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2018年1月15日 禁止制限告知

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2018年1月15日 禁止制限告知

Ian Duke

2018年1月15日

原文はこちら

告知日:2018年1月15日

スタンダード:

《霊気との調和/Attune with Aether》 禁止

《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》 禁止

《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》 禁止

《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》 禁止

発効日:2018年1月19日

Magic Online 発効日:2018年1月15日

 制限カード、禁止カードのフォーマット別一覧はこちら

次回禁止制限告知日:2018年2月12日


 開発部では、『イクサラン』の発売にともなうローテーション以降のスタンダード環境の進化を注意深く観察しています。プレイパターンは全般的に健全で、ゲームは戦略的に深いものになっていますが、環境は数か月に渡って「ティムール・エネルギー」と「ラムナプ・レッド」の2つのアーキタイプに支配されています。この2つのアーキタイプを合わせると競技のメタゲームの40%以上を占めており、どちらも他のデッキ(ミラーマッチ以外)に対してかなり勝ち越しています。これらのデッキに適応し、対抗しようというメタゲームの努力があるにもかかわらず、このような結果になっています。

ティムール・エネルギーとその他のエネルギー・デッキ

 環境において「最強」のデッキが認識されることはよくあることで、それだけでは禁止する理由にはなりません。多くの場合、最強のデッキと考えられているものは時間とともにメタゲームの進化や新セットの発売によって変化するものです。しかしながら、今回の場合、3つの因子の組み合わせによって介入が必要となりました。

  1. これらのデッキが支配的である期間の長さ――エネルギー・デッキをどう分類するかによりますが、5か月以上の期間です。
  2. スタンダードのローテーションによってこれらのデッキをはっきり弱体化できず、またこれらと戦えるような新デッキも生まれませんでした。
  3. メタゲームは何か月もかけてこれらのデッキに対応していきましたが、対抗策の選択肢が不足していることが示されています。

 「ティムール・エネルギー」とそのバリエーションである「ティムール・ブラック」(4色エネルギー)は、スタンダードのメタゲームに他のどのデッキよりも明確に多くを占めるようになっています。歴史的に、スタンダード・シーズンの最初は一番プレイされるデッキでメタゲームの10%程度で、他のデッキもそれに競り合うような量が存在します。そして、シーズンの終わりに向けてメタゲームが収束していくと、一番プレイされるようになったデッキがメタゲームの20%を占めるようになることも珍しくありません。そして新セットの発売により、もう一度大変動が起こるのです。

 しかしながら、新セット発売直後でシーズンが始まった時にメタゲームの20%以上を占めるようなアーキタイプがあると、それは我々にとって警戒すべきサインです。『イクサラン』シーズンのはじめのティムール・エネルギーはその範囲にあり、このフォーマットでの支配力は高まるばかりでした。現在、Magic Onlineの競技リーグのメタゲームにおいて、およそ30%を占めるに到っており、これは過去2年で最高の水準です。この数字は、紙のマジックでもデジタルでも、プレミア・イベントではさらに高い値を示しています。

 エネルギー・デッキを分類する方法は数多くあることに注意する必要があります。(例えば)《霊気との調和》を使っているデッキ全てを大きく「エネルギー」と分類するプレイヤーもいるかもしれませんし、「ティムール・エネルギー」「ティムール・ブラック」「スゥルタイ・エネルギー」「スゥルタイ・レッド」「打撃体デッキ」などと細かく分類するプレイヤーもいるかもしれません。私たちは環境の分析においてこれを注意深く考慮しており、これらのデッキを別々にも、また集団としても検討しています。(下の表で「ティムール系」となっているのは、この全体としての勝率表記です。)

 ここで、Magic Onlineの競技リーグから集めたティムール・エネルギーの対戦成績を見てみましょう。この表はシーズンを通して私たちが見てきたものの代表値で、データをさまざまな形で分類し、時系列に沿ってサンプルを集めたものです。

デッキ1デッキ2マッチ勝率第1ゲームの勝率第2ゲーム以降の勝率
ティムール系エネルギーティムール系エネルギー50.0%50.0%50.0%
ティムールなどエネルギーラムナプ・レッド53.4%48.8%53.7%
ティムール系エネルギー白青《王神の贈り物》49.5%41.4%54.3%
ティムール系エネルギースゥルタイ・レッド・エネルギー52.5%50.4%52.5%
ティムール系エネルギースゥルタイ《巻きつき蛇》53.9%50.4%53.3%
ティムール系エネルギー白青サイクリング49.2%29.0%59.3%
ティムール系エネルギーエスパー《副陽の接近》48.3%30.2%59.4%
ティムール系エネルギー黒単アグロ56.6%54.2%53.8%
ティムール系エネルギー白青《副陽の接近》52.8%23.7%63.7%
ティムール系エネルギー赤緑《静電気式打撃体》46.1%42.0%49.8%
ティムール系エネルギーマルドゥ機体49.5%46.3%52.3%
ティムール系エネルギー青黒コントロール49.2%43.2%52.4%

 この表では、「ティムール・エネルギー」と「ティムール・ブラック」などを(一般的なこの種の分析では分けますが)まとめて計算しています。1列目は「ティムール・エネルギー」の2つ目のデッキに対する全体的な勝率です。2列目は第1ゲームの勝率、3列目はサイドボード後のゲームの勝率です。

 サイドボード前のゲームではかなり有利なデッキもありますが、ほとんどの場合にティムール・エネルギーはサイドボード後の再現性によって巻き返すことができています。これは、第1ゲームで圧倒的な勝率を挙げている一方、マッチ全体では勝ち越せていない《副陽の接近》デッキや白青サイクリング・デッキで特に顕著です。

 「赤緑《静電気式打撃体》」(これもエネルギー・デッキです)を例外として、メタゲームに有意に存在するデッキはどれもティムール・エネルギーに対して充分優勢とは言えません。メタゲームによってティムール・エネルギーによる支配に対応することができないため、私たちは禁止・制限による介入が必要だと判断しました。

 禁止の候補を調べるにあたって、私たちはエネルギー・デッキをこれほど強力で安定していて対抗しにくいものにしているのが何かを分析しました。私たちの目的は、次のとおりです。

  1. 「ティムール・エネルギー」その他のエネルギー・デッキの競技レベルの可能性を保ちながら、デッキ全体としての勝率を引き下げる。
  2. エネルギー・デッキに勝ち越せる他のデッキがメタゲームに存在できるようにして、エネルギー・デッキが他の長所や短所を持つ形に組み直されるようにする。
  3. エネルギー・デッキに対してもっと簡単に対抗策を取れるようにする。
  4. 最も楽しいゲームプレイとデッキ構築要素を保ち、不快なゲームプレイを減らす。

 最も強く検討したのは《霊気との調和》《ならず者の精製屋》《霊気拠点》《牙長獣の仔》《つむじ風の巨匠》でした。最終的に私たちは《霊気との調和》と《ならず者の精製屋》に決めました。この2枚は本体だけでも充分強い効果を持つのに加えて、「おまけで」エネルギーを出しています。これらの2枚のカードは各種エネルギー・デッキで最もよく見られる土地以外のカードで、スタンダードでもどこにでも存在するカードです。

 《霊気との調和》がなければ、エネルギー・デッキは何種類の色を使うか、どうマナ基盤を組み立てるかを決めるのが難しくなります。そうなると、4色のエネルギー・デッキは相異なる戦略、長所、短所を持つ複数の2~3色のデッキに分かれることになるかもしれません。さらに、エネルギーを消費するカードは、しばしば第1ターンから存在する「前もって手に入る」2点のエネルギーがなくなることにより即効性を失い、対抗策を取られる可能性が高くなり、ゲームの流れにもさらなる分岐が生じることになりえます。

 《ならず者の精製屋》は気前の良い「比率」のカードと私たちが呼んでいる、単純に小さい投資で大きい価値を生み出すカードです。カード・アドバンテージとエネルギーが追加で得られることにより、他のミッドレンジやコントロール・デッキが長期戦でエネルギー・デッキ相手に攻勢に転じることが難しくなっています。《霊気との調和》同様、これもパワー・レベルを引き上げ、エネルギーを消費するカードの即効性を高めています。《ならず者の精製屋》は青へ寄せる力が強いカードでもあり、そのために3色以上を使うことになっています。これによって、各種エネルギー・デッキのプレイや感覚がお互いに似通ったものになっています。

 私たちは、エネルギーを消費するカードに対しては何も措置しないことにしました。《牙長獣の仔》の場合、《霊気との調和》を禁止したことですでに雪だるま式に制御不能になる不快な初動の多くは発生しなくなっています。《つむじ風の巨匠》は、2番目に人気があって最も勝率が高いデッキである「ラムナプ・レッド」に対して最も有効なカードの1枚です。メタゲーム上ですでに強力である「ラムナプ・レッド」を不注意にも強化してしまうことがないように、私たちは《つむじ風の巨匠》を残すことにしました。一般に、エネルギーを消費するカードを残すことで、各種エネルギー・デッキでさまざまなカードを選ぶことができ、デッキ構築やゲームプレイに多様性が生まれます。

 最後に、私たちは《霊気との調和》がなくなることでエネルギー・デッキの安定性と勝率は充分下がると判断して、《霊気拠点》はそのままにすることにしました。さらに、《霊気拠点》を残すことで、これまで時折見かけられた「青赤」や「グリクシス・エネルギー」といったエネルギーを使って緑でないデッキを作る道筋が残されることになります。

 こうして、エネルギー・デッキの全体としての勝率を引き下げ、対抗される可能性を上げるため、《霊気との調和》と《ならず者の精製屋》はスタンダードで禁止となります。エネルギー・デッキはこの変更後でもメタゲームにおいて競技レベルの要素として残ることになるでしょう。

ラムナプ・レッド

 (ミラーマッチを除く)Magic Onlineの競技リーグで見ると、スタンダードで最もプレイされているデッキは「ティムール・エネルギー」でしたが、(メタゲーム内で2%以上存在する中で)最も勝率の高いデッキは「ラムナプ・レッド」でした。データを見てみましょう。

デッキ1デッキ2マッチ勝率第1ゲームの勝率第2ゲーム以降の勝率
ラムナプ・レッドティムール系エネルギー46.6%51.2%46.3%
ラムナプ・レッドラムナプ・レッド50.0%50.0%50.0%
ラムナプ・レッド白青《王神の贈り物》59.9%58.2%55.7%
ラムナプ・レッドスゥルタイ・レッド・エネルギー57.0%60.0%52.1%
ラムナプ・レッドスゥルタイ《巻きつき蛇》59.0%55.2%56.5%
ラムナプ・レッド白青サイクリング72.3%68.8%62.8%
ラムナプ・レッドエスパー・《副陽の接近》70.8%63.6%63.3%
ラムナプ・レッド黒単アグロ56.8%59.8%52.4%
ラムナプ・レッド白青《副陽の接近》67.1%65.0%60.5%
ラムナプ・レッド赤緑《静電気式打撃体》49.0%51.0%47.7%
ラムナプ・レッドマルドゥ機体62.7%54.1%58.3%
ラムナプ・レッド青黒コントロール56.4%47.1%55.6%

 この表では、「ラムナプ・レッド」が2行目のデッキに対してどれぐらい勝っているかが示されています。「ラムナプ・レッド」は、「ティムール・エネルギー」と「赤緑《静電気式打撃体》」以外のすべてのデッキに対して優勢なことが分かります。実際、このフォーマットにおいてミラーマッチとティムール戦を除いた「ラムナプ・レッド」のマッチ勝率は驚くべきことに60%です。歴史上、シーズン後期のフォーマットで最強のデッキの勝率はおよそ52~53%に落ち着くものでした。

 プレミアイベントの上位入賞を見ると「ラムナプ・レッド」は「ティムール・エネルギー」に次ぐ二番手だったので、「ラムナプ・レッド」の強さは驚きかもしれません。実際のところ、「ラムナプ・レッド」がそれほど成功しなかったのは「ティムール・エネルギー」の多さだけによるものです。「ラムナプ・レッド」はフォーマットのほとんどのデッキに対して有利ですが、唯一、大の苦手としていたのが最も人気のあるデッキだったのです。

 「ティムール・エネルギー」に対して措置をとるにあたり、私たちは「ラムナプ・レッド」の唯一の天敵のパワー・レベルとメタゲーム内の数を減らすということに注意しなければなりません。そうしなければ、どのデッキも「ラムナプ・レッド」に勝てないというデッキ1種だけのメタゲームを作る危険性があります。

 一方で、私たちは、エネルギー・デッキが環境をどの程度歪めているのかについても議論し、検討しました。 「ティムール・エネルギー」が広範に存在していたことで、「ラムナプ・レッド」に強く「ティムール・エネルギー」に弱いデッキが抑圧されていた可能性はあります。しかしながら、Magic Onlineと実世界でのイベントのデータを大規模に調査した結果、赤に対して何も措置を取らなければ、より不健全で楽しくないメタゲームになる危険性が高いと判断しました。

 赤デッキのパワー・レベルを引き下げる上での私たちの目標は、エネルギー・デッキのときと同じでした。このデッキが競技で存続できるようにしたままで、このデッキの全体としての勝率を引き下げ、同時に対抗手段の可能性を高めるのです。

 私たちが措置を検討したカードは、《ラムナプの遺跡》《暴れ回るフェロキドン》《地揺すりのケンラ》《アン一門の壊し屋》《ボーマットの急使》《熱烈の神ハゾレト》でした。

 《ラムナプの遺跡》はこのデッキに「目に見えない力」を与えており、事実上、対戦相手の初期ライフ総量を下げることもありました。これは同時に、昨年の世界選手権で人気があった「青黒コントロール・デッキ」など相手のような長期戦において恐ろしい安定性をもたらしました。(「青黒コントロール」がその後人気を失ったのはこのせいでもあります。)《ラムナプの遺跡》がなくても、このデッキの全般的なプレイパターンは大部分同じになりますが、この土地による簡単な勝率はいくらか下がります。

 多くのプレイヤーにとって、今回措置されたカードの中で《暴れ回るフェロキドン》が最も驚くものでしょう。結局のところ、多くの「ラムナプ・レッド」ではメインデッキにこれを4枚入れることもありません。しかしながら、メタゲームの時間による進化やサイドボード前後の勝率を分析すると、このカードはこのデッキに対する対抗策を最も阻止し無効化している1枚だとわかったのです。《暴れ回るフェロキドン》は、《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》のデッキが現実世界を支配しつつあるときに、それらのデッキへの対抗策としてデザインされたということに注意が必要です。そのコンボを含む強力なメタゲームにおいて《暴れ回るフェロキドン》は適切な回答カードだったかもしれませんが、赤のアグロ戦略に対抗することを主眼とした他のデッキにも被害を与えるということが証明されてしまっています。

 歴史上、盤面を小型クリーチャーで埋め尽くすこととライフを得ることの2つの戦略が赤のアグロ戦略に対して有効です。アブザンやエスパー・トークン、白単吸血鬼などの《オケチラの碑》デッキなど、「ラムナプ・レッド」に対抗するためにデザインされたデッキの盛衰を見てきました。最初はこれらのデッキは「ラムナプ・レッド」に対して有利でしたが、「ラムナプ・レッド」は、サイドボードに《暴れ回るフェロキドン》を増やし、さらにはメインデッキにも増やすことでその相性をひっくり返すことができたのです。

 対抗策(ブロックすること)を困難にしているという観点から、《地揺すりのケンラ》と《アン一門の壊し屋》の2枚を監視していました。しかしながら、多くの赤のアグロ・デッキはこれらを4枚入れないようになり、そうしているデッキにおいても他の選択肢がそれほど大きく弱体化するものではありません。結局のところ、これらは禁止によって環境を混乱させるだけで、それほど影響は与えられないのです。

 逆に、《ボーマットの急使》や《熱烈の神ハゾレト》を禁止するのはこのデッキのプレイパターンとその勝率にあまりにも大きな変化を与えることになると考えられます。これは、禁止後もこのデッキを競技に存在できるようにするという目標と矛盾しています。

 こうして、《ラムナプの遺跡》と《暴れ回るフェロキドン》はスタンダードで禁止となります。これは赤のアグロ・デッキの勝率を引き下げ、あまりにも運ゲーな対戦を緩和し、対抗策の可能性を引き上げます。このデッキについても、この変更後も競技プレイで存在し続けることでしょう。

 Magic Onlineは本日、太平洋標準時・1月15日午前9時/東部標準時・1月15日正午/日本時間・1月16日午前2時からメンテナンスを行います。所要時間は1時間程度で、太平洋標準時・1月15日午前10時/東部標準時・1月15日午後1時/日本時間・1月16日午前3時ごろまでの予定です。それ以降に行なわれる新しいスタンダード・リーグでは、この変更が有効になります。『イクサランの相克』リミテッドのイベントも、このメンテナンス後に可能になります。

 最後に、次回の禁止・制限告知は2月12日に行なわれます。この告知時期は、プロツアー『イクサランの相克』の結果を踏まえた変更を検討するのに理想的なもので、そのためモダンに焦点が当たったものになるでしょう。

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