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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:The Rock 2016(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:The Rock 2016(モダン)

by 岩SHOW

 「If you smell what The Rock is cookin'!(ロック様の妙技を味わえ!)」という決め台詞でお馴染みのプロレスラー・The Rockはとにかくカッコイイ。紛うことなきカリスマである。そんな彼に魅せられたプレイヤーが、自身の使用する緑黒のクリーチャー主体のコントロールデッキにつけた名が「The Rock and His Millions(ロック様と100万のしもべ)」。この流れを汲んで、緑黒主体の中速デッキのことを「The Rock」と呼ぶようになった。『アポカリプス』にて《破滅的な行為》《魂売り》を獲得して強化され、エクステンデッドでも定番デッキのひとつとなる。「The Rock」と言えば黒緑か黒緑白のデッキを指すのが当たり前の時代が確かに存在した。

 存在したが......『ラヴニカ:ギルドの都』ではゴルガリ団が、また『ローウィン』での《包囲の搭、ドラン》、そして『タルキール覇王譚』ではアブザン家の登場によりその呼び名はとってかわられた。未だに「The Rock」と呼ぶ人もいるが、長くやっているマニアか最近復帰した人ぐらいかな。

 海外のデッキリストを読み漁っていると、たま~にこの名を見かける。マニアがいるなぁと思って開くと、よくある「アブザン」そのまんまだったりして「だよなぁ」となるんだけども。先日、ちょっとシブい「The Rock」を見つけましてねぇ......今日はそんな「The Rock魂」を感じるデッキを紹介しよう!

edward40hands - 「The Rock 2016」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2016年12月5日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
2 《草むした墓
4 《新緑の地下墓地
1 《吹きさらしの荒野
2 《湿地の干潟
4 《風切る泥沼
3 《花盛りの湿地
3 《幽霊街

-土地(23)-

4 《闇の腹心
4 《タルモゴイフ
3 《漁る軟泥
1 《永遠の証人
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
1 《黄金牙、タシグル

-クリーチャー(15)-
2 《ミシュラのガラクタ
4 《コジレックの審問
2 《思考囲い
1 《ウルヴェンワルド横断
4 《突然の衰微
2 《集団的蛮行
1 《ゲスの評決
2 《大渦の脈動
4 《ヴェールのリリアナ

-呪文(22)-
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
1 《黄金牙、タシグル
1 《殺戮の契約
2 《外科的摘出
2 《強迫
1 《集団疾病
1 《ゴルガリの魔除け
1 《疑念の影
1 《霊気のほころび
1 《悲哀まみれ
1 《大渦の脈動
1 《最後の望み、リリアナ
1 《幽霊街

-サイドボード(15)-

 黒緑に白を足した「アブザン」か、あるいは赤を足した「ジャンド」のいずれかが現在のモダンにおける黒緑デッキの定番となっている(「ランタン・コントロール」はちょっと特殊なので置いといて)。

 そんな中で、あえての黒緑2色。The Rock純度の高さを感じずにはいられない。白も赤も、除去の強化と《未練ある魂》《高原の狩りの達人》など特定のデッキを苦しめるパーツをしっかりとメインから用意でき、そしてサイドボードは《石のような静寂》《塵への帰結》とキラーカードを積めるのに......それらをあえて捨て去り、2色で戦うスタイル。

 これを推し進めたのはもしかしたら『カラデシュ』の影響かも。《花盛りの湿地》という序盤にアンタップインできて、かつライフの損失がない2色土地を獲得したことにより、このファストランドと定番のフェッチランド+ギルドランド(※1)パッケージを合わせることで、色マナ事故はほぼなく・かつ3色よりもライフに余裕があるので「バーン」などにも耐性が微々たるものとは言え増すわけだ。《新緑の地下墓地》→《草むした墓》→《思考囲い》と動くと1ターン目に5点のライフを失ってしまう。冷静に考えて、これは痛いよね。次のターンに白マナが欲しいとなるとさらに1~3点のライフ損失となるし。

※1

  • ファストランド:『ミラディンの傷跡』『カラデシュ』に収録された、土地を3枚以上コントロールしている状態だとタップインになってしまう2色土地サイクル
  • フェッチランド:1点のライフを支払って生け贄に捧げることで、2種類の基本土地タイプのいずれかを持つ土地をライブラリーから戦場に出す土地サイクル
  • ギルドランド:タップインか、2点のライフを支払ってアンタップインかを選べる、基本土地タイプを2種類持つ土地サイクル

 また2色に抑えたことで余裕ができたマナベースに《幽霊街》が採用されている。モダン環境に蔓延る「感染」デッキの《墨蛾の生息地》に対する最高の回答であり、「緑白トロン」のような流行りつつあるデッキに対しても効果的である。以前から「ジャンド」「アブザン」ともにサイドボードに採用していたりもしていたが、メインから3枚採用して無理がないというのは黒緑2色の特権だ。

 ライフの損失と色事故を抑えたところで、デッキが大幅にパワーダウンしてしまってはしょうがない。果たして2色のみでデッキとして成立するのか? とりあえずはクリーチャーを見てみると......《タルモゴイフ》《闇の腹心》というド定番の二枚看板がしっかりと2マナ域を固める。

 腹心もタルモも、メタゲーム次第では不要説もささやかれたりしたことのあるカードだが、なんだかんだでもたらすアドバンテージが尋常ではない。腹心は1回でも土地をめくればもう十分仕事はしているし、タルモは放置しているとライフを持っていかれるしいずれはチャンプブロック(※2)を強要する。

(※2 「馬鹿げたブロック」の意。相討ちにできない、ただダメージを抑えるためだけのブロックのこと。カードを1枚失うだけなのであまりやりたくはないが、それによってダメージレースを制したり、稼いだターンでゲームをひっくり返す大技ができるのであればベストなプレイとなることもある。チャンプアタックという言葉もあるが、これはブロックよりも取り返しのつかないミスとなることがほとんどだ)

 《ゲトの裏切り者、カリタス》に《黄金牙、タシグル》と重いところもしっかりと強力。黒緑2色に抑えたことにより《永遠の証人》のようなカードも採用できるし、《漁る軟泥》の起動型能力にもガンガン緑マナを供給できて最近流行りの墓地利用デッキも一網打尽だ。

 クリーチャーに関しては文句なし、ではその他の呪文の方はどうだろうか。緑マナが供給できるのと同様に黒マナも安定して使用できるので、《ヴェールのリリアナ》を出すのに土地をどうこうで困らないのはありがたい。何より個人的に注目したのが、《ゲスの評決》。2色にまとめ上げることでこの黒ダブルシンボルのインスタントを無理なく構えることができる。

 これも《幽霊街》同様「感染」を意識しての採用とみられる。《顕在的防御》《巨森の蔦》を絡めての、除去を弾いて2キル・3キルという動きに対して、この呪文であれば抗うことができる。《墨蛾の生息地》と併せて、仮想敵への耐性を増した構築であるということだ。

 「ジャンド」も「アブザン」も人気デッキで、どちらを組んで良いものか迷っているプレイヤーもいるかもしれない。そんな時はまず、この2016年版の「The Rock」を組んでみて、そのまま2色で行くのか・あるいは赤か白を足すのかなど、自身の好みを追求してみるのも良いんじゃないかな。黒緑大好きな僕としても、この業界一シビれる2色の妙技を味わってほしいと切に願うね!

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