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2020ミシックインビテーショナル

戦略記事

2020ミシックインビテーショナル メタゲームブレイクダウン

Frank Karsten

2020年9月9日


 

 いよいよこの日がやって来た――9月10日午前9時(日本時間翌11日午前1時)に開幕する「2020ミシックインビテーショナル」では、マジックeスポーツの舞台に初めてMTGアリーナのフォーマットである「ヒストリック」が登場する(編訳注:詳しくはこちらの記事にて)。マジック・プロリーグ選手およびライバルズ・リーグ選手をはじめとする参加者たちは、賞金総額250,000ドルと「2020年シーズン・グランドファイナル」への参加権利、そしてヒストリックの歴史を作る覇者の座を懸けて、14回戦にわたる予選ラウンドとトップ8による決勝ラウンドを戦うことになる。

メタゲーム分析

 2020ミシックインビテーショナルでは、合計160のデッキリストが登録された。それらは9月10日(日本時間翌11日)の第1回戦開始時に、公式イベントページにて公開される予定だ。今大会のメタゲームの様相は以下の通り。

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アーキタイプ名使用者数使用率
赤単ゴブリン3220.0%
スゥルタイ・ミッドレンジ2716.9%
ジャンド・サクリファイス2213.8%
ラクドス・ゴブリン2213.8%
バント・コントロール95.6%
黒単ギフト63.8%
ラクドス秘儀術師53.1%
アゾリウス・コントロール42.5%
ケシス・コンボ31.9%
グルール・アグロ31.9%
アゾリウス・オーラ31.9%
ジャンド城塞31.9%
赤単アグロ31.9%
ラクドス・サクリファイス21.3%
ティムール・フラッシュ21.3%
緑単プレインズウォーカーズ21.3%
ティムール・コントロール21.3%
ゴルガリ城塞10.6%
シミック・ランプ10.6%
アブザン・ギフト10.6%
バント・ターボフォグ10.6%
スゥルタイ・フラッシュ10.6%
緑単アグロ10.6%
黒単アグロ10.6%
ジャンド・アグロ10.6%
ティムール・ミッドレンジ10.6%
バント・スピリット10.6%

 今大会の目玉が「ゴブリン」であることに疑いはないだろう。《上流階級のゴブリン、マクサス》の力を使うプレイヤーは、赤単とラクドス(《思考囲い》をタッチしている以外は基本的に同じ構成)を合わせると全体の3分の1ほどを占める勢力を誇っている。《スカークの探鉱者》により、このデッキは早ければ《上流階級のゴブリン、マクサス》を3ターン目に唱えることができ、そこで《ゴブリンの酋長》と《群衆の親分、クレンコ》を引き当てればそのまま勝負が決まる可能性もある。

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 このデッキの核となる部分は確立されているものの、細かい部分には差異が見受けられる。《宝石の手の焼却者》や《ゴブリンの扇動者》、《ゴブリンの首謀者》を採用して対応力を上げる形があれば、その一方で《アイレンクラッグの妙技》を採用して爆発力を上げる形もあるのだ。

採用数の多いカード

 メインデッキとサイドボードを合計して、採用数の多いカード上位25枚は以下の通りだ。

カード名合計枚数メインデッキ枚数サイドボード枚数
9389380
思考囲い327193134
2432430
草むした墓2232230
ゴブリンの酋長2162160
人目を引く詮索者2162160
ずる賢いゴブリン2162160
上流階級のゴブリン、マクサス2162160
スカークの探鉱者2132130
群衆の親分、クレンコ2132130
血の墓所2122120
2102100
ゴブリンの戦長2102100
竜髑髏の山頂1941940
削剥19110181
繁殖池1861860
ゴブリンの女看守1781780
自然の怒りのタイタン、ウーロ1771752
成長のらせん1721720
寓話の小道1681680
ファイレクシアの塔1591590
虚空の力線1530153
エンバレス城1431430
ゴブリンの首謀者14131110
悲哀の徘徊者1341340

 土地以外のカードで最も多く採用されているのは《思考囲い》であり、サイドボードに最も多く採用されているのは《削剥》となっているが、表を眺めていると「このフォーマットで最大のシナジーを生み出すゴブリンまとめ」のように見えてくる。938枚もの《》も、それを物語っているだろう。

 多色カードでは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《成長のらせん》が多く採用されていることも特筆すべきだろう。また、伝説の土地の中でもひと際強力な《ファイレクシアの塔》も、かなりの枚数が採用されている。一方で白単色のカードは上位25枚に姿がなく、最も多く採用されている《神の怒り》(56枚)の名前を見るには倍以上の長さの表が必要になるだろう。

デッキ紹介

 全デッキリストは9月10日(日本時間翌11日)の第1回戦開始時に、公式イベントページにて公開される予定だ。(編訳注:日本語版もほぼ同時にカバレージページに掲載予定です。)

 上位6つのアーキタイプについては、マニ・ダヴォーディ/Mani Davoudiによる素晴らしい記事(リンク先は英語)でサンプル・リストを含めた詳しい解説が行われている。今大会の解説者による詳しい解説は、実際のメタゲームにも合致しているのでおすすめだ――実際は「ジャンド城塞」(《ボーラスの城塞》と《血の芸術家》によるシナジーを中心にしたデッキ)の多くが「ジャンド・サクリファイス」(《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》を駆使するデッキ)に変わっているとしても。

(編訳注:日本語記事は「岩SHOWのデイリー・デッキ(ウーロ&らせんデッキ編ゴブリン編コントロール編中隊コンボ編)」をご参照ください。)

 以下に参考として、私からも各アーキタイプを簡単に紹介しておこう。

赤単ゴブリン(使用者32名):今大会で最も多くの使用者を集めたのは、メインデッキをすべて赤のカードで埋めてサイドボードに青の打ち消し呪文を添えた「赤単ゴブリン」だ。《上流階級のゴブリン、マクサス》の力をとくと見よ!


 

スゥルタイ・ミッドレンジ(使用者27名):《世界を揺るがす者、ニッサ》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は、スタンダード最強の一角としてその力を振るっている。これらを用いる戦略はヒストリックでも極めて強力であり、ここへ《思考囲い》や《成長のらせん》が加わるなら、なおさらだ。


 

ジャンド・サクリファイス(使用者22名):《波乱の悪魔》と《大釜の使い魔》、そして《魔女のかまど》が生み出すシナジーは、ここ数年でスタンダードをプレイしている人にはお馴染みのものだろう。《パンくずの道標》や《集合した中隊》が加わることで、このデッキはゲーム中盤も力を維持できる。ちなみに《ボーラスの城塞》が採用されている形もあるが、2枚を超えることはない。


 

ラクドス・ゴブリン(使用者22名):「赤単ゴブリン」をベースに、メイン・デッキやサイドボードに《思考囲い》を採用した形。《血の墓所》や《竜髑髏の山頂》、そして《ずる賢いゴブリン》の採用により速度を落とすことなく黒マナを生み出せるため、タッチは比較的容易になっている。


 

バント・コントロール(使用者9名):《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《神の怒り》、そして打ち消し呪文で構成された伝統的なコントロール戦略。そこへ緑をタッチして、《成長のらせん》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用している。


 

黒単ギフト(使用者6名):このデッキは《縫い師への供給者》と《ファイレクシアの塔》を駆使して、早ければ3ターン目に《来世への門》を起動できる。《王神の贈り物》を設置すれば、あとは《墓掘りの檻》ですら止められない墓地利用手段でゲームを圧倒できるだろう。


 

ラクドス秘儀術師(使用者5名):ヒストリックで《思考囲い》を最もうまく使えるのが、《若き紅蓮術士》や《戦慄衆の秘儀術師》とのシナジーが期待できる「ラクドス秘儀術師」だ。このデッキは《死の飢えのタイタン、クロクサ》を用いる手札破壊の戦略も備えており、《縫い師への供給者》による切削と、《立身 // 出世》や《夢の巣のルールス》による再利用とのシナジーを生み出す。


 

アゾリウス・コントロール(使用者4名):《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《神の怒り》、そして《検閲》などで構成された伝統的なコントロール戦略。主な勝ち手段として《サメ台風》も採用されている。


 

ケシス・コンボ(使用者3名):《精励する発掘者》で墓地を肥やし、《隠された手、ケシス》の能力を起動して複数の《モックス・アンバー》を再び唱え、それを繰り返してライブラリーの大半を墓地へ落とし、伝説のカードを再び唱えて勝ち手段に繋げる複雑なコンボ・デッキ。


 

グルール・アグロ(使用者3名):グルール使いたちは《グルールの呪文砕き》や《恋煩いの野獣》といった強大なクリーチャーでの攻撃を続けている。この戦略には《集合した中隊》によるサポートが加わり、どこからともなく強打を繰り出せるようになっている。


 

アゾリウス・オーラ(使用者3名):《コーの精霊の踊り手》に《執着的探訪》と《きらきらするすべて》をつければ、カードをもたらし続ける7/9のクリーチャーが完成する。このデッキにはそれを守る呪文も豊富にあるため、退場させるのは困難だ。


 

ジャンド城塞(使用者3名):このデッキは《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》を用いた生け贄戦略ではなく、《ボーラスの城塞》を戦場に出したそのターン中に勝負を決めることを目指している。《悲哀の徘徊者》による占術で唱えられる呪文を増やし、コストとなるライフは《血の芸術家》で維持することができる。


 

赤単アグロ(使用者3名):《ギトゥの溶岩走り》や《魔術師の稲妻》を用いる「ウィザード型」にせよ、《義賊》や《熱烈の神ハゾレト》を用いる形にせよ、速攻クリーチャーと火力呪文はいつも有力なデッキを生み出す。《ラムナプの遺跡》も使えるとなれば、なおさらだ。


 

ラクドス・サクリファイス(使用者2名):《波乱の悪魔》と《大釜の使い魔》、《魔女のかまど》によるシナジーを、2色の安定したマナ基盤で支えるデッキ。


 

ティムール・フラッシュ(使用者2名):《夜群れの伏兵》を《削剥》や《中和》といったインスタントでサポートするデッキ。《溶岩震》で「ゴブリン」にも睨みを効かせられる。


 

緑単プレインズウォーカーズ(使用者2名):大量のマナ加速手段から3ターン目には《大いなる創造者、カーン》や《世界を揺るがす者、ニッサ》、《アーク弓のレインジャー、ビビアン》を繰り出し、戦場を掌握する。サイドボードには1枚挿しのカードが並び、実に面白い。


 

ティムール・コントロール(使用者2名):《検閲》や《焼けつく双陽》でゲームをコントロールし、《パルン、ニヴ=ミゼット》で勝利することを目指すデッキ。


 

ゴルガリ城塞(使用者1名):「ジャンド城塞」と同様の戦略だが、こちらは《波乱の悪魔》の代わりに《花の壁》を採用し、2色の安定したマナ基盤を優先している。


 

シミック・ランプ(使用者1名):《成長のらせん》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、《世界を揺るがす者、ニッサ》を駆使して大量のマナを用意し、「ウ」のつく強力な無色のカードを叩きつけるデッキ。


 

アブザン・ギフト(使用者1名):「黒単ギフト」と同様のデッキだが、《墓所破り》や《ラゾテプの肉裂き》で脇を固めるのではなく《ラノワールのエルフ》や《集合した中隊》、それから白の使い勝手の良いクリーチャーを採用して対応力を上げている。


 

バント・ターボフォグ(使用者1名):「バント・コントロール」に似ているが、こちらは《花粉のもや》や《根の罠》でさらにゲームを長引かせることができる。《群衆の親分、クレンコ》が何体トークンを生成しようと、戦闘ダメージを受けることはないのだ。


 

スゥルタイ・フラッシュ(使用者1名):《エリマキ神秘家》や《夜群れの伏兵》に《思考囲い》が加わった形。


 

緑単アグロ(1名):《生皮収集家》から《樹皮革のトロール》、《鉄葉のチャンピオン》という初動もあり得る、実直そのものに突き進むデッキ。


 

黒単アグロ(使用者1名):《どぶ骨》から《才気ある霊基体》、《騒乱の落とし子》、そして《ファイレクシアの抹消者》と繰り出し、それらで一気に攻め込むデッキ。


 

ジャンド・アグロ(使用者1名):「グルール・アグロ」をベースに、黒をタッチして《朽ちゆくレギサウルス》を採用した形。もちろん、喜んで《エンバレスの宝剣》を振るってくれるだろう。


 

ティムール・ミッドレンジ(使用者1名):青赤緑の3色が誇る優れた中型クリーチャーを中心にしたこのデッキは、《ラノワールのエルフ》から《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、そして3ターン目《栄光をもたらすもの》という動きをも可能とする。


 

バント・スピリット(使用者1名):スピリットを繰り出していき、空から攻撃を仕掛け、《集合した中隊》で《天穹の鷲》や《至高の幻影》を加えて戦線を強化する戦略。


 

まとめ

 「ゴブリン」がメタゲームの3分の1ほどを占めたが、《上流階級のゴブリン、マクサス》に備えたアーキタイプも実にさまざまなものが出揃った。4日間にわたる2020ミシックインビテーショナルの模様は、twitch.tv/magicにて毎日午前9時(日本時間翌日午前1時)より生放送でお届けする。

 マジックeスポーツに初めて採用されるMTGアリーナ用フォーマット「ヒストリック」の戦いと、新たな王者の誕生をお見逃しなく!


2020ミシックインビテーショナル 日本語版放送ページ・放送日程
日程 放送日・放送時間 放送ページ
1日目 9月10日(木) 25:00~ Twitch」「YouTube
2日目 9月11日(金) 25:00~
3日目 9月12日(土) 25:00~
4日目 9月13日(日) 25:00~

日本語版放送出演者

  • 司会(1~4日目):石川朋彦(@katuobusi717
  • 司会(1・3日目):岩SHOW(@suicidman
  • 司会(2・4日目):ブルナー実久(@mksnake007
  • 解説(1・2日目):市川ユウキ(@serra2020
  • 解説(1・2日目):津村健志(@KenjiTsumura
  • and more...

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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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