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Beyond the Basics -上級者への道-

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初めてのイベント

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年2月23日

原文はこちら

 マジックのイベントは、ゲームを最も楽しめる場所の1つだ。

 16年前、初めてイベントに参加するためにショップへ向かった時のことを覚えている。歩きながら、これからどんなことが起こるのか考えていたけど、全く想像できなかった。そのようなショップに行ったことは、ほとんどない。緊張で胃が締まる。通路を歩きながら、それでも私は、大きく深呼吸をして自分のカードをぎゅっと握りしめた。

 どんなことが起こるのだろう?

 結局のところ、心配するようなことは何もなかった。懸念はあっという間にすべて消え去り、私は大いに楽しんだ! マジックを遊び、ショップのイベントに参加しなければ出会えなかったであろう人々と交流した。それから私は毎週のようにショップへと通い続けるようになった。

 そして今日に至る。私の最高の友人や素敵な思い出の多くは、マジックのイベントに参加していたことがきっかけとなっている。深呼吸しながらショップへと向かい、その入り口をくぐらなければ、これらの体験は絶対に得られなかったかもしれない。

 とは言え、向かった先に何が待ち受けているのか、あらかじめ分かっていれば良かったのに、とも思う。

 マジックをたくさん遊んでいるものの、積極的にショップのイベントに参加したことがない読者もいるだろう。もしかしたら、イベントのことがなんとなく気になっていて、何を準備しておけばいいのか知りたい読者もいるかもしれない。あるいはマジックを始めたばかりで、初めてのイベントに参加しようとしているが、昔の私のように少し緊張している読者もいるだろうか。

 これが今日の記事の主題だ。ショップで開催されるマジック・イベントがどんな内容なのか、基本的なことについて説明するぞ!

 さて、先へと進む前に、物事には常に例外が存在する、という注意書きをしておかなければならないだろう。世界中の各ショップが実施しているすべての独自要素を説明するのは不可能だ。しかしショップで開催される数多くの、膨大なマジック・イベントのうちでも、フライデー・ナイト・マジックのようなものであれば大まかな説明が可能だろう。より具体的な情報が必要な場合は、通いたいショップに聞きにいってみるのが一番だ。

 それを踏まえて、次に行ってみよう!

フォーマット

 イベントに参加する前にまず知っておくべきことは、そのイベントのフォーマットが何か、ということだ。

 マジックには様々な遊び方がある。イベントごとにフォーマットが異なることで、それぞれ少しずつ違うプレイ感覚を楽しめるようになっているんだ。(「フォーマット - さまざまな遊び方」でそれらの内容を確認することができる。)

 ショップで行われるイベントのほとんどは、スタンダードか、ブースタードラフトか、シールドデッキだろう。そのイベントが何のフォーマットで開催されるかで、参加するかどうかを決めることになるはずだ。

 スタンダードは直近2年間に登場したカードだけが使用可能なフォーマットだ。(現在どのカードセットが使えるのかについては「スタンダード」の項目で確認できる。)デッキをスタンダードに合わせてみよう。デッキのカードをすべて調べて、それらがどれもスタンダードで使えるものかどうか確認すればいい。比較的最近にマジックを始めて、最近出たセットのカードを手に入れたばかりなら、デッキのカードはすべてスタンダードで使えるはずだ――確認するに越したことはないけれどもね。

 一方で、ブースタードラフトやシールドデッキは、デッキを用意せずに遊ぶイベントとして親しまれているフォーマットだ。デッキを持ち込む代わりに、いくつかのブースターパックを受け取り、その場でデッキを構築する。

 シールドデッキでは、6パックを開封して、そのカード(と自由に追加できる基本土地)で40枚以上のデッキを構築する。とっても簡単だ。このフォーマットの詳しい内容については「シールドデッキ」の項目を確認しよう。

 ブースタードラフトは、他のプレイヤーとともに(通常は合計8人になるように)テーブルに座り、一人当たり3つのブースターパックを使う。自分のパックを1つ開封し、自分のカードプール(訳注1)に加えたいカードをその中から1枚選び、残りを伏せて左側のプレイヤーに渡す。次は右側から渡ってきた束から1枚選び、残りを伏せて左側に渡す。無くなったら次のパックだ。2パック目は右側に渡し、3パック目はまた左側に渡す。最終的にすべてのパックのすべてのカードがプレイヤーのカードプールに加わるまでこれを繰り返し、カードプールに加えた自分のカードでデッキを構築する。詳しくは「ブースタードラフト」で確認だ。

(訳注1:カードプール/デッキを構築する時に使用可能なカード群)

 ドラフト中の作法だが、自分が取っているカードの内容について話してはいけない。パックを開封して《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AER)》が出てきたら、「テゼレットが出やがった、イェーイ!」と叫びたくなるかもしれないが、束に何があるのか、どれをカードプールに加えるのかという情報を明らかにしてしまうと、他のプレイヤーの判断がよろしくない(非合法な)方法で捻じ曲げられてしまう。実際にゲームが始まるまでは、勝利の雄叫びを抑えよう。

 シールドデッキやブースタードラフトといったリミテッド環境は、誰もが同じ条件で対戦の場に臨むフォーマットだ。まだ自分のデッキが出来ていなくても、いつでも楽しめる素晴らしいイベントだ――それに、新しい素敵なカードも手に入るだろうしね。

 遊びに行こうと思っているショップがどんなフォーマットのイベントを開催しているかわからない場合は、そのショップのウェブサイトを調べたり、電話で聞いてみたりできるだろう。あるいは、店舗・イベント検索というイベント検索用の素晴らしいページがある。遊びたいフォーマットと、遊べるショップの両方を検索可能だ。

 フライデー・ナイト・マジックのようなイベントに行く場合は、複数のフォーマットで開催しているショップもあるので、それも覚えておくといいだろう。

 よし、行くショップと遊ぶフォーマットは選んだ。必要と思われるものを準備して、実際に町に繰り出してショップに入る――次は?

ショップで

 ショップに着いたら、まずイベントの参加用紙に名前を書こう! この手順は見逃してしまいがちだが、重要なことだ。ショップのイベント主催者がプレイヤーをイベントに登録して、他の対戦相手と組み合わせるために必要だからね。

 店員や店主に、イベントに参加したい旨を伝えよう。無料でスタンダード・イベントを開催している店舗もあるかもしれないが、通常はイベントの参加費をいくらか支払う必要がある。参加費は、景品や(ブースタードラフトやシールドなら)パック代、そしてイベントを滞りなく運営するために必要とされる。そのあと、おそらくあなたにとって不可解であろう質問をされるはずだ。「あなたのDCIナンバーは何ですか?」と。

 DCIナンバーは、そのプレイヤーのプレイ記録を登録し確認できるようにするため、プレイヤーごとに設定されることになる番号だ。参加したすべてのイベントを確認できるので、役に立つだろう。私自身の記録なら、16年前の初めて参加したイベントを見て、どのように、誰を相手にプレイしたかを正確に確認できる!(ちょっとノスタルジックな気分かな。)そしてショップにとっては、あなたをショップのソフトウェアに登録できることが重要だ。これまでに公認イベントに参加したことがない人は、自分のDCIナンバーを持っていないかもしれないが、取得するのに手間はかからない。accounts.wizards.comでプレイヤー登録をするだけだ! それで万事解決さ。ショップに入る前に登録しておくこともできる。

 よし、参加受付を済ませれば、準備OKだ。店内を見物しながら、イベントが始まるのを待つのみとなる。他のプレイヤーとのフリープレイを楽しむには絶好の機会だし、リラックスして待つのもいいだろう。そして、イベントが始まる。

 さて、ブースタードラフトやシールドデッキに参加した場合は、パックから自分のデッキを作る段階に入る。参加したのがスタンダード・イベントだったなら、対戦席に向かうことになるだろう。いずれにせよ、1ラウンド目が始まる。

 ......ええと、「ラウンド」ってのは何のことだろう?

ようこそ1ラウンド目へ

 マジックのイベントのほとんどは、「スイス式」という運営方法で開催されている。これはイベントでの対戦が、決められた回戦繰り返されるということだ。負けたら終わりのシングル・エリミネーション(トーナメント式)ではない。この違いは重要だ。最後まで遊び続けられるイベントなのに、1ラウンド目(第1回戦)で負けた後、気づかずにそのまま帰ってしまうプレイヤーを大勢見てきた!

 もちろん、ショップでイベントの運営方法を確認しておいたほうがいい。時にはドラフトがシングル・エリミネーションで行われるようなこともあるとは思うが、基本的にはスイス式のイベントが多いだろう。スイス式のイベントに参加すれば、勝敗にかかわらずイベントのすべてのラウンドで対戦を楽しめる。通常、ショップでのイベントは、3ラウンドから5ラウンドだと思うが、イベントの種類によって多少の差異があるだろう。

 ああ、スイス式はいいねえ。

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 1ラウンドはどのように進行するのだろうか? 相手1人との1度の試合を1マッチと呼ぶが、ラウンドごとに、そのマッチの中で最大3ゲームの対戦を行うことになる。対戦テーブルに別の参加者と向かい合って着席し、少なくとも2回、あるいは3回、ゲームをプレイする。

 ラウンドの対戦席と相手は、トーナメント主催者が口頭で発表するか、あるいはペアリングシートと呼ばれる組み合わせを記した用紙を掲示してくれる。用紙を見たときに、自分の名前の反対側に書かれているのが対戦相手だ! ショップによってはテーブルの位置ごとに番号を割り振っているので、自分が指定されたテーブル番号と、対戦相手の名前を確認しておこう。

 席に着いたら、対戦相手との会話を楽しもう! ゲームの開始前にデッキをシャッフルしている間は、その人のマジック経験について聞いたり知ったりするいい機会だ。

 さて、マッチでは何をすべきだろうか? いくつか確認していこう。

 とりあえずは、自分のデッキをシャッフルした後、相手にシャッフルしてもらうために自分のデッキを相手に提示しなければならない。これはイベントでの作法であり、あなたも相手のデッキをシャッフルする必要がある。これは失礼なことでも、相手がいかさまを使うと考えている現れでもない。実際、デッキを積み込んでいるプレイヤーに出会う可能性はまずありえない。対戦相手のデッキをシャッフルすることは良い習慣であり、イベント規定でもある。

 シャッフルが終わったら次は? ゲームを始めよう!

 そして1ゲーム目が終わったら、サイドボードに取り掛かるタイミングが用意されている。

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 いや、サイドボードといっても食器棚の類じゃないよ。マジックのサイドボードだ!

 ブースタードラフトやシールドデッキでは、カードプールに加えたカードのうち、メインデッキに入れなかったものすべてがサイドボード用のカードになる。スタンダードの場合は、イベント参加時までに自分で15枚のカードをサイドボード用としてあらかじめ用意しておく。これは相手に対してもっと有利になるよう、デッキ内容を変更するためのものだ(訳注2)。例えば、対戦相手がアーティファクトを数多く展開してきた場合、サイドボードに用意しておいたアーティファクトに対処できるカードをデッキへと入れることができる。

(訳注2:サイドボードを使用する場合、マッチが終わったら、次のラウンドが始まる前にデッキとサイドボードの中身を最初の状態に戻しておく必要があります。)

 マッチが終わったら、次のラウンドが始まるのを待とう。先ほどと同様、他のプレイヤーと交流したり、フリープレイを行ったり、店のルールに従ってトレードしたり、リラックスしたり......いろいろなことができる素晴らしい機会だ。次のラウンドが始まるときは、イベント主催者がアナウンスしてくれる。

 イベント途中で退出する必要に迫られた場合は、イベント主催者にイベントを棄権することを必ず伝えよう。最後までイベントを楽しめるのが一番だが、時には不測の事態から退席しなければならなくなる状況もある。

 こんなところかな。それと、大事なことが他に3つある。

 まず1つ目は単純なことから。ライフの記録は、紙とペンで行うことをお勧めする。家で遊ぶ時などでは20面体のスピンダウン・ライフカウンターのようなものを使ってライフを数えることに慣れているかもしれないが、紙とペンは私も愛用し続けている、素晴らしく驚異的なライフ記録方法だ。

 実際のところ、イベントで対戦相手のライフも紙とペンで記録できるというのは素晴らしい。対戦相手に毎回尋ねる必要がない。それに、《過酷な精査/Harsh Scrutiny(KLD)》を使った時などに覚えた対戦相手の手札なども、必要ならメモしておくことができる。お互いのライフ記録が食い違った場合、紙とペンならライフの推移を遡って確認できるところも素晴らしいね。さいころは、何かがぶつかると簡単に転がってしまうし、推移を確認できないんだ。

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 2つ目だ。マッチ中に相手と話が食い違うようなことがあれば、どんなことでも常にジャッジを呼ぶ、ということを徹底してほしい。手を挙げて、「ジャッジ」と呼べば、誰かが役目を果たしに来てくれる。

 ジャッジを呼ぶことが、対戦相手を侮辱しているだとか、いかさまの疑いをかけている態度の現れだとか、呼ぶ者の至らなさを示している、などということは全くもって絶対にない。ジャッジを呼ぶのは、ただただ良い行いだ。マジックには、イベント中に発生する厄介な相互作用や異常な状況というものがいろいろとある。

 例えば、対戦相手のクリーチャーが呪禁持ちだと気づかずに、《ショック/Shock(AER)》の対象に取ってしまったとしよう。そして、どちらのプレイヤーもそれに気づかず、ターンが進行してしまった。自宅で遊んでいる時なら、お互いに話し合ってどうするか決めるだろう。しかし、イベントでは、裁定の判断決定をジャッジに委ねる必要がある。そうすれば、どうすべきかを知っている人物が、公平かつ公正に判断してくれる。

 それから最後の3つ目、イベントで難問となるもう一つの重要な要素について。自宅で遊ぶ時とは異なり、マジックのイベントでは適切な速度でマッチを終了させなければならない。そのラウンドが終わらなければ、次のラウンドを始められないからだ。つまり、試合時間が定められている。いや、心配しなくてもいいよ。普通は時間切れになったりしない。50分はマッチを終わらせるのに十分な時間だろう。

 イベントでは、マッチの勝者が決まらないうちに制限時間が来たら、2人合わせてもう5ターンだけゲームを続ける。追加の5ターン目が終了するところまで進んだら、マッチの結果をジャッジが確認するだろう。ゲームの勝利数の多いほうが、マッチの勝利者となる。あるいは、1ゲームに時間がかかった結果、ゲーム勝利数が1勝同士で終わったなら、マッチは引き分けとなる。特にスイス・ペアリング方式のイベントの場合、ライフの多寡やゲームの状況などは判断に影響しない

 引き分けにはどんな意味が? ああ、親愛なる読者諸君、そのまま次へと進んでくれたまえ!

対戦結果

 スイス式での得点の数え方は、とてもわかりやすい。マッチに勝てば3点、マッチが引き分けなら1点、負けたら0点だ。2マッチ勝って2マッチ負けたら、6点を獲得したことになる。

 ショップは基本的に、最終的な順位、あるいは獲得したポイントが一定以上だったら、などのような個人の成績に応じて賞品を配るだろう。賞品の配布基準については、あらかじめイベント開始時などにイベント主催者に確認することもできる。

 イベントによっては、「トップ8」を決める場合がある。つまり、スイスラウンドをすべて終了した後、上位8名が選出され、さらなる賞品と栄光を求めてシングル・エリミネーション・トーナメントで勝負するということだ。トップ8に残ったのなら、おめでとう! 最後まで楽しんでくれ! しかし残れなかった場合は、あなたのイベントは終了し、賞品があればもらった後、自由となる。その場にとどまる必要はない。(とは言え、その場に残っていても全然問題ない。勝ち残った実力者のプレイを観戦するのは、もっといいかもね!)

イベントに参加する好機だ!

 初めてショップのイベントに参加する、心の準備の助けとなったのなら本当にうれしい。ショップのイベントに参加しようと思ったことがないのなら、一考してみることをぜひともお勧めするよ。

 困ったら、他のプレイヤーに気軽に尋ねてみよう! マジックプレイヤーは基本的に、他のプレイヤーと仲良くしたいと思っている。ショップに入って、次にどうすればいいかわからなくなったら、相談に乗ってもらおう。誰でも最初は初心者なんだ。

 今回の話は役に立ったかな? こういう記事をもっと読みたいだろうか? グランプリのような大型イベントに初めて参加する場合についてのコラムがあれば、有用だろうか? 聞かせてほしい! TwitterTumblrで質問や意見を送ってもらえたり、あるいはBeyondBasicsMagic@gmail.comに(済まないが英語で)メールしてもらえるとうれしいな。

 また来週会おう。それまでのあなたの任務は、参加できるショップを調べて、イベントを楽しむことだ! 体験してみて、どうだったか教えてほしい。

 次回をお楽しみに。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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