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2020年シーズン・グランドファイナル
2020年シーズン・グランドファイナル 初日の注目の出来事
2020年10月9日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
2020年「移行シーズン」は今週末で終わる。マジックがゼンディカーに帰還したことで、過去のスタンダードで定番であった《水蓮のコブラ》やそれによって引き起こされる大騒ぎが再び知れ渡った。しかし《水蓮のコブラ》を始めとした『ゼンディカーの夜明け』の傑物たちは、この最後のトーナメントの主役ではない。すべてのスポットライトはいま、2020年シーズン・グランドファイナルで戦いを繰り広げる32名の素晴らしいプレイヤーたちに向けられているのだ。
《創造の座、オムナス》によって支配され形成されているスタンダードの舞台で各プレイヤーは戦い抜き、1人の選手が先頭に立った。2019ミシックチャンピオンシップⅠ(クリーブランド)で優勝したオータム・バーチェット/Autumn Burchettは、初日の舞台を《エンバレスの宝剣》で駆け抜け6勝0敗という完璧な成績で終えて再び頂点に立ち、トップ8入賞まであとたった2勝という位置につけた。
2020年シーズン・グランドファイナルの初日に起こった刺激的な出来事を見ていこう。
コブラかクローバーか?
この問いは、グランドファイナルにおけるスタンダードのメタゲームを簡潔に表している。プレイヤーはこの週末での最大の脅威は《創造の座、オムナス》であると結論付け、またこの週末のメタゲームにおける最大の問題は、かの伝説のエレメンタルを唱える方法として何を選択するかにあった。
このトーナメントの総意としては、(《創造の座、オムナス》に、《幸運のクローバー》と《砕骨の巨人》や《願いのフェイ》といった出来事クリーチャーを組み合わせた)「オムナス・アドベンチャー」が最高のデッキであり、それに対して《水蓮のコブラ》を備えた「オムナス・ランプ」が直接対決で優位に立つ、というものだった。
結果は予想通りだった。7名のプレイヤーがスタンダードとヒストリックの両方にオムナスを持ち込み、そのうち4名が4勝2敗以上の成績を残したことからも、オムナスはその期待に応えたと言える。《水蓮のコブラ》の上陸能力からオムナスへと展開する動きは考えうる最高のスタートの1つだと証明済みなため、迫り来るオムナスの猛攻撃を遅らせたければこの2/1が対処必須のクリーチャーになるわけだ。
3 《島》 2 《森》 2 《山》 1 《平地》 4 《内陸の湾港》 4 《寺院の庭》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《ケトリアのトライオーム》 4 《ラウグリンのトライオーム》 1 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(30)- 4 《水蓮のコブラ》 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 4 《創造の座、オムナス》 1 《ムル・ダヤの巫女》 1 《不屈の巡礼者、ゴロス》 1 《帰還した王、ケンリス》 -クリーチャー(15)- |
4 《探検》 2 《フェリダーの撤退》 4 《僻境への脱出》 4 《発生の根本原理》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(15)- |
2 《漁る軟泥》 3 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 2 《墓掘りの檻》 1 《レッドキャップの乱闘》 1 《ドビンの拒否権》 3 《轟音のクラリオン》 3 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
5 《島》 3 《森》 2 《山》 1 《平地》 4 《枝重なる小道》 4 《岩山被りの小道》 2 《ケトリアのトライオーム》 2 《ラウグリンのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(27)- 3 《エッジウォールの亭主》 1 《巨人落とし》 4 《願いのフェイ》 2 《水蓮のコブラ》 4 《砕骨の巨人》 2 《厚かましい借り手》 4 《創造の座、オムナス》 4 《豆の木の巨人》 -クリーチャー(24)- |
4 《幸運のクローバー》 2 《フェリダーの撤退》 3 《僻境への脱出》 -呪文(9)- |
2 《エンバレスの盾割り》 1 《レッドキャップの乱闘》 1 《魂標ランタン》 3 《否認》 1 《切り裂かれた帆》 1 《カズールの憤怒》 1 《神秘の論争》 1 《過去と未来》 1 《嵐の怒り》 1 《僻境への脱出》 1 《原初の力》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
しかし成功への道はオムナスだけではない。セス・マンフィールド/Seth Manfieldはこの初日、文字通りの「ローグ」デッキを選択して2位につけた。
4 《島》 3 《沼》 4 《清水の小道》 4 《欺瞞の神殿》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《ロークスワイン城》 -土地(21)- 4 《盗賊ギルドの処罰者》 4 《空飛ぶ思考盗み》 4 《ヴァントレスのガーゴイル》 -クリーチャー(12)- |
2 《血の長の渇き》 1 《塵へのしがみつき》 4 《湖での水難》 4 《大慌ての棚卸し》 4 《無情な行動》 2 《高尚な否定》 2 《神秘の論争》 2 《シルンディの幻視》 2 《アガディームの覚醒》 4 《物語への没入》 -呪文(27)- |
1 《夢の巣のルールス》 1 《スカイクレイブの影》 1 《血の長の渇き》 1 《塵へのしがみつき》 3 《苦悶の悔恨》 2 《否認》 1 《取り除き》 1 《神秘の論争》 4 《凪魔道士の威圧》 -サイドボード(15)- |
このユニークなデッキは、アグロ・コントロール的なデッキの範囲には収まるものの、よりコントロール寄りになっている。《空飛ぶ思考盗み》と《盗賊ギルドの処罰者》はマンフィールドのためによく働いてくれた。彼は《湖での水難》を打ち消し呪文として用いることで《創造の座、オムナス》の解決を防ぐために、そして《物語への没入》を効率的で強力なドロー呪文として使用できる条件を達成するためにも、対戦相手のカードを切削していく必要があるのだ。
このトーナメントのために主にイヴァン・フロック/Ivan Flochと調整を重ねていたマンフィールドは、「環境に《創造の座、オムナス》が多い気はしていたけれど、テストプレイではディミーア・デッキのほうがわずかに有利であるように思えた」と説明してくれた。「軽量クリーチャー、打ち消し呪文、そしてドロー呪文という組み合わせは、クリーチャーによる切削を行うことによってゲームの後半にうまくかみ合い、大きな成果をあげてくれる。私が行った変革は、たいていの構築で見られる重いクリーチャーを外して《夢の巣のルールス》を追加したことだ」
先行するバーチェット
スタンダードについて語るなら、「宝剣を信じ」て初日を全勝で走り抜け、その調整と磨き上げた技術が報われたバーチェットの話もしなければならないだろう。
「どちらのオムナス・デッキにもあまり満足していなかったし、いずれも選択するには気になるところがありました。私たちのテストプレイではアドベンチャーはランプに対してかなり不利と感じ、一方『オムナス・ランプ』はオムナス以外のデッキにかなり狙われそうだったので」とバーチェットは話してくれた。「デッキの提出期限が迫る中で、エマ(エマ・ハンディ/Emma Handy)と私は先週末のイベントでグルールがオムナス・デッキに対してとても良い成績を収めていることを発見しました。そこで、デッキリスト提出の12時間前にそれを用いていくらかゲームをプレイしてみることにしました。結果ランプを打ち負かし、アドベンチャーに対してもわずかに有利と思えたので、エマがデッキ調整の内容を考えて私が彼女のアイデアに意見を返す、というゲームを通したジャム・セッションにその夜のほとんどを費やしました。広がったメタゲームではあまり良いデッキとは言えませんが、頂点にオムナスがいるならかなり良いデッキです」
6 《森》 4 《山》 4 《岩山被りの小道》 4 《寓話の小道》 2 《進化する未開地》 -土地(20)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《山火事の精霊》 2 《漁る軟泥》 4 《砕骨の巨人》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《恋煩いの野獣》 4 《水晶壊し》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(30)- |
4 《原初の力》 2 《髑髏砕きの一撃》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(10)- |
3 《鎖巣網のアラクニル》 2 《レインジャーの悪知恵》 3 《エンバレスの盾割り》 3 《轟く叱責》 2 《グレートヘンジ》 2 《怪物の代言者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
トップを飾ったバーチェットに、同じデッキを持ち込んでいる調整仲間のルイス・サルヴァット/Luis Salvattoとエマ・ハンディの結果も加えると、「グルール・アドベンチャー」は全体で8勝1敗、オムナス・デッキに対しては5勝1敗という結果を獲得している。この舞台における最高のデッキという地位は確立されたようだ。
ヒストリックの様相
私たちは1か月前に2020ミシックインビテーショナルでヒストリックを観覧したが、まだこのフォーマットは定まってはいなかった。ゴブリンは最も代表的なデッキだったが、最終的には《波乱の悪魔》、《大釜の使い魔》、そして《魔女のかまど》の集団を擁する「ジャンド・サクリファイス」に及ばなかったのだ。
『ゼンディカーの夜明け』によって状況は変化した。「オムナス・ランプ」はこのグランドファイナルのヒストリックで最も人気のあるデッキとなり、「ジャンド・サクリファイス」が2番手につけ、そしてゴブリンを選んだプレイヤーはたった1人になったのだ。
ヒストリックのメタゲームにおいて注目すべき出来事の1つは、大きな影響力を持つテストプレイ・チームがこのイベントに持ち込んだ「4色ミッドレンジ」についてだ。
このデッキは2020ミシックインビテーショナルで勝利を収めたマンフィールドのスゥルタイ・デッキに似ているが、大きな変更点が1つある。《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》の追加だ。このエレメンタル・猪――または「ターボ・ピッグ」と呼ばれている――クリーチャーは、プレイヤーが土地でないパーマネントを生け贄に捧げることを封じるため、「ジャンド・サクリファイス」は機能不全に陥る。「4色ミッドレンジ」はサクリファイス・デッキに対抗できるように調整されているものの、《創造の座、オムナス》とも競える、と殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasは語った。
「最初はサイドボードに入れるつもりだった」と彼は言う。「しかしこれは単体でもそこそこのカードで、最も人気であろうものの1つだと私たちが目していたデッキを封殺するチャンスをもっと増やしたかったんだ」
2 《森》 2 《島》 1 《平地》 1 《沼》 4 《繁殖池》 1 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《氷河の城砦》 2 《湿った墓》 1 《水没した地下墓地》 4 《インダサのトライオーム》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《思考囲い》 4 《成長のらせん》 3 《霊気の疾風》 2 《取り除き》 2 《本質の散乱》 1 《ネスロイの神話》 3 《絶滅の契機》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(23)- |
2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 1 《長老ガーガロス》 1 《墓掘りの檻》 1 《否認》 1 《魔女の復讐》 3 《虚空の力線》 3 《サメ台風》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》の追加はまさに微に入り細を穿つ変更だったかもしれないが、「ネオストーム」デッキの登場にはさらに驚かされた。思わず目を奪われるコンボをご紹介しよう。
- 《海門の嵐呼び》が次のインスタントかソーサリーとして《新生化》をコピーすることで連鎖が始まる。
- 《新生化》のコピーで《二重詠唱の魔道士》を持ってきて、スタック上にあるコピー元の《新生化》をコピーし続ける。
- その後は《玻璃池のミミック》を持ってくる。
- 最後に、《タクタクの瓦礫砦》で連鎖を締めくくり、速攻を持たせて致命的となる攻撃を繰り出せるようにする。
行弘 賢が使いそうなデッキだなと思ったとしても、何もおかしくはない。
4 《繁殖池》 2 《内陸の湾港》 4 《蒸気孔》 1 《河川滑りの小道》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《岩山被りの小道》 2 《ケトリアのトライオーム》 -土地(19)- 4 《海門の嵐呼び》 4 《花の壁》 4 《二重詠唱の魔道士》 4 《玻璃池のミミック》 2 《タクタクの瓦礫砦》 2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《戦闘の祝賀者》 -クリーチャー(21)- |
2 《否定の契約》 4 《選択》 4 《新生化》 2 《削剥》 2 《霊気の疾風》 2 《熟考》 4 《ヴァラクートの覚醒》 -呪文(20)- |
1 《厚かましい借り手》 3 《夜群れの伏兵》 2 《削剥》 1 《霊気の疾風》 1 《否認》 4 《神秘の論争》 3 《神々の憤怒》 -サイドボード(15)- |
トップ8へ
2日目土曜日はスタンダード3回戦から始まり、その後最後となるヒストリックの3回戦が行われる。これは、先に8勝に到達したプレイヤーが日曜日のトップ8の席を確保していくレースだ。対戦を重ねるごとに徐々に席が埋まっていく舞台では、どの勝利も重要となる。
バーチェットは6勝0敗という戦績のためトップ8入りの道程で大きく優位にあり、またマンフィールドとオースティン・バーサヴィッチはどちらも5勝1敗なのでトップ8を確定させるにはあと3勝すればいいだけだ。しかし2日目に向けて初日の結果を振り返ってみると、ほとんどのプレイヤーがトップ8に入る可能性を残しているため、このハイレベルな舞台では誰にもトップ8の保証はない。
twitch.tv/magicで午前9時(太平洋夏時間)に再び始まる生放送をお楽しみに!
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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