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企画記事
グランプリ・京都2015に向けて:第1回 レガシーを知ろう!
グランプリ・京都2015に向けて:第1回 レガシーを知ろう!
by 小山 和志 (グランプリ・京都2015 イベントカバレージチーム)
4月17日(金)~19日(日)に、日本初のレガシーグランプリ、グランプリ・京都2015が行われます。長年のレガシーファンの方にはもちろん、あまりレガシーをプレイされたことのない方にとっても楽しみなグランプリではないでしょうか。もしかすると、このグランプリ・京都2015をきっかけにレガシーを始めよう、といった方も数多くいらっしゃるかもしれません。
そこでマジック日本公式ウェブサイトでは、レガシーに触れたことのない、あるいはあまり遊ばれたことのないプレイヤーの方のために、レガシーというフォーマットにはどんなカードがありどんなデッキが活躍している環境なのかを3回に分けてご紹介していこうと思います。
第1回の本記事では、レガシーを代表するカードたちをご紹介して、このフォーマットに軽く触れていただきたいと思います。
デュアルランド
レガシーを象徴するカードたちであり、スタンダードやモダンと本フォーマットを隔てる大きな壁が、これら10種の「デュアルランド」です。一言でいえば「2種類の基本土地タイプを持つ土地」です。全ての2色以上のマナを出せる土地はこれらデュアルランドを起源に持つ、と言っても過言ではありません。基本土地タイプを2つ持っていますので、《溢れかえる岸辺》など基本土地タイプを参照するフェッチランドでサーチしやすく(1枚のフェッチランドから実に7種類ものデュアルランドがサーチできます)、レガシーではその便利さゆえにあらゆるデッキに使われています。
《神聖なる泉》や《血の墓所》など、モダンで使用されているいわゆる「ショックランド」との唯一にして最大の違いは、アンタップ状態で戦場に出す際の2点のライフ支払いがないということです。まさに最古にして最強の2色土地、それがデュアルランドなのです。
このように非常に強力なデュアルランドですが、もちろん弱点もあります。基本でない土地としてのデメリットはもちろんのこと、デュアルランドだからこその脆さがあるのです。
上記のように、デュアルランドはデメリットを併せ持ってしまいます。その強力さゆえにデッキ内の土地をついついデュアルランドだらけにしてしまいがちですが、よくメリットとデメリットを吟味して、可能ならば基本土地やその他の土地の採用も検討しましょう。
《Force of Will》
レガシーには、平均2〜3ターン、運が良ければたった1ターン目にして勝負を決めてしまう強力なコンボデッキがいくつか存在します。それにもかかわらず、環境がそのような凶悪なコンボデッキだらけにならない最大の理由が、この《Force of Will》です。
You may pay 1 life and remove a blue card in your hand from the game rather than pay Force of Will's mana cost.
(マナ・コストを支払うのではなく、1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある青のカード1枚を追放することを選んでもよい。)
たとえフルタップであろうが、ましてや土地をコントロールしていなくても、呪文を打ち消すことができる、マジック史上最強クラスの呪文です。このカードの存在ゆえに妨害手段を持たないコンボデッキの数は抑えられており、また多くのプレイヤーが青を選択する大きな理由のひとつとなっています。レガシーで青いデッキを相手にする時には、対戦相手の土地が全てタップ状態であることに油断して、大事な呪文を打ち消されてしまった、ということがないようにしましょう。
さて、そんな《Force of Will》ですが、代替コストで唱えるとカードを1枚余分に消費することになるので、カードアドバンテージを失ってしまうことになります。特に脅威でない呪文に対して《Force of Will》を使ってしまうと、後の脅威に対応できなかったり、その1枚分の差で負けてしまったりと、ついつい手なりで使ってしまうと、痛いしっぺ返しを食らってしまうことが多々あります。代替コストで唱える時は、なるべく致命的なカードに対し使うことを心がけましょう。
《渦まく知識》
レガシーではコントロールデッキはもちろん、コンボデッキやビートダウンデッキでも青という色が非常に大きな割合で使われています。その理由は先ほどご紹介した《Force of Will》の影響もありますが、なによりこの《渦まく知識》というレガシー最強のドロー呪文が、プレイヤーに青を選択させる最大の理由と言っても過言ではないかもしれません。レガシーより多くのカードが使えるヴィンテージでは、デッキに1枚しか入れることのできない制限カードに指定されているほどの強力カードです。
カードを3枚引いて、手札から2枚をライブラリーに戻す。一見するとカードの枚数を得しているわけでもなく、単に未来のドローを先取りしているだけに見えるかもしれません。ですが、3枚引いて、手札からいらないカードを2枚戻し、フェッチランドなどでライブラリーをシャッフルすれば、まるで3枚カードを引くだけに近い効果が得られるのです。また、必要な時に必要なカードを探したり、手札破壊に対応して唱えて重要なカードをライブラリーに隠したりと、非常に強力かつ小回りの利く使い方ができる、デッキの潤滑油でありエンジンでもあるカードなのです。
強力かつ使い勝手の良い《渦まく知識》ですが、その一方でとても使い方の難しいカードです。使い方を一歩間違うと、「手札を入れ替えただけになっちゃった...」ということもありえます。《渦まく知識》を使う際には、「手札の不要なカードを有効なカードに変えてライブラリーをシャッフルしたい」「必要なカードを探さなければいけない」など、《渦まく知識》を使うべき明確な理由があるかどうかに気をつけましょう。
《渦まく知識》はそのデッキや、そのときどきの状況により、使い方や使う目的が変わってきます。このカードを使うなら、ご自分のデッキに合った使い方で、有効な時に使えるようにしっかりと練習しておきましょう。
《剣を鍬に》
マジック発売時から数多の単体除去呪文が印刷されてきましたが、《剣を鍬に》はその中でも最強クラスのカードです。たった{W}だけで対象のクリーチャーを追放することができ、その代償はクリーチャーのコントローラーにライフを与えるだけというローリスク超ハイリターンな除去呪文であると言えるでしょう。近年、クリーチャーの質が良くなり、マナ・コストに比して強力な能力を持つカードが増えました。しかし、ことレガシーで活躍するためには、この《剣を鍬に》を乗り越える必要があるのです。
《剣を鍬に》はこのように非常に強力な除去呪文であると同時に、ただの除去呪文でもあります。呪禁や被覆、プロテクション(白)を持ったクリーチャーは当然除去できませんし、クリーチャーに頼らないコンボデッキ相手には無力です。また、複数のクリーチャーを並べるデッキが相手だと、追放できるクリーチャーはたったの1枚なので焼け石に水になることもしばしばです。また、対戦相手にライフを与えることになるので、速攻デッキなどで《剣を鍬に》を使う場合、勝利できるターンが先延ばしになってしまう可能性もあります。
とはいえ、マナ・コストの軽さと効果の強さでは単体除去呪文として抜群の呪文である《剣を鍬に》。白を含むデッキを選択するならば、まっさきに使用を検討すべきカードの1枚です。
《不毛の大地》
{T},不毛の大地を生け贄に捧げる:基本でない土地を1つ対象とし、それを破壊する。
デュアルランドの項目でも述べましたが、レガシーではカードプールの広さも相まって、数多くの強力な土地が存在します。中には《すべてを護るもの、母聖樹》や《The Tabernacle at Pendrell Vale》など、たった1枚で一定のデッキを完封できてしまうようなカードまであります。逆にそんな強力な土地を無効化できる存在が《不毛の大地》なのです。
単に1対1交換をしているだけのように見えますが、その効果は絶大です。前述のように致命的な土地をいともたやすく葬ることが可能ですし、デュアルランドを破壊してマナ基盤を拘束することもできます。様々な土地の恩恵もあり多色デッキが非常に多いレガシー環境では、《不毛の大地》が勝負の決め手になるケースも頻繁に発生します。
《不毛の大地》のデメリットは、無色マナしか生み出せないため、色事故の要因になりえる、ということです。色拘束が厳しい多色デッキでこのカードを使うと、必要なときに必要なマナが出ない、対戦相手の土地を割ったのはいいが、逆に自分の土地が伸びなくて苦しい、ということも起こり得ます。《不毛の大地》を使うときはデッキの土地バランスをよく考えて投入するようにしましょう。
第2、3回の記事ではレガシーのデッキをご紹介していきます
さて、ここまでレガシーの代表的なカードを見てきましたが、広大なカードプールがあるレガシーには、まだまだ強力カードがたくさんあります。ここではその全てをご紹介することはできませんが、どういった環境なのかおぼろげながらも見えてきたでしょうか?
次回以降の記事では本格的に、レガシーにはどのようなデッキがあり、どのような環境なのかを本格的にご覧いただいて行こうと思います。
それでは、第2回の記事もよろしくお願いいたします。
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