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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

モダンばなし その2

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モダンばなし その2

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年6月24日


 先週はモダン特集と銘打たれていたので、モダンの10個のブロックそれぞれから1つずつの話をすることにした。したのだが、1回のコラムで語るには量が多すぎたので今回をそのコラムの第2回として、アラーラの断片・ブロックからラヴニカへの回帰・ブロックまでの話をさせてもらうことにしよう。先週と同じように、これまでこのコラムで語ったことのない内容を探して語るつもりである。中身は濃いものになるだろう。

アラーラの断片・ブロック

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 私は、このセット全体を頭に入れるため、デザインのプレイテスト中には可能な限り多くの色の組み合わせや戦略を試すことに尽力していた。デベロップに入ると、私のプレイテスト、特にドラフトにおける戦略は変化していった。セット全体の視野を守る責任から解放されたので、戦略を選び、それに集中することでデベロップに協力することを目標としたのだ。私は、良いドラフト選手になるための最善の方法が、1種類のデッキを選んでそれを可能な限り理解することだということを学んだ。

 それはつまり、私は端から見ると興味のあるドラフト戦術に固執するプレイヤーだと言うことになる。開発部でよく語られる出来事(『アラーラの断片』の話ではないが、まあ必要なので触れておく)が、『ミラディンの傷跡』のドラフトの際に起こった。エリック・ラウアー/Erik Lauerが私の右に座った(つまり第1パックと第3パックでは彼が私の上流になった)。エリックは、私が彼の色(黒緑)を選んでいたことに苛立っていた。彼は「シグナルを見てないのか? 第1パックで俺が黒緑に行ってるのわかっただろ」と言い、私は「私のシグナルを見てかったのか? 私は6ドラフト前から感染をドラフトしてるんだ!」と答えたのだった。

 さておき、この『アラーラの断片』ドラフトでは、私はあらゆるドラフトでエスパーを選んでいた。エスパー断片のリード・デザイナーであり、アーティファクトが大好きだからである(もちろん私はエスパー断片以外にも、『ミラディン』や『フィフス・ドーン』、『ミラディンの傷跡』のリーダーを務めている)。ウィザーズに入社する前は、私の好きなセットは『Antiquities』だった。私はアーティファクトの大ファンで、そしてエスパーのあり方を非常に楽しんでいたのだ。


エスパーの戦闘魔道士》 アート:Matt Cavotta

 ドラフトを繰り返して、私はずっとエスパーをドラフトしていた。私がどうやってもこのセット戦略から離れないとわかっていたから、他の開発部員は私の道を開けてくれていた。その結果、私はドラフトに成功し、そして強力なエスパー・デッキを組み上げることができていた。それだけでなく、私は、どのカードを調整したらエスパー戦略がもっと強くなるか、デベロップ用のメモまで作っていたのだ。

 このセットが世に出てから1年後。私はプレイヤーとドラフトをしたが、私が自分のドラフト戦術を完全に理解していると思って興奮していた。......そんなことはなかった。遅い順目で流れてくるはずのカードが全然流れてこなかったのだ。ドラフトの最後に、私は自分の問題に気がついた。現実世界では、エスパーは非常に人気のあるドラフト戦術だった。エスパーを少しばかり魅力的にしすぎたせいで、自分が火傷をするはめになったのだ。

 これは、私が『Modern Masters』のプレイテストをしていたときに思い出したことだ。というのは、《エーテリウムの彫刻家》を見るたびにドラフトしたくて仕方なくなったからである(私の『Modern Masters』でのドラフト戦術はサリッドだったので、我慢しなければならなかったのだが)。

ゼンディカー・ブロック

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 「土地セット」を社内に売り込むのがどれほど大変だったかについては既に語ったことがあるが、今日はそれに関するちょっとした話をすることにしよう。

 デザインの手順について、さまざまな誤解があるように思う。その中の1つが、アイデアは完全な形で生まれてくる、というものだ。ある日散歩をしていると、デザイン上の問題点に対する答えが突然閃く。そして私はそれを書き留め、問題はそれで解決だ。――というようなことは起こらない。おおよそデザインの手順というものは何らかの着想を得て、それをこね回し、そして時間をかけて必要な形になるまで変化させていく、というものなのだ。この手順の中では、カード、メカニズム、テーマといったいろいろなものが行き詰まって捨てられていく。単に巧く動かないから、ということもあるが、そのセットには相応しくないから、ということも多い。

 つまり、可能性を秘めた素晴らしい発想だが、相応しい環境がない、という素材を私はたくさんキープしているということだ。マジックのデザインが難しいのは、マジックのルール上で動くということと、今扱っているデザイン空間においてきちんと働くということがイコールではないからである。今は相応しくないが優れた発想を手に入れたなら、私はそれを頭の片隅にしまっておく。私の頭を割って開いてみたなら、これまでのセットで使われなかったあらゆる発想が一生分も詰まっているに違いない。

 ときどき、私が何らかの条件でこの発想の束を見直していると、脳の奥から「ティンと来た! これはブロックの発想にできそうだ」という声がする。そんな中の1つが、土地メカニズムに関する様々な面白い発想だった。成功するという確信はなかったが、巧く行けるだけのものが揃っているのはわかっていた。そこで、私は脳内に「土地ブロック」の発想を固めたのだ。


》 アート:Jung Park

 その発想は、ランディ・ビューラー/Randy Buehlerが私を首席デザイナーに昇進させ、そして5カ年計画を立てるように言ってくるまでの数年間、私の頭の中で眠っていた。かなりの数の発想があったので、私は最終的に6カ年計画を提出した。その計画の中の5年目には、ただ「土地ブロック」とだけ書かれていた。ランディは、この発想を聞いた他の人たちと同様に懐疑的だったが、私を信じてこの発想を試すための時間を暮れたのだ。5カ年計画では、ランディは「実験的ブロック」とし、ビル・ローズ/Bill Roseに、デザインは時に何か未知のものを試して、新しい支柱になる発想を見付けなければならない、と売り込んだのだ(支柱になるものとは、それを軸にしたブロックを1度でなく何度も作れるような強靱なもののことである。その一例が、多色である)。

 『ゼンディカー』のデザイン・チーム(ダグ・ベイヤー/Doug Beyer、ケン・ネーグル/Ken Nagle、マット・プレイス/Matt Place、グレアム・ホプキンス/Greame HOpkins、私)は面白い土地メカニズムを探すことを念頭に、デザインに取り組みはじめた。この時点でもまだ「土地ブロック」を馬鹿にする人たちがいるのに気付いて、私は『ゼンディカー』を「土地祭り/Landsapalooza」と呼び始めることにした。そうすれば、お祭りらしく楽しげに聞こえると思ったのだ。

 数週間後、開発部担当副社長のビル・ローズが私をオフィスに呼んだ。「マーク、私は君と君のチームを信じているが、社内での広報に関してちょっとした問題が起こっている。『土地ブロック』を信じない人たちがそう呼ぶことで、さらに状況を悪化させているようだ」

「私はこのセットのことを『土地祭り』と呼ぶようにしました」

「それでも『土地』という単語が入っている。土地と関係ない何かとして呼ばなければならないだろう。君や君のチームは今やっているまま続けてもらいたい。ただ、別の呼び名が欲しいだけだ。そして、呼び名ということになれば君が専門なので、君を呼び出して解決してもらおうとしたわけだ」

 私は少し考え、そして「わかりました......じゃあ、これをお金ブロック/the Money blockと呼びましょう」

 ビルはほほえんだ。「いいな」

 我々がこれを「お金ブロック」と呼ぶようになると、不満の声はピタリと止まった(クリエイティブが動き始めたことで「冒険世界」と呼ばれるようになり、これもまたよく受け入れられた)のだった。

ミラディンの傷跡・ブロック

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 私は普段デザインで巧く行ったことについてはよく語るが、巧く行かなかったことについてはあまり語らない。『ミラディンの傷跡』に関しては、私が自分のセットをコントロールできなくなりかけていたことについて話そう。この話の前提として、『ミラディンの傷跡』のデザインの背景について少々思い出してもらいたいことがある。『ミラディン』のころ、ブレイディ・ドマーマス/Brady Dommermuthがファイレクシア人の再来についてのいい発想を思いついた。ファイレクシア人は、(ウェザーライト・サーガの最終節である)『インベイジョン』で、ドミナリアへの侵略の際に一掃されたのだ。ブレイディは、その時にカーンがうっかりミラディンにファイレクシアの油をかけてしまった、ということにしようと考えたのだ。これによって永い年月の後、『新たなるファイレクシア』になることになるところに戻ることができる。ブロックの最後に、その世界が実は――ミラディンだったのだ、という驚くべき事実を公開できるのだ!

 ということで、デザインを始めた時点では、第1セットは『新たなるファイレクシア』だった。ファイレクシア人にメカニズム的特徴を与えるときに、私はその物語にこだわっていた。誰もが違う意見を持っていた中で、私は誰もが気に入るものを探そうとしていたのだ。私があまりにももがいていたのを見て、ビル・ローズが割って入ってきた。ファイルが使い物になっていないと言うのだ。自分で修正するか、そうでなければ外部のチームを招いて修正させると。

 私のチームは改編され、私がこの問題を解決できると示すために6週間の猶予が与えられた。これは私のウィザーズでのキャリアにおいて唯一のことだ。新しいチームとともに3週間働いたが、しかし具体的なものは得られなかった。私は問題を解決できなかったのだ。


異種移植》 アート:Daniel Ljunggren

 そんな時、ビルは私をオフィスに呼び出したのだ。彼は話があると言った。彼は、私のことを良いデザイナーだ、マジック史上最上の1人だと言った後で、私が迷子になっていると告げた。「君の問題が何かはわかっているつもりだ。君は、他の全ての人を満足させようとしている。自分が作りたいセットを作らなければならないのに、他の誰もが欲しがると君が思っているセットを作ろうとしているんだ。そんなことは考えなくていい。他の人のことを心配するな。作るべきだと君が信じる形にそのセットを作るんだ。君が情熱を持っているものを作れ。それが、君の実力を出す方法なんだ」

 その話を聞いて、私は目が覚める思いだった。私と私のチームは今まで何ヶ月も違うことをしたいと思いながら、それがすべきことではないと考えて回避していたのだ。私は週末の間ずっと考え、そして週明けの月曜日にビルのオフィスに足を運んだ。

「私たちが間違っていました。終わりから始めようとして、一番の見所、つまりミラディンがファイレクシア人に屈する部分を飛び越していたのです」

 私のその言葉を聞いて、ビルは親指を立て、ブロックの物語を改良することに許可をくれた。それだけでなく、ビルは第3セットを2種類見せて物語の結末をわからないようにするという発想までくれたのだ(『新たなるファイレクシア』と『清純なるミラディン』だ)。

 残された時間はわずかに3週間だが、私には焦点があり、情熱も戻っていた。感染を仕上げ、増殖を見付け、そしてミラディンの特徴を作り始めた(一度は親和を再録しようとしたが、途中で止めた)。3週間の終わりには、私はファイルを仕上げてビルに渡し、受け取ったビルは「そうだ、これだよ!」と答えたのだった。

イニストラード・ブロック

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 プレイテスト中に考えるべき重要なことの1つに、1回1回のプレイテストはセットの標準から大きくずれることがあるということが挙げられる。例えば、ウーズという部族を軽く取り上げたセットを作るとしよう(いいじゃないか、夢だよ)。そして、ウーズであるコモンを1枚、アンコモンを1枚、レアを1枚の垂直サイクルを作ったとしよう。

 こういった垂直サイクルの開封比は、特に大型セットの場合、非常に小さい値になる。このセットのパック6つを使ったシールドをして、コモンのウーズを4枚、アンコモンを2枚、レアを1枚手に入れたとしよう。それらを組み合わせて楽しいウーズ・デッキを作るのだ――が、統計的に言って、そう巧くは行かない。それでもなお、このセットがウーズという部族を中心にしたものだというプレイテストをすることになる。デザイナーとしては、ただのネタでも一例として確認しなければならない。そうでなければ、基本的に真であるとは言えないものに基づいて判断を下してしまうことがありうるのだ。

 デザイナーも人間なので、特に感情的になったときには事例の確認において誤ることがある。一例を挙げるなら、昼/夜のメカニズム(後には両面カードで表されることになった闇の変身を表すために考えていた選択肢の1つ)がプレイテストで数週間長く残ってしまったのは、私がリチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldと行った対戦のせいだと考えている。最初、私はイニストラードで一番のお気に入りのマッチについて話そうと思っていた。そのマッチで使われていたメカニズムのほとんどが印刷まで至らなかったにもかかわらずだ。

 デザインの初期に、リチャードはゾンビのメカニズムを提示してきた。その詳細は覚えていないが、フレイバー的にはよかったものの多少複雑なものだった。そういうわけで、リチャードはゾンビをテストしたがったのだ。一方、私は昼/夜メカニズムにこだわっていたので、重い狼男デッキをプレイすることにした。

 昼/夜メカニズムを覚えてない諸君のために添えるなら(これについては「両面それぞれの物語」という、両面カードのデザインについての記事の中で語っている)、昼/夜に関する最初のカードが戦場に出ると、両面の昼/夜カードを、昼の面を上にして置く。カードに、何が起こるか書かれている。基本的には、プレイヤー1人が呪文を唱えるたびにマーカーが進み、3つ呪文を唱えると、昼から夜に変わるのだ。その後、また3つ呪文が唱えられると、昼/夜が交互に入れ替わる。参照しているカードは、昼か夜かによって変化するのだ。最初のデザインでは、夜の面でだけ変わるようになっていた。これはホラーの物語を再現するためだった。


ハンウィアーの災い》';" onmouseout="this.src='http://mtg-jp.com/reading/translated/img/20130703/mm253_innlight.jpg'; document.getElementById('card1').innerHTML= '《ハンウィアーの砦守り》';"/>
'《ハンウィアーの砦守り アート:Wayne Reynolds

 そして、そのマッチでは、私は狼男を、リチャードはゾンビをプレイしていた。ゾンビがゆっくりと陣営を整え、狼男は人になったり狼男になったりと強くなったり弱くなったりを繰り返すので、展開はとても面白かった。リチャードとマジックの対戦を楽しむ栄誉に預かったことのない諸君も、リチャードがトラッシュトークを好むだということは覚えておくべきだ。私もそうなので、ゲーム中は無駄話で一杯だった。

 第1ゲーム、リチャードはゾンビを出す。私は狼男を出す。リチャードに言わせると、「かわいい人間」を出したということになる。ちょっと待って、と言った私に、リチャードは「ゾンビは待たないのだー」と答えてきた。

 私は時間を進めるべく呪文を唱えていく。ようやく夜が訪れて、もうかわいいなんて言わせない。私が主導権を握って攻撃を始めると、リチャードは守勢に回るしかなかった。リチャードは次々と呪文を唱え、3つめの呪文を唱える時に言ったのだ。「ああ、日の光だ。ゾンビの攻撃がよく見えるよ。こいつらには昼も夜も関係ないんだ」

 局面は一進一退し、その間ずっと昼か夜かがゲームの流れを決めていた。ゾンビは日中に攻め寄せ、夜には追いやられるのだ。日中、リチャードのゾンビ軍団は戦力を整え、夜、私がゾンビ軍団を蹴散らしていく。再び日が昇るまでに打ち破れることを祈ってだ。

 このダイナミックなプレイは3ゲームともそうなり、私は満足していた。ゾンビはいかにもゾンビで、狼男はいかにも狼男だったのだ。昼/夜は決定的で、ゲームはとても面白かった。マッチの終わりに、この昼/夜のメカニズムに大満足だった、これこそ作りたかったものだと言ったのだ。

 結局の所、このマッチは例外で、一般的ではなかったので、昼/夜メカニズムは採用されなかった。しかし、このマッチのすばらしさはその決定を1ヶ月とまで言わなくても数週間は遅らせたと信じている。印刷されることのないマジックの切れ端の一部となる機会を得ることもまた、マジックをデザインすることの楽しみの1つなのだ。このマッチのことはいつも心に残っている。2−1で勝ったことも含めて。

ラヴニカへの回帰・ブロック

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 『ラヴニカへの回帰』のプレビュー第1週で、私は、後に『アヴァシンの帰還』になった大型セットが、『ラヴニカへの回帰』の前振りになる予定だったと書いた(イニストラードは2セットによるブロックになる予定だったのだ)。その中で、ブライアン・ティンスマン/Brian Tinsmanが、『闇の隆盛』の次の大型第3セットから始まる4/4/2/10の4セット・ブロックという発想を思いついたという話をした。この発想は後に6/4/10に、そしてその後で冬のセットを大型にするという私の示唆に基づいて5/5/10になったのだ。

 この、4/4/2/10というのは、一番最初にブライアンや私が思いついたものではない。我々は他にも様々な発想をブレインストーミングしていた。その中のいくつかを、ここで史上初公開しよう。

ラヴニカ・ブロックの第4セット

 『コールドスナップ』(旧ラヴニカ・ブロックの直後に発売された小型の夏のセット)をどういうものにするかを考えていたとき、ブレイディ・ドマーマス/Brady Dommermuthは第4のラヴニカのセットを作って10個のギルド全てを扱うという発想を出してきた。これが後のブライアンの4/4/2/10計画の元ネタになったのだと思う。

 なんにせよ、ラヴニカを再訪するという発想が始めて出てきたのは、『ラヴニカへの回帰』の直前に4つめのラヴニカのセットとして振る舞うセットを作る、というものだった。そのセットには旧ラヴニカ・ブロックの10個のメカニズム全てが入っており、前回登場したときのラヴニカがどんなものだったか思い出させる役割を果たすのだ。この発想がボツになったのは、時のらせん・ブロックの教訓からだった。10個のメカニズムの入った大型セットは、そのメカニズム全てを知っているならまだ大丈夫だが、旧ラヴニカ・ブロック当時にプレイしていなかった大多数のプレイヤーにとっては10個の新しいキーワードが入った大型セットなのだ。こんなのは例がないことだ。

中立状態のギルド

 次の発想は、ギルド・メカニズムを持たない10個のギルドを紹介する大型セットを作るというものだった。これはメカニズムが多すぎるという問題を回避し、そしてラヴニカへの回帰・ブロックで出てくる新しいメカニズムにも触れないというものだ。旧ラヴニカ・ブロックから(キーワードを持たない)大量の再録を入れて、各ギルドらしさを感じさせる新しいカードを追加するというものだった。

 この発想がボツになったのは、ラヴニカを再訪することの魅力は2色の金色カードが大量に登場することだとわかっていたからである。このセットのために作ることは、次のブロックの第1セットに取っておくべき魅力を逃がしてしまうことになる。


矢来の巨人》 アート:Greg Staples
ギルドのないラヴニカ

 次に我々は、ギルドパクトが失われてから再び結ばれるまでの時間を描いたセットにするという発想を掘り下げてみた。ギルドのない時期を表しているので、このセットには多色カードは入らない。これによって次のセットに影響を与えることはなくなる。問題は、このセットに特徴が無くなるということだった。キーワード・メカニズムはない、金色カードはない、ギルドが何なのか示すものもない。次のブロックの人気を奪わないためだけに、何の魅力もないセットを作ろうとしていたのだ。次のセットを魅力的にするためだけに、つまらないセットを作るようなものだ。

 結局の所、我々は直前のブロックの第3セットを予告編にするというのは何のメリットもないと気がついた。充分面白く、またギルドらしさを持たせたなら、その分だけラヴニカへの回帰・ブロックの魅力を減らしてしまう。ブライアンはここに至って、10月のセットを予告編ではなくブロックの第1セットにすべきだと方針転換したのだった。

そういうはなし

 今日はここまで。こういう形式が好きなら(あるいは嫌いなら)教えて欲しい。

 メール、掲示板、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+)で待っている。

 それではまた次回、基本セット2014のプレビューでお会いしよう。

 その日まで、語られることのない話をする機会があなたとともにありますように。

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