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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ・季節(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ・季節(スタンダード)

by 岩SHOW

 2016年4月末。ゴールデンウィークに突入し、世間では今年は10連休まである!海外旅行!などなど色めきだっていた折。僕は府内某所で仕事をしつつ、ある人物とコンタクトを取っていた。

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 数日後...

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 エーツーこと浅原晃さんは、プロツアー『イニストラードを覆う影』から「フィンケルはタメ(同い年)。俺ら世代としてはここはやはり......」と語るほどジョン・フィンケル/Jon Finkelに対して熱い思いを抱いているようだ。僕もフィンケルが世界王者になったのを(雑誌で)目の当たりにしている、直撃世代だ。世界選手権2000から16年も経過している事実に、若干冷や汗をかいてしまったが......それは置いといて、もう16年も、マジックの最も有名なプレイヤーとして戦い続ける彼に憧れないわけはなく、彼のデッキを使いたい気持ちは膨れ上がる一方で、練習ができていないこと、そして一般に言われるように「バント・カンパニー」が苦手でありメタ的にキツいという結論に達してこれを断念。

 そんな僕らが諦めた緑黒のコントロールを、しっかりと調整してグランプリに持ち込んだ男が2人。ゴールドレベル・プロの市川ユウキとシルバーレベル・プロの松本友樹だ。個人的に両名とも好きなプレイヤーであり、応援しているのだが、そんな2人が75枚同一のデッキを調整して持ち込んだ、しかもそれが緑黒コントロールに《龍王シルムガル》が入ったものだと聞いて、いろいろと気持ちがスパーク!なんだか夢がかなったような、素敵な気持ちになれたものである。二人のユウキが作り上げた「スゥルタイ・季節」をご覧あれ!

市川ユウキ - 「スゥルタイ・季節」
グランプリ・東京2016 9位 / スタンダード (2016年5月7〜8日)[MO] [ARENA]
4 《
4 《
1 《
2 《ラノワールの荒原
4 《風切る泥沼
4 《窪み渓谷
1 《詰まった河口
2 《ヤヴィマヤの沿岸
4 《進化する未開地

-土地(26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス
4 《森の代言者
1 《棲み家の防御者
2 《巨森の予見者、ニッサ
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
2 《龍王シルムガル

-クリーチャー(15)-
3 《闇の掌握
2 《精神背信
2 《究極の価格
2 《苦い真理
2 《破滅の道
1 《ムラーサの胎動
2 《衰滅
3 《闇の誓願
1 《シルムガルの命令
1 《過ぎ去った季節

-呪文(19)-
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
3 《強迫
2 《死の重み
2 《否認
1 《帰化
1 《鞭打つ触手
1 《無限の抹消
1 《餌食
1 《悪性の疫病
1 《過ぎ去った季節
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-サイドボード(15)-

 フィンケルが使用したものと比べると、青が足されたことで《ヴリンの神童、ジェイス》が使用可能になったことで採用されるカードの幅がグッと増している。

回転

 《衰滅》が全く効かない相手にはこれを捨てつつ他のカードをドローして《束縛無きテレパス、ジェイス》に変身、呪文を使いまわしてアドバンテージを稼ぐという動きはこのデッキでも強力だ。これにより、各呪文を4枚投入せずともデッキが機能するようになり、空いたスロットで《森の代言者》《棲み家の防御者》を採用できるようになった。こういった肉壁兼アタッカーになるカードが入ったことで、引き分けずに勝ちきれるようになったのはデッキとしての大きな飛躍だ。

 そして、《龍王シルムガル》。タフネスが5あり、単色でない。《闇の掌握》と《究極の価格》という環境の二大除去に引っかからず、《焙り焼き》や《炎呼び、チャンドラ》の初期忠誠値からの[-X]能力でも焼けないため、なかなか死亡することがない。となれば、クリーチャーとプレンズウォーカーが強力な現在のメタゲームでは無類の強さを発揮する。

 破壊不能がウリの《不敬の皇子、オーメンダール》も《絶え間ない飢餓、ウラモグ》も手なずけてしまえばかわいいもの。ニッサもギデオンもチャンドラもジェイスも(以下略)皆、オレのモノ。例え除去されてしまっても、《過ぎ去った季節》で回収すれば問題はない。《ムラーサの胎動》でも回復しつつ拾えてGood。このカードは《苦い真理》のライフ損失も補填してくれるのが素晴らしい。

 サイドボードには1枚挿しのカードが目立つが、これはメインの《闇の誓願》からサーチ可能なため、実質4枚積まれているようなもの。こういうカードがあると、メイン・サイド合わせてわずか75枚のスロットに、目一杯のカードを詰め込んだ構築が可能になる。良いよねぇ〜自分だけ実質80枚くらいのカードを使えるってのは。《シルムガルの命令》のような激シブカードが採用されているのも好いたらしく。《闇の誓願》がスタンダードにある限り、このようなデッキは存在し続けることだろう。

 グランプリ・東京2016では13勝2敗という好成績を残すも、ほんのわずかな差で惜しくも9位に甘んじることになった。もし8位に食い込んで決勝ラウンドに進出していれば、市川ユウキ2度目のグランプリ王者に......なんて妄想をせざるを得ない。何にせよ、デッキの地力は折り紙付きだ。

 このデッキを相手にするときは、盤面を支配される前に押し切ることを狙いつつも、《龍王シルムガル》1枚で形勢逆転されるような展開の仕方は避けることを意識すると良いのではないだろうか。玄人好みではあるがファンは少なからず存在するタイプのデッキなので、各種トーナメントに出る際はご用心!

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