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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Death & Taxes(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Death & Taxes(レガシー)
by 岩SHOW
クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoeは「白」いお方である。グランプリ・ラスベガス2015で遭遇したことがあるのだが、小柄で、その時はスポーティーな服装だったので「テニス選手かな?」と思ったものである。
プロツアー『ドラゴンの迷路』チャンピオンである彼は、その実績も含めて「白好き」で知られている。同プロツアーで優勝した時に用いたデッキは「白緑ビート」、プロツアー・サンディエゴ2010でTOP4入賞した時のデッキは「白ウィニー」、世界選手権2011でのTOP8入賞の際も「白青ビート」と...店とにかく、白いデッキが大好き。入賞回数多数のグランプリでも、お供にしているデッキは大抵白い。リミテッドでもだ。「黒緑昂揚」を使ったりしていたこともあったが店...基本的には白いプレイヤーと思ってくれて問題ない。ここまで自分と色を結びつけて、かつ戦績も素晴らしいプレイヤーも、他にはいないね。
余談だが、パスカル・メイナード/Pascal Maynardがグランプリの決勝ドラフトで色の合わない《タルモゴイフ》のFoilをピックしたことに対しSNS上で非難する投稿が多数書き込まれた際に、メイナードのことをよく知る友人ウェスコーは彼が《タルモゴイフ》をピックするに至った背景を説明した後「ところで、今度《タルモゴイフ》貸してくれないかな?」とジョークで〆るという、ニクい一面を見せている。友達思いの熱い人なんだろうなぁ。
そんな「俺達のウェスコー」が、グランプリ・ルイビル2017(そう、もう2017年のグランプリが始まっている!)にてTOP8入りだ。彼がこの年明け一発目のトーナメントで相棒に選んだのは......言うまでもない、レガシーで最も「白い」デッキだ!
10 《平地》 3 《カラカス》 1 《地平線の梢》 1 《魂の洞窟》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《ファイレクシアの破棄者》 1 《セラの報復者》 1 《迷宮の霊魂》 4 《ちらつき鬼火》 2 《護衛募集員》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《聖域の僧院長》 1 《宮殿の看守》 -クリーチャー(26)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《剣を鍬に》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(11)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《フェアリーの忌み者》 2 《流刑への道》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 1 《安らかなる眠り》 2 《議会の採決》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
以前にこのデッキの亜種は紹介したが、ここに改めて紹介しよう。レガシーを代表するデッキのひとつ「Death & Taxes」だ。2種類の基本土地タイプを持った土地、いわゆるデュアルランド擁するレガシーにおいて、あえての白単のデッキである。なぜ白単なのか? それは白単で十分強く......何だったら白単だからこそ強いのである。
「Death & Taxes」、通称「デスタク」。このデッキは、白に時折登場する、プレイヤーの何かしらのアクションに制限をかけたり完全に封じたりする能力を持ったクリーチャーにスポットを当てたデッキだ。平等の色・白らしい能力だが、最近では対戦相手のみ苦しめるタイプのカードも登場している......うん、平等の色だな。
このデッキが日の目を浴びるようになったのは《石鍛冶の神秘家》、《スレイベンの守護者、サリア》と強力な2マナクリーチャーを得た、2012年以降。その初期の形は、《コロンドールのマンガラ》を軸としていた。この伝説のクリーチャーは、タップすることで自身と対象のパーマネントを追放する能力を持っている。これを起動、解決前に《カラカス》の対象に取ると、マンガラは手札に戻り、対象にしたパーマネントのみが追放される。その後、何事もなかったようにマンガラを《霊気の薬瓶》から戦場に出す。毎ターンパーマネントを奪い続けてやるというわけだ。何度かレガシーをやっていて、このハメ技を喰らったことがある。あれは地獄だった......このマンガラコンボと、制限能力持ちという逃れられない現実を突きつけて戦うために、英語圏で逃れられないものを意味する慣用句「death and taxes」をデッキ名につけた、と言われている(真実のほどは知らない)。
現在ではその少々やりすぎなコンボは抜けて、盤面をクリーチャーでじっくり固めて殴る、よりシンプルなビートデッキになっている。このデッキで採用されている行動妨害能力持ちは《スレイベンの守護者、サリア》に加えて、《迷宮の霊魂》と《聖域の僧院長》だ。
これらのクリーチャーを展開するだけで、コンボデッキやドロー呪文を連打する青いデッキなんかはピタリと動きを止める。こうやって稼いだ時間を使って、それらのクリーチャーと《石鍛冶の神秘家》+装備品パッケージを用いて殴り勝つのだ。
サリアがいる状況で、《不毛の大地》《リシャーダの港》で土地を攻めてやると、機能不全に陥るデッキのなんと多いことか。傍から見るとモッサリなんかやってるなぁくらいにしか見えないが、実際にされてみると拷問以外の何物でもない。自身も《リシャードの港》起動のために土地を使ってしまって動けないだろうって? そんな時のための《霊気の薬瓶》ですよ。
サイドボードにも《封じ込める僧侶》や《フェアリーの忌み者》といった嫌がらせクリーチャーが採用されている。これと《宮殿の看守》などのメインデッキの1枚挿し組を、《護衛募集員》でサーチするのが基本戦略だ。
こういう特定の相手にしか効かないカードを少数採用し、サーチカードを用いて水増しするのをシルバーバレット戦術と言う(もう何度も聞いたって?皆に知ってほしいからね!)。こういうギミックがデッキの中に入っていると「マジックをしている」感が味わえて楽しいものだ。白単だからと食わず嫌いしているともったいない!
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