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Making Magic -マジック開発秘話-

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『アモンケット』に入ろう その3

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年4月17日

原文はこちら

 前回まで2週に渡って、『アモンケット』がどのようにデザインされたかについて語ってきた(その1その2)。今回のデザインは、2つのもの、すなわちエジプト神話とニコル・ボーラスを元にしてトップダウン形式で行われたものである。デザインがどのようにしてトップダウンのエジプトの影響を表現したかについてはこれまで語ってきたので、今回は残りの半分、すなわちこのセットのデザインがどのようにトップダウンのニコル・ボーラスの影響によって定まってきたかについて語ろう。

私の心をドラゴンするのは止めて

 ニコル・ボーラスのトップダウン・デザインをする方法を決めるため、我々は最初にこのエルダー・ドラゴンについての簡単な調査を行った。このセットで私とともに共同リード・デザイナーを務めたイーサン・フライシャー/Ethan Fleischerは、ずっとマジックの物語の大ファンで、ニコル・ボーラスについてもかなりの知識を持っていた。彼のその知識をもとに、我々はニコル・ボーラスを表す要素として5つの描写を選んだ。

  • 残酷で、
  • 操作し、
  • 知性を持ち
  • 古来から存在し、
  • 強力である。

 これを1つずつ見ていくことにしよう。

残酷で

 ニコル・ボーラスの行動をたどっていくと明らかになることの1つが、彼は彼が望むものを得るために他者を傷つけるのを気にしないというだけではなく、他者を痛めつけることになる行動をすることで満足を得ているように見えるということである。彼は忠誠心や展望で治めるのではなく、恐怖で治めるのだ。彼の命令に従うか、あるいは結果に苦しむか。場合によっては、彼の命令に従い、そして結果に苦しむことも多いだろう。

操作し

 ニコル・ボーラスは目的を他者に知らせることはなく、相手の持つ必要なものが何かだけを知らせる。彼に関する最大の謎の一つが、彼が何をするのかを見ることはできてもそれが何故なのかを見ることはできないということである。しかし、彼の行動の1つ1つが、ニコル・ボーラスだけが理解しているさらに大きな計画の一部であることは間違いない。

知性を持ち

 ニコル・ボーラスが危険な理由はいくつもあるが、その中でもっとも重要なものはおそらく彼が非常に賢いということであろう。彼は情報こそが最も価値あるものだということを理解しており、情報収集のために何年もの時間を費やしてきた。彼がとるすべての行動は注意深く検討され、何手も先を読んで計画されていることなのだ。

古来から存在し

 ニコル・ボーラスは2万5千歳以上である。彼はドラゴンの長老の中でも長老なのだ。彼をこれほど危険な存在にしている理由の1つが、長年に渡って蓄積された知恵や経験の量である。彼はその全ての知識を知り、自身の利益になるように使うのだ。

強力である

 そもそも、ニコル・ボーラスはドラゴンである。非常に大きなドラゴンである。彼はまたプレインズウォーカーで、呪文使いで、操り師で、戦略家である。彼は呪文や物品を多元宇宙全体から何世紀もかけて収集している。1対1で対峙することはもっとも避けるべき存在だと言えるだろう。

 これらの描写を決めたら、次はこれらをどのようにメカニズムに落とし込むかを考えることになる。再び、1つずつ見ていくことにしよう。

残酷で

 どうすればゲームプレイを残酷だと感じられるものにできるだろうか。これについては何年も前に答えがわかっていた。皮肉なことに、それは残酷に感じられないようなゲームプレイを作ろうとしている時に見つけたものだった。

 舞台となったセットは『ローウィン』で、我々は対照的な2つの状態を持つ次元を作ろうとしていた。1つは明るく優しい状態で、もう1つは暗く残酷な状態である。クリーチャー除去が絶対的なものでないほうがいいと考え、私は単に殺すのではなく弱体化させる方法を探していた。ローウィンは殺し合う世界ではなく、いくらかこらしめるような世界なのだ。

 それを再現するため、私はこんなカードを作った。

〈懲らしめ〉
{1}{B}
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とし、それの上に-1/-1カウンターを2個置く。

 我々は、クリーチャーが傷ついていることを表すために-1/-1カウンターを使えると考えていた。そうすることでクリーチャーを単に殺すのではなく傷ついている状態にすることを表すことができる。クリーチャーを癒やすことを表す、カウンターを取り除く方法もありうると考えていたのだ。最初の『ローウィン』のテストプレイには-1/-1カウンターを使うカードがいくらか含まれていた。そしてすぐに重要なことがわかった。-1/-1カウンターは、単に傷ついているだけだと感じさせるのではなく、意図的に拷問にかけられているように感じられたのだ。「いつでも殺せるが、今は痛めつけるだけにしておいてやる」

 我々は最終的に、-1/-1カウンターを暗く残酷な雰囲気になる予定のセット『シャドウムーア』で使うことにした。その後、『ミラディンの傷跡』ブロックで我々はファイレクシアらしさである残酷さを表現するために再び-1/-1カウンターを使った。-1/-1カウンターは残酷さをメカニズム的に表す任を負ってきたのだ。そして話は『アモンケット』のデザインに到る。残酷さが必要だった。つまり、-1/-1カウンターの出番だ。これは、エジプト神話の大きな部分である残酷な感じと重なっている。特に砂漠は神々の過酷さを表すものとして見られているのだ。

 ここで一言。開発部内のルールの1つに、クリーチャーに置くカウンターは1種類にするというものがある(コモンやアンコモンの場合。レアや神話レアでは独特のカウンターが使われることがある)。これはリミテッドでクリーチャーの大きさがひと目でわかるようにするためである。例えば、『アモンケット』で3/3クリーチャーにカウンターが1個置かれていたら、それは2/2だとわかる。このため、我々は+1/+1カウンターではなく-1/-1カウンターを使うと決めたブロック以外では-1/-1カウンターをめったに使わないのだ。

 そのブロックのカウンターとして-1/-1カウンターを用いると決めたら、次の決定はそれを使うメカニズムを作るかどうかである。-1/-1カウンターを使うことはそう多くないので、通常使えないデザイン空間を切り開くことがよくあるのだ。最初に我々が試し、そしてデザイン中は残ったがデベロップ中にボツになったのが、萎縮だった。萎縮は『シャドウムーア』で登場したクリーチャーのメカニズムで、クリーチャーから他のクリーチャーへのダメージが-1/-1カウンターに変換されるというものだ。

 『アモンケット』の主な舞台は、ナクタムンと呼ばれる都市であり、砂漠の危険から守る障壁に守られている(これについてはこのあと説明する)。我々は萎縮を障壁の外の怪物にだけ使い、ナクタムンが障壁で防いでいる危険な世界を表現することにしていた。萎縮を持つクリーチャーのほとんどは黒のミイラだった(白のミイラは都市内部の召使いで、黒のミイラは都市外部の怪異である)。

 我々は他にも、ボーラスの無慈悲さを表す-1/-1カウンターを使うメカニズムを試していたが、それは『アモンケット』には採用されなかった(このメカニズムについては『破滅の刻』のプレビューで話すことになる。そのセットでもキーワードとしては使われなかったが、デザインに影響を与えはしたのだ)。

操作し

 『アモンケット』のストーリーの中で私のお気に入りの部分の1つは、一番最初にある。ゲートウオッチ(アジャニ以外)が、ニコル・ボーラスを止めるためにアモンケット次元へと旅する。彼らは、暗く抑圧された世界に行き、そこの人々はニコル・ボーラスの圧政から解放してくれるゲートウォッチを大歓迎してくれるだろうと予想していた。しかし、彼らが到着したのは明るく幸せな世界で、ニコル・ボーラスは神として愛されていた。人々は解放されたいとは思っていなかったのだ。

 ナクタムンの街を探索したゲートウォッチは、何かがおかしいと感じ始める。この世界には不整合があるのだ。表面にある意識的なメッセージと、その内側の無意識的なメッセージがそぐわないように感じられるのだ。一見すると正常だが、何かがおかしいと感じる。我々は映画「ステップフォード・ワイフ」や小説「五次元世界のぼうけん」で、主役が見た限り理想的な場所だが、目で見たことと心で感じたことが一致しないという不気味さを覚えるということについて話し合った。

 その結果、我々はクリエイティブ・チームと協力して、意図的に、メカニズムとクリエイティブの不整合を作り出すことにした。メカニズムは暗く邪悪な雰囲気にして(-1/-1カウンターを使うなど)、クリエイティブは幸せで楽天的な雰囲気を作るのだ。こうすることで、カード上で見るものとゲームプレイで感じるものに不整合があるようになる。ゲートウォッチ同様に、プレイヤーも矛盾する情報に接して不安を覚え、何かがおかしいと感じることになるのだ。

 これが、ニコル・ボーラスが、プレイヤーに認識できる形で世界を操作しているということを表しているのである。


《悪魔の意図》「Amonkhet Invocations」版 アート:Joseph Meehan

知性を持ち

 この性質はある意味では簡単だが、ある意味では難しい。マジックのプレイヤーに、賢いと感じさせるのは難しいことではない。マジックは選択と干渉のゲームであり、通常、ゲーム中にはプレイヤーが賢いと感じられるような無数の可能性が存在する。しかし我々が求めているのは、いくらか高いレベルでものごとを支配する感覚をもたらすものなのだ。

 一方、このセットは、ほとんどのセットがそうであるように、「マナ安定化要素」と呼ばれるものが必要だった。マジックのマナというシステムには多くの素晴らしい点があるが、「マナ・スクリュー」を起こして呪文を唱えるのに充分な土地を揃えられないというのは苛立つことなので、我々はプレイヤーにそれを軽減する道具を与えることが多い。土地を探すのを簡単にしたり、余ったマナでできることを増やして入れる土地の数を増やせるようにしたりするのだ。

 先週話した通り、これを解決するための最初の試みはヒエログラフ・メカニズムだったが、『イニストラードを覆う影』の調査に似すぎていたのでボツにせざるを得なかった。そのころ、エリック・ラウアー/Erik Lauerが私とイーサンのもとを訪れ、サイクリングについて我々の意見を求めてきた。サイクリングはリチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが『テンペスト』のデザイン中に作ったもので、初出は『ウルザズ・サーガ』ブロックだった。それ以降、『時のらせん』ブロックと『アラーラの断片』ブロックの2回再登場を果たしている。

 サイクリングはマナの安定化の素晴らしい役に立つ、エレガントで実用的なメカニズムである。唯一の欠点は、フレイバーに富んだものではないということである。エリックがこれを提案したのには2つの理由があった。1つ目に、これがスタンダードの他のブロック、特に『イニストラードを覆う影』とも上手く働くということ。2つ目が、彼はサイクリングつきの2色土地のサイクルを作ることをずっと望んでいて、そのいい機会だと考えていたということである。

 チームはボーラスの深慮や知性を表すものを探そうとしていて、マナ安定化手段も必要だった。エリックが挙げた利点以外に、そのこともサイクリングをこのセットに加える後押しになった。我々は最終的にサイクリングを5色全てと2色土地に持たせ、さらに青にはサイクリング・カードと相互作用するカードを数枚加えたのだった。

古来から存在し

 ニコル・ボーラスの人物像の重要な部分は、彼の年齢である。もし彼ほどに長く生きていたなら、ほとんどの人とは違う時間単位でものごとを考えるようになるだろう。ニコル・ボーラスの計画は日や月、年などの単位で立てられてはいない。ニコル・ボーラスの計画は10年あるいは100年単位なのだ。アモンケットもその例外ではない。ゲートウォッチが到着したとき、彼らは伝統に縛られたシステムを持つ世界だと知った。これは慌ててでっち上げられた計画などではない。ニコル・ボーラスは、人々の人生のあらゆる側面が彼の作り上げたシステムによって支配されている世界を作り、それからその世界が自力で永続するようになるまで放置したのだ。

 その世界の軸となっているのは5つの試練で、その世界の全ての住人が達成したいと願うものである。5つの試練はマジックの5つの色を軸としており、それぞれが神々や王神たるニコル・ボーラスが重要だとしている、異なった性質を表現している。その5つの試練とは、アモンケットの住人が達成していく順番に、次のとおりである。

  1. 結束の試練 - この試練では他者と協力する能力を計る。
  2. 知識の試練 - この試練では精神力を計る。
  3. 活力の試練 - この試練では身体能力を計る。
  4. 野望の試練 - この試練ではなすべきことをなす意志力を計る。
  5. 激情の試練 - この試練では死に挑む。

 それぞれの試練で、失敗すると死ぬ。達成するとカルトーシュと呼ばれる賞品が与えられる。これは装飾品であると同時に次の試練への招待状でもある。最後の試練を達成すると、カルトーシュが与えられ、そして赤の神ハゾレトの手による栄誉ある死が与えられるのだ。

 試練、カルトーシュ、神々、神々の碑(それぞれの試練が行われる)は、我々が解決すべきデザイン上の課題だった。まずもって、それぞれに5枚のカードからなるサイクルが必要なのはわかっていた。それぞれのサイクルでは、それぞれの要素をフレイバーに富んだ形で表現しながらお互いに合同して働くようにしなければならなかった。また、最終的に、それぞれはそれぞれの色が試練において計るものを表現するものでなければならなかった。

 神々のデザインが最初にできた。先々週言ったとおり、プレイヤーはトップダウンのエジプト風セットでは神々がいるものだと期待しているので、我々はクールなものを提供する必要があった。このデザインについては先々週語ったとおりだ。神というクリーチャー・タイプを持った、伝説のクリーチャーだ。次にデザインしたのは碑であった。このデザインについては先週語った。伝説のアーティファクトで、関連する神とシナジーを持つように作られている。

 試練は伝説でないエンチャントとして、『ゼンディカー』の探索とよく似たデザインから始まった。すなわち、カードに定められた任務を達成すると強力な効果を得られるというものだった。カルトーシュは伝説でないオーラで、該当する試練を達成する助けとなるような能力を与えるものだった。しかし、すぐにこのデザインは少し的外れだと気がついた。カルトーシュは試練を達成したことによる報酬なのに、その試練を達成するための助けになるのはおかしい。

 そこで、我々が次に試したのは、試練を達成することによってデッキの中から対応するカルトーシュを出すことができるというバージョンだった。これはフレイバー的にはよかったが、プレイがよくなかった。そこで我々は(この時点で「我々」はデザインではなくデベロップに交代している)それぞれの試練が戦場に出たときの効果を持ち、カルトーシュが戦場に出ると試練を手札に戻す、つまり試練をもう一度使えるようにする、というバージョンを試した。最初は対応する色のカルトーシュでなければならなかったが、相互作用を増やすため、どのカルトーシュでもいいように緩和したと記憶している。

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 神々、碑、試練、カルトーシュはお互いにシナジーを持つようにデザインされた。緑の神ロナスを例にとって説明しよう。まず第3ターンに《ロナスの碑》をプレイする。次の第4ターンに、《活力の試練》をプレイできる。これが戦場に出ると、4/2の緑のビースト・クリーチャー・トークンが手に入る。第5ターンに《不屈の神ロナス》と《活力のカルトーシュ》の両方を唱えることができる。先に《不屈の神ロナス》を唱えることで《ロナスの碑》の影響で1マナ軽くできる。《不屈の神ロナス》はクリーチャーなので《ロナスの碑》が誘発し、4/2のビーストを6/4クリーチャーにできる。その後それで攻撃できる。また、このビーストのお陰で《不屈の神ロナス》の条件も満たされ、攻撃やブロックが可能になる。

 その後、《活力のカルトーシュ》を《不屈の神ロナス》につけ、6/6で接死、破壊不能、トランプルを持ち、殺したい相手と格闘ができるクリーチャーにする。カルトーシュを唱えたことで《活力の試練》が手札に戻る。そして次のターンに再び《活力の試練》を唱えて新しい4/2のビースト・クリーチャー・トークンを出せる。さらに、マナがあるので《不屈の神ロナス》の能力を起動して前のターンからいた6/4のビーストを8/4のトランプル持ちにすることができ、それと《不屈の神ロナス》で攻撃して両方トランプルで14点のダメージを与えることができる。これでまだ対戦相手が生きていたら、次のターンには《不屈の神ロナス》を2回起動して8/4トランプル2体と《不屈の神ロナス》で合計22点のトランプルで攻撃することができるのだ。

強力である

 このパズルの最後のピースは、2つの全く異なる線が交わったときに見つかった。1本目の線は、ニコル・ボーラスの力を表現する方法を熱望していたことである。我々は、プレインズウォーカーであるプレイヤーが、クリーチャーに自分の力を与えることができるという発想が気に入っていた。クリーチャーが望まないことを実質的に強制することができるのだ。私は『ギルド門侵犯』の際にグルールのために実験していたメカニズムを思い出していた。我々が「無謀」と呼んでいたメカニズムで、クリーチャーがターンの終了時に死亡することと引き換えにそのターン強化されることができるというものだった。

〈無謀な巨人〉
{3}{R}
クリーチャー ― 巨人
3/3
無謀 ― ターン終了時まで、これは+3/+3の修整を受けるとともにトランプルを得る。
(無謀能力を使ったなら、このクリーチャーをターン終了時に生け贄に捧げる。)

 〈無謀な巨人〉は3/3だが、いつでも6/6のトランプルつきクリーチャーになれる。ただし、実際にそうするとこのクリーチャーは死亡してしまうのだ。我々はフレイバーを少し修正して、〈無謀な巨人〉が選択を行うのではなくそれを背後から操るプレイヤーが選択を行うようにした。これによっていくらか邪悪な雰囲気になったのだ。

 2本目の線は、我々が戦闘関連の能力を探していたことである。アモンケットのあらゆるものの中心にある試練は、結局のところ死に挑む1対1の勝負である。我々は、もっと戦闘に関わるメカニズム的要素が必要だと感じていた。我々はまず賛美メカニズムの再録を試してみた(あなたがコントロールしているクリーチャーが単独で攻撃するたび、ターン終了時まで、そのクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。)賛美は最初『アラーラの断片』ブロックで白、青、緑のバントで登場した。その後、『基本セット2015』で白と黒に再録された。これは安定な戦闘メカニズムで、フレイバー的にもふさわしいものだったので、この既知のものから始めたのだった。

 ここで一言。デザインにおいて、セットの一部を必要なものに近いと思われる既知のもので埋めるというのは通常の手順である。こうすることで、他の要素がテストの邪魔になることがないように、充分安定した状態で新しいものを試すことができるのだ。

 賛美から、「超賛美」、つまりクリーチャー・キーワードなど、+1/+1以外の何かを与えるものができた。プレイテストの結果、-1/-1カウンター環境ではプレイヤーは攻撃を控える傾向があることがわかったので、我々はさらに攻撃するように仕向けたいと考えた。そうしてできたのが、賛美のバリエーションで、攻撃クリーチャー1体を対象とし、この能力を持つクリーチャーはそれにクリーチャー・キーワードを与えるというものだった。そのクリーチャーが単独で攻撃している必要はないが、能力を与えられるクリーチャーも攻撃していなければならないのだ(確かに、自分自身を対象にすることもできる)。その後、我々は攻撃誘発からそのクリーチャーが攻撃時に死亡した場合にのみ働く死亡誘発へと移行していった。我々はこの能力を「栄光」と名付けた。我々はこの能力が攻撃するように促すことが気に入っていたが、ゲームプレイは我々が望む形にはならなかった。

 このとき、この2本の線が繋がったのだ。我々はニコル・ボーラスの力を表すものが必要だった。そしてより攻撃的な戦闘メカニズムが必要だった。無謀メカニズムは目標とつながっていた。私はそれを試してみることを提案した。デザイン・チームの一員でありデベロップ・チームの一員でもあったジャッキー・リー/Jackie Leeは、発想そのものは気に入ったけれども死亡は代償として大きすぎると考えた。もう少しひどくない不利益はないかと考えた。「何かアイデアがあるかね」私が尋ねると、彼女は「次のターンアンタップしないというのはどうですか」と答えたのだ。

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 これが督励メカニズムのおこりである。このメカニズムは白赤緑のクリーチャーに存在している(戦闘に重点を置いている3色だ)。フレイバー的には、プレインズウォーカーであるプレイヤーがその力でクリーチャーを督励し、クリーチャーは限界を超えて力を出させられるのだ。

もしもニコルが......

 これでトップダウンのエジプトの影響とトップダウンのニコル・ボーラスの影響の話は終わりとなる。諸君が今週末のプレリリースでプレイする時に、この組み上げられ方を楽しんでもらえれば幸いである。いつもの通り、この記事や『アモンケット』について感じたことを、メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『アモンケット』のカード個別の話を始める日にお会いしよう。

 その日まで、プレリリースでのプレイにボーラスの影が感じられますように。

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