対神《精神を刻む者、ジェイス》だ。毎ターンのルーティングで手札の質は高いため、小林は《精神を刻む者、ジェイス》を着地させると、すぐさま鳥海のデッキの検閲へと入る。

 少しずつ、クロックは刻まれ、忠誠値は高まる。

 鳥海はディスカードしながら、機を伺う。しかし、土地もマナアーティファクトも何もない。この状況から何かできるのだろうか。

 《精神を刻む者、ジェイス》の忠誠値が9になったタイミングで、鳥海は最後の抵抗とばかりに仕掛ける。

 セット《Mishra's Workshop》からの《Mox Ruby》と《Mox Emerald》。合計5マナを得ると、《ファイレクシアの破棄者》。

 小林はスルーし、《精神を刻む者、ジェイス》を止める楔となる。もう1枚の《ファイレクシアの破棄者》もスルーされ、今度は《ダク・フェイデン》を縛る。

 終了フェイズに移行すると、小林はマナをタップする。

 《削剥》、それと《瞬唱の魔道士》で再利用。

 対処されると、鳥海はデッキをたたむ。

「手札に《ファイレクシアの変形者》あったから、《実物提示教育》からの《引き裂かれし永劫、エムラクール》、それをコピーしての逆転を狙っていたんだけどね。」

 小林も理解しているから、《実物提示教育》を《ダク・フェイデン》で捨てたのだ。

小林 1-1 鳥海

 
小林 瑠
ゲーム3

 ここまで2度のマリガンに見舞われた鳥海。先手で見た手札は、マリガンする理由がないとは言いながらも、少し考えこむ。

 《Mishra's Workshop》から《歩行バリスタ》X=1。確かに、これまでよりも控えめな動きだ。安堵の表情を浮かべ、小林は《》、《定業》。

 鳥海の次のクロックは《Mox Ruby》でマナ加速しての《クルーグの災い魔、トラクソス》。

 「MUD」が得た新たな力に、小林は《意志の力》を使わない。

 鳥海も、小林も。何が行われるかお互いに、わかっているのだ。わかっていて、プレイしているのだ。

 小林は《ダク・フェイデン》をプレイすると、《クルーグの災い魔、トラクソス》を自分の配下とする。

 そして、鳥海も。《高速警備車》をプレイすると、《ダク・フェイデン》へとアタックし、一撃の下に切り伏せる。

 第2メインフェイズにセット、《カラカス》。伝説のパーマネントである《クルーグの災い魔、トラクソス》を見事回収する。

 戦後、鳥海はこう語る。

「《ダク・フェイデン》は確かにキツイが、1枚ならいける。ただ2枚目が出ると、そこから勝つのは難しい。」

 小林が唱えるのはまさにその2枚目の《ダク・フェイデン》。今度は《高速警備車》が奪われる。

 《古えの墳墓》のため鳥海のライフは16。ここで《高速警備車》をプレイするが、今度こそ《意志の力》が許さない。

 2枚の《古えの墳墓》から4点のダメージを受けると、再度《クルーグの災い魔、トラクソス》を召喚。

 これを通した小林は《ダク・フェイデン》の能力で手札の質を高め、なんと《渦まく知識》と《意志の力》の2枚を捨てる。プレイするのは《Time Walk》。プレインズウォーカー込みでの追加ターン獲得だ。

 忠誠値を高めると、《鋳造所の検査官》の召喚によりアンタップした《クルーグの災い魔、トラクソス》を《削剥》で除去。

 小林は《ダク・フェイデン》の効果で《鋳造所の検査官》のコントロールを奪うと、《破壊放題》で《クルーグの災い魔、トラクソス》2号機も破壊。

 この奪った《鋳造所の検査官》が《高速警備車》へと搭乗して、小林は《古えの墳墓》でライフを減らした鳥海を一気に攻める。

 鳥海は《磁石のゴーレム》を召喚するが、それが最後の抵抗となった。

 小林は《力ずく》でクリーチャーを破壊すると、《高速警備車》が鳥海のライフを削りきった。

小林 2-1 鳥海

小林 Wins!
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