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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第57回:『サンダー・ジャンクションの無法者』ドラフト攻略

行弘 賢


 皆さんこんにちは!行弘(@death_snow)です!

 桜舞い散る季節の中、遂に『サンダー・ジャンクションの無法者』が発売しました!様々な次元から人気のヴィランたちが集結している本セットはお祭り感があって、それだけでとてもワクワクするものになっています。

 そんな『サンダー・ジャンクションの無法者』をMTGアリーナでいつも通り遊んできましたので、今回も、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
 

1.『サンダー・ジャンクションの無法者』ドラフト環境のポイント

 『サンダー・ジャンクションの無法者』ドラフトは、『サンダー・ジャンクションの無法者』プレイ・ブースター3パックを使用します。

OTJ_Play_3.png
環境のポイント1:プレイ・ブースターの変化

 前回(『カルロフ邸殺人事件』)からドラフト・ブースターが撤廃されプレイ・ブースターを使用するようになったリミテッドですが、前回はレアが多く出る割にコモン・アンコモンがその強さに適応しておらず、レアがゲームを決めるウェイトが大きかったように感じました。しかし、今回は全体的にコモン・アンコモンがしっかりと強力なものが多く、レアに頼らずともゲームを決め切る事ができます。

 またレアも大雑把なものが少なくミドルレンジのクリーチャーが多いため、除去で対応できるものが多いのも前回からの大きな違いです。とはいえ「ビッグスコア」や「速報」を含めると、レア自体はたくさん出現するためレアをいかに上手く組み込むか、レアをいかに捌けるかという点は軽視できないです。

 基本的にはコモン・アンコモンをベースにアーキタイプを意識してデッキを作りつつ、そこにレアを上手く組み込んでデッキを作るようにして、レアに依存しない構成を目指しましょう。

環境のポイント2:除去を巡る戦い

 この環境の除去は悪事のトリガーになる事もあり、いつも以上に重要です。悪事があるのもあってか除去も強力なものが多く、ボーナスシートである速報カードにも除去が多く含まれるので基本的にクリーチャーを除去しあう展開になりやすいです。

 そのためテンポよくクリーチャーを展開し、中盤以降のクリーチャーを除去させ序盤に出したクリーチャーでダメージを稼いだり、中盤以降残った際にゲームを決める事ができるスタッツの良いクリーチャーを採用する事が重要になります。

 除去を構えている相手には《盾、構え》や《蛇皮のヴェール》等除去をかわす手段もしっかりと存在するので、クリーチャーを押し付ける構成ではこういった除去への対応策が必要となってきます。

 また、露骨な除去構えには計画という今回の強力なキーワード能力により相手が構えたマナを上手く使わせないよう、ターンをずらすカードも多く存在します。このような除去を上手く使わせない攻防もこの環境における重要なテクニックになります。

環境のポイント3:「悪事を働く」を継続的に

 基本的には除去呪文を中心にトリガーできる悪事ですが、《擦り減った絶壁》などの2色砂漠土地サイクルも対戦相手を対象に取るため悪事をトリガーさせる事ができます。

 このような呪文でなく能力によって対象に取るカードの中には《百発百中の決闘者》のような継続的に能力を誘発させる事ができるものがいくつか存在します。

 悪事を持つカードはどれだけ安定して対戦相手か対戦相手のカードを対象に取るものを用意できるかでカードの強さが変わるため、これらの呪文以外で悪事を満たせるカードを意識して採用することが重要です。

 以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみてください。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
 

2.収録メカニズムについて

無法者

無法者(暗殺者、海賊、邪術師、ならず者、傭兵が無法者である。)

 無法者とは、「暗殺者」「海賊」「邪術師」「ならず者」「傭兵」のいずれかのクリーチャー・タイプを持つクリーチャーの事です。

 無法者を持つクリーチャーが戦場にいる際や出た際にボーナスがある《陽気な擲弾兵、薬瓶砕き》のようなカードが一定数存在するため、これらを採用する際は併せて採用するカードのクリーチャー・タイプを注意してみるようにしましょう。

悪事を働く

悪事を働く(悪事を働くとは、対戦相手や対戦相手がコントロールしているものや対戦相手の墓地にあるカードを対象とすることである。)

 悪事を働くとは、対戦相手や対戦相手の何かを対象にした際にボーナスがあるキーワード能力です。パーマネントはもちろん、墓地やスタック上で対戦相手がコントロールしている呪文でも対象に取るとボーナスがあります。

 呪文だけでなく能力でも悪事は働けるため、起動型能力などで継続的に対象に取るものと相性が良いです。

放題

放題(以下から1つ以上の追加コストを選ぶ。)

 放題とは、その呪文を唱える際に、必ず一つ以上の追加コストを選んで唱える呪文の事を指すキーワード能力です。

 選んだモードの数に応じてコストを追加で払う事で複数のモードを選んで唱える事もできます。放題の基本コストだけでは唱える事ができない事に注意しましょう。

騎乗

騎乗N(あなたがコントロールしていてこれでない望む数のクリーチャーをパワーの合計がN以上になるように選び、タップする:ターン終了時まで、この乗騎は騎乗された状態になる。騎乗はソーサリーとしてのみ行う。)

 騎乗とは、ソーサリー・タイミングで自身以外のクリーチャーのパワーが指定の数以上になるようにタップする事でボーナスを得る事ができるキーワード能力です。

 機体の登場と挙動は大体同じですが、ソーサリーでしか行えない点が違うのと、騎乗自体には特に効果がある訳では無い点に注意しましょう。

 また騎乗を持つクリーチャーはクリーチャー・タイプ「乗騎」を持っており、乗騎を参照する《集いのグリフ》のようなカードもいくつか存在します。

計画

計画N(Nを支払ってあなたの手札にあるこのカードを追放してもよい。後のターンに、これをソーサリーとしてマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。計画はソーサリーとしてのみ行う。)

 計画とは、指定されたマナ・コストを支払う事で、次の自分のターンからソーサリー・タイミングでマナ・コストを支払わずにカードをプレイできるキーワード能力です。計画カードの多くはそれと同じかそれ以下のコストで計画出来るため、そのカードをそのターンにプレイできずとも本来よりも低いコストでプレイする事ができます。

 また、《怒りっぽいクズリ》のような、そのターンに出すより計画して出した方が能力を活かしやすいカードも多くあります。そのターンに出すか計画して出すかは状況に応じて選んでいきましょう。

 さて、続きまして各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
 

3.『サンダー・ジャンクションの無法者』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン

法による束縛》:幅広い除去範囲と、戦場に出た際に傭兵・トークンを生み出す、環境にマッチした強力なエンチャントです。

雲飼い》:飛行で警戒かつパワー4のクリーチャーなので攻防に優れ、能力によりアドバンテージも稼ぐ、非常に強力なクリーチャーです。

開拓地の探求者》:平地か乗騎持ちを探す能力が幅広い範囲を探す事が出来るため外れにくく、2マナとして最低限のスタッツを持ちつつアドバンテージを稼ぐ、優秀なクリーチャーです。

白・コモン

神秘の縛め》:「ビッグスコア」に強力なアーティファクトが多いため、クリーチャーとアーティファクトの両方に触ることができる貴重な除去です。瞬速で使えるのも嬉しいですね。

スターリング社の鍵守り》:無法者かつタップ能力により毎ターン悪事を働ける優秀な2マナクリーチャーです。

訓練されたエイリンクス》:2マナながらパワー3と優秀なスタッツを持ちつつ騎乗により先制攻撃で戦闘能力も申し分なく、占術で後続も安定させることができる、コモンとは思えない優秀なクリーチャーです。

青・アンコモン

無法のスフィンクス》:護法を持つので疑似的な除去耐性があり、警戒飛行かつ3/5と攻防に優れた能力を持ちながら悪事により諜報もできる非常に強力なクリーチャーです。

敏捷な盗賊》:悪事を働くとブロックされないという事は、実質悪事にドローが付いてくるという事で、大量のアドバンテージを期待できる優秀なクリーチャーです。

精鋭射手団の鍵開け》:計画により呪文の使いまわしがしやすく、分かりやすくアドバンテージを稼ぐ優秀なクリーチャーです。

青・コモン

幻影の干渉》:カウンターとスピリット・トークン生成、どちらもそれぞれ優秀なモードかつ、どちらも選択出来た際はコモンとしては破格なアドバンテージを稼ぐ、優秀な放題呪文です。

凍止》:瞬速によりインスタント・タイミングでプレイ可能、かつアーティファクトにも触ることができる実質確定除去と申し分ない優秀なエンチャントです。

出頭》:1マナのコンバットトリックにドローが付いている優れもの。無法者の有無で強さがかなり変わるので使用の際は無法者とセットで使いましょう。

黒・アンコモン

不慮の事故》:4マナインスタント確定除去に1マナ足すと優れものの傭兵・トークンを生成できる、一枚で二度美味しい強力な放題呪文です。

宝さらい》:マルチカラーが多い環境においてタッチを用意にする宝物の価値は貴重なので、環境にマッチした優れたシステムクリーチャーです。

血のペテン師》:自身で悪事を毎ターン誘発させることができ、更に自身のサイズもそれに応じて大きくなっていく、自己完結している強力なシステムクリーチャーです。

黒・コモン

貪る灰》:インスタントで追放の確定除去かつ諜報のおまけもある、ダブルシンボル以外に文句が全くない非常に強力な除去です。

砂漠の本分》:砂漠の数だけ除去できる範囲の広がる、2マナとしての仕事をしっかりこなしてくれる除去です。

金庫の略取者》:盤面を支えてくれるスタッツかつドローがついてくる、デッキに複数入れたい優秀なクリーチャーです。

赤・アンコモン

鱗の嵐の召喚者》:パワー4を用意して攻撃するだけで3/1のトークンを生成する事ができる、非常に強力なクリーチャーです。

焦熱の射撃》:ダブルシンボルではあるものの、2マナで広い範囲のクリーチャーを除去できる優秀な除去です。

ドクトカゲの狩猟者》:3マナパワー4と圧とシナジーのあるスタッツに乗騎のシナジーもあり、騎乗の能力もアドバンテージにつながる、見た目以上に環境にマッチしたクリーチャーです。

赤・コモン

爆発的な脱線》:インスタント除去かつ、アーティファクトまで破壊可能な、上手く使えばアドバンテージも取れる優秀な放題呪文です。

トゲだらけの二人》:傭兵・トークンを生成しつつ自身も2/2と最低限のスタッツを持つ優秀なクリーチャーです。

百発百中の決闘者》:到達で盤面を固めつつ、毎ターン悪事を働く事ができる貴重なシステムクリーチャーです。

緑・アンコモン

アロエの錬金術師》:計画して盤面を助けても良し、2ターン目に出しても良しの、使い勝手の良い優秀なクリーチャーです。

※このカードにはテキスト訂正がございます。詳細はこちら。

騒々しい芸人》:余ったマナでクリーチャーを強化できる、強力なシステムクリーチャーです。

棘林のアルマジロ》:マナが無い時は土地を探し、土地が余った時は6マナの強力なクリーチャーとしてプレイできる、リアニメイト系のカードとも組み合わせやすい強力なクリーチャーです。

緑・コモン

鞍上からの投擲》:2マナの一方ダメージに強化までしてくれる、コモンとは思えないスペックの環境屈指の除去です。

ハードブリスルの略奪者》:好きな色が出る上に、悪事を働く度アンタップする使い勝手の良いマナクリーチャーです。

サボテンチュラ》:砂漠が1枚あるだけで5マナ6/5到達除去されたら1ドローと破格な、ゲームを決めうる強力なクリーチャーです。

 続きまして、『サンダー・ジャンクションの無法者』の注目アーキタイプを紹介していきます。
 

4.『サンダー・ジャンクションの無法者』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:白青フラッシュ

 「白青フラッシュ」は、《空の探検者、ジェム・ライトフット》や《忌むべき者の世話人》のような、自分のターン何も呪文を唱えていなかった場合にボーナスがあるカードを出し、相手のターンに瞬速やインスタント呪文を唱えてボーナスを達成しつつ相手のターンに行動していくアーキタイプです。

 色の都合飛行クリーチャーが多く取れる上に、《独創的な翼鍛冶》も飛行換算できるので飛行軸で戦う複合的なアーキタイプになりやすいです。

 最初に挙げた2種のマルチが取れたら積極的にインスタントや瞬速のカードをデッキに採用して上手くサポートできる形を目指してみましょう。

注目のアーキタイプ・その2:青黒悪事

 「青黒悪事」は、《脅迫の工作》や《敏捷な盗賊》を出しつつ悪事を働く事でアドバンテージを獲得していき、青と黒の優秀な妨害カードで相手に干渉して戦うアーキタイプです。

 除去呪文を中心に優秀な妨害カードが多い色の組合せなので相手の脅威に対応するのを得意とするため、手札差をつけて勝つのが一番の狙いになります。

 なので、アドバンテージを獲得するカードと除去呪文を中心にデッキを組みつつ、最初に挙げた2種のカードのような悪事と相性の良いカードも意識してデッキに採用していきましょう。

 除去が得意な一方クリーチャーはサイズ負けしやすい色であり、序盤から押し込まれるとそのまま負けてしまう展開になりやすいので、相手のクリーチャーと相打ちできないスタッツのクリーチャーを多く入れすぎないように気を付けましょう。

注目のアーキタイプ・その3:青赤セカンド

 「青赤セカンド」は、《暴力的な不協和音、クラム》や《優雅な連続技》のようなターン中に2枚目のカードを唱えた時にボーナスがあるカードを、計画や軽量呪文でバックアップしていくアーキタイプです。

 《金貸しザメ》は計画かつ自身も2枚目のカードを唱えた時にボーナスがあるためアーキタイプとの相性が抜群です。また、色の組合せ上悪事とのハイブリットになりやすいため軽量で相手を対象に取れる《出頭》を意識して採用するようにしましょう。

 

注目のアーキタイプ・その4:黒赤無法者

 「黒赤無法者」は、《陽気な擲弾兵、薬瓶砕き》や《地獄拍車団の粗暴者》等の無法者と相性が良いカードを軸に、黒と赤に多い無法者でバックアップするアーキタイプです。

 無法者は傭兵・トークンも含まれるため、1枚で複数体の無法者を展開できる《トゲだらけの二人》はアーキタイプと相性が良く、優先して採用するようにしましょう。

 除去呪文が多い色の組合せなので悪事とも相性が良く、上手くハイブリットにできるとデッキがまとまりやすいです。

注目のアーキタイプ・その5:黒緑リアニメイト

 「黒緑リアニメイト」は、《悪地の回復》と速報カードである《再来》の2種のリアニメイトカードで、《棘林のアルマジロ》等の大型クリーチャーを釣り上げて戦うアーキタイプです。

 墓地にクリーチャーをためる必要があるので切削カードと相性が良く、《辛抱強い自然主義者》や《自暴自棄の求血者》を採用して墓地を積極的に貯めるようにしましょう。

 リアニメイトとは別に《匪獣の隆盛》や《虚ろなる匪賊》などの墓地にクリーチャーをためる事で強力になるカードも相性が良く、併せて2つの軸でデッキを組んでいくとより強力なデッキになりやすいです。

 黒緑は環境屈指のカードパワーを誇る《正直者のラトスタイン》も採用できるため、強力な色の組合せの一つだと思います。

注目のアーキタイプ・その6:赤緑パワー4

 「赤緑パワー4」は、《百発百中のカクタスフォーク》や《略奪する拳闘士、ジョリーン》などのパワー4と相性が良いカードとパワー4のクリーチャーを組み合わせ、赤と緑の強力なスタッツで圧倒していくアーキタイプです。

 マルチカラー以外にも《ドクトカゲの狩猟者》や《鱗の嵐の召喚者》など、パワー4とシナジーがありつつ単体も強力なクリーチャーが多く、単純に強力なクリーチャーを集めていたら完成しやすいアーキタイプなので今からこの環境を触る方にお勧めできるアーキタイプです。
 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 今回はコモンとアンコモンが強力で、どの色も戦えるポテンシャルがある非常に楽しい環境だと感じています。様々な戦略が選べるので是非皆さん自分のスタイルに合った戦略を探してみてください!

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

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