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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

わかる?『Unhinged』編 その1

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わかる?『Unhinged』編 その1

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年8月14日


 2004年、『Unhinged』の発売直前に、私は、ユーザーが気付いていないと思われる『Unglued』に隠された100のジョークについての記事を書いた(英語)。衆知の通り、私は大量のジョークを詰め込んていた。そして、年を経て、すべてのジョークに気づいた人もいるとはいえ、ほとんどの人はジョークのうちのいくらかは見落としているということがわかった。

 『Unhinged』の見つけにくいジョークの多くを3つめの銀枠セット発売前に公開するという約束をしていたので、『Unstable』の発売予定が立った今、次の「わかる?」記事を書くべき時期だと考えたのだ(少し早いのは、今年のスケジュールが詰まっていて、この記事を書く機会を確実に得たいと考えたからである)。また、『Unhinged』は13年前の作品なので、このジョーク公開がネタバレになったとしても問題ないだろう。

 ジョークそれぞれについていくらか掘り下げるため、公開するジョークは100個ではなく50個にする(とはいえ、同じようなものをまとめて1つと数えるので、実は100個以上のジョークの説明をすることになるのだが)。そして、そのために2週間使うことにしよう。

1.《"Ach! Hans, Run!"》の起源

 このカードは『アイスエイジ』の《ルアゴイフ》のフレイバーを参照している。

「ああ!ハンス、逃げて! ルアゴイフよ!」

――サッフィー・エリクスドッター 最後の言葉

 それから数年後、『ストロングホールド』の《黄泉からの帰還者》(本質的には飛行を持った黒の《ルアゴイフ》)でハンスのセリフが描かれている。

「えっ、またか」

――ハンス

 このカードをクイントン・フーバー/Quinton Hooverに任せたのは、彼が『Unglued』で同じようなコンセプトの《Incoming!》を任せていたからである。我々は彼に可能な限り多くのクリーチャーをカードに入れるように頼んだ。ハンスがバイキングの兜を被っているのは、ハンスが最初に登場した『アイスエイジ』が北欧風だったからである。

2.マジック史上最短のカード名と最長のカード名
_____

 『Unglued』登場前は、最短のカード名は3文字(《濃霧》(Fog)や《蜘蛛の巣》(Web)など)だった。『Unglued』は2文字のカード《Ow》でその記録を塗り替えた。『Unhinged』でもう一度記録を更新しようと考えたのだ。1文字のカード名を持つカードでもよかったのだが(ちなみに『Unstable』には存在する)、最短カード名コンテストに絶対的な勝利を収めることにしたのだ。《_____》は0文字のマジックのカード名である。

 最長のほうでは、『Unglued』セットには《The Ultimate Nightmare of Wizards of the Coast(R) Customer Service》という55文字の記録があった。これを超えることができるのはわかっていたので、カード名をカードの周り全体を使って書くことを思いついた。そのあとで、完璧にふさわしくなるようにカード名を調整したあのだ。最終的に117文字の《Our Market Research Shows That Players Like Really Long Card Names So We Made this Card to Have the Absolute Longest Card Name Ever Elemental》になり、前回の記録を2倍以上に塗り替えたのだ。これをエレメンタルにしたのは、物体ですらないものをもとにエレメンタルを作る頻度をネタにしたものである。アートの中では、このクリーチャーは本をもとにして作られている。

 この記録はどちらもそう簡単に超えられるものではない(短い方はおそらく不可能だ)。『Unstable』では挑んでもいない。

3.仮装

 『Unhinged』でやりたかったことの1つが、既存のマジックの登場人物をネタにすることだった。見ての通り、アートに大量に登場している。《_____》では、このカードの持つ、あらゆるカードのカード名を持つことができるというメカニズムに合わせて、他のマジックの登場人物の仮装をしている人物を描きたいと考えたのだ。この絵は、ターンガース、フェイジ、ジェラード、カマール、アクローマ、スクイーの仮装をしている(ターンガース、ジェラード、スクイーはウェザーライト・サーガの、フェイジとアクローマは『オデッセイ』『オンスロート』の登場人物である)。

4.『アイスエイジ』の思い出

 1995年の夏は、《ネクロポーテンス》によってトーナメント環境が支配された、マジック史上に名を残す「黒い夏」だった。『Unhinged』は黒い夏をもとに2枚のカードを作った。《Aesthetic Consultation》は『アイスエイジ』の《Demonic Consultation》をメカニズム的元ネタにしている。違いは、カード名を指定するのではなく、アーティスト名を指定するということだ。《Necro-Impotence》は《ネクロポーテンス》のパロディで、ライフを1点でなく½点払うことでカードを引くことができる。これはありえないほど強いので、アンタップするためにもライフが必要になる能力を加えた。これはカード名の「Impotence」部分でもある。

5.アーティストのニックネーム

 このセットには「アーティスト関連」テーマがあるので、アーティストの名前を弄るのも面白いだろうと考えた。我々はアーティストたちにそれぞれ自分のファーストネームとラストネームの間に引用符付きで入れるニックネームを提案してもらった。これは強制ではなかったが、多くのアーティストが協力してくれたのだ。

  • David "Help Me" Martin(《Aesthetic Consultation》「助けて」―アートの中でアーティストが潰されていたから)
  • Heather "Erica Gassalasca-Jape" Hudson(《Artful Looter》Erica Gassalasca-Japeはヘザー/Heatherのペンネーム)
  • Ron "Don't You Dare Change Me" Spears(《Brushstroke Paintermage》「この俺を変えるなよ」―ロン/Ronはマジックの元アート・ディレクターで、彼が手掛けたカードのアーティストを変更すべきでないということをジョークにしている)
  • David "Beeblemania" Martin(《Bursting Beebles》「ビーブルマニア」―ジェフ・ミラコーラ/Jeff Miracolaがアートを描いていない唯一のビーブル・カード)
  • Jim "Stop the Da Vinci Beatdown" Pavelec(《Circle of Protection: Art》「ダヴィンチ・ビートダウンを止めろ」―攻撃しているアートの1つがダヴィンチの絵)
  • Pete "Fear Me" Venters(《Drawn Together》「我を恐れよ」―ピート・ヴェンターズ/Pete Ventersが描いたすべてのカードが入っている)
  • Pete "Yes the Urza's Legacy One" Venters(《Erase (Not the Urza's Legacy One)》「そう『ウルザズ・レガシー』のやつ」―ピートは『ウルザズ・レガシー』の《消去》は描いておらずロン・スピアーズ/Ron Spearsの手によるものだが、彼は『ウルザズ・レガシー』でアートを描いている)
  • Edward P. "Feed Me" Beard Jr.(《Fascist Art Director》「食わせろ」―アート・ディレクターが食事を求めていることを示唆している)
  • Alan "Don't Feel Like You Have to Pick Me" Pollack(《Framed!》「私を選ぶ必要があるとは思わないね」―このカードはプレイヤーにアーティストを選ばせるものである)
  • Wayne "King of" England(《Graphic Violence》「~の王」)
  • Greg "Six-Pack" Staples(《Greater Morphling》「シックスパック」)
  • Paolo "That's Actually Me" Parente(《Mana Flair》「これは間違いなく私だ」―パウロ/Paoloはこのアートで自分自身を描いている)
  • Rebecca "Don't Mess with Me" Guay(《Persecute Artist》「私の邪魔をしないで」―このカードのジョーク全体に係るものだ。詳しくは来週)
  • Lars Grant-"Wild Wild"-West(《Remodel》ラストネームまで絡めて「野蛮な西部」)
  • Matt "I'm Your Boy" Cavotta(《Zombie Fanboy》「僕は君のもの」―このカードはマット/Mattの大好きなマジックのアーティスト、ドリュー・タッカー/Drew Tuckerに捧げたものである。壁に描かれたアートはドリュー・タッカーの描いたマジックのアートで、《暖気》《腐敗》《アルマッタン・イフリート》である。おそらくマットのお気に入りなのだろう)
6.カード内のカード

 もう1つ大量に使ったジョークが、マジックのカード(『Unhinged』のカードであることも多い)が『Unhinged』のカードのアートに登場していることである。

7.見方によって異なる見え方

 《Ambiguity》の文章は、マジックにおいて「play」(訳注:日本語では領域は当時「場」、行動は「プレイ」)や「counter」(訳注:日本語では名詞は「カウンター」、動詞は「打ち消す」)が複数の意味を持っていることをネタにしている(後に「唱える/cast」を再び使うようにしてこの問題をいくらか緩和した(訳注:「cast」よりも「戦場/Battlefield」の導入のほうが効果が大きかったと思われます))。ほとんどの人が気づいていないジョークは、アーティストのステファン・ダニエル/Stephen Danieleに、上下逆に見ると違う絵に見えるようなアートを描いてもらったことである。

8.一体何がルーターなのか?

 マジックにおいて、「ルーター能力」というのはカードを1枚引いてカード1枚を捨てることを指すスラングである。「ルーター」はルーター能力を持つクリーチャーのことだ。このスラングの元になったのが、この能力を持つ初めてのクリーチャー、『テンペスト』の《マーフォークの物あさり》である。問題は、このカードが《マーフォークの物あさり》なのは、このクリーチャーは水の中に囚われたクリーチャーからものを盗むことから名付けられたということである。文字通り「物あさり」なのだ。「ルーター能力」という呼び名が確立してからは、我々はこれをマジック語で言う「ルーター能力」を持つカードに使うようになり、その中にはまったく「物あさり」でないものもある。《Artful Looter》は、これをネタにして、アートに描かれたクリーチャー(物あさりは大抵ウィザードなのでウィザード)が実際に何かを盗んでいるようにしている。これは「アーティスト関連」カードなので、ウィザードが盗んでいるのは絵だ。この絵は『基本セット第7版』の《マーフォークの物あさり》である。

9.彼はどこへ?

 このカードは自分が参加していないゲームの銀枠パーマネントを破壊することができる。それを示すため、アートには予期せぬ所からの矢でクリーチャーが破壊されている戦場が描かれている。その破壊呪文がどこから来たのか、周辺の人が周りを見回している。その呪文で破壊されているクリーチャーはロバの天使である。フレイバーテキストでも、破壊されている銀枠クリーチャーがロバであることが強調されている。ロバは『Unhinged』で初登場したクリーチャー・タイプだ。なぜ破壊されたロバであることが重要なのかというと、カード名に「Ass」という掛詞を使っているし、このセット全体でロバを参照しているからである。

10.古き良き13歳以下親同伴の世界

 『Unhinged』でロバが導入されたので、私は、ロバのロードを作りたいと考えた。メカニズム的に、ロバと分数を結びつけていたので(ロバはパワーかタフネスがかならず分数である)、ロードが+1½/+1½の修整を与えるのがいいと考えたのだ。カード名については、ビッグフットの異名であるサスカッチをもじって《Assquatch》がいいとなった。アートは、有名なビッグフットの写真のパロディにすることにした。アーティストのジェレミー・ジャーヴィス/Jeremy Jarvis(まだウィザーズの社員になる前)は、件の写真にパパラッチっぽさがあったので、《Assquatch》は「カメラマン」に中指を立てたものにすることにした。ジェレミーがカメラに向けて中指を立てているということがわかるようにした。ブランド・チームは最初、PG-13の定義を確認するまではこの絵をボツにしようと考えていた(当時、我々はマジックのセットの雰囲気を定義するためにそれを使っていたのだ)が、PG-13で中指を立てるのは許容されているということがわかったので、このまま残すことにしたのだ。興味深いことに、《Assquatch》がカメラに中指を立てていると気づいたプレイヤーは少なかった。

11.なぜ豚がトーガを?

 《Atinlay Igpay》は、ピッグ・ラテン(最初の音をその単語の一番後ろに回し、「ay」をつけるという英語の言葉遊び)をプレイヤーに強制するカードだ。このカードそのものもピッグ・ラテンで書かれている。英語に直すと、このカード名は「ラテンの豚」なので、豚がトーガを着ているというわけだ。

12.彼よさらば

 このカードのジョーク部分は、このカードに描かれているはずのクリーチャーが存在しないことである(このカードのメカニズムは、クリーチャーを本当にゲームから取り除くというものである)。多くのプレイヤーは、このアートが本当は何を描いているのかに気づいていない。クリーチャーが文字通り物理的にこのカードから引き剥がされているのだ。剥がれた跡を見ることができる。描かれているのは、カードの裏面(カードを通して見ているので左右反転している)なのだ。裏面と一致するように場所は調整してある。

 このクリーチャーがどんな外見なのかがわかるように、牛乳パックに描いた絵が下に載せてある。これが重要なのは、《AWOL》の怪物は他のカードに描かれているからである。彼は《Urza's Hot Tub》に登場しているのだ。ウルザが頭だけなのは、ストーリー上でジェラードが頭を切り落としたからである。銀枠世界では、頭を切り落とされてもウルザは死なず、今は頭だけで生きている。彼に同情などする必要はない。《Urza's Hot Tub》を見ての通り、彼は楽しんでいるのだ。

13.どんな犬にも最盛期がある、とは限らない

 このカードには、ビンゴゲームと同じようにカウンターを乗せて縦横斜めに揃えるという物理的要素がある。クリーチャーにする必要があったので、猟犬にすることにしたのだ。そうすることで、カード名を《B-I-N-G-O》にし、ビンゴという名前の犬の綴りを歌ったわらべ唄をネタにすることができたのだ。フレイバーテキストはこの歌の最初の行を参照しているが、クリーチャー・タイプを犬でなく猟犬にしたことを踏まえて少し変更している。

14.古くても良いもの

 マーク・ゴットリーブ/Mark Gottliebは『Unhinged』のために、過去のメカニズムを集めて全部載せたカードを2枚作っている。呪文メカニズムを集めたカード(《Blast from the Past》)と、クリーチャー・メカニズムを集めたカード(《Old Fogey》)だ。大量の古いメカニズムがあるので、この2枚のカードに、この2枚だけに、旧枠カード枠を使うことにした。《Blast from the Past》には『オデッセイ』ブロックで墓地から使えるカードを示すために使われた墓地シンボルが書かれており、《Old Fogey》のほうは「クリーチャー ― 恐竜」ではなく初期のマジックでクリーチャー・カードに使われていた「恐竜の召喚/Summon Dinosaur」という書き方が使われている。

15.タイムトラベラーを捕まえた?

 《Blast from the Past》と《Old Fogey》はマジックの過去の話なので、両カードの背景にこのセットの別のカードである《Time Machine》が描かれている。《Blast from the Past》ではゴブリンが操縦して空を飛んでいるところが描かれており、このゴブリンはキッカーを使ったらクリーチャーとして出てくる。その後、《Old Fogey》では、壊れた《Time Machine》が描かれている(ゴブリンは素晴らしい操縦手とはいえない)。

16.店にあるもの

 《Booster Tutor》は、一体何をしているのだろうか? アートを見ると、魔法的にゲームショップを訪れ、ブースターを掴んでいるようだ。その店には当時売り出されていた色々な商品のブースター・ボックス(『ミラディン』『オンスロート』『基本セット第8版』)が並んでいる。背景には、「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ」の本やファンタジー世界の怪物のぬいぐるみなどが並んでいる。また、マジック関係の品も棚に並んでいて、その中には《Sol Grail》や《ウルザのガラクタ》がある。これらはどちらもこのカードのアーティストであるクリストファー・ラッシュ/Christopher Rushが描いたものだ。

17. 『Unhinged』の第1のルール

 《Bosom Buddy》のアートは、「ファイトクラブ/Fight Club」のワンシーンのパロディである。これはもちろん、陰謀団のファイトクラブで、ブレイズとチェイナーの2人が参加しているのだ。フレイバーテキストは、アルコホーリクス・アノニマスの12のステップの1つのパロディである(2つ目のステップだったはず)。ただし、「大きな力/greater power」を「大きなパワーとタフネス/greater power and toughness」と置き換えている。

18.ビーブルを望む人々
Saute

 ビーブルが初めて登場したのは、「The Duelist」22号の表紙(ジェフ・ミラコーラ/Jeff Miracolaによる)で、スクイーを邪魔している小さな虫だった。その後、ジェフは彼が手掛けた別の絵でもビーブルを描き始めた。『エグゾダス』では《釣り合い》と《吐き気》で。『ウルザズ・サーガ』では、《魔術師の導師》で。そして、『ウルザズ・レガシー』と『ウルザズ・デスティニー』ではついにクリーチャー・タイプとなった(それぞれ《活発なビーブル》と《泡立つビーブル》)。

 その後、ビーブルはマジック的には少し馬鹿げすぎているという判断がされ(私ではない)、黒枠カードで登場することはなくなった。ビーブルのいちファンとして、私はビーブルを『Unhinged』の3枚のカードで復活させた(そして、『Unstable』でも)。《Bursting Beebles》のフレイバーテキストは、ビーブルが、多くのプレイヤーと同じく、『メルカディアン・マスクス』の発売時に去っていったことをネタにしている。

19.自分の向きを定めよう

 そして、『Unhinged』で最もわかりにくく、気づかれていないジョークを紹介しよう。このカードは上下逆なのだ。つまり、マジックの裏面を見て、その上下を正しくしてから、オモテウラをひっくり返すと、《Topsy Turvy》は上下逆になる。これが、空に浮かんだような絵になっている理由である。実際、このアートは上下逆で、普通のマジックのカードのように持つと落ちていることになる。私は何年もかけて、人々の多くはこのジョークに気づいていないということを知ったのだ。

20. 昔々『Unglued』にはサイクルがあった

 『Unglued』で私は、解決時と、同じ対戦相手との次のゲームの開始時に、何か効果を持つカードのサイクルを作った。このサイクルのカード全てに「二重/Double」という単語が入っていたので、このサイクルは「Double」サイクルと呼ばれていた。このカードに関連性を持たせるため、私はこの5枚を通じたリメリックを作った(リメリックとは、1行目と2行目と5行目、3行目と4行目がそれぞれ韻を踏んだ5行詩のことである)。『Unhinged』でも、またリメリックを作ることにした。今度は、カード名が2単語で、そのどちらかを言ったらゴチ/gotchaになるゴチ・カードのサイクルを通じたものにすることにした(ゴチは、定められたことを対戦相手がやったときにそれを「ゴチ!」と叫んで指摘すれば墓地からカードを戻すことができるというメカニズムである)。そのリメリックがこれである。

九印という名の男がいた。/There once was a man named Quinn . . .(《Creature Guy》)

男はいつでも勝っていた。/Who constantly managed to win.(《Save Life》)

それは彼が出会うまで。/Until he got singed . . . (《Deal Damage》)

『アンヒンジド』に出会うまで。/Playing Unhinged, . . . (《Spell Counter》)

彼は何度も「ゴチ」られた。/Getting "Gotcha'ed" again and again. (《Kill Destroy》)

 多くのプレイヤーが気づいていないことは、《Save Life》に描かれている人物が誰かである。ウェザーライト・サーガで、ジェラードは誘拐された《艦長シッセイ》を救うためにウェザーライト号に戻らなければならなかった。《Save Life》では、シッセイがプールの中で奇妙な格好で溺れているジェラードを救っているのだ。なお、浮き輪には、市営マナ・プールと書いてある。

21.ポーリーは彼女を砕きたい

 銀枠セットでは、青はメカニズム的に発音関係と関連することが最も多い色である(そしてこれは『Unstable』にも継続している)。我々は、毎ターン何か声に出さなければならないというアップキープ・コストを持つクリーチャーを作りたかったので、それを青にした。オウムにしたのは、オウムが常に同じ言葉を繰り返すものとして知られているからである。人喰いとつけたのは、2/2であることと、警戒すべきものであることを表すためである。気づいていないプレイヤーがいることは、このカードは一見して明らかなことよりももう少し有害だということである。読み上げるフレイバー・テキストには、上述のゴチ・サイクルの各カード名から1語ずつ含まれているのだ。

こいつに対処するために除去呪文は温存しよう。/Save a kill spell to deal with this guy.

(訳注:勘弁してください。)

22.これは儲けもの

 『Unhinged』で人気の高いカードの1枚が、気づかれない限りタダで戦場に出すことができるカード《Cheatyface》であった。(ところで、ルール的にプレイされている形でこのカードはプレイされているのかが気になる諸君のために説明しよう。この能力は、このカードを適正に手札に引いていなければ働かない)。このカードをこっそり戦場に出すことを推奨するため、コストをいくらか重くしているのだが、多くの人々は気づいていない。これは、《Cheatyface》がマナ・シンボルの1つを盗んでいるからである。このカードを手札から唱えるなら、コストは{U}{U}ではなく{U}{U}{U}なのだ。

23. 割れ目が見えてる

 『Unhinged』では、『Unglued』に比べてユーモアがいくらか厨二的なものになっていて(『Unstable』はユーモア的にはまた別の方向に進んでいる)、セット内のロバを指す「Ass」のジョークが大量に存在している。《City of Ass》は、《真鍮の都》のパロディである。タップしてライフ1点を支払って好きな色1色を出すのではなく、タップして、好きな色1色のマナ1½点を出すのだ。マナ・バーンによって½点のライフを失うことになることが多いので、《真鍮の都》より少しだけ強いことになる。今はマナ・バーンが存在しなくなったので、《City of Ass》はさらに強くなっている。プレイヤーが見落としているであろうジョークはアートに含まれている。《City of Ass》はロバの棲家(何体かが街に向かっているのが見える)だが、アーティストのジョン・エイヴォン/John Avonはカード名を元に、ドームのいくつかを尻のような外見にするというジョークをかましている。

24.呪い!

 多くのプレイヤーがこのカードで混乱していた。そもそも、《Curse of the Fire Penguin》とは、まず火ペンギンにするものなのだ。アートで描かれているのは、強力な戦士が、自分が火ペンギンに変身しつつあることに反応しているところである。このカードをクリーチャーにエンチャントしたら、これを上下反転させてエンチャントされたクリーチャーのカードの下半分、タイプ行より下の部分を隠すのだ。エンチャントされたクリーチャーは、エンチャントされている限り、新しいタイプ行、文章欄、アーティスト名、コレクター番号、パワー/タフネスを得ることになる。その結果、エンチャントされたクリーチャーはトランプルを持つ6/5のペンギンで、アーティストはマット・トンプソン/Matt Thompsonになる。エンチャントされたクリーチャーが死亡したら、この呪いは新しいクリーチャーに広がるのだ。

25.今壊れました

 《Duh》は、注釈文があるクリーチャーならなんでも破壊する。アートは、クリーチャーがカッコに押しつぶされているところを描いたものである。アートを誰かに見せて何が起こっているかと尋ねても、誰もこれがカッコだとは思わなかった。

 そこで我々はこのアートを枠に入れ、カード全体として見せてみた。それでもやはりカッコだとは理解されなかった。そこで今度は巨大な黄色の付箋をカードに貼って、何が起こっているかがわかるようにするとともにプレイヤーが理解できないのだというジョークを含ませることにした。

 カードが出来上がった後で、私はプレイヤーに最終的にクリーチャーが巨大なカッコに潰されていることがわかるかと尋ねたが、巨大な黄色の付箋をつけてさえ理解されていなかった。それによって、この黄色の付箋というジョークはさらにおかしなものになったのだ。

ハーフタイム

 今日はこれで時間切れだ。いつもの通り、今日話したジョークについて、『Unglued』について、あるいは銀枠セット一般についての諸君からの反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、その2でお会いしよう。

 その日まで、マジックは真剣でもいいけれど、馬鹿げて楽しいものでもありうるのだという思いがあなたにありますように。

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