EVENT COVERAGE

チャンピオンズカップファイナル サイクル1

戦略記事

チャンピオンズカップファイナル サイクル1 2日目 メタゲームブレイクダウン

富澤 洋平

 196名が参加したチャンピオンズカップファイナル サイクル1。ある者はエリア予選やプレミアム予選を突破し、ある者は過去に開催された大規模大会で一定の成績を残したことで参加権利を有していた。つまり、本大会への参加者は強者ばかりとなっていた。

 しかし、プロツアーの地を渇望する者たちにとっての最後の関門は想像を絶するほど高くそびえ立ち、無情にも選別を行った。初日を突破するには7回戦終了時点で3敗以上の成績が必要だったのである。2日目に進むことを許されたのはわずか64名と、7割近くのプレイヤーが涙を吞むこととなった。

 本稿では、初日のメタゲームブレイクダウンと比較しながら、2日目へと進んだデッキの内訳を見ていこう。

チャンピオンズカップファイナル サイクル1 2日目 メタゲームブレイクダウン

デッキタイプ 1日目 2日目 突破率 2日目占有率
ラクドス・ミッドレンジ 41 17 41% 26.6%
緑単信心 28 9 32% 14.1%
アゾリウス・コントロール 15 9 60% 14.1%
イゼット・フェニックス 13 2 15% 3.1%
イゼット独創力 8 2 25% 3.1%
セレズニア天使 8 4 20% 6.3%
ケルーガ・ファイアーズ 7 3 43% 4.7%
エニグマ・ファイアーズ 6 2 33% 3.1%
グルール機体 6 2 33% 3.1%
アブザン脂牙 6 2 33% 3.1%
ロータス・コンボ 5 1 20% 1.6%
青単スピリット 5 0 0% 0%
バント・スピリット 4 1 25% 1.6%
白単人間 6 5 83% 7.8%
セレズニア・オーラ 4 1 25% 1.6%
エスパー・コントロール 3 1 33% 1.6%
アゾリウス兵士 1 1 100% 1.6%
ラクドス・サクリファイス 1 1 100% 1.6%
ボロス・ヒロイック 1 1 100% 1.6%
合計 196 64 32.6% 100%

※「白単アグロ」を「白単人間」に統合したため、初日の使用者数が増加しています。ご了承ください。

 

 

分かれた明暗

 初日全勝者を「ラクドス・ミッドレンジ」と「緑単信心」が綺麗に分け合った形だが、使用者数ではなく初日突破率へ目を向けると勝ち組の実態が見えてくる。

 最大勢力だった「ラクドス・ミッドレンジ」は突破率を40%としたが、不動のトップ2であったはずの「緑単信心」は30%台に留まっている。「緑単信心」は自分の動きに全振りしたデッキであるがゆえに干渉手段に乏しく、想像以上にマークがきつかったことも相まって事前に想定していたほど勝ち数を伸ばせていない。2日目も苦しい戦いが続くことが予想される。

 また、初日4番手に位置していた「イゼット・フェニックス」はやはり厳しい現実が突きつけられた。先週末に開催された国外の地域予選では多くの権利獲得者を輩出したデッキではあったが、国内ではまったくガードが下がっていたなかったようで、突破者は2名のみ、突破率はわずか15%にとどまった。これは2日目進出者がいるアーキタイプの中でもっとも低い数値である。

 どのデッキのサイドボードを見渡しても《未認可霊柩車》が採用されており、「ラクドス・ミッドレンジ」や「アゾリウス・コントロール」は《真っ白》や《安らかなる眠り》などの固有の対策カードを持ち合わせている。各予選の結果からも国内では墓地に対する意識が強く感じられていたが、チャンピオンズカップファイナル サイクル1でもそれは変わらなかったようだ。

 「イゼット・フェニックス」の苦難の旅は続くことになる。

躍進を遂げた2つのアーキタイプ

 その一方で、周囲から意識されるであろう上位デッキにあって、多くのプレイヤーを2日目へと進出させたのが「アゾリウス・コントロール」だ。突破率は脅威の60%であり、構築の難しい青系コントロールでありながら、非常に安定したアーキタイプになった。占有率も14.1%と「緑単信心」と肩を並べるに至っている。パイオニアのゲームの焦点が盤面中心であることと、盤面以外への絶対的な切り札となる打ち消し呪文の存在が、多様な環境にあってこのアーキタイプを後押ししていた。

 2マナ以下の干渉手段の豊富さには目をみはるものがあり、対戦相手からすれば何を構えているのか読み切ることは難しい。序盤に隙を作らない適切なデッキ構築と長期戦戦えるだけのデッキパワーを兼ね備えており、2日目も安定した活躍が見込めるだろう。

 見落としてはならないのはアグロデッキに分類される「白単人間」の戦績である。使用したプレイヤーの多くは2日目へと進出を果たし、使用者数でも「アゾリウス・コントロール」に次ぐ4番手に急成長した。盤面への干渉手段が多いパイオニアにあって、「白単人間」を後押しした要素はサイドボードにある。

回転

 スタンダードでも「エスパー」や「白単ミッドレンジ」の中盤を支える《婚礼の発表》は、パイオニアでは単体除去過多なデッキに対するサイドボードとして採用されていた。カードアドバンテージを稼ぐのを苦手とする白のカードにあって、1枚のカードで複数のクリーチャー・トークンや手札をもたらすこのカードは破格の性能であり、「ラクドス・ミッドレンジ」などに有効な対策カードだったのだ。オーバーパワーなエンチャントを手に、どこまで勝ち星を伸ばせるだろうか。


 大きく数を伸ばした「白単人間」は上位を狙える立ち位置にいるが、そのすぐ後ろにはアグロを狙うアーキタイプが揃っている。ライフ回復を得意とする「セレズニア天使」や1対多数交換を狙う各種「ファイアーズ」が該当し、アグロデッキが目の前に座るのを手ぐすねを引いて待っている状態だ。

 初日を好成績で終えた「アゾリウス・コントロール」と「白単人間」の躍進はどこまで続くのか。それとも「ラクドス・ミッドレンジ」と「緑単信心」が盛り返すのか。はたまた少数精鋭のデッキか。

 配信や観戦記事を通して2日目の各対戦に注目いただきたい。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

サイト内検索