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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・トークン(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・トークン(スタンダード)
by 岩SHOW
環境が変わると花開くデッキというものがある。前環境ではネタデッキ枠だったものが、新セットの追加やローテーションを経て化ける、気が付けばスターダムにのし上がっているという現象である。
これ、個人的にはマジックの良いところだと思うんですよ。ちょっと弱いけど楽しいデッキを回し続けてた人にご褒美というか、愛が報われる日がやってくるっていうのは、変なデッキ好きには嬉しいこと。もちのろんで、すべてのデッキが報われるわけじゃないけど......いつもファンデッキ使ってる人が「今シーズンはもらった!」とドヤ顔できるって、良いことじゃないですか。
そんなわけで、今日は前環境ではファンデッキ寄りだったが、今環境では躍進、数を増やしている白と黒を中心としたトークンデッキの進化形を紹介しよう!
7 《平地》 4 《沼》 1 《森》 4 《秘密の中庭》 2 《イフニルの死界》 4 《進化する未開地》 -土地(22)- 4 《選定の司祭》 -クリーチャー(4)- |
4 《軍団の上陸》 4 《致命的な一押し》 4 《改革派の地図》 4 《秘密の備蓄品》 2 《宝物の地図》 4 《選定された行進》 2 《イクサランの束縛》 1 《排斥》 4 《燻蒸》 3 《徹頭 // 徹尾》 2 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(34)- |
4 《アダントの先兵》 2 《陽光鞭の勇者》 4 《強迫》 4 《失われた遺産》 1 《イクサランの束縛》 -サイドボード(15)- |
3か月ほど前にも「アブザン・トークン」はご紹介した。《選定された行進》はトークンの数を倍にするというハチャメチャなエンチャント。この夢のあるカードを使って、戦場をトークンで埋め尽くそう!というデッキは前環境でも複数のアプローチで組まれてきたが、その基本となるのは《秘密の備蓄品》だった。
この自動トークン生成マシンを用いて、クリーチャーを生け贄に捧げたりしていると戦場が霊気装置とミイラまみれになるよ、《選定の司祭》で無茶苦茶回復するよ!というドリーミングなデッキとちょくちょくマッチングすることがあった。
ただ、決め手に欠ける、というデッキ構造上どうしようもない弱点を備えていた。どちらかと言えば相手の投了待ちのデッキだったので、これが良いか悪いかは別なのだが......そんな欠けていた決め手となり得るカードを、『イクサラン』は提供してくれた。《秘宝探究者、ヴラスカ》だ。
「喧嘩腰」号の船長となり黄金都市オラーズカを目指すヴラスカをカード化した《秘宝探究者、ヴラスカ》。《頂点捕食者、ガラク》をこよなく愛する身としては、少し軽くなって使いやすく修正されたようなこのプレインズウォーカーに注目しない方がおかしいというもので......『イクサラン』でもかなり注目・使いたいと思っていた1枚だったのだが(昨日もそんなこと言ってたね)、白黒トークンデッキに投入された姿を見た時にはなるほどと、小さな感動を覚えたものだ。
ヴラスカの能力は[+2]も[-3]も、どちらもトークンを生成するものである。このカードが《選定された行進》と相性が悪いわけもなく。海賊の手下は2体出撃、鬱陶しいパーマネントを除去しつつ2マナ増える、とフルパワーヴラスカの誕生だ。
上述の「決め手に欠ける」問題も、彼女の[-10]能力で相手のライフを1にして霊気装置にミイラに海賊にと、まさしく混沌の軍団を突撃させることで解決だ。このいわゆる奥義能力、一見すると要求されるコストと効果が派手過ぎてネタにしか見えなかったりするが、このデッキではかなり現実的な勝利手段として運用できるので侮らないように!
秘宝を求めるヴラスカとともに得た新戦力は《宝物の地図》!
フレイバー性もばっちりなのだが、このカードもトークン・デッキとよく噛み合っている。能力を3回起動して《宝物の入り江》に変身させると、宝物・トークンを3つ生成する。《選定された行進》があれば、これが倍になって6つ、一気に6マナのブーストで、ヴラスカを唱えるなんてことも楽々だ。
また、《秘密の備蓄品》もあるため占術はやたらと行えるが、カードを引く手段に乏しく手札が尽きがちなこのデッキにとって、《宝物の入り江》の能力は大変にありがたいものだ。ヴラスカで得た宝物もドローになるのを忘れずに。その生け贄で備蓄品の紛争能力が誘発して霊気装置が生成され......みたいな連鎖的な動きが、そういうマジックが好きな人にはたまらないだろう。
《軍団の上陸》まで得て、クリーチャー・カードはもはや《選定の司祭》以外必要なし。序盤からトークンを展開し、《徹頭 // 徹尾》や各種除去で耐えたりしながら、《選定された行進》を出すころには自然と形勢逆転!というのがこのデッキの狙いだ。
カード1枚から複数のトークンが作られるため、世界選手権で用いられた対クリーチャー戦を重視した構築の「青黒アズカンタ」をコピーしてプレイしていた時には1対1交換が取りにくく手ごわいように感じたが、それは1~2ターン目に綺麗にエンチャントが置かれた、いわゆる「ブン回り」だったためで、相性的には青黒の方が有利だそうだ(参考記事)。流行りを見極めつつ、プロの記事などを参考にしつつ使ってみよう。
ファンデッキからのし上がり、現在のスタンダードを代表するデッキの1つとして堂々と紹介できるものへと立派な成長を遂げた「アブザン・トークン」。個人的に当たりまくっているだけかもしれないが、Magic Onlineではデッキの動き同様にワラワラと数を増やしている。船長の指揮のもと、環境の頂点をその手にする日が来るか?! プロツアーでどのような立ち位置になるのか、全く読めないのも面白い。気に入った、組んでみる!という人は大量のトークンを準備しておこうね。
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