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戦略記事

Beyond the Basics -上級者への道-

カラデシュ自動車学校

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カラデシュ自動車学校

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2016年10月6日


 『カラデシュ』で機体を乗り回すための免許を取得したことはあるかな? プレリリースから今までに、2週間前の「Beyond the Basics -上級者への道-」で扱ったような、製造に関する困難な意思決定を行ってきたり、大量のエネルギー・カウンターをため込んだり、はたまた不思議なアーティファクトや発明品を使いこなしたりしてきたことだろう。

 そして、間違いなく、何らかの機体を試運転する機会も得ていたんじゃないかな。

 機体は、『カラデシュ』で初めて登場したアーティファクトの新しい種類であり、なおかつ今までのどんなものともプレイ感覚が違ったものになっている。この訪れたばかりの『カラデシュ』世界において、機体をいつ、どのように用いるべきかを知ることは、極めて重要なことだ。

 それでこの質問というわけだ......『カラデシュ』での運転免許証を持っているかな?

 もし免許を持っていないなら、『カラデシュ』で利用されている多種多様な機体の操縦業務をこなせるように、運転教育授業を受講してもらおう。その中で、絶対に覚えてもらいたい重要な戦術をいくつか伝授するつもりだ。さあやっていくぞ!

1.搭乗人員数を意識した構築

 よし、ではデッキ構築から始めよう。(あるいは、あなたがリミテッド・プレイヤーであれば、ドラフトし始めるところをイメージしてくれ。)機体を動かすためのカードを選択するときに意識しておきたいことは、機体を動かすために必要なクリーチャーの質をどうやって確保するかだ。理想を言えば、1つの機体に搭乗するときにクリーチャーをタップする枚数は少ないほうがいいし、機体を動かすために用いたクリーチャーのパワーを「無駄」にもしたくない。

 例えば、この愛らしい《耕作者の荷馬車》を題材に考えてみよう。

 あなたはマナ・カーブ(訳注:マナ域ごとの枚数をグラフにすることで見える曲線)を前に寄せた、積極的な白のデッキの構築を目指している。パワー2のクリーチャーとパワー3のクリーチャーのどちらを選ぼうか考えているのだが、この2体のクリーチャーはそれぞれ違う能力を持っているため、どちらを選ぶか悩んでいるところだ。

 そこなんだが、パワー3のクリーチャーには隠された能力がある。機体に搭乗する能力だ! この車(いや、荷馬車か)を運転するためにパワー2のクリーチャーを2体タップさせた場合、パワーの一部が「無駄」になってしまう。搭乗に必要な数字と等しいパワーを用意できるとしても、2体以上のクリーチャーをタップするよりは1体で済ませたいはずだ。ブロックに使えるクリーチャーは、基本的に多いほうがいいからね。

 ブースタードラフト環境では、ドラフトの最中にも同じことが言える。デッキ用に搭乗3の機体を複数手に入れているなら、搭乗しやすくするために《信頼できる仲間》のようなパワー3のクリーチャーを優先して手に入れたいはずだ。

 もちろん、考慮できる要素は他にいくつもある。それでも、機体に搭乗させにくいカードの採用は避けるべきだ。そうすれば、機体に搭乗するための隠された能力が素晴らしい結果を生むだろう。

2.機体は普段はクリーチャーではない

 ああ、これについてはおそらく知ってはいるだろう。しかしデッキ構築の際にこの要素をどう扱えばいいだろうか? 機体は何扱いとして数えているかな?

 これは実際、ちょっとした問題だ。機体はクリーチャーになることもあるが、普段はクリーチャーではない。リミテッドでデッキを構築するとき、これはクリーチャーに数えるべきか否か? 半クリーチャー? どうしたものやら。

 まあ、経験則から言えば、デッキに機体を一定以上採用するとき、それから搭乗に必要なパワーが高い機体については、クリーチャーとして数えないほうがいいだろう。

 その理由について説明しよう。最初に出した機体については、おそらくクリーチャーになれる可能性が最も高い。搭乗が可能なクリーチャーがいれば、搭乗してクリーチャーになれる。戦場に機体ばかり並んだとしても、それらを(搭乗された機体で次の機体に搭乗することで)一斉に動かすための起点として意味を持つだろう。機体しかなくて他にクリーチャーがいないときだけは、どの機体もクリーチャーになれないけれどもね。

 それに加えて、機体の持つ搭乗の数字が高い場合、搭乗しにくかったり、複数のクリーチャーがいなければ搭乗できなかったりする。この2枚を比較してみよう。

 《航空艇》はほとんどのクリーチャーで搭乗できる。一方で《破砕踏歩機》は、搭乗するために複数のクリーチャーを必要とするだろう。

 さらに、機体に搭乗することがどんなに簡単であっても、搭乗するには最低でも1体以上のクリーチャーをタップする必要がある――つまり、利用できるクリーチャーが1体減るということだ。

 ここまでの話を総合すると、機体の数え方は端的に言って「状況次第」ということになる。だがもう少し具体的なアドバイスをしよう。基本的にリミテッドの場合は、搭乗の数字が小さい機体2枚までは、クリーチャーとして数えてもいいだろう。3枚目以降は、「半クリーチャー」として計上する。

 構築環境では、機体を意識したデッキ構築をしなければならない。仮に機体を8体以上入れて構築しようとするなら、それらをその枚数採用できるだけの理由が必須となるだろう。なぜなら、機体を複数引いてしまった場合に、できることがほとんどない状態に陥る可能性があるからだ。例えば、前述の《耕作者の荷馬車》のように、他の能力を持っているというのも理由になる。基本的には、構築ではデッキに4枚から6枚の機体を採用するのが適正だと思う。例外もあるが、ほとんどの攻撃的なデッキとは相性が良いだろう。

 とはいえ、それは構築次第だ。重要なのは、機体にどの程度搭乗できるか注意を払うこと......そしてやり過ぎていないか確認することだ。

 もちろん、ハンドル操作を誤ったとしても、それまでの経験があれば次の機体をうまく乗りこなせるようになるだろう。それと関連してくるのが......

3.まず機体で相打ちを取る

 対戦相手が《真鍮の災い魔》でこちらに攻撃してきたとしよう。

 どちらも手札を持っていないが、こちらのライフは残り少ないので、ブロックしなければならない状況だ。《鎧作りの審判者》か、それで搭乗が可能な《改革派の貨物車》の、どちらかでブロックできる。

 どちらでブロックしようか?

 まあ、この項目のタイトルを見て分かっているとは思うが、私なら搭乗して《改革派の貨物車》でブロックする。それにはいくつかの理由がある。

 最大の理由としては、機体が強力なクリーチャーであることに間違いはないが、それでも常にクリーチャー化できるという保証はない、という点が挙げられる。《改革派の貨物車》で相打ちを取れば、次のターンに《鎧作りの審判者》で攻撃できるかもしれない。しかし《鎧作りの審判者》で相打ちを取ってしまうと、次のターンに搭乗できるクリーチャーを引けないかぎり、攻撃の機会はない。

 よしんばクリーチャーを引けるとしても、ライフが少ない局面においては、クリーチャー1体と機体1つよりはクリーチャー2体のほうがおそらく安全だろう。攻防のどちらにおいてもより良い選択肢が得られる。例えば片方で攻撃して、もう片方をブロックに残すこともできるし、両方で攻撃したり、両方ブロックに残すことも可能だ。

 加えて、デッキに多くの機体を採用していたとしたら、この状況で機体を2つ抱える羽目にはなりたくないだろう。

 もう少し規模の大きい戦局へと話を展開してみよう。あなたは今クリーチャーを4体、そしてそのうちのどれか1体があれば搭乗できる機体を1つコントロールしている。この状況では、攻撃や防御に使えるクリーチャーは4体いることになる。機体を使わずに相打ちを取ると、クリーチャーとして使えるのは3体になる。逆に機体を使って相打ちを取ると、クリーチャーは4体のままだ。

 さて、この状況では、機体で相打ちを取ることが正しいとは限らない。仮に今の状況で対戦相手のライフが5だとすれば、《改革派の貨物車》は絶対に残しておきたい! あるいは、複雑な戦況を突破するために、大きな機体を残しておきたい場合がある。または、デッキが機体の利点を生かせるように組まれているなら、機体を残したほうがいいかもしれない。このように、機体を残したほうが良い状況は他にも色々と考えられる。しかし、基本的な経験則の話としては、まず機体で相打ちを取ったほうがいいだろう。

 つまりは、先のターンのことを考えておこう、ということだ。そして、それについてだが......

4.先を読む

 あなたが実際に車を運転するときには、危険な状況にならないように、状況を先読みしているはずだ。マジックで機体を運転するときにも同じことが言える。

 マジックをプレイする場合は常に先を読もうとするものだが、機体はその先読みが必須だ。搭乗するためにクリーチャーをタップすると、次のターンでどういう状況になるだろうか? 機体で身を守るためにはどのクリーチャーを残しておいたほうがいいだろうか? 対戦相手はこちらのターン終了時に、搭乗のためのクリーチャーに《チャンドラの螺旋炎》を撃って除去してくるだろうか?

 攻撃するために機体に搭乗してから、機体で相手のクリーチャーをブロックするためにそれらを残しておいたほうが良かった、とすぐさま気づく......そんなことが何度あったことやら。単純なことではあるが、見過ごしてしまうことはよくあるんだ。

 機体を扱っているときは、自分のターンと相手のターンの戦闘がどう展開するかについて、あらゆる状況を考え抜こう。

 自分が攻撃する状況にあるのか、それとも防御に回る状況にあるのかを理解していれば、機体は大いに役立つ。機体を扱うにはどうしても大がかりなリソース(訳注:資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)の提供が必要となる。積極的に攻撃できる状況であれば、クリーチャーを出してそれで機体に搭乗して攻撃を仕掛ければよい。防御に回るべき状況であれば、ブロックや搭乗のためにクリーチャーをアンタップ状態で残しておきたい。状況を見極められるようになるまでには、数多くの経験が必要になるだろう。

乗りこなすために

 今やあなたは『カラデシュ』での運転免許証を――あるいは最低でも仮免を――得ているはずだ。『カラデシュ』の世界へと出発して機体を乗りこなそう!

 この記事で扱った内容は、あなたが体験するであろう機体に関する複雑な相互作用のさわりに過ぎず、細かい差異が影響する状況にも遭遇するだろう。しかしながら、今回の内容はそれらを扱うための良き土台となるはずだ。どのように生かしたか、話を聞けることを期待しているよ!

 何らかの思い付きや意見があれば、いつでも私にTwitterで伝えたり、Tumblrで質問することができる。それ以外にも、気軽にBeyondBasicsMagic@gmail.comまでメールしてくれてもかまわないよ(英語で)。

 次に会う時まで、あなたが使う機体すべてに乗組員が搭乗しますように!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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