マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

Making Magic -マジック開発秘話-

authorpic_markrosewater.jpg

我らは生きる

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2014年9月29日

原文はこちら

 アブザン特集へようこそ! 今週は、白黒緑の楔について語る。今週並びに今後の4つの氏族の特集(何ヶ月もかけて行われる)では、各色について異なった見方、そしてお互いにどのように相互作用しているのかを示していく。これまでのカラー・パイの記事では、単色それぞれの理念、2色の組み合わせそれぞれに関する記事、さらに断片をテーマとした記事のサイクルが存在する。それ以外にもいくつかの記事でカラー・パイについて語ってきた。

abzan-notext-coloredmana.jpg

 これまで、色について様々な視点から検証してきており、中には色にインタビューするという形式のシリーズもあった。今回の楔テーマでは、色同士がどう関連しているのかを掘り下げることにしたかったので、各週ごとに、3色を1つの部屋に招き、そして3色一斉にインタビューをしようと思う。このシリーズの目的は、いくつかの質問をして、そこから色同士の会話を引き出すことである。

 面白そうだと思ってもらえたなら、さっそく始めることにしよう。

ようこそ、皆さん。まずは皆さんに自己紹介をしていただきたいと思います。アブザンのカードでのマナ・コストに出てくる順でお願いします。

こんにちは、私は白です。私はアブザンの楔の中心で、秩序を通して平和を樹立する色です。私の発言は薄茶色で表示されると聞いています。

whitemana.jpg

黒だ。この楔では他の2色とも敵対色なので、まあ、面白ぇよな。あらゆる手を尽くして力を得るのが俺だ。黒はそこの奴が使ってるから、俺は紫になるんだとさ。

blackmana.jpg

私は緑。知恵をもって受け入れる色よ。大丈夫、意味がわからないのは当然だから。そのあたりは今日説明させてもらうわ。私の色は緑、ふふ、わかりやすいでしょう?

greenmana.jpg

まず最初に、この楔で描かれる側面についてお話を伺います。皆さんは忍耐力についてどうお考えでしょうか?

忍耐力? 俺は「生存性」と呼びたいね。誰にとっても殺されないことが一番に決まってるからな。

順番に行きましょう。

誰がそんなこと決めた? 自己紹介は順番にしろって言ってたから、そうした。他の順番については何にも言っちゃいない。そもそも、こいつは「質問をして、色同士の会話を引き出す」って言ってたんだ。今やってるのはそれだろうよ。

順番通りにすれば、このインタビューそのものがもっと秩序だったものになります。

だから何だ? 俺が順番を守らなかったことでお前が気分を害するなら、俺にとっては成功だぜ。

喧嘩する理由なんてないでしょう。私たちは楔として協力していくんですよ。

俺がこの楔にいるのは俺のためだ。お前のためじゃねえ。生き残るためだ。お前らと組んでいるのは、生き残るのに一番都合がいいから、それだけだ。


《花咲く砂地/Blossoming Sands(KTK)》 アート:Sam Burley

あら、それって褒め言葉? ありがと。

褒めてねえ。あー......単純に事実を言っただけだ。見て見ろ、この楔は序盤や中盤を生き抜いて終盤に圧倒するもんだろう。それが俺の選んだ作戦だ。

あなたと私の見解には違いがありますが、少なくとも長期戦の重要性は判っているようですね。赤は認めなかったんですよ。

お前も犠牲の重要性を判ってるようだな。自己犠牲とか言うくそったれな方向性でも、長期戦で勝つために短期決戦では犠牲にするものがあるってことだ。

全部繋がっているのよ。小さな種も大木も、ひと連なりの両端にあるの。

何言ってやがんだ。

短期決戦とか長期戦とか切り分けるものじゃないということ。常に変わり続けるゲームがあるだけなのよ。

お前の言ってることは全然意味がわからねえよ。

緑が言っているのは、おそらくですが、忍耐力という中には究極の目的をあらゆる段階で理解するということが含まれる、という話だと思います。軍隊にとってどういう意味があるかを理解しているから、兵士は命を賭けるのです。

兵士に自分の死を知らせるというのを除いては、まあ、同意できるかな。犠牲になる奴がその事実を知らなけりゃ、物事はずっとスムーズに進むぜ。そんなのは無駄ってもんだ。


《アブザンの戦僧侶/Abzan Battle Priest(KTK)》 アート:Chris Rahn

それは、より大きな視野での計画を共有していないからですよ。彼らに理解してもらえば、チームとしてともに働いてくれるでしょう。でも、そんなことは意識しなくてもいいでしょうね。彼らはただの兵隊ですから。

偉そうなこと言ってんじゃねえよ。お前も兵隊使ってるだろう。ただ時間とエネルギーを使って、自己犠牲している気分にさせてるだけだ。代償を払うのは素晴らしいことだな。俺は自分の兵隊を死なせるのには苦労するからな。

私は少し違う見方をしているの。成長によって力は得られるわ。時間をかけて育てれば、強くなるのよ。

殺さなけりゃ強くなるって?

生き残ったなら、経験の分だけ強くなるわ。

おんなじことじゃねえか。

私たち3人が共有しているのは、方法は違っても、耐えることの必要性を理解しているということよ。未来を重視するにはコストがかかるけれど、私たちは皆それを払っている。他と比べたら嫌になるほどにね。

何だって? お前は生死のサイクルの色だろう。なぜ「自然の秩序」とやらの中で死を使わないのか分からないね。チーターがガゼルを狩って殺して食うのは「自然」だな。人が飢えないために他の人を殺して食い物を奪うのは「不自然」? おかしくねえか。

狩猟と冷血な殺人との間の違いがわからないというなら、それ以上言うことはないわ。死は自然の一部よ。問題は、死を自然を曲げるための武器として使うことにあるの。

皆さんが生き残るためにお持ちのメカニズム的リソースについてお伺いできますか?

そうですね、私たち3色とも、タフネスがもっとも高いです。黒と私はタフネスとパワーの比率でタフネスが優先されているカードが多く、緑は元々タフネスの高い大型クリーチャーを持っています。


《まばゆい塁壁/Dazzling Ramparts(KTK)》 アート:Jung Park

白と私は防御的なクリーチャー・キーワードの警戒を持っている色ね。それに、黒と私は同じく防御的な再生を持っているわ。まあ、黒は攻撃的に使うこともあるようだけれど。

緑も白も俺も、墓地から手札なり戦場なりに回収することが多い色だな。

それに、私たち3色はライフを得る色でもあります。緑と私は他を傷つけることなくライフを得ますよ。

白と俺はクリーチャー除去が得意だ。緑には格闘があるが、それだけだな。

代わりに、ブロックに使える大型クリーチャーがいてくれるもの。

除去が刺さるが、何だって?

もう1つの共通点は、私たち全員が戦場にクリーチャーを並べ、相手の攻撃を防ぐというプレイスタイルだということです。まあ、その方法はそれぞれ違いますが。私は先を読んで相手の勝利手段を潰すカードを使います。法則を定め、防御を固めて倒されないようにするわけです。

もっと直接的な方法がある。敵の攻撃手段を全部殺すんだ。殺せないで戦場に残るような奴は、唱えられる前に除去すればいい。重要なのは、あらゆる手段を使って敵の手を潰しきるまで仕掛けるのを待つってことだ。

私の戦略は、相手よりも早くマナを育てて、そして相手より先に攻撃手段を準備することよ。相手よりも早く揃えていけば、そのうちに圧倒していくことになるものね。

あなたがたのうち1色が、他の2色の敵対色になっている楔についてどう思いますか?

断片ではそうでなかったかのような言い方ですね。黒と私はエスパーにいましたし、黒と緑はジャンドにいたじゃありませんか。あえて言えば、敵対色と組まなくてもいい断片がそれぞれ1つはあったのが違いですね。楔にはそんなことはありません。

究極的には、私たちはまわりに存在するものによって定義されていると理解しているわ。つまり、私たちを私たちたらしめているのは、敵対色の存在によるのよ。私は黒のことが好きじゃないけれど、大局的に見て、黒の存在意義は理解しているわ。

答えてやるよ。まったくその通りさ、俺にとっちゃ特にそうだ。この楔には俺の友好色はいねえ。いねえ。こいつら2人が喋ってるのを聞くのがどんだけうざいかわかるか? 「このグループはステキよね。いつでも弱きを助け強きを挫けるのだもの、これ以上のことはないわ」だとさ。

グループで優先順位を決めることで、弱点をカバーするんです。それぞれの合計より、私たちは強くなっています。

弱い奴を甘やかしてるだけだ。それのどこが強くなるってんだ?

グループ全体は、個人よりも強いものです。あなたが認めていない無私の心が必要なので、あなたには理解できないでしょうね。

グループであることと平等であることは関係ねえ。俺のグループは全部俺のためにあるんだ。誰かが犠牲を必要とするなら、俺が誰をその犠牲にするか決めてやるよ。


《砂塵破/Duneblast(KTK)》 アート:Ryan Alexander Lee

黒は共生関係の重要性を判っていないわ。つまり、他の人と協力して働くところに強さがあるのよ。

ちょっと待て。お前は適者生存ってものを知らねえのか? 自然では適合したものが生き残るんだ。生命の絡まり合いと、動物世界の全体像をちゃんと見てみな。何かの生物が他の何かを食える状況なら、食うぜ。そこに平等なんてものはない、あるのはエサだけだ。

あなたが見ているのは捕食関係だけね。他にも動物の関係はいろいろあるわ。お互いの必要を満たす形で、うまく協力し合っている動物もいるのよ。

それでは、アブザンでの関係をうまく組み合わせているのは何でしょうか?

個人的な好き嫌いをおいておけば、私たちの能力はお互いを非常にうまく補完しています。私は先を読んでの防御を準備し、黒は能動的に防御し、緑は私たちのマナを伸ばすことで成長を助けるのです。

他の楔は攻撃手段を出すことに特化しているが、俺たちは「防御は最大の攻撃」という考えでやってる。相手の攻撃を全部凌ぎきることができれば、それからいくらでも攻めの手はあるからな。


《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel(KTK)》 アート:Sam Burley

それに、成長の手段は私たちの手の内にあるの。序盤から中盤にかけて防御姿勢を整えれば、後で強力な攻撃手段を準備することもできるわ。普段なら私はリソースを防御に回すことが多いけれど、白と黒が防御手段を準備してくれるのだから、私は相手より早く終盤戦の決め手を準備することの集中できるのよ。

本来、俺たちは相手が攻め疲れるようにするのが狙いだからな。疲れちまえば、あとは簡単さ。

私たちの戦略の鍵は、攻撃手段を後回しにして対策することだと言えるでしょうね。

かつてのプロ・プレイヤーのデイブ・プライス/Dave Priceは、「まずい対策はあるが、まずい攻め手はない」と言っていましたが......

その人はマルドゥですか?

まずい攻め手はいくらでもあるぜ。俺にとってはな。俺の手札に除去呪文があって、相手が呪禁クリーチャーなり再生クリーチャーなりプロテクション(黒)なり出してくる。実際の所、これは当たり前の作戦だ。俺たちが大量のクリーチャーを並べないのは、相手の対策が有効にならないようにするためだ。手持ちの対策手段がどれも盤面に効かないって目を泳がせる対戦相手を見るのは楽しいぜ。

黒はほんとうに黒ね。でもそこには真理もあるわ。アブザンの戦略はとても単純なの。私たちは身構えて、相手が仕掛けてくる全てに対処できるようにするのよ。そして相手の手が尽きたら、そう、尽きるまで待ってから、私たちは前進して勝利するの。自然が強いのは、常に耐え続けるからなのよ。

私の考えは、負けなければ、相手は勝てない、というものです。他の氏族はどれも勝つことにこだわっていますが、私たちは負けないことに主眼を置いています。重要なのは、あらゆる手段で守ることです。

最初に、皆さんそれぞれの目的とそのための方法についてお伺いしました。もう少し説明いただけますか?

ああ。俺の目標は可能性を通じて力を得ることだ。つまり、価値を信じてるのさ。誰にでも勝利の可能性はあるってことを信じてるわけだ。可能性を活かすことができた奴が生き残り、そうでない奴は滅ぶ。価値に基づいて成功するか失敗するかが決まる、これほど公平なことはねえ。

あなたは、人々を殺します。あなたの人々をね。それでどうして可能性なんて言えるんですか。

木を見て森を見ずって奴だ、俺は、俺のために尽くしたい奴なら誰だって受け入れるぜ。俺のために使える奴は出世させてやる。使い物にならなきゃそれなりにだ。お前は自分の人々をお前なりにやる気にさせりゃいいが、俺は俺のやり方でやるだけだ。

あなたのためになにができるか、という観点で全てを見ているのね。

いいや、自分の面倒は自分で見るもんだ。誰がボスか見極めるのもその一部さ。ボスに成り代われるならそうするもんだ。成り上がれないならボスの言うことを聞くんだな。俺のシステムは単純極まりないぜ。

弱者以外にとっては、ですね。

弱者? 当たり前だろ。なんで俺が弱い奴を助けなきゃならねえ? お前が存在する者全てを助けるのは勝手だが、俺はもっと高い水準を求めてるんだ。生命の他に欲しいものがあるなら、自力で掴み取りゃいい。お恵みをくれてやったって、相手は育っちゃくれねえぞ。「やるか死ぬか」のほうが「やりたいことをやりなさい、それが何であっても報賞します」よりよっぽどいいモチベーションになるもんだ。

あなたは、世界にはあらゆる人が幸せに生きていけるだけのリソースがあると言うことを理解していますか? 誰もが飢えることなく、健やかに、安全にあることができるのです。ただしそのためには、人々が必要以上の物を取らないようにすることが必要です。あなたのやり方では、大勢を踏みつけにして選ばれた少数だけが生き残ることになりますよ。

それでお前は生活を向上させようと努力する奴を罰するってわけだ。価値を、達成を、やる気を罰するわけだ。個人が上を目指すことに見返りがなければ、誰が上を目指すっていうんだ?

見返りはありますよ。個人ではなく、社会全体としての見返りがあります。

つまり、他人が儲けるために努力しろってか?

そうです!

そうです、だって? 正気で言ってんのか。わかりきってたが、やっぱりありえねえ。緑、お前は適者生存ってものを知ってるだろう。俺が言ってるのはそれだ。何とか言ってやってくれ。

ええ、適者生存は知っているけれど、あなたはその意味を曲げているわ。ライオンは食べるためにガゼルを殺すけれど、それは自分やその群れが必要な分だけよ。殺せるからと言って、目にしたガゼルを全て殺すわけじゃないわ。もしライオンがガゼルを手当たり次第に殺していたら、どうなるかしら? すぐにガゼルがいなくなってしまうわ。適者生存というのは、生きるために必要なことをする、という意味よ。生態系全てを私利私欲のために曲げるということじゃないわ。


《ラクシャーサの秘密/Rakshasa's Secret(KTK)》 アート:Magali Villeneuve

そうは言っても、ライオンはそれだけの能力があるから密林の王なんだ。そういうことさ。

いいえ、ライオンが密林の王なのはそういう役割で生まれてきたからよ。ガゼルは、どれだけ努力しようが能力を示そうがライオンに成り代わることはできないわ。いつだってガゼルの望みはライオンに食べられないようにすることで、ライオンを食べることじゃないわ。わかる? あなたが言っているのは、ガゼルにも他の役割を果たす可能性があるってことよね。

青がいいこと言ってたな。役割は固定されたもんじゃねえ。自分を変えていく能力があるんだ、とな。

自分が既に存在する生態系の一部でないと思い込みたければそうすればいいわ。

次は白が自分の理念について語ってください。その次は緑にお願いします。

私の究極の目標は平和で、そのために秩序が必要です。私は、私たち誰もが必要なものを持ってこの世界で生きていくことができると信じています。誰も飢えることも、傷つけることも、傷つけられることもなくです。私は、誰もがともに平和に生きていくだけの資産を持っています。問題は、黒のように私利私欲で他人を踏みつけにする者がいて、理想郷の存在を妨害しているのです。

理想郷? ファシズムのことを理想郷とはよく言ったもんだ。

誰もが平和に生きることができるんです。それだけの資源はあります。その道を閉ざしているのは私たち自身です。だからこそ秩序が重要で、人々には倫理が必要で、正邪を定める道徳律が必要なのです。人間というものはすぐに道を外れてしまうものです。ですから、倫理、つなわち明確な道徳律が重要なのです。また、人々は弱いものですから、厳格な法律が必要になります。何が許されて何が許されないのかを示す規範が必要なのです。黒の言う通り、人々にはやる気が必要です。全体の力、連帯感、愛はよいことをする動機を生み出してくれます。法による処罰は悪事を避けようという動機になります。あれをしろこれをしろ、では負の結果になります。


《アナフェンザの伝令/Herald of Anafenza(KTK)》 アート:Aaron Miller

で、人々は自由を諦めろってか?

自由? まるで赤のようなことを言いますね。

お前の言う理想郷は聞こえはいいよ、そのための代償を考えなけりゃな。お前の世界じゃ、人々は自分で何も決められねえんだろ?

いえ、決められますよ。全体として決めるんです。

だよな。個人は何も決められない。多数派の意見と違うことがしたいと思っても、干されるだけだ。

そのしたいことというのが全体にとって悪いことなら、そうしたいと思うことは悪です。

全体にとって悪ってのは誰が決めるんだ? 全体として考えたことのないことかもしれない。全体には関係ないが個人にとっては重要なことかもしれない。俺たちが全体として生き残っているのは、各個人が望む方向に進むことができるからだ。個人の発想が、あとで全体にとって利益になるかもしれない。だがお前さんの世界じゃ、そんなことはわからねえ。なんたって全体としてそういうことを禁止してるんだからな。

それが利己的な動機でないなら、あなたの言う個人の権利も理解できますよ。

利己的で何が悪い。自分の望みを優先するのが普通だろう。誰だってそうだ。俺が自分のことは自分で見ろって言うのは、一番自分のことを見る動機があるのは自分だからだ。俺のシステムでは、誰もに注目してくれる奴がいる。誰あろう自分だ。

そして他の人のことを忘れる、と?

いいや、他の奴のことを気にかけて助けたっていいぜ。自分のことだけ考えろって言ってるわけじゃねえ。他の奴のために自分が不利益を被らされるのはいいことじゃねえってだけだ。自分がそうしたいならすりゃいい。問題ない。そんなことするのは馬鹿野郎だとは思うが、馬鹿なことをやりたきゃすりゃいいんだ。重要なのは、誰かに決められるのはごめんだってことさ。

お待たせしました、緑の番です。

ありがと。私の最終目標は許容よ。そしてそのために必要なのは調和。他の色はより良い世界を作るためには変化しなければならないと言っているけれど、私はそうは思わない。世界は既に必要な世界であるのよ。世界を変えるのではなく、あるがままに受け入れることが必要なの。世界を変えようなんて無益なことをやめて、現状を受け入れることを学ぶほうがいいわ。

世界を変えるのが無益? さっきからお前は俺が自然の秩序を乱しているとうるさいじゃないか。世界を変えるのがそんなに難しいなら、俺が何をやったって変わらねえだろ?

後で説明するから、私の説明が終わるまで待っていてくれないかしら?

またそれだ。俺がやりたいことをすると、お前の理想に合わないから邪魔になるんだな。

本当のところ、今のあなたは文字通り邪魔をしているわね。

ああ、はいはい、続けてくれ、お前のエキサイティングな世界観の話をな。

世界にはもう秩序はあるの。それを帰るのではなく、それを理解するべきなのよ。調和はその一部になるということだから、頭でなく心で理解することができるわ。大地のことを理解したければ、大地の一部になればいいの。


《地平の探求/Seek the Horizon(KTK)》 アート:Min Yum

終わったら言ってくれ、思い切り馬鹿にしてやるよ。

ええ、あなたは私の感じていることを軽んじるでしょうね。あなたは他の人の考えを理解しようともしないんだから。

俺は最善を尽くすだけだ。1つ聞いていいか? 個人が自然に影響を及ぼすことができるとして、それが自然の一部でない理由は何なんだ? つまり、誰だって大地の子だってことだ。俺のやることと熊のやることに何の違いがある?

熊は自然の秩序を乱そうとはしないわ。熊には熊の役割があって、熊はそれを受け入れているの。

熊が受け入れなかったら? 熊がとち狂って目に入るもの全てを殺し始めたら? それでも自然は自然だろう?

何が言いたいのかしら?

つまり、何が自然で何が自然でないかってことを意識しすぎだってことだ。全てが自然の一部だと考えてみろ。俺たちがどうしようが世界は世界だろう? 俺が木を切っても、世界から木が1本減るだけだ。

その、木が1本減るということが結果なのよ。あなたは結果というものの重要性を理解していない。あなたは望むままに振る舞って、そしてその結果起こる影響を無視しているわ。あなたのような人々がいるから、世界に汚染があるのよ。

汚染だけでなく、犯罪もです。

あなたは、行動の結果についてはその人には責任がない、と考えているのね。世界はもっとも重要な私たちの財産で、それを守るのは私たちの義務よ。許容するというのは、我々の役割を理解し、それに従うということなのよ。

黒とそれ以外の方々の意見の相違点についてお話し頂きましたが、白と緑の間には相違点はありませんか?

緑と私の間には、世界観が多少違う以外には相違点はないと思います。私たちはどちらも私利私欲とその世界への悪影響を否定しています。比べれば私は社会への影響を、緑は環境への影響を重視しているという違いはありますが、私たちはどちらも個人よりも全体の利益に注目しているという点で共通しています。ただし、ここでいう利益という内容には違いがあります。私たちはどちらも究極の真実が存在すると考えていますが、その真実は完全に一致しているわけではありません。私は倫理観を、緑はより広い自然の繋がりを重視しています。生命の網とでも呼ぶものです。緑、何か言い落としはありますか?

私たちの間の最大の相違点は、おそらくは、私たちそれぞれのもう1つの友好色同士の対立という形で見るのがいいと思うわね。私のもう1つの友好色は赤で、白の友好色は青。私は、生きとし生けるもの全ての連なりを、自然に暗黙のうちに存在しているものだと思っているわ。白は、向上するというのは明示された思考を経て起こるものだと信じているはず。明示されていれば、人々はそれを理解して同意することができるものね。つまり、私たちはよく似たものを求めているけれど、そのための手段は大きく異なるということになるわ。

そろそろお時間となりました。最後にもう1つ質問させて頂きます。皆さんはアブザンとして協力しておられますが、プレイヤーの方々にアブザンを選ぶ理由について一言お願いします。自己紹介と同じ順番でお願いできますか。

敵を知ることは大事です。対策を知ることはもっと大事です。

トドメを刺そうとして失敗した敵ほど潰しやすい敵はないぜ。

柳に風折れなし、ね。

本日はありがとうございました。


《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》 アート:Volkan Baga

 諸君がこの議論を楽しんでくれたなら幸いである。いつもの通り、諸君の感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、これまで語ったことのないデザイン理念について掘り下げる日にお会いしよう。

 その日まで、今日の記事があなた自身の議論を呼び起こしますように。

前の記事: カン否両論 その2 | Making Magic -マジック開発秘話-一覧に戻る | 次の記事: 量の調整

トピックス