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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第66回:『ローウィンの昏明』ドラフト攻略

行弘 賢


 皆さんこんにちは!行弘(@death_snow)です!

 皆さん『ローウィンの昏明』、遊んでいますか!?僕はというと、初めてブースタードラフトを遊んだセットが『ローウィン』なので、『ローウィンの昏明』は思い出深いセットであると同時に、17年以上も待ち望んだ待望の次元再訪でもあります。

 さて、そんな『ローウィンの昏明』。ドラフトの方もプロツアーの練習や、MTGアリーナでいつも通り遊んできましたので、今回も、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。今回は記事の末尾にお知らせがあるので、ぜひ最後までご覧ください。

 それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
 

1.『ローウィンの昏明』ドラフト環境のポイント

 『ローウィンの昏明』ドラフトでは、『ローウィンの昏明』プレイ・ブースターを3パックを使用します。

 
環境のポイント1:アーキタイプを把握する

 今回は同族をテーマとするセットになっている為、同じクリーチャー・タイプを多く採用する事がアーキタイプ形成の基本となります。

 特にエレメンタル・キスキン・ゴブリン・マーフォーク・エルフの5つの種族はセットの中に多く存在する種族で、これら5つの種族のどれかをテーマにデッキを作る事で多くのシナジーを含むデッキを作る事ができます。

 どの種族が多く採用されているか分からない場合は、《アシュリングの命令》のような命令サイクルが存在する種族が多く採用されていると覚えてもいいかもしれません。これらはその種族のアーキタイプの色の組み合わせを覚えるのにも役立ちます。

 

 逆に少数派の種族はフェアリー・巨人・ツリーフォークで、これらはシナジーはあるものの、種類が少なかったり命令サイクルが存在しなかったりとメインで組む事が難しい種族です。基本的にはメインの種族に組み込んで運用する種族になります。

環境のポイント2:多相を使いこなそう

 種族を寄せる事がアーキタイプとして重要ではありますが、同じ種族のクリーチャーばかりを毎回集められる訳ではありません。その為、《屋根の上の止まり獣》のような全てのクリーチャー・タイプを持つ多相クリーチャーが重要になってきます。

 

 多相は自分のメイン種族の恩恵を受けられるだけでなく、デッキがメイン種族に寄り切らない時に別の種族の恩恵を受ける事ができる為、多相クリーチャーを多く採用していればそれだけでデッキがまとまりやすくなります。

 多相クリーチャーはクリーチャーの性能自体は抑えられがちなので優先度が下がりがちですが、どの種族ボーナスも得られるという性能は見た目以上にデッキを強くしてくれる存在なので、是非積極的に採用してみましょう。

環境のポイント3:色彩はあくまで補助とする

 能力的には多色を推奨する色彩ですが、基本的に2色の同族でまとめる事がデッキの強度につながりやすい今回のセットのテーマ的に噛み合いが悪いキーワード能力になっています。

 

 色彩をアーキタイプの中心にしてしまうと同じ種族でまとめる事が難しく強いデッキになりにくい為、色彩のカードはあくまでデッキの補強として取り入れるだけに留めて置いた方がデッキがまとまりやすくなります。

 色彩を意識して少しだけ混成マナ・コストを持つクリーチャーを採用したり、多色サポートのカードを採用する分には問題ないので、種族テーマから逸脱しない範囲で運用する事をお勧めします。

 以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
 

2.収録メカニズムについて

色彩

色彩 ― ~あなたがコントロールしているパーマネントの中の色の種類数に等しい~。

 色彩は、自分がコントロールしているパーマネントの中の色の種類に応じてボーナスがあるキーワード能力です。

 マジックは5色存在する為、1~5段階までボーナスが変化するという特性上、色彩を採用する際はできれば3色以上を目指してある程度強く使えるようにしたいです。2色でまとめている時でも、《メロウの空泳ぎ》のような1色だけ合っているハイブリットマナのカードを採用する事で3色以上を目指す事ができます。

枯朽

・枯朽Nを行う。(枯朽Nを行うとは、あなたがコントロールしているクリーチャー1体の上に-1/-1カウンターN個を置くことである。)

 枯朽とは、クリーチャー1体に指定された数値分の-1/-1カウンターを置く事で、能力のコストの支払いや相手のクリーチャーの弱体化を狙う事ができるキーワード能力です。

 枯朽は対象を取らない能力なので、枯朽を解決する際にクリーチャーを選び、-1/-1カウンターを指定された数値分そのクリーチャーに乗せます。-1/-1カウンターを乗せるクリーチャーに特に条件はないため、1回の解決中ならタフネスを越えた数値でも置く事ができます。例えば枯朽5をする際に、タフネスが2のクリーチャーを選ぶ事が可能です。

多相

・多相(このカードはすべてのクリーチャー・タイプである。)

 多相は、多相を持つクリーチャーはすべての領域ですべてのクリーチャー・タイプを持つキーワード能力です。

 基本的にカードのテキストは戦場でのみ効果を発揮しますが、多相は戦場はもちろん、手札や山札など、全ての領域ですべてのクリーチャー・タイプであるという状態のカードになります。その為手札から後見で参照する事もできますし、山札から特定の種族を探す際に参照する事もできます。

 さて、続きまして各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
 

3.『ローウィンの昏明』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン
 

割に合わない一撃》:インスタントかつ広い除去範囲を持つだけでなく、枯朽する事で1枚で2枚を対処する事も可能な、環境屈指の除去呪文です。

 

ワンダーブラインの罠師》:1マナ2/1とスタッツも良く、起動能力により自身のクリーチャーをタップしながら相手のクリーチャーをタップする事ができる、シナジーも見込める優秀なシステムクリーチャーです。

 

動きにくい騎兵》:攻め続ける事で2マナクリーチャーながら最大5/4と5マナクリーチャー相当のサイズまで成長し、攻撃できずとも召集等でも成長させることできる、2ターン目からかなりの圧をかける事ができる強力なクリーチャーです。

白・コモン
 

境界の支配》:広い除去範囲とライフ回復によりデッキに安定感をもたらしてくれる優秀な除去です。

 

孤立への悪循環》:2マナと軽い除去として機能するだけでなく、枯朽と追加で2マナ支払う事で後腐れなく追放する事もできる、使い勝手の良い除去です。

 

ワンダーブラインの説教者》:タップする度ライフを回復する優秀なシステムクリーチャーであり、盤面が弱くなりがちなマーフォークのアーキタイプでは必須級のクリーチャーです。

青・アンコモン
 

凍炎族の世捨て》:3/2と標準スタッツを持ちつつ、パーマネントをバウンスできる、単純明快に強力なクリーチャーです。

 

タヌフェルの凍炎語り》:一度盤面に定着さえすれば、圧倒的アドバンテージによりゲームを加速度的に有利にする、強力なシステムクリーチャーです。

 

ノッグル的心理》:システムクリーチャーに触りにくい色である青においてほぼ完全除去として機能する貴重な除去です。

青・コモン
 

花弁縛り》:タップによりクリーチャーをほぼ無力化できるだけでなく、枯朽もできなくなるのでシステムクリーチャー以外にはほぼ完全除去として機能する優秀な除去です。

 

銀エラの行商人》:タップするだけで手札を入れ替え続ける事ができる、マーフォークで大活躍するのは勿論、他のデッキでもある程度活躍できる優秀なシステムクリーチャーです。

 

砂利エラの悪漢》:能動的にクリーチャーをタップできるため、タップ時に能力を誘発するクリーチャーを有効活用しやすい、システムで勝つマーフォークのアーキタイプにおいて重宝するクリーチャーです。

黒・アンコモン
 

名も無き転置》:多相により様々なカードとシナジーするだけでなく、2マナ除去としても優秀な、使い勝手の良い除去呪文です。

 

節くれ皮の楡》:除去として使うには少々重い起動とはいえ、枯朽すれば繰り返し使える点も含めるとかなりの圧がある強力なクリーチャーです。

 

腸裂きの一団》:4マナ6/6と破格のスタッツと毎ターン枯朽かライフを要求するデメリット持ちクリーチャーですが、ライフレースとしてみれば基本有利で、毎ターン枯朽する事をメリットに変える事ができれば非常に強力なスタッツを持つシステムクリーチャーになるため、あらゆるデッキで活躍が見込めるクリーチャーです。

黒・コモン
 

枯れ腐り》:インスタント除去として優秀なだけでなく、-1/-1カウンターで除去をする性質上コンバットトリックとしても機能する、使い勝手の良い除去呪文です。

 

沼這いの抱擁》:2マナと5マナ、状況に応じて使い分けできるだけでなく、後腐れなく追放できる優秀な除去です。

 

傷刃の斥候》:墓地にエルフが必要なエルフのアーキタイプにおいて切削が嬉しく、絆魂によりライフも一定水準以上に保ってくれる、エルフのアーキタイプでは必須級のクリーチャーです。

赤・アンコモン
 

巨石くだり》:2マナながら最大2枚と可能なだけでなく、プレイヤーにも可能な、強力な火力呪文です。

 

爆発的神童》:除去性能はそこまで高く無いものの、クリーチャーなので使いまわしできたり、誘発回数を増やして複数除去したりと工夫次第で何倍も強くなる、環境屈指のアンコモンです。

 

焼きつけ》:2マナインスタントかつ4点と幅広い範囲を除去する事ができる、これ以上を目指す事が難しいといえるほどに文句のない強力な除去です。

赤・コモン
 

燃えがらの一撃》:通常プレイでも1マナ除去としては文句なく、枯朽することでより広い範囲を除去できる、使い勝手が非常に良い除去呪文です。

 

毛抜き》:プレイヤーも対象にできるので最後の詰めに使えるだけでなく、手札を入れ替える事で除去しながら手札を整える事もできる、デッキの潤滑油としても活躍が見込める優秀な除去です。

 

肉筋の大食漢》:毎ターン手札を入れ替えるだけでなく、コストである枯朽により-1/-1カウンターシナジーも見込める優秀なシステムクリーチャーです。

緑・アンコモン
 

月夜祈りの支持者》:墓地と戦場どちらも参照する為、4マナとは思えないサイズに成長可能かつ、トランプルによりそのサイズが活きる性能をしている、環境屈指のアンコモンです。

 

冷酷な拳》:クリーチャーのサイズを向上させつつ格闘により除去できる、一気に盤面を有利にする強力なエンチャントです。

 

モーカントの眼》:毎ターン山札を操作できる強力なシステムとして優秀かつ、エルフのアーキタイプにおいて最終的にはフィニッシャーとしても機能するエンチャントです。

緑・コモン
 

完全の確立》:パワーを上げつつ一方的にダメージを与えることができる、ソーサリー除去として文句の無い性能の優秀な除去呪文です。

 

岐路の監視者》:3マナ3/3トランプルとコモンとは思えない強力なスタッツを持ちつつ、更にパワーを上げる能力も持つ、緑の攻めの軸となる優秀なクリーチャーです。

 

偉大なる森ドルイド》:タフネス4かつ好きな色マナを生み出せる、マナクリーチャーとしてほしい要素を兼ね揃えている優秀なマナクリーチャーです。

 続きまして、『ローウィンの昏明』の注目アーキタイプを紹介していきます。
 

4.『ローウィンの昏明』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:白青マーフォーク

 「白青マーフォーク」は、《ワンダーブラインの説教者》や《銀エラの行商人》などのタップ時にボーナスがあるカードを、能動的にタップできる《砂利エラの悪漢》や《メロウの空泳ぎ》などの召集を持ったカードでバックアップして戦うアーキタイプです。

 

 タップ時に能力を誘発させるようなシステムクリーチャーが多い都合上、長期戦に強いアーキタイプで、《メロウの空泳ぎ》と《深水路の決闘者》を絡めた横並びで攻める戦略も強いです。

 クリーチャーのスタッツは低くなりがちなので、相手のスタッツの良いクリーチャーに対処できるよう除去呪文は優先して採用するよう意識しましょう。

注目のアーキタイプ・その2:緑白キスキン

 「緑白キスキン」は、《キンズベイルの野心家》や《思考の糸の補佐官》などのクリーチャーが場に出た時に能力を誘発させるカードを、《勇敢な鶏騎士》のようなクリーチャーかつ盤面を強化するクリーチャーでバックアップしながら戦うアーキタイプです。

 

 とにかくクリーチャーを出し続ける事で攻めを継続したいアーキタイプなので、《勇敢な鶏騎士》や《思考の糸の浸潤家》のような、除去やコンバットトリックを使わずに攻めを継続しやすくなるクリーチャーを意識して採用した上で、クリーチャーの枚数もできれば16枚以上採用したいです。

 

 《岐路の監視者》は3マナ域の中でも優秀なサイズかつ、トランプルを持っている点もあり最後の押し込みとしても活躍する為、キスキンを目指す際は3マナ域が《岐路の監視者》でできるだけ埋まるよう意識しましょう。

 
注目のアーキタイプ・その3:青赤エレメンタル

 「青赤エレメンタル」は、《タヌフェルの凍炎語り》や《燃えたぎる燃えがら》などのマナ・コスト4以上の呪文を唱えた時にボーナスがあるカードと4マナ以上の強力なカードの組合せで中盤以降圧倒的リソースやカードパワーで戦うアーキタイプです。

 

 エレメンタルは4マナ以上のシナジーの他に《双子炎族の旅人》とエレメンタルの誘発を組み合わせる軸や、《炎束ね》や宝物から他の色の色彩をカードを採用する軸など、幅広い戦略を取り入れる事ができます。

 

 自由度が高くまとめるのに少し苦労するアーキタイプではありますが、基本は青赤2色の4コスト以上のシナジーを軸にしつつ他も取り入れると上手くまとまりやすいです。

注目のアーキタイプ・その4:黒赤ゴブリン

 「黒赤ゴブリン」は、《ボガートの造呪師》と《ボガートの悪戯》の2種のゴブリンが死亡時に相手のライフを減らすカードを軸に、《サワーブレッドの婆》や《上座婆》等複数ゴブリンを展開させるカードを組み合わせて戦うアーキタイプです。

 

 上記の組合せがそろった時は非常に強力なデッキになるのですが、特定のカードの依存度が高く、ゴブリンはアーキタイプとしての完成を目指すのに苦労するアーキタイプとなります。

 一方でゴブリンは《腸裂きの一団》や《怪異の闘士》のような、単体で強いカードも多く、シナジーを意識せず単体で戦えるクリーチャーと赤と黒の優秀な除去を組み合わせるいわゆるグッドスタッフのような構成でも十分戦えます。この場合《ボガートの悪戯》のようなシナジーが無いと上手く機能しないカード採用せずに、時にはゴブリンという種族にすらこだわらない事も重要になります。

 

 黒から入って赤が流れて来ない時は、-1/-1カウンターシナジーが流用できる白黒に移行しやすい点も覚えておきましょう。

注目のアーキタイプ・その5:黒緑エルフ

 「黒緑エルフ」は、《モーカントの眼》や《月夜祈りの支持者》等の墓地にクリーチャーが多く存在すると強力なカードを、《アケノテブクロ使いの賛美者》や《傷刃の斥候》などの山札を切削するカードで墓地にクリーチャーを送り込んでバックアップするアーキタイプです。

 

 エルフはとにかく墓地にエルフを送り込む事が重要で、《リス・アラナの高官》や《軋み森の守美者》等、そもそも墓地にエルフが無いと機能しないカードも存在します。そのため切削や諜報できるエルフは積極的に採用するようにしましょう。

 

 また、エルフはレア以上のカードが軒並み強力で、《高位完全者、モーカント》や《憂鬱の切り裂き魔》等、1枚で盤面に大きな影響を与えるカードが多く存在する為、これらのレアを引いた場合は積極的にエルフを狙ってみましょう。

 
注目のアーキタイプ・その6:巨人

 「巨人」は、《ボールドウィアの攻め手》を軸に、各種巨人や多相に二段攻撃を付与して圧倒していくアーキタイプです。

 

 巨人は種類が少ない種族になるので、多相を積極的に採用する必要があります。《ひょろ長の踏みつけ仔》はトランプルかつパワーが4あるため、《ボールドウィアの攻め手》と非常に相性が良いです。

 

 3マナ域に多相を取りやすい赤白か、《雇われの打撃手》を採用できる赤緑のどちらかの色になりやすく、赤緑だと多色化もできるため自由度が高くカードパワーがある程度担保されやすいです。

 

 他の種族と比べてアーキタイプのきっかけになるカードが少ない事もあり空きやすいアーキタイプなので、《ボールドウィアの攻め手》が取れた時は巨人を意識してみましょう。
 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 さて、冒頭で触れたお知らせですが、誠に残念ながら今回をもって僕の記事の更新は終了となります。2015年からマジック日本公式サイトで書き続けてきたことを思うと感慨深く、これまで公式の皆さん、そして読者の皆さんには多大なお世話になりました。終了の理由としましては、生活基盤の変化により執筆時間の確保が難しくなり、これまでのクオリティを維持することが困難になったためです。

 今後は別の人が記事を担当するかもしれませんし、またいつか環境が変わって僕が書くこともあるかもしれません。続報につきましては引き続き本サイトをチェックしてみてください。

 これからも僕がブースタードラフトを愛し続ける事には変わりませんので、どこかで皆さんと同卓できる日を楽しみに、引き続きマジックを楽しんでいきたいと思います。

 それでは、またどこかでお会いしましょう!10年以上もの間、本当にありがとうございました!

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