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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第60回:『ファウンデーションズ』ドラフト攻略

行弘 賢


 皆さんこんにちは!行弘(@death_snow)です!

 世界選手権も終わり、競技マジック的にはいわゆるオフシーズンといった季節ですが、遂に5年間もスタンダードで遊べる『ファウンデーションズ』が発売となりました。リミテッド的にも過去のリミテッド環境で強力だったカードが多く再録されており、思い出が蘇りながら遊べる素晴らしいセットになっていると思います。

 さて、そんな『ファウンデーションズ』。ドラフトの方もMTGアリーナでいつも通り遊んできましたので、今回も、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 と、その前に。今回はこれを機にドラフトを遊んで見たいという方に向けて、まずはドラフトとはどういうゲームなのか?という点から解説させていただきます。もしまわりに「ドラフトってどういうゲームなんだろう」と思っている方がいたら、この記事をオススメしてもらえると嬉しいです!

 

1.ブースタードラフトとは

概要と事前準備

 ブースタードラフトとは、プレイ・ブースターなどのドラフトに対応したパックを1人につき3パック使用して遊ぶフォーマットです。なので、まずは使うパックを3パック用意する必要があります。友達と遊ぶ場合は事前に何を用意するか確認するようにしましょう。

 基本的には4人以上で遊ぶ事が多く、一番ノーマルな人数は8人です。プロツアーや世界選手権などの競技大会、MTGアリーナなどの公式アプリでは基本的に8人でプレイしますが、カジュアルには6~10人ほどで遊ばれることもあります。

競技マジックの頂点である世界選手権でも種目として採用されています

ドラフトの遊び方

 ドラフトは各々が1パックずつ開封して、そこから1枚カードをピックして、横の人に残りの束を流す、という工程を繰り返してデッキを作っていきます。1パック目は左回りに、2パック目は右回りに、3パック目はまた左回りとパックを流す方向が毎パック逆になる事に注意しましょう。これは自分が開封したパックを基準に変わるため、次に自分がパックを開封するまでは流す方向が変わる事はありません。


 各パック大体14~15枚使えるカードがあるので、大体ピックが終わったら45枚ほどの枚数が手元にあるはずです。そこからはシールド戦と同じで、手元にあるカードでデッキを作製する事になります。40枚のデッキを作るので基本的には土地17枚、クリーチャー呪文15枚前後、クリーチャー以外の呪文8枚前後を目指してデッキを作っていきます。基本土地はあらかじめ用意したものが無制限に使えます。

ドラフトの面白さ

 ドラフトは毎回違うデッキで遊べる新鮮さもさることながら、自分の意思でカードを選択していきデッキを作るという工程の面白さもあります。

 例えば最初にパックを開封して出た《初祖牙、アラーボ》をピックしたら、今回は猫デッキを作ってみよう!といった感じで、実際に狙ったデッキが作れた時はそれだけで面白い体験になる事間違いありません。

 

 まずは難しく考えず、『ファウンデーションズ』のブースターボックスが手元にある方は友達を誘ってドラフトやってみない?と声をかけてみましょう!MTGアリーナであれば今すぐ遊ぶ事もできますよ!

 『ファウンデーションズ』からドラフトを始めてみる人は、ぜひこの後の『ファウンデーションズ』ドラフトの解説記事も読んでみて下さい。
 

2.『ファウンデーションズ』ドラフト環境のポイント

 『ファウンデーションズ』ドラフトは、『ファウンデーションズ』プレイ・ブースターを1人3パック使用します。
 

環境のポイント1:カード・アドバンテージを取ろう

 この環境は往年のリミテッドで活躍したカードが多く再録されていることもあり単体の性能が高いカードが多いため、ある程度1対1交換を繰り返していくゲーム展開が多いです。クリーチャーも除去呪文も高水準のものが多いためそのようなゲーム展開になりがちなのですが、そうなると高レアリティの強力なカードでゲームが決まったり、土地を多く引いてしまった方がリソース不足でゲームが決まってしまうケースも多くなってしまいます。

 

 このような展開で有効な戦略が「カード・アドバンテージを取る事」です。カードを単純に2枚以上引くカードや、手札の質を良くするカード、盤面に1枚で複数のパーマネントを並べるカードなど、1枚でカード2枚以上の働きをするカードをある程度採用する事で1対1交換をしていった際に自分の方が有利になりやすいです。

 

 また、アドバンテージを取れないようなデッキの場合は相手の除去呪文をかわすようなカードを採用し、上手く交換をされないよう意識しましょう。

 
環境のポイント2:アーキタイプは縦に

 今回は様々なシナジーを前提にしてあるカードがあるものの、特定のアーキタイプに全力で行くにはどれも少しカードが足りない印象があります。一方でそれぞれの色に複数のアーキタイプがあるため、それらのアーキタイプを複合してデッキにする必要があります。

 例えば黒緑だとエルフと陰鬱、青赤だとセカンドドローと果敢といった、それぞれが比較的相性が良い別のシナジーとなっていて、それらをどう扱うかが重要になってきます。

 

 そのため一つのアーキタイプに全力で寄せる横のシナジーではなく、シナジーよりカードの質を優先しつつ、特定のカードのシナジーもある程度目指す「縦のシナジー」を意識すると様々なカードが採用しやすくなります。

環境のポイント3:マルチカラーを採用しよう

 今回は《進化する未開地》や各種2色土地がコモンにあるおかげである程度土地の自由度が高いです。そのため色があってない強力なカードも取っておいて後から土地を取って採用する事も視野に入れる事ができます。

 

 一方で強力なカードはダブルシンボルのものも多いため、それらは容易にタッチする事はできません。しかし、マルチカラーはシングルシンボルのものがほとんどなのでタッチがしやすい為、1色以上色があっているマルチカラーは土地を取りつつ積極的に採用してみましょう。

 以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 

3.『ファウンデーションズ』のトップ・コモン&アンコモン

 さて、続きまして各色のトップ・コモン&アンコモンを見ていきましょう!

白・アンコモン
 

太陽恵みの癒し手》:自身が2マナ3/1魂絆と優秀なスタッツかつ、キッカーによりアドバンテージも取れる、環境屈指のアンコモンクリーチャーです。

 

猫を集める者》:ライフを得るだけでトークンを生成する、優秀なシステムクリーチャー。食物生成により自己完結しているのも嬉しいですね。

 

セラの天使》:5マナ4/4警戒飛行とシンプルな強さ。攻防一体の美しい往年のデザインは現代でも十分に通用する強力なクリーチャーです。

白・コモン
 

払拭の光》:幅広い除去範囲で癖無く使える、追放も嬉しい強力な除去エンチャントです。

 

絢爛たる天使》:3マナ2/3飛行と標準以上のスタッツかつ、ライフ回復能力によりダメージレースにも強い、汎用性の高い優秀なクリーチャーです。

 

誇り高き親》:本体の2/2とトークンの1/1により実質3/3相当の価値があり、3マナで横並びしつつ様々なシナジーも期待できる使い勝手の良いクリーチャーです。

青・アンコモン
 

フェイ花のいたずら》:1/1飛行トークン2体とダメージレースにおいて影響が大きなトークンを出しつつ、相手のクリーチャーをタップする事もできる、ダメージレースにおいて大きな役割を果たすカードです。

 

悪戯な神秘家》:2マナ2/1飛行と優秀なスタッツかつ、セカンドドローの能力により飛行トークンを生成できる、システムクリーチャーとしても文句のない環境屈指のアンコモンクリーチャーです。

 

絡みつくクラーケン》:上陸によりタップと麻痺カウンターを置ける優秀なシステムを持つクリーチャー。実質疑似除去として働くので、一度盤面に定着すれば自身のスタッツも相まって強力なフィニッシャーとして立ち回れます。

青・コモン
 

大ヒレの用心棒》:4マナかつ相手のクリーチャーをバウンスできる能力を持つ、盤面を優位に進める事に貢献する優秀なクリーチャーです。

 

証人保護》:1マナである程度のクリーチャーを無力化できる、除去が不得意な青にとって嬉しい1枚です。

 

氷風の精霊》:5マナ3/4飛行と優秀なスタッツと、ルーター能力により手札を整えつつ、セカンドドローのアーキタイプともシナジーする優秀なクリーチャーです。

黒・アンコモン
 

悲劇的なバンシー》:除去内蔵クリーチャーとして幅広く活躍できる、汎用性の高いクリーチャーです。

 

吸血鬼の夜鷲》:ダメージレースにおいて最強の魂絆と飛行どちらも兼ね揃えただけでなく、接死によりあらゆるクリーチャーと戦闘できる、攻守においてこの上ない活躍を見せる環境屈指のアンコモンクリーチャーです。

 

吸血鬼の大食家》:マナをかけずにクリーチャーを生贄に捧げる事ができ、ドローに変換できる、生贄シナジーのあるデッキにおいてエースの活躍を見せるクリーチャーです。

黒・コモン
 

パイ包み》:インスタントで食物を生成しつつ確定除去できる、ゲームに安定感を与える優秀な除去です。

 

踊り食い》:クリーチャー生贄か追加マナか選ぶ必要はあるものの、どちらで使っても優秀な性能で、追放も地味に嬉しい優秀な除去です。

 

突き刺し》:コンバットトリックにも使える、黒の低マナを支える屋台骨的な除去です。

赤・アンコモン
 

戦歌の狂戦士》:自身に威迫を付与する事で最低限4/4威迫として活躍できるだけでなく、他のクリーチャーにも威迫を付与できるので場に出たターンから活躍できる、強力なクリーチャーです。

 

焦熱の殲滅》:インスタントの5点除去と使い勝手の良い除去だけでなく、装備品とそのクリーチャーをまとめて追放できる、上手くはまった時の強さも兼ね揃えた優秀な除去です。

 

削剥》:2マナ3点と優秀な火力除去であり、アーティファクトも破壊できる、広い除去性能が嬉しい優秀なインスタント除去です。

赤・コモン
 

噴出の稲妻》:1マナ2点と優秀な火力呪文なだけでなく、キッカーする事でより広い範囲の除去性能とプレイヤーへ影響を与える事ができる非常に使い勝手の良いインスタント火力呪文です。

 

威勢のいいゴブリン》:パワー4以上のクリーチャーを出すという比較的緩い条件で威迫とパワーが上がる、優秀な2マナクリーチャーです。

 

血まみれ角の略奪者》:強襲により2点ダメージを与える事により、盤面やライフにプレッシャーをかける事ができる、攻めを意識したデッキで活躍するクリーチャーです。

緑・アンコモン
 

エルフの再生家》:パーマネントを回収できるという強力な能力だけでなく、自身も4/3と十分なスタッツをしている、シナジーなどが無くとも必ずデッキに入れたい強力なクリーチャーです。

 

伐採の一撃》:自身のクリーチャーを強くしながらア相手のクリーチャーへ一方的にダメージを与える為、盤面を一気に変える事ができる強力な除去です。

 

ネシアンの角甲虫》:毎ターン成長する能力により2マナながら相手に対処を迫る事ができる、優秀なクリーチャーです。

緑・コモン
 

ラノワールのエルフ》:遂にラノエルがスタンダードに帰ってきた!と話題になるほど有名なクリーチャーですが、リミテッドにおいても1ターン目から出るマナクリーチャーは1マナとしては破格の性能です。

 

噛み締め》:2マナのインスタントの一方ダメージはコモンの性能としては非常に優秀です。

 

用心深い演劇役者》:2マナ3/1と序盤嬉しいスタッツで、場に出た際と死亡時に諜報ができる為ゲームに安定感を与えてくれる優秀なクリーチャーです。
 

4.『ファウンデーションズ』ドラフトの注目のアーキタイプ

 続きまして、『ファウンデーションズ』の注目アーキタイプを紹介していきます。

注目のアーキタイプ・その1:白青飛行

 「白青飛行」は、《天穹の鷲》で飛行クリーチャーをバックアップしながらダメージレースを制するアーキタイプです。

 

 飛行クリーチャーでダメージレースをするには相手の地上を止めつつ飛行で攻撃していく事が理想なため、《神盾の海亀》や《誇り高き親》のような地上クリーチャーを牽制できるクリーチャーも採用するようにしましょう。

 

 飛行を軸にするとダメージレースを制する展開も多くなる為、ライフを回復できる《絢爛たる天使》やタップでダメージレースを優位に進められる《フェイ花のいたずら》などは飛行クリーチャーかつゲームを有利に進められるカードなので優先して採用しましょう。

 
注目のアーキタイプ・その2:白黒ライフゲイン

 「白黒ライフゲイン」は、《極悪なパンダ》や《猫を集める者》など、ライフを得た時に能力が誘発するカードをライフを得るカードでバックアップするアーキタイプです。

 

 「白黒ライフゲイン」をやる際に注意しないといけない事としては、ライフを得るカードは多いものの、シナジーの軸になる《極悪なパンダ》や《猫を集める者》のようなカードは少ないのでこちらを優先してピックするようにしましょう。

 また、シナジーを意識しすぎるあまり採用したクリーチャーのスタッツ(パワーとタフネスの数値)が低くなりすぎて、主要なクリーチャーを除去されてしまうと盤面に弱いクリーチャーだけになってしまうといった事が無いように、ある程度スタッツを意識してクリーチャーを採用するようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その3:青赤スペル

 「青赤スペル」は《火付け射手》や《心火の供犠者》などの、クリーチャー以外の呪文でボーナスを得るカードをクリーチャー以外の呪文でバックアップするアーキタイプです。

 

 継続的に呪文でバックアップするには多くの呪文が必要になるため、《熟慮》や《一瞬の散漫》などのカードを引く呪文をある程度採用するようにしましょう。また、これらのカードを引くカードはセカンドドローとも相性が良いため、《悪戯な神秘家》などのセカンドドローのカードも積極的に採用するようにしましょう。

 
注目のアーキタイプ・その4:黒赤サクリファイス

 「黒赤サクリファイス」は、《飢えたグール》や《吸血鬼の大食家》等の生贄に捧げるカードを、《組み直しの骸骨》や《冥府の器》等生贄に捧げても損しないカードでバックアップするアーキタイプです。

 

 赤の要素としては相手のクリーチャーを一時的にコントロールできる《不本意な雇用》と生贄のシナジーが大きな要素となります。攻めつつ除去できる為一度決まるとゲームに大きな影響を与えるコンボなので黒赤をやる際はこのコンボを意識するようにしましょう。

 

 また、生贄シナジーは陰鬱とも相性が良いため、《不本意な雇用》を採用しない場合は黒緑にして《悲劇的なバンシー》などの陰鬱のカードを絡める軸もあります。

 
注目のアーキタイプ・その5:青緑上陸

 「青緑上陸」は、《絡みつくクラーケン》や《水底のドルイド、タトヨヴァ》などの土地が場に出る事でボーナスを得るカードを《進化する未開地》や《灰からの成長》等の土地を2枚以上場に出すカードでバックアップするアーキタイプです。

 

 「青緑上陸」はコンセプトが使えるマナを伸ばしてマナ・コストが重いカードをプレイするになりやすく、マナを伸ばすカードが上陸と相性が良いためこれらを多く採用しても無駄にならない利点があります。

 青緑は色の特性上、対戦相手のクリーチャーを除去する事が不得意なため、《証人保護》や《噛み締め》などの優秀な除去は優先して採用するようにしましょう。

 
注目のアーキタイプ・その6:赤緑パワー4

 「赤緑パワー4」は、《勇敢な追跡者、ルビー》や《ガラクの蜂起》などのパワー4のクリーチャーと相性が良いカードと、パワー4以上のクリーチャーで戦うアーキタイプです。

 

 ある程度マナがかかるクリーチャーはそれに応じてパワーも上がるためパワー4を満たしやすくなりますが、早い段階で満たした方が強いカードもあるため《まどろむケルベロス》や《熱心なトリュフ嗅ぎ》のような2~3マナでパワー4以上あるクリーチャーは優先し手採用するようにしましょう。

 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 今回はかつての基本セットの流れを汲んだセットということもあり単調なカードが多いと思っていたら全然そんなことはなく、近代のリミテッドにふさわしいやりこみがいがある環境だと感じました。ぜひ皆さんもたくさん遊んでみてくださいね! 

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

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