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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第41回:『基本セット2021』ドラフト攻略
皆さんこんにちは! 梅雨でジメジメした時期もようやく終わりもうすっかり暑くなってきて、夏の到来を感じさせますね。
さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『基本セット2021』でミシックランク達成までドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『基本セット2021』ドラフト環境のポイント
『基本セット2021』ドラフトは、『基本セット2021』ブースターパック3個を使用します。
環境のポイント1:重い除去が弱い
この環境には除去をたやすくかわす、白と緑の2つのコンバットトリックである《抵抗の妙技》と《レインジャーの悪知恵》が存在します。これらは2マナと1マナと軽く、重い除去をかわされた時に大量のマナが無駄になってしまい、そのまま負けに直結しやすくなります。
ですので、《とどめの一撃》や《金屑化》のようなマナ・コストが重い除去の優先順位は、他の環境に比べかなり低めに設定した方が良いです。
環境のポイント2:重いクリーチャーは過信できない
この環境を定義する要素の一つとして、《うろつく光霊》の存在があります。自身がパワー3と高いクロック性能を持ち、そのうえクリーチャーをバウンスすることができるため、戦場に出た時に仕事をしない4マナ域以降のクリーチャーに対して大幅なテンポロスを強いることができます。
ですので、バウンスされてもテンポを失いにくいマナ域の低いカードをきちんと採用し、しっかりマナ・カーブを意識することがいつも以上に重要な環境です。
また、重いカードを採用したい場合は軽い除去を採用したり、到達などの飛行対策をすることで《うろつく光霊》だけに負けないよう意識しましょう。
環境のポイント3:強いレアの出現率が低い
この環境はコモン・アンコモンだけのデッキになりやすい環境です。というのも、リミテッド視点で見た時にデッキに入りやすいレアがプールの3分の1程度しかないため、大体の場合レアは入って1~2枚、入らないこともざらにあるのです。
したがって、除去でゲームを長引かせるようなデッキを組んでも、その後レアなどのカードパワーに頼る戦略を取りにくく、まずはどう攻めるかを考えクリーチャーベースでデッキを組んでいく方が良いデッキになりやすいです。
特に黒は除去以外の要素が相対的に他の色に劣るため、除去だけは強いけどその先が無い、みたいなデッキになりがちなので、まずレアなどのパワーカードを確保してから参入したい色です。
環境のポイント4:マナフラッド受けを作る
環境にキャントリップ呪文が多く、マナスクリューはしにくい環境ですが、逆にマナフラッドしてしまうケースが多い環境でもあります。そもそも土地を切り詰めてキャントリップを多く採用したり、多く引いた土地を捨てて新しいカードに変えるルーター能力があるカードを採用する等、土地を多く引いても活用できる受けを作ることが重要です。
特定の環境の話ではありますが、MTGアリーナのBO1(Best of One:1ゲーム先取したプレイヤーが勝利。 サイドボーディングは行わない)では初手補正があり土地を切り詰めてもノーランドの手札がきにくいので、1マナのキャントリップ多めで土地を切り詰める構築はオススメです。その際キャントリップとシナジーがある果敢や《テフェリーの後見》などのカードを合わせて採用するようにしましょう。
以上の4つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
2.収録メカニズムについて
切削
N枚切削する。(そのプレイヤーは、自分のライブラリーの一番上からカードをN枚自分の墓地に置く。)
切削とは、指定されたプレイヤーのライブラリーの上から指定された枚数を墓地に送るキーワードです。以前からある能力ですが、今回それがキーワードになりました。
これ以外の能力は新規ではなく、今までもあった能力の再録となります。
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
3.『基本セット2021』のトップコモン&アンコモン
白・アンコモン
《信仰の足枷》:パーマネント全般をほぼ完全除去できるうえにライフも回復できる優秀な除去です。
《歴戦の神聖刃》:同サイズのクリーチャーではブロックしづらく、ダメージや破壊する除去には耐性がある、2ターン目に出すだけでゲームを優位に進めることができる優秀なクリーチャーです。
《包囲戦の打撃者》:攻めに特化されたデザインなものの、打点が非常に高く中盤からマストブロックになるため非常に厄介なクリーチャーです。
白・コモン
《バスリの侍祭》:自軍のクリーチャーを継続強化するだけでなく、自身も2/3絆魂とダメージレースを優位に運べる、コモンとは思えない優秀なクリーチャーです。
《抵抗の妙技》:戦闘ダメージの軽減や除去の回避が可能なうえに+1/+1カウンターも残る、環境を定義する優秀なコンバットトリックです。
《素早い反応》:タップクリーチャー限定除去もここまで強くなったかという驚愕の性能。地上で攻めるデッキで使うと使いにくいので、飛行軸で組んだデッキで使いたいですね。
青・アンコモン
《難破船の探知者》:アドバンテージを取れるだけでなく、本体が果敢と3/3でそのままゲームメイクできる優秀なサイズを持つ、環境屈指のアンコモンです。
《テフェリーの後見》:1枚で勝てるポテンシャルを秘めているカード。ミッドレンジ以降全ての相手に優位に立てるため、環境を定義する一枚です。
《謎変化》:ある程度クリーチャー以外の呪文に寄せる必要こそありますが、早期ターンの飛行の3点クロックはかなりのプレッシャーです。青赤果敢で真価を発揮する優秀な2マナ域です。
青・コモン
《うろつく光霊》:5マナ3/2飛行と標準クラスのスタッツを持っているうえにバウンス能力を持っている驚愕のクリーチャー。環境で間違いなく一番強いコモンです。
《捕獲球》:インスタントでほぼ完全除去として機能する優秀な1枚です。
《テフェリーの徒弟》:3マナ2/3と標準スタッツにルーター能力が付いている、場持ちが良い優秀なシステムクリーチャーです。
黒・アンコモン
《取り除き》:除去できる幅こそ限定的ですが、それでもインスタントかつ2マナと軽い優秀な除去です。
《悪意の鎌》:クリーチャーのサイズで他の色に劣る黒を救う、優秀な装備品です。
《銀打ちのグール》:3点回復系のアーキタイプに行きたくなる1枚。自身を生け贄に捧げられるので、墓地にクリーチャーを送った時にボーナスのあるカードとも相性が良く、このセットの黒を象徴するクリーチャーです。
黒・コモン
《闇の掌握》:シンボルこそきついものの、2マナで広範囲を除去できる非常に優秀な除去です。
《死花のサリッド》:地上戦を優位に運べ、生け贄に捧げても損をしない優秀なクリーチャーです。
《血の暴食》:継続してライフを回復できるため、ライフを3点回復した時にボーナスのあるカードとの相性が抜群ですね。
赤・アンコモン
《魂焦がし》:3マナでインスタントかつほぼ全てのクリーチャーに効く最高クラスの除去です。
《動態の占い師》:ある程度デッキをインスタントやソーサリーに寄せる必要こそありますが、マナフラッド・スクリューどちらも対応でき、そのままフィニッシャーにもなりえる優秀なクリーチャーです。
《心火の供犠者》:単体で攻めれて除去にもなる、使い勝手が良すぎる優秀な2マナクリーチャーです。
赤・コモン
《ゴブリンの魔術》:果敢があるので実質2/2以上を見込めるクリーチャーをインスタントで2体も出せる、非常に強力な呪文です。
《焦熱の竜火》:環境のクリーチャーを幅広く除去できる、優秀なインスタント除去です。
《ショック》:3マナ域に2/3が多い環境なので過信は禁物ですが、4マナ域以降もタフネス2のシステムクリーチャーや《うろつく光霊》など、意外と幅広く1マナで除去できる優秀な1枚です。
緑・アンコモン
《ガラクの蜂起》:パワー4以上に寄せる必要こそありますが、寄せる価値のある1枚。継続してドローできるのは非常に強力ですね。
《クウィリーオンのドライアド》:1マナキャントリップが多い環境なので黒以外との組み合わせだとどの色でも育てやすいのがうれしいですね。育てば2マナながらフィニッシャーにもなる強力な軽量クリーチャーです。
《打ち壊すブロントドン》:《テフェリーの後見》など、脅威になるエンチャントやアーティファクトが多い環境なので、それらを破壊できるのは嬉しいですね。自身のスタッツも戦闘面で文句のない性能です。
緑・コモン
《狩人の刃》:一方的にダメージを与えるので同サイズも除去でき、そのままクリーチャーを強化して攻撃できる優秀な除去です。
《ラノワールの幻想家》:2/2にキャントリップとマナ加速を付けた大盤振る舞いな一枚。
《レインジャーの悪知恵》:コンバットトリックにも使え、緑の重い優秀なカードを除去から守れる、緑にかみ合った優秀なコンバットトリックです。
続きまして、『基本セット2021』の注目アーキタイプを紹介していきます。
4.『基本セット2021』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:赤軸果敢
「赤軸果敢」は、《呪文喰いの奇魔》や《ゴブリンの魔術》などクリーチャー以外の呪文で強化される舞台を軸に、それらを呪文でバックアップしていくアーキタイプです。
《突破》や《胸躍る可能性》など、継続してクリーチャー以外の呪文をプレイできるように土地を14~16枚に切り詰めて軽いドロー呪文をたくさん入れるようにしましょう。白と青に軽いドロー呪文が多く色相性が良いですが、《クウィリーオンのドライアド》が取れた時だけ緑も相方の色として検討しましょう。
注目のアーキタイプ・その2:赤緑パワー4
「赤緑パワー4」は、赤と緑のパワー4以上のカードと、《うたた寝するティラノドン》や《ガラクの蜂起》などのパワー4以上のカードとシナジーを持つカードで圧倒的に押し切るアーキタイプです。
まず優先すべきはパワー4以上とシナジーをもつ《うたた寝するティラノドン》や《ガラクの蜂起》などで、それらが取れた場合は《オナッケのオーガ》など4マナ以下でパワーが4以上あるカードを優先してピックするようにしましょう。
《枝葉族の報復者》は1枚で勝てる性能を持つクリーチャーで、膠着しがちな緑において替えが効かない存在なので赤緑をやる際は見たら必ず取るようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:青白飛行
「青白飛行」は、《天球の見張り》から継続して飛行クリーチャーで攻撃し続けるアーキタイプです。
《天球の見張り》からピックできたら最高のスタートですが、《うろつく光霊》を取っているところに《天球の見張り》が流れてきた場合に2色目を決める流れも非常に強力です。
青白飛行は飛行クリーチャーを多くとるのはもちろんですが、《素早い反応》や《バスリの侍祭》など飛行軸と相性が良いクリーチャーが白に多いため、これらも優先してピックしていくようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その4:緑白カウンター
「緑白カウンター」は、《議事会の導師》と+1/+1カウンターを置くカードのシナジーで一気に押し切るアーキタイプです。
《議事会の導師》と相性が良い《バスリの侍祭》や《トリュフ嗅ぎ》などのクリーチャーを軸にピックしていきつつ、育ったクリーチャーを守れる《レインジャーの悪知恵》と《抵抗の妙技》の2種のコンバットトリックを優先して取るようにしましょう。特に《抵抗の妙技》は《議事会の導師》と組み合わさった時にそれだけで勝ち得るイージーコンボなので最優先しましょう。
注目のアーキタイプ・その5:青黒リアニメイト
「青黒リアニメイト」とは、青と黒の妨害呪文で戦場を支配しつつ、《偏執的な縫い師》や《再命》で《有刺メガロドン》や《波起こし》などのフィニッシャーを墓地から直接戦場に出していくアーキタイプです。
1枚で完結している《偏執的な縫い師》を最優先でピックするのはもちろんのこと、能動的に墓地に送れる《波起こし》も非常にデッキにかみ合うので、まずこの2枚は見たら取るようにしましょう。
また、カードを引いて捨てるルーター系のカードを多く採用する都合上、サブプランとして《テフェリーの後見》があると多角的に攻めることができるのでこれも見たら取りたいカードです。
注目のアーキタイプ・その6:白黒ライフゲイン
「白黒ライフゲイン」とは、《グリフィンの高楼》や《銀打ちのグール》などのライフを3点以上回復した際にボーナスのあるカードをライフを回復するカードでサポートして、継続的なアドバンテージを得ながら戦うミッドレンジのアーキタイプです。
ライフを回復するカードとしては継続的なものがあると強みが出るので、絆魂のクリーチャーや(リスクはありますが)《酒場の詐取師》などでサポートするのが理想ですね。
とはいえここまで書いてあるカードのほとんどがアンコモンかつ、『基本セット2021』のカードプールを見渡しても意外とかみ合うカードが少なく、それぞれが単体でカードパワーが低いこともありなかなか完成形になりにくいアーキタイプです。正直僕も完成形のイメージこそあれど、ドラフトで1回も良い形でデッキができたことが無いくらいです。
もしこのアーキタイプに向かう際は、上記のアンコモンが複数見かけてから行くと良いかもしれませんね。うかつに手を出すと見るも無残なデッキになってしまいますので要注意です。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
個人的に今回は黒以外の4色がどれも強く、デッキも組みやすいのでまず最初は黒以外を軸にピックしてみると勝ちやすいかもしれません。今回のドラフトは、レア格差が少なく、コモンやアンコモンを中心に戦うため、かなりやりこみが出る環境という印象があります。ぜひともたくさんドラフトして他の人に差をつけていきましょう!
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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