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2017.02.23

ゲートウォッチの歩み 第1回:ゲートウォッチ概要

by Mayuko Wakatsuki

 はじめまして、こんにちは。このたび背景ストーリーについての短期集中連載を書かせて頂くことになりました、若月と申します。

 盤面ではいつも私達の頼もしい味方(もしくは憎たらしい敵)になってくれるプレインズウォーカー。彼らそれぞれに個性と、そこまでに歩んできた人生があります。そして彼らのチーム「ゲートウォッチ」がストーリー上で結成されて一年が経ちました。『アモンケット』の物語が始まる前にゲートウォッチの基礎知識と、彼らの動向についておさらいしておきましょう!


ゲートウォッチとは?

 現在のマジックの物語において中核を成すのが「ゲートウォッチ」。それはプレインズウォーカーたちのチームです。それもただの友情関係ではなく、「誓い」で繋がった仲間たちです。彼らの目的は、他の誰にも対処できないような脅威から、多元宇宙の人々を守ること。『ローウィン』にてプレインズウォーカー・カードが登場してから今年で10年(!)になりますが、ここまで多くのプレインズウォーカーが結託して一つの目的に立ち向かう、という展開は長いことありませんでした。昔からのプレイヤーでしたら、かつてドミナリアにてファイレクシアの侵略に立ち向かったプレインズウォーカー9人のチーム「ナイン・タイタンズ」を覚えているかもしれませんね。

 ゲートウォッチの創設メンバーはギデオン・ジュラ、ニッサ・レヴェイン、ジェイス・ベレレン、チャンドラ・ナラーの4人です。

 後にイニストラード次元にてリリアナ・ヴェスが、カラデシュ次元にて黄金のたてがみのアジャニが加わりました。こうして2017年2月現在、ゲートウォッチは6人のチームとなっています。

 強大な力を持つプレインズウォーカーがチームを組む必要性があるの? そもそもチームを組めるような性格の奴らなの? という疑問を持つ人もいるかと思います。確かにかつてプレインズウォーカーは不老不死、全知全能と言っていい存在でした。ですがそれは遠い昔のこと。ここで細かい話は省略しますが「大修復/Mending」という多元宇宙規模の出来事によってプレインズウォーカーの性質が変化し、彼らはどこにでもいる人々と大差ない存在となりました......「他の次元へと自由に移動できる」力を除いて。

 大差ない、ですが一つの世界に縛られないというその特性は、とても大きな可能性を彼らに与えてくれます。それは一つの世界にいては決して学べない技術や知識であったり、価値観であったり。そんな彼らだからこそ、一つの世界にいては決してできない、より善きことをする......プレインズウォーカーの素質、「灯」を持つ者には、それができるのです。とはいえ、いくらプレインズウォーカーでも一人では次元規模の脅威に立ち向かうことはできません。けれど力を合わせたなら。「世界にすら縛られない」こともあってか、これまでプレインズウォーカーはあまり群れることはありませんでした。そんな彼らが力を合わせようと決意した、それだけでも十分に大きな出来事です。

 そしてゲートウォッチ加入にあたっては「誓い」を立てることになっています。最初の4人がそう規定したわけではく、また強制力も、厳密な形式もありません。ですが自然と彼らは「誓い」を立てることが重要と認識し、新たに加入するプレインズウォーカーにもそれを求め、加入する側も応じてきました。それぞれが「誓い」カードのフレイバーテキストと、「Magic Story -未踏世界の物語-」該当回で宣言をしています。

メンバー誓いの内容Magic Story該当回
ギデオン「正義と平和のため」「ゲートウォッチの誓い」
ニッサ「すべての次元の生命のため」「ゲートウォッチの誓い」
ジェイス「多元宇宙の繁栄のため」「ゲートウォッチの誓い」
チャンドラ「それで人々が自由に生きられるのなら」「ゲートウォッチの誓い」
リリアナ「力を得て、鎖のヴェールに頼らなくて済むなら」「約束されし終末
アジャニ「すべての者が居場所を見つけるまで」「未来へ」

 これは自分がどのような意志を持って、何のために多元宇宙のより善きことに献身するのかという宣言であり、彼らの個性や歩んできた道がはっきりと表れています。

 ところでゲートウォッチのゲートとは何? 明言こそされていませんが、最初の4人が誓いを立てた地であるゼンディカー、その文明の最後の砦であり彼らが守ろうとした「海門/Sea Gate」から取っているのかもしれません。


結成の経緯

 前述の通り、ゲートウォッチは「他の誰にも対処できないような脅威から、多元宇宙の人々を守る」ために結成されました。脅威、それはエルドラージのように次元を越える怪物や災害、そして彼らと同じプレインズウォーカーでも悪意を持って他の世界へと害を成すものが挙げられます。

 ゲートウォッチはゼンディカー次元にて、一つの敗北の後に結成されました。ギデオン・ジェイス・ニッサはウラモグを《連結面晶体構造》に閉じ込めるのですが、ゼンディカーとその庇護者ナヒリに恨みを持つオブ・ニクシリスによってそれは破られ、さらに地中に潜んでいたコジレックまでもが呼び出されてしまいます。遅れてやって来たチャンドラによって窮地は脱したものの、ゼンディカーは二体の巨人に蹂躙されようとしていました。それを見てプレインズウォーカーたちは自らの無力さと絶望を感じ――ですがギデオンが言いました。

「私達はそれぞれ誰も、あの怪物どもに対して何もできないのかもしれない」

「だが、四人ならばどうだろうか」

――Magic Story「ゲートウォッチの誓い」より

 一人一人では巨大な脅威に対して何もできなくとも、自分達が力を合わせたなら、多元宇宙のどんな脅威にも立ち向かえるのだとギデオンは力強く呼びかけます。そしてゼンディカーだけでなく、その先にある全ての世界のために戦うべきだと、自分たちには戦う力があるのだと。その言葉はジェイスとニッサ、チャンドラの心をも確かに動かしました。そしてそれぞれが守りたいもの、生きる目的こそ違えども、そのために戦いたいという気持ちは同じでした。

 そして彼らは戦い続けることを誓ったのです。ゼンディカーのために、そしてその先の全てのために。

call_the_gatewatch.jpg

「プレインズウォーカーはどんな危険からも逃げられる、などと言われていることは知っている。だがギデオンの言う通り、我々は逃げずに戦える者でもあるのだ。」――ジェイス・ベレレン

――《ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatch(OGW)》より

 そしてゲートウォッチ結成最初の戦いはウラモグとコジレック。絶望的と思われた相手でしたが、早速彼らそれぞれの力が発揮されました。ジェイスがテレパスで指示を出し、ニッサがゼンディカーの力線を操作して巨人を縛り付けるとともに現実世界へと引き寄せ、ギデオンが皆を守り、チャンドラが巨人を焼き尽くす。その作戦は成功し、エルドラージの巨人二体を倒すことができました。この戦いの詳細についてはMagic Story「背水のゼンディカー」にて詳しく語られています。

 同時に彼らは、力を合わせて戦うことの大きさと素晴らしさを実感しました。ギデオン、ジェイス、チャンドラ、ニッサ。一部はそれまでにも多少の交流があった関係でしたが、ここで初めて固い仲間意識と友情で結ばれたのでした。


結成後の動き

 ゼンディカーを救った後も、ゲートウォッチは戦い続けました。相手は残る巨人エムラクール、そしてカラデシュ次元の政府へと入り込んでいた悪しきプレインズウォーカー。

『イニストラードを覆う影』~『異界月』

 エムラクールの手がかりを求め、ジェイスは単身イニストラードへと向かいました。目的はイニストラードの君主であり、かつてエルドラージをゼンディカーに封じた一人であるソリンを探し出すこと。イニストラードにはジェイスの元恋人であるリリアナも滞在しており、互いに複雑な感情を抱く再会が待っていました。

 不可解なことに、イニストラード次元そのものを謎めいた狂気が蝕んでいました。世界の守護天使アヴァシンまでもが墜ち、ジェイスも無事では済みませんでした。現地で出会ったプレインズウォーカー、タミヨウの助力を得てジェイスは真実に近づこうとしますが、それは古からの遺恨によってナヒリが引き寄せたエムラクールの影響でした。

Emrakul_the_Promised_End.jpg

 そしてエムラクールが姿を現したことで、ジェイスはゲートウォッチを呼びに戻ります。決戦の場はイニストラードの首都ともいえる都市スレイベン。リリアナもエムラクールの姿を見て、この世界の危機を知ります。それ以上に、無謀にも立ち向かおうとしているジェイスが気がかりでした。リリアナはゾンビの軍勢を率いて加勢しますが、邪悪な術と危険な《鎖のヴェール》を振るう彼女をゲートウォッチは危険視します。とはいえそれが彼女をエムラクールの影響から守り、戦う力を与えてくれたのも確かでした。リリアナはエムラクールを押し留めますがその負担は多大なものであり、死の淵まで追い詰められました。

 リリアナが目覚めた時、エムラクールはゲートウォッチとタミヨウによってイニストラードの銀の月へと封じられていました。共に戦ったことで仲間の有用さを知り、そして彼らを、特にジェイスを放っておけないと実感したリリアナはゲートウォッチに加わることを決断しました。いつか自身の計画に彼らを利用することも計算しながら。

『カラデシュ』~『霊気紛争』

 それから三か月が経過し、ゲートウォッチはラヴニカに本拠地を設けていました。タミヨウによって彼らの情報は多元宇宙に広まっており、カラデシュ次元から使者が訪れます。その次元の行政組織である領事府のヴィダルケン、ドビン・バーン。まもなく開催されるギラプール発明博覧会への脅威を排除してほしい、それが彼の依頼でした。ですがゲートウォッチの理念は多元宇宙規模の脅威の対処であり、次元の内部事情に干渉することではありません。一方でチャンドラの心は穏やかではありませんでした。カラデシュ、そこは子供の頃にプレインズウォーカーとして覚醒して以来一度も戻っていない故郷なのです。どうしたいのかも定かでないまま、彼女はリリアナと共にカラデシュへ向かいました。

 カラデシュへ到着して早々に、彼女らは領事府をプレインズウォーカー・テゼレットが把握していることを知ります。リリアナにとってはジェイスと共に深い因縁を持つ相手であり、邪悪な古龍ニコル・ボーラスの手先。彼女はジェイスとギデオンを呼びにラヴニカへと戻ります。テゼレットの存在はゲートウォッチの介入を決断させるに十分でした。彼らとは別にテゼレットを追っていたアジャニも加わり、プレインズウォーカーたちは領事府に反抗する改革派に協力し、テゼレットと戦うことを選びました。

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 苦しい戦いを経て、彼らはテゼレットを始末こそできませんでしたが、カラデシュから追い払うことに成功します。戦いが終結した後、アジャニはゲートウォッチに加わらないかという申し出を受けました。彼にとっても、多元宇宙を脅かす悪と戦い、互いの背中を守るというゲートウォッチの一員に加わるというのは光栄なことでした。


それから

 エルドラージの巨人らを対処し、カラデシュに平和を取り戻したゲートウォッチ。次に彼らはアモンケット次元を見据えています。そこはニコル・ボーラスが支配する世界、それどころか創造主もボーラスだとされています。情報はわずかであり、ボーラスが何を企んでいるのかも不明瞭です。それでもテゼレットとボーラスが野放しになっている現状は危険と判断し、彼らはそこへ向かうことを決意しました。果たしてこの選択は吉と出るか凶と出るか......。

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 また、ゲートウォッチは秘密組織ではありません。エムラクールが封じられた後、ジェイスはタミヨウに依頼して自分たちの話を多元宇宙へと広げてもらいました。そして多くの(物語には顔を出さない)プレインズウォーカーがゲートウォッチの噂話を伝えています。もちろん、そのような「正義のチーム」の存在を快く思わない相手の耳にも届くことでしょう。話中ではゲートウォッチと共に戦ったプレインズウォーカーや、その理念を理解しつつも加入はしないプレインズウォーカーもおり、彼らに対する立ち位置は様々です。

 白-青-黒-赤-緑、マジックの各色が示す通りに性格も価値観も様々なプレインズウォーカーたち。チームとはいえ無条件に仲良くやっていける筈もなく、彼らの間でもそれなりに波乱が起こっているのですが......とはいえ、それもまた物語をわくわくさせてくれる要素だと思いませんか。

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ギデオンとリリアナが共感したわけではなかったが、そのことは共闘する妨げにはならなかった。

――《ゲートウォッチ配備/Deploy the Gatewatch(EMN)》より

 以上になります。今回はゲートウォッチの概要と、彼らがどのように歩んできたのかを簡単にたどりました。次回以降はゲートウォッチの構成員それぞれについて掘り下げていく予定です。しばしお付き合いください。

(続く)

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