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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジャンド(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジャンド(モダン)

by 岩SHOW

 『異界月』がスタンダードに多大なる影響を与え、それの参入以前と以後でデッキの様相が大きく変化してしまったのは皆さんご存知の通り。では、他のフォーマットでは? 『ゲートウォッチの誓い』は《難題の予見者》《現実を砕くもの》と全フォーマットで引っ張りだことなったカードを輩出したが......まあ、あそこまで極端な例はそうそうないとして、『異界月』のカードはどこまでやれるのか、気になるところである。

 今日はそんな新カードを採用した、モダンのデッキを紹介しよう。まずはリストのどこに新カードがいるか、見つけてやってほしい。

Kawasaki Keita
BIG MAGIC Sunday Modern TOP8 / モダン (2016年7月30~31日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
2 《草むした墓
1 《血の墓所
1 《踏み鳴らされる地
4 《新緑の地下墓地
2 《血染めのぬかるみ
2 《樹木茂る山麓
1 《黄昏のぬかるみ
4 《黒割れの崖
4 《怒り狂う山峡

-土地(24)-

4 《闇の腹心
4 《残忍な剥ぎ取り
4 《タルモゴイフ
2 《漁る軟泥
2 《オリヴィア・ヴォルダーレン

-クリーチャー(16)-
4 《稲妻
3 《コジレックの審問
3 《思考囲い
3 《突然の衰微
3 《終止
1 《コラガンの命令
3 《ヴェールのリリアナ

-呪文(20)-
4 《大爆発の魔導士
2 《台所の嫌がらせ屋
2 《古えの遺恨
2 《ムラーサの胎動
1 《コラガンの命令
2 《虚空の力線
2 《魂の裏切りの夜

-サイドボード(15)-

 《タルモゴイフ》《闇の腹心》と、『モダンマスターズ』シリーズでもお約束の強力な2マナクリーチャーとともに名を連ねるのは《残忍な剥ぎ取り》だ。

 この緑黒の2マナ2/2、「緑黒昂揚」の回で既にその強さについて述べたが、フォーマットの枠を超えてその強さを見せつけることとなった。参加者150人を超えるモダントーナメント、BIG MAGIC Sunday Modernにおいて準優勝という成績も、このカードの強さを証明している。使用者の川崎はモダンでこの「ジャンド」というデッキをひたすらに使い込み、グランプリTOP4の経験もあるジャンドやり込み勢。そんな川崎が《残忍な剥ぎ取り》を大胆にも4枚採用したというわけで、そういう点でもちょっと注目したいデッキだ。

 《新緑の地下墓地》などのフェッチランドが存在するモダンでは、墓地にカード・タイプを貯めやすい。相手の墓地も参照するとは言え《タルモゴイフ》が簡単にパワー4になる環境、昂揚達成もそれほど苦にはならないだろう。1ターン目に手札破壊から入っての2ターン目に剥ぎ取り展開とくれば、スタンダードとは比べ物にならない軽量で安定した除去で相手のクリーチャーを焼き払ってアタックを通すことができるだろう。

 剥ぎ取りが対戦相手にダメージを与えた際に誘発する能力の強力さは、モダンではそれはそれは恐ろしいもの。ライブラリーを操作して次のドローを良くしつつ、不要なカードは墓地に。この操作によって《闇の腹心》の能力での突然死を防ぎつつ、《タルモゴイフ》はサイズアップ、状況によっては《漁る軟泥》の餌を埋めたり《コラガンの命令》で回収して即時展開したりなんて細かい技も可能で......まあそんなプレイをする機会はあまりないとしても、そういうことができる引き出しがあるというのは様々なデッキ・状況が存在するモダンにおいてはいいことだ。

 剥ぎ取り以外はオーソドックスな「ジャンド」の構成。赤黒緑の3色からなるこのデッキは、軽くてアドバンテージが取れたり決定力のあるクリーチャーと、軽量の除去&手札破壊からなるモダン制定時から人気のデッキだ。全盛期は《死儀礼のシャーマン》《血編み髪のエルフ》という目玉が飛び出る強さのカードを抱えていたりもしたが、それらが禁止となって以降はこの穴を埋めるカード・構築が散見された。

 このデッキでも採用されている《オリヴィア・ヴォルダーレン》もそんなカードの1つで、クリーチャー同士の睨み合いになった際の決定力は尋常ではない。よくお見合いに突入してしまう《タルモゴイフ》も、吸血鬼に変えてやれば仲良く番いに。このカードといい《漁る軟泥》といい、マナを必要とするクリーチャーが採用されているので土地は24枚。剥ぎ取りのライブラリー操作能力でそれを引き込んだりあるいは回避したりして、上手く立ち回っていきたいものである。

 《残忍な剥ぎ取り》はサイドボードに採用されている《古えの遺恨》とも相性が良く、また色は変わるが《未練ある魂》なんかと組み合わせても強力だ。これからモダンで段々と存在感を増していき、ある日『モダンマスターズ 20XX年版』に再録されて話題になる、なんてことになるかもしれない。さあ、新しい緑黒デッキを作ってみよう!

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