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対策カードを作る理由

Melissa DeTora / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年9月8日

原文はこちら

 こんにちは! 今回はわたしたちが時々「ヘイトベアー」と呼ぶ対策カードの一種を紹介します。ですが実際にそのカードを紹介する前に、対策カードとは何か、そしてなぜそれを作るのかについてお話しします。

 対策カードとは特定の戦略と戦う役割のカードのことです。明確に1つのデッキ、単一の戦略、もしくは1枚のカードだけを狙ったものです。幅広いデッキに対して強いカードが存在しますが、それは対策カードには分類されません。対策カードは1つのものを狙っています。これらは一般に単体で見ると全く強くありませんが、倒そうとする戦略に対しては、対策カードはものすごく強くなりえます。

 例として《紅蓮地獄》と《Tivadar's Crusade》を見てみましょう。これらのカードはどちらもゴブリンに対して有効ですが、わたしは《紅蓮地獄》を対策カードとは呼びません。《紅蓮地獄》は小型クリーチャーに対して強力です。これはゴブリンを含む黒単ゾンビ、エルフ、マーフォークのような他のあらゆるアグロ戦略に対して素晴らしく効きます。《紅蓮地獄》は《ゴブリンのうすのろ》や2体並んだ《ゴブリンの酋長》に対しては全く効果的ではありませんが、それでも幅広いデッキに対して強力です。

 《Tivadar's Crusade》はゴブリンに対して本当に強力です。戦場にいる全てのゴブリンを大きさに関係なく破壊します。しかし《Tivadar's Crusade》はゴブリンに対してだけ強力で、その他の全てに対しては悲惨です。もしあなたがヴィンテージやレガシーや統率者戦でゴブリンをプレイする友達を本当に倒したいのなら、《Tivadar's Crusade》をデッキに入れたいと思うでしょう。《Tivadar's Crusade》が他のクリーチャーに対して何かすることは期待しないでください。《Tivadar's Crusade》は明確にゴブリンを狙っていて、ゴブリンではないデッキに対しては弱いので、対策カードなのです。

 わたしたちがフューチャー・フューチャー・リーグのニーズを満たすカードをデザインするとき、時々特定のデッキを狙った対策カードをデザインします。単一の戦略がわたしたちがこうなると考えたよりも強い、もしくはより支配的であることはありえます。その場合、特にそのカードやデッキを変更できない場合、その環境にそのカードやデッキに「対策し切る」カードを加えます。

 もう1つのタイプの対策カードは、《Tivadar's Crusade》のような狙いを絞った対策カードから1段階下がったものであり、わたしたちがはるかに多く作るタイプのカードです。これらのタイプのカードをわたしは「安全装置」と呼んでいます。これらは特定のデッキやカードを狙ってはいませんが、その代わりに幅広い戦略に対して、それらのうち1つ以上が手に負えなくなった場合の安全弁として機能します。

 例えば、『破滅の刻』の《厳粛》はエネルギーや+1/+1カウンターに対しての安全装置です。現実世界でこれらの戦略がどれだけ強くなるかはわたしたちにははっきりとは分かりませんでしたが、プレイヤーがそれらのデッキを明確に狙い撃ちするものが欲しい場合の選択肢を持たせたいと考えました。

 さて対策カードのタイプについて説明してきたわけですが、「ヘイトベアー」とは何なのでしょうか? ヘイトベアーとはクリーチャーに付属した対策カードです。多くのヘイトベアーは2マナ2/2である《灰色熊》のサイズに能力が付属していて、それが名前の由来です。

 しかしヘイトベアーになるためには2マナ2/2でなくてはいけないというわけではありません。開発部では、その数字に関係なく、何かに対策し切る目的で能力がつけられたクリーチャーをヘイトベアーと呼ぶことが多いのです。

 今回のプレビュー・カードは、狙いを定めた対策カードと安全装置の両方の一例です。

 《暴れ回るフェロキドン》はさまざまなコンボ・デッキに対策し切る2つの文章を持っています。

 特に古いフォーマットの多くのコンボデッキでは、適切なカードを集めると「無限」ができます。これらの無限コンボは、無限ライフを得るか無限のクリーチャー・トークンを生成することがあります。このカードはそれらのデッキに対しての安全装置として機能します。

 たとえ対戦相手がこのカードに対する回答を持っていたとしても、相手が勝とうとするならその回答を必ず持っていなければならず、あなたは相手のコンボに対するさらなる回答を探したり、ゲームに勝ったりするための十分な時間稼ぎができます。

 スタンダードにも無限コンボは存在します。それらのコンボはモダンのような古いフォーマットのものほど強さや安定性はありませんが、このカードの存在はそれらのコンボ・デッキを抑制します。サイドボードにこれのような選択肢があることは、メタゲームがこれを必要とするようになった場合ものすごく便利です。

 そのようなデッキが相手でなくても、《暴れ回るフェロキドン》は幅広いデッキに対して多くの仕事ができます。たとえば、このカードはアグロ・デッキに対して有効です。相手は3/3威迫の恐竜と殴り合う間に、クリーチャーをプレイするたびに徐々にダメージを受けていきます。対戦相手が常に圧力を受けているなら巻き返すのは困難でしょう。相手のライフがとても低くなれば、クリーチャーを戦場に加えることにリスクが生じます。

 この「ライフを得られない」能力は、ライフ獲得がわたしたちの予想よりも強くなった場合の備えての安全装置です。『イクサラン』の吸血鬼にはたくさんのライフ獲得があり、このカードはそれに対する素晴らしい回答です。加えて、将来どんな強力な絆魂クリーチャーが出てくるか分からないので、この選択肢がスタンダードにあることは役に立つかもしれません。

 これらの能力を、エンチャントやアーティファクトのようなものでなく、クリーチャーにつける合理性は2つあります。

 1つは、これは脅威なので、これの能力が役に立たない相手に対してもアグロやミッドレンジ・デッキのマナ・カーブの穴埋めとして3/3をプレイできます。

 2つ目は、これはクリーチャーなので対処が容易です。人々はメタゲームで必要にならなければアーティファクトやエンチャント除去をプレイしない傾向にありますが、クリーチャー除去はどこにでもあります。対策カードを除去できることは双方のプレイヤーにとってゲームプレイを楽しくし、そしてそのゲームは「自分の対策カードを引いたかどうか」のミニゲームではなく、お互いのやり取りで決まるようになります。

 わたしは《暴れ回るフェロキドン》がスタンダードで何をするかを見ることになって興奮しています。読んでくれてありがとう、そして残りの『イクサラン』プレビューを楽しんでください!

 それではまた次回。

メリッサ・デトラ (@MelissaDeTora)

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