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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第56回:『カルロフ邸殺人事件』ドラフト攻略
皆さんこんにちは!行弘です!
プレイヤーズコンベンション横浜2024、お疲れ様でした!僕はチャンピオンズカップファイナルの方に参加で、最終戦勝てばトップ8というところで負けてしまって非常に悔しい大会となりましたが、皆さんはいかがでしたか?
さて、今回も事前にMTGアリーナで『カルロフ邸殺人事件』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『カルロフ邸殺人事件』ドラフト環境のポイント
本セットでのドラフトは、『カルロフ邸殺人事件』プレイ・ブースター3パックを使用します。
環境のポイント1:プレイ・ブースターになった
今回からドラフト・ブースターからプレイ・ブースターにパックの内容が変更され、パック内の各レアリティの出現枚数が変更されています。簡単に説明すると、コモンの枚数が減少し、よりレアリティの高いカードが複数出現するようになっています。そのため同パックからレア以上のカードが2枚以上出現する事もあり、以前より全体的なレアリティの基準が上がりました。
これにより以前の環境よりデッキのレアリティを占めるウェイトが高くなりやすく、単体のカードパワーが高くなりました。アーキタイプのキーカードになりやすいマルチのアンコモンなどが複数取れるケースも多くなっています。強力なカードを複数取れる事でデッキを安定させて強力なものにしやすくなるため、いかに空いている色の強力なレアリティのカードを取れるかというのが環境のキーの一つになりそうです。
環境のポイント2:変装を使いこなす
変装はこの環境のメインメカニズムとも言えるキーワード能力で、勝率を上げたいのであれば最終的に変装持ちカードの能力やパワー・タフネスをすべて覚えきる必要があります。とはいえ、いきなり全部を覚えるのは難しいので、まずはこれを一つだけ覚えましょう。
「パワー2以上かつタフネスが3以上になるのは、変装コスト5マナから」
つまり相手が使用できるマナが4マナ以下であれば、変装したクリーチャー同士が戦闘を行った際に一方的にアドバンテージを取られる可能性が低いということです(もちろん、一部能力によりアドバンテージを取られるケースはあります)。
序盤に変装した高コストのクリーチャーを相打ちさせ証拠収集の種にしたりと、変装絡みの小テクはたくさんありますので、変装に関してはこの環境において使いこなせるかで明確に勝率に差が出る要素ですね。
環境のポイント3:除去デッキは禁物
環境に手掛かり・トークンやクリーチャー・トークンを生成するカードが多いため除去呪文が1対1交換にならず、除去過多の方がジリ貧になりやすいです。
打ち消されない除去呪文もあるものの変装に関しては除去するのも一苦労な上、中身が分からないものに対して除去を打つかの判断も難しいため、どちらかというときちんとシナジーを形成した押し付けのある構成のデッキの方が勝ちやすい印象があります。
以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
2.収録メカニズムについて
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
変装
変装N(このカードを、{3}で護法{2}を持つ2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えてもよい。変装コストで、いつでもこれを表向きにしてよい。)
変装とは、変装を持つカードが3マナを支払う事で護法{2}を持つ2/2のクリーチャーとして裏向きで唱える事ができるキーワード能力です。
変装した後はそのカード毎の変装コストで表にする事ができます。表になった際に能力を発揮するカードもあるため、あえて一回変装を経由する事でボーナスを得にいくケースもあります。
偽装
変装に似た能力の偽装は、手札や山札から変装と同じように護法2を持つ2/2のクリーチャーとして裏向きで場に出す能力です。それがもしクリーチャーならばそのクリーチャーのマナ・コストを支払う事で表返す事ができます。また、それが変装のコストを持つ場合は変装のコストで表返す事もできます。
調査
調査を行う。(手掛かり・トークン1つを生成する。それは、「{2}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:カード1枚を引く。」を持つアーティファクトである。)
調査とは、2マナを支払い生贄に捧げる事でカードを1枚引く事ができる手掛かりという名前のアーティファクト・トークンを生成するキーワード能力です。
アーティファクトを生贄にする事で能力が誘発するカードが環境に多数存在するため、それらと相性が良く、単純にカードを引ける能力が強力なので調査が付いているカードは基本的に評価が高くなりやすいです。
容疑
容疑をかける。(容疑クリーチャーは威迫を持ち、それではブロックできない。)
容疑をかけるとは、容疑をかけられたクリーチャーは威迫を持ち、ブロックができなくなるキーワード能力です。
カードによっては自分のクリーチャーと相手のクリーチャーどちらにも容疑をかける事ができるため、状況に応じて威迫をつけるのか、ブロックができなくなるのかを使い分ける事ができます。
一部「容疑を晴らす」カードがあるので容疑を使う際は注意しましょう。
証拠収集
証拠収集Nを行ってもよい。証拠収集を行ったなら、~(証拠収集Nを行うとは、あなたの墓地にあるカードを、マナ総量の合計がN以上になるように選んで追放することである。)
証拠収集とは、指定されたマナ総量以上のマナ・コストを持つカードを墓地から追放する事でボーナスを得る事ができるキーワード能力です。
分割カードはその両方のコストを採用するので証拠収集の種として優秀だったり、墓地のクリーチャーが墓地から離れた際に能力を誘発するカードと相性が良かったりと、様々な方法で証拠収集を活かす手段があります。
事件
解明条件 — ~(未解明なら、あなたの終了ステップの開始時に解明する。)
解明完了 — ~。
事件とは、解明条件を達成した終了ステップの開始時に解明され、解明されると解明完了の項目のボーナスを得る事ができるエンチャントカードです。
解明の条件を達成しなくても戦場に出た際に一定の働きをするものがほとんどなので、無理に条件を狙わなくてもいいものも存在します。また、解明してもボーナスを得られるのがターンの終了時からなのに注意しましょう。
3.『カルロフ邸殺人事件』のトップコモン&アンコモン
さて、ここからは各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
白・アンコモン
《門道急行の事件》:クリーチャーを並べて除去と全体強化、どちらも噛み合った性能の非常に強力な事件カードです。
《近隣の守護者》:変装クリーチャーなどバックアップできるカードは多く、次々にクリーチャーを強化できる2マナクリーチャーです。
《捜査線の執行者》:探偵アーキタイプにおいて、継続的にライフレースで優位に立つことができる飛行クリーチャーです。
白・コモン
《ひよっこ捜査員》:調査しつつクリーチャーの頭数を増やせる、コモンとは思えないパフォーマンスの1マナクリーチャーです。
《その場しのぎの束縛》:クリーチャーを除去しつつライフも回復できる、優秀な除去です。
《市場見廻りの幻影》:2マナかつ2/2飛行相当と優れたマナレシオを持つクリーチャーです。
青・アンコモン
《証明責任》:状況に応じて強化と弱体化を選べる、優秀なコンバットトリックです。
《偵察監視員》:証拠収集との相性が良く、継続的に飛行トークンを出せる、優秀なシステムクリーチャーです。
《脱出の名人》:変装コストが軽く使いやすい、バウンス付きの優秀なクリーチャーです。
青・コモン
《未解決事件解明者》:4マナ3/3飛行と優秀なマナレシオに、死亡時調査トークンも出す優秀なクリーチャーです。
《犯罪阻止のスプライト》:飛行クリーチャーとして最低限のサイズを持ちつつ、盤面に干渉もできる、証拠収集によってシナジーも見込めるクリーチャーです。
《大胆な告発》:除去が苦手な青としては疑似的除去かつマナを後で支払う事で完全除去にもなる、使い勝手の良いオーラ呪文です。
黒・アンコモン
《抜け目ない見物人》:相手の飛行を止めつつ、墓地に落ちた際には飛行持ちのトークンを生成できる確実な仕事をしてくれるカードです。
《長い別れ》:変装を含めて3マナ以下のカードを打ち消されず破壊できる、使い勝手の良い除去です。
《夜呑みモロイ》:変装コストが軽く、パワーが高い飛行クリーチャーとして攻撃的性能が非常に高いクリーチャーです。
黒・コモン
《闇討ち》:打ち消されない為変装も除去しやすい、優秀な除去呪文です。
《殺害》:3マナかつインスタントの確定除去は、ダブルシンボルである以外文句のつけようの無い性能です。
《自白勧告》:不安定な除去ではあるものの、証拠収集できれば盤面で一番強力なカードを除去しやすくなり、更に証拠収集シナジーも見込める、幅広いデッキで活躍できる除去呪文です。
赤・アンコモン
《証人燃やし》:除去としての性能も高く、調査によりアドバンテージも取れる、環境屈指の除去です。
《向こう見ずな探偵》:2マナ2/3相当かつ、手札を循環させる事ができる、非常に強力なクリーチャーです。
《燃える仮面の事件》:除去としての性能こそ普通なものの、比較的達成しやすい解明条件からのアドバンテージは目を見張るものがあります。
赤・コモン
《参考人》:本体は容疑により威迫、さらにトークンも生成と、攻撃的な性能が非常に高いクリーチャーです。
《通電》:インスタントの2マナ3点除去はそれだけで悪くない性能ですが、5点としても運用可能な優秀な除去です。
《ショック》:変装がある環境においては腐りにくい、使い勝手の良い除去です。
緑・アンコモン
《犯人はこの中にいる》:1枚で3体のトークンを展開しつつ、うち1体は実質4/4と、単体の性能が高いエンチャントカードです。
《緑地帯の急進派》:変装からの表返しで一気に盤面を強くしても良し、4マナ4/4と優秀なマナレシオとして運用して良しの、使い勝手の良いクリーチャーです。
《検体の収集者》:毎ターン継続的に証拠収集できるので安定した証拠収集によるシナジーを見込め、単体としても強力なサイズを押し付ける事ができる優秀なクリーチャーです。
緑・コモン
《犯罪への噛みつき》:4マナとしてプレイしても優秀な除去呪文ですが、証拠収集により2マナとしてもプレイ可能な緑必須ともいえる除去呪文です。
《トンネルの情報提供者》:マナクリーチャーかつ変装や偽装によって自身のサイズも上がって戦力になる。優秀なマナクリーチャーです。
《神経質な庭師》:変装コストが軽く、土地を持ってくる能力により多色化の足掛かりにもなるクリーチャーです。
4.『カルロフ邸殺人事件』ドラフトの注目のアーキタイプ
続きまして、『カルロフ邸殺人事件』の注目アーキタイプを紹介していきます。
注目のアーキタイプ・その1:白青探偵
「白青探偵」は、《捜査線の執行者》や《私立探偵》等の探偵クリーチャーとシナジーを持つカードと探偵クリーチャーと飛行クリーチャーを軸とした攻めで戦うアーキタイプです。
飛行に長けた色なので、他の白の攻めるアーキタイプと差別化する為にも探偵以外のクリーチャーは飛行を多めにすると多角的に攻める事ができます。
ただし、優秀な探偵クリーチャーをピックしている流れで《私立探偵》が流れてくるなど、自然な流れで参入しないとただ線の細いデッキになりがちなので無理やり行くのはオススメできないアーキタイプです。
注目のアーキタイプ・その2:白黒パワー2
「白黒パワー2」は、《たなびき飲みの吸血鬼》等のパワー2以下のクリーチャーが場に出た際にボーナスがあるカードと、変装等のパワー2以下のカードで戦うアーキタイプです。
パワー2以下のカードで入れたいカードが白に多く、黒軸からはあまり参入しない為、白軸でピックしつつ、マルチカラーのカードから参入を意識する事が多いです。
除去が強力な反面クリーチャーが細くなりがちなので、しっかりシナジーを形成できるか飛行クリーチャーを多く採用するかして、膠着しないような構成を目指しましょう。
注目のアーキタイプ・その3:赤白トークン
「白赤トークン」は、《内通者》や《犬の散歩者》等のトークンを生成するクリーチャーと、《遂行中》や《押し合い // 圧し合い》等の全体強化カードを合わせて一気に押し切るアーキタイプです。
赤白のテーマでもある3体以上のクリーチャーで攻撃した時にボーナスがあるカードとトークン戦略も相性が良いため、全体強化だけで無く多角的に戦える点もアーキタイプとして優れている点です。
赤と白は戦略が似ている都合上色のかみ合わせが最高に良い2色なので、環境屈指に使いやすい色の組合せです。
注目のアーキタイプ・その4:青赤サクリファイス
「青赤サクリファイス」は、《煌く機械ドレイク》や《探偵鞄》等の、アーティファクトを生け贄にした際にボーナスがあるカードを、手掛かり・トークンといったアーティファクトを生け贄にしてバックアップするアーキタイプです。
手掛かりを普通に生贄にしていくのもいいですが、《機械壊しのオランウータン》や《追い詰められた曲者》等のアーティファクトを生け贄にしてボーナスを得られるカードでバックアップする事もできます。
注目のアーキタイプ・その5:緑青証拠収集
「緑青証拠収集」は、《偵察監視員》等、証拠収集をした際にボーナスがあるカードを《証拠審理員》等の証拠収集するカードでバックアップするアーキタイプです。
証拠収集した時にボーナスがあるカードだけでなく《チョーク・アウトライン》等墓地からクリーチャーが離れた際にボーナスがあるカードとも相性が良く、このようにお互い継続的に効果があるシステムカードで盤面を強化していくとアーキタイプとしての良さがでます。
色の組合せ的に盤面に干渉する手段が少ないため、しっかりアーキタイプに寄せ切らないと中々勝ち切るのが難しい色の組合せにはなってしまいます。
注目のアーキタイプ・その6:緑黒墓地
「緑黒墓地」は、《チョーク・アウトライン》や《陰湿な根》等の墓地からクリーチャーが離れた際に誘発するカードを、《瓦礫帯の異端者》や《抜け目ない見物人》等の墓地から能動的に離れる事ができるクリーチャーや、証拠収集を持つカード等で墓地からクリーチャーを離れさせバックアップするアーキタイプです。
アーキタイプの性質上墓地にクリーチャーを送り続ける必要があるため、《うなる大殺犬》等の諜報や切削するカードも合わせて採用するようにしましょう。
アーキタイプとして完成させるのは一苦労ですが、完成してしまえば強力なアーキタイプの一つです。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回は赤と白が使いやすくやりたい色にはなりますが、空いている色からしっかりポジションを取れると強力なデッキになりやすいので臨機応変にピックできると勝ちやすく感じました。僕自身まだまだ未開拓な部分が多い環境なので、ぜひ皆様たくさん遊んで環境を開拓してみてください。
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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