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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤緑打撃体(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤緑打撃体(スタンダード)
by 岩SHOW
(この記事は「2017年6月13日 禁止制限告知」発表前に執筆されたものです)
2017年初夏、今現在のスタンダードで最も強力なカードは《霊気池の驚異》である、と言ってしまっても決して過言ではなく、霊気池→《絶え間ない飢餓、ウラモグ》という動きは最強の4ターン目のアクションであることに疑問の余地はない(マジックの歴史でも見ても、最強クラスの動きだ)。
もちろん毎度毎度、霊気池を起動すりゃこれが決まるというわけでもなく、そのためプレイヤーたちはこのデッキの不安定な部分を少しでも取り除こうと様々な工夫を凝らしている。プロツアー『アモンケット』において、ブラッド・ネルソン/Brad Nelson率いる「Genesis」のメンバーは《炎呼び、チャンドラ》という霊気池でめくった時の「当たり」を増やすというアプローチを取り(これは当日多いと予測された「黒単ゾンビ」に対して効果的なカードである)、チームメイトのマーティン・ミュラー/Martin MüllerをTOP8に送り出した。ネルソン自身もグランプリ・オマハ2017にてさらに微調整を施した同デッキで優勝。まさしく「驚異」的なデッキとして、このスタンダードに君臨しているわけだ。
ところがオマハと同日開催のグランプリ・マニラ2017では、《霊気池の驚異》許すまじと各デッキがガードを上げ、特に《呪文捕らえ》を用いたデッキが成功を収めた。最強ゆえに対策される、これがマジック。
ただ、《呪文捕らえ》を用いた青白基調のデッキのみが《霊気池の驚異》への対抗馬かというと、そういうわけでもない。全く別のアプローチで現環境を勝ち抜こうとするデッキも存在するので、青白以外のデッキを......特に赤緑のデッキをこよなく愛するタイプのプレイヤーは安心してほしい。マニラにて、そしてこれまた同日開催のグランプリ・アムステルダム2017にてTOP8入賞と、勢いを感じさせるデッキ......そもそもデッキ自体が勢いそのものな、「赤緑打撃体」を見てみよう!
7 《森》 2 《山》 4 《獲物道》 4 《隠れた茂み》 4 《霊気拠点》 -土地(21)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《通電の喧嘩屋》 4 《静電気式打撃体》 2 《不屈の神ロナス》 4 《逆毛ハイドラ》 -クリーチャー(22)- |
4 《霊気との調和》 4 《顕在的防御》 4 《暴力の激励》 3 《蓄霊稲妻》 2 《気宇壮大》 -呪文(17)- |
4 《うろつく蛇豹》 3 《刻み角》 1 《不屈の神ロナス》 4 《マグマのしぶき》 1 《蓄霊稲妻》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
打撃体というデッキ名の通り、《静電気式打撃体》にフォーカスしたデッキで......実は特に目新しいデッキというわけでもなく、『カラデシュ』発売直後より一部愛好家がいる、赤緑のエネルギーに関するカードを主軸としたビートダウンだ。
赤緑のエネルギービートにも微妙な構成の差があったりしたが、今では大体今回のようなリストにまとまっている(マニラで入賞したデッキは《気宇壮大》が《放たれた怒り》に置き換わっている)。《静電気式打撃体》にオールインして、4ターン目には20点のライフを削り切る! その速さで、《霊気池の驚異》と勝負をしようというわけだ。先に勝てばよかろうなのだというシンプルな考え方は好いたらしい。
デッキ内のほとんどのカードが、エネルギーを増加させるかクリーチャーのパワーを増大させるもので構成されている。これで得たエネルギーを《通電の喧嘩屋》《牙長獣の仔》そして《静電気式打撃体》に注いで殴る、開幕から狙うアクションはこれだけとシンプル。
他の2体はシンプルにエネルギーを注いでパワーを上昇させるのだが、打撃体だけは「自身のパワーを倍にする」というトリッキーな上昇法を用いる。この能力のおかげで、ちょっとしたパワーを上昇させる呪文が必殺の1枚となる。4ターン目に勝つパターンを見てみよう。
- 1ターン目:《霊気との調和》で土地を持ってきつつ、{E}{E}を得る。
- 2ターン目:《導路の召使い》を唱えて{E}{E}を得る。
- 3ターン目:《静電気式打撃体》を唱えて{E}{E}{E}を得る。1マナ立たせて《顕在的防御》を構えられればVery Good。合計エネルギー7個。
- 4ターン目:打撃体に対して《暴力の激励》を唱えてパワー5のトランプルに。攻撃して、打撃体の能力を2回起動→パワー20に!終了!
本当はこんな簡単に勝たせてくれないことの方が多いが、しかし最低限たったこれだけのカードであっさり20点ダメージを弾き出せてしまうのもまた事実である。ここまでの動きに無駄だったり強引なものもなく、《顕在的防御》さえ握っていれば相手からの介入へも対処可能。あれ、思っていたよりも安定して強いデッキでは?
まあ、これは打撃体をしっかりと引き込めた時にこそできる動き。デッキに4枚しかなく、しかもドローやサーチがないこのデッキでは毎回打撃体で勝つということは難題である。そこで、すでに触れた2マナクリーチャーや、《逆毛ハイドラ》を用いてのビートダウンでもゲームを制していかねばならない。こちらでも勝ち筋はシンプルなもので、最善のアタックを続けていくことになるのだが......打撃体のように簡単に勝てるわけではないので、展開を取るかダメージを取るかなど、ひとつひとつの選択肢が難しいものになっていくことだろう。
このプランで戦う際に役に立つのが新戦力《不屈の神ロナス》。その起動型能力によるパワー+2とトランプル付与が、この手のデッキにとっては嬉しいことこの上ない。3ターン目ロナス、4ターン目《逆毛ハイドラ》と動けば安全にロナスで攻撃に移ることもできる。さすがは神。
突然死を引き起こす《放たれた怒り》か、確実にパワー+4とトランプルが得られる《気宇壮大》か、どちらを選ぶかは最終的には好みだが、基本的なリストはこれで完成しているはずだ。クリーチャーを出してこない相手にも《蓄霊稲妻》はエネルギーを得るための手段として、すなわち本体火力的に用いることができるのを忘れずに。それでは、皆が20点以上のワンパンチK.O.を叩き出せることを祈りつつ、今日はこの辺で。
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