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Beyond the Basics -上級者への道-

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ライフの意義

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年3月9日

原文はこちら

 マジックというゲームは、20点のライフを持ってスタートする。対戦相手が唱えるいくつもの呪文やクリーチャーの軍勢がこちらのライフを減らそうと襲い掛かり、少しずつ0に近づけようと打撃を与えてくる。

 しかし減るばかりではないとしたら、どうなるだろうか?

 ライフ獲得手段の登場だ。

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 ライフの獲得には本能的な魅力がある。人間は、数字が増えることを好む――そして、銀行口座の預金、RPGゲームのキャラのレベル、あるいはマジックでの自分のライフ、いずれであっても、いつだってより多いほうがうれしい。

 しかしそれより重要なことだが、ライフは0になると負ける。であれば、そこから可能な限り離れたいと思うのは自然だ。ライフが20点ではなく42点になれば、対戦相手の勝利はより困難になるはずだ。

 本当だろうか? まあ、多分。あなたもプレイヤーとして、ライフ獲得に関してはいろいろと聞かされたことだろう。ライフを得ることは素晴らしいとか、ライフを得る効果は使えない、というような話を。どの話を信用すべきだろうか?

 まあ、どっちも、本当だ。

 いつもと同様、鍵となるのは情報を得ること、そして得られた情報から最善の方針を定めること、となる。始めよう!

それがあなたのライフ

 マジックを遊び始めたプレイヤーの多くは、すぐにライフ獲得効果を使いたがるようになる。なので、その後の結果として、ライフ獲得カードは少々の不名誉を被ることが多い。毎年新しいプレイヤーがデッキにライフ獲得カードを入れ、そのたびに経験豊富なプレイヤーがそれをデッキから抜くように薦めることで、この情報ループが発生している。

 それは実際、正しいことが多い。ライフをいくら得ても、それがゲームの勝ちにはつながらない、というところに問題があるからだ。

 ライフ獲得は敗北を防ぐ助けとなる――しかし負けないことと勝つことは、全くもって違う。

 一例として、《司祭の祈り/Chaplain's Blessing(SOI)》を唱えて5点のライフを得たとしよう。

 手札は1枚減ったが、戦場への影響は何もない。対戦相手の行動にも影響はない。そして、対戦相手がこちらのライフを0にするか否かの差が生まれない限りは――次のターンに同じことを繰り返せないので――ゲームにも影響はない。

 ちょっとした思考実験をしてみよう。なんでもクリーチャーを出せるとして、今は1マナ1/1を出してみよう。

 そのクリーチャーが、ライフ獲得呪文で得られるライフと同等のダメージをブロックで防げるとすれば、その時点ですでにライフ獲得呪文の実用性は疑わしい。さらに大きなダメージをブロックで防げるなら、そのクリーチャーは《司祭の祈り/Chaplain's Blessing(SOI)》よりも優秀なライフ獲得呪文だ!

 そして、重要なことだが、このクリーチャーには他にも数多くの機能が搭載されている! クリーチャーは攻撃が可能で、相手の攻撃を食い止めることもできるし、持っていれば能力も使える。一方でライフ獲得呪文は、1つのことしかできない。

 あるカードをデッキに入れるということはすなわち、他のカードを入れられない、という犠牲を伴っている。プレインズウォーカーのお気に入りとして手札に《司祭の祈り/Chaplain's Blessing(SOI)》が加わるとすれば、それはデッキに入れているということだ。しかし、そのデッキに採用できる別のカードの代わりに――より効果的に用いることが可能であろうカードの代わりに入っているんだ。

 仮に、5点の差で攻撃から1度生き残れるかどうかの違いが生まれる試合があったとしても、そうでない他の全ての無力な状況を正当化するためには、どのくらいの頻度でその試合に遭遇する必要があるだろうか? Gathererのランダムカードボタンで無作為に表示される色の合ったカードのほうがまだ、役に立つ状況に遭遇する可能性が高いだろう。たまに機能するというだけでは、役に立たない他の状況すべてでの無力を正当化することは難しい。

 そう、他のプレイヤーから言われた通り、ライフ獲得は使う価値がない。

 ......本当に?

素晴らしき哉、ライフ!

 それは誤りだ。

 マジックを始めたばかりのプレイヤーの多くは、ライフ獲得は弱い、と聞かされる。それにより、デッキを構築する際にライフ獲得を検討することが一切なくなり、実際に優秀なライフ獲得カードがあるにもかかわらずそれを過小評価してしまう。ライフ獲得カードの中には、驚くほどに強力なものもたくさんあるんだ。

 知っているクリーチャーが《熱心な士官候補生/Eager Cadet》だけなのに、「クリーチャーは弱いから、デッキに入れないほうがいいよ」と言うのは少々偏った意見だろう。それはただの1マナ1/1に過ぎない! ほかにも素晴らしいクリーチャーはいくらでもいる。

 同じことがライフ獲得にも言えるんだ。

 ライフ獲得カードを評価する時には、確認すべき要素がいくつかある。ライフ獲得を採用したいと思われる4つの主要な場面についてやっていこう。

1.単にライフを得る以上の成果がある

 目的に近づくための何かに、ライフ獲得効果が付随している場合、それは基本的に最高のライフ獲得カードだ。単にライフが得られるというだけではなく、複数の役割を果たしている。

 この分類にあてはまる典型的な例といえば、ライフ獲得効果を持つクリーチャーだ。

 これらのクリーチャーはそれ自身が攻撃やブロックに使えるところが素晴らしく、ライフ獲得は良いおまけだろう。ただの3マナ3/2をデッキに採用しようとは思わないだろうが、ライフ獲得と墓地から戻ってくるという能力が十分な価値を生み出している。

 呪文もまた同じだ。

 これらの呪文はまとまったライフを獲得できる上に、他のこともこなす。どちらも強力だ。両方ともリソース(訳注1)を与えてくれることに気づいただろうか。これはライフ獲得が相性の良い効果とセットになっている一例だ。

(訳注1:リソース/資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)

 相性の良い効果とは何だろうか? それは、カードを補充する効果だ。では、カードを補充するためにマナとターンを全て費やす時についてくる、嫌な問題とは何だろうか? それは、手に入れたリソースを使えるようになる前に死んでしまうことだ。ライフ獲得はその溝を埋め、素敵な呪文を展開するための時間を確保してくれる。

 ライフ獲得と同時にカードを引ける呪文がある。マナやターンは必要となるものの、手札が減らないため、ライフ獲得呪文の選択肢としては手堅い。何らかの別の効果が付随しているか、あるいは使うための準備が十分に手軽な場合、そのライフ獲得は良い選択となりうるだろう。

 ライフ獲得効果を持つ土地というものもある。土地はどのみち必要なものであり、その上でライフ獲得ができるとすれば、コストとして手札を費やさずに済むので――実質無料のようなものなので――適切な場合があるだろう。

 この分類は他よりもはるかに素晴らしく、ライフ獲得カードを探すならこの分類から探すのが最適だ。

2.特定のデッキ相手のために使う

 ある種のデッキと対戦する場合、勝つために必要な条件はとにかく長く生き延びるだけだ。そのような特定のデッキとの対戦においては、ライフ獲得は極めて有効な手段となる。

 《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》のような、本体のみに直接火力をたたきつけるシンプルなカードを中心に据えたバーン・デッキとの対戦を考えてみよう。相手のデッキの主なゲームプランは、火力呪文のためにすべてのカードをつぎ込んで、プレイヤーを可及的速やかに排除することだ。

 それなら、こちらは2ターン目に、8点のライフを得よう。

 1枚で相手のカード2、3枚分を無駄にするだけでなく、こちらの戦略を実行するのに十分な時間も確保できた。もちろん、長引けば他のライフ獲得呪文を引ける可能性が高まり、対戦相手は頭を抱えることになるだろう。

 本体火力を重視したデッキと対戦するとき、ライフ獲得カードは素晴らしいサイドボードとなりうる。クリーチャー重視の速攻デッキに対しても役に立つが、私としてはクリーチャーが相手なら除去呪文を使うか、こちらもクリーチャーを利用するほうが良いと思う。対戦相手が再利用可能なダメージ源を――例えばクリーチャーを――多用する場合、ライフ獲得はそれほど強くない。

3.大量にライフを獲得できる

 ライフ獲得を用いたい、と思えるほどにマナ・コストに対しての回復量が大きいカードがあるのは確かだ。もし白1マナで「あなたは100点のライフを得る。」というカードがあるなら、デッキのメインに採用するかどうか考えるだけの価値はあるだろう。

 まあ、そんなカードは明らかにおかしいが、十分に強力なライフ獲得カードというものが時おり登場する。大昔の2つの例を見てみよう。

 《砂の殉教者/Martyr of Sands(CSP)》は本当におかしい量のライフを獲得できる。2マナを用意し、これを出して生け贄にすることで、このコモン・カードから12点以上のライフを獲得できるのもよくあることだ(コモン・イベントってこと)。もちろん、それから《再誕の宣言/Proclamation of Rebirth(DIS)》を使って......うん、どこかで旧スタンダードの《砂の殉教者/Martyr of Sands(CSP)》同系対決がいまだに続いているかもね。

 《原野の脈動/Pulse of the Fields(DST)》は、適切に用いさえすれば、カードを消費することなく試合中に大量のライフを獲得し続けることができる。ほとんど攻撃しないデッキで使うなら、簡単にライフを20付近まで戻せるだろう。

4.ライフ獲得を利用したデッキを構築する

 ライフを大量に獲得することで報酬を与えてくれる類のカードには、色々と名の知れたものがある。それを中心にデッキを組むのは楽しく、捨てがたい選択肢だ!

 これらを使うなら、デッキにはもちろんライフを獲得する手段がいくつか必要になるだろう。ライフ獲得のためにカードを費やす行為が、さらにほかに何らかの成果をもたらすのであれば、必要なコストとしてより容認しやすくなる。

 ライフを得る行為に報酬が必要となる、という事実は意識すべきだ。ただライフを得るだけのデッキを「ライフゲイン・デッキ」と称しても、ほとんどうまくいくことは無いだろう。全ての時間とリソースをライフ獲得に費やすなら、対戦相手が負ける要素はほぼ無い。《フェリダーの君主/Felidar Sovereign(ZEN)》や《天使の協定/Angelic Accord(M14)》といった、ライフ獲得に意味を持たせるカードを入れておくことが重要だ。

それがライフだ

 マジックのあらゆる他の手段がそうであるように、目的を達成するための戦術にライフ獲得という手段を用いることが、正しい場合も間違っている場合もある。ライフ獲得とライフ喪失についての適切なバランスを保つことが、戦術の重要な鍵を握るだろう。

 ん、ライフを失う? ああ、それは今度の記事で扱おうと思う。

 それまでに、今回扱ったライフ獲得に関しての討論は終わらせてしまおうか。意見や感想があれば、ぜひとも聞かせてほしい! TwitterTumblr、あるいはBeyondBasicsMagic@gmail.comに英語でメールしてくれれば、いつでも拝見させてもらうよ。

 あなたのマジック・ライフが――そしてゲーム中のライフが――さらに充実することを願う。今回の内容を戦術に適用して、デッキを調整し、そして楽しもう!

 また来週会おう。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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