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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第39回:『テーロス還魂記』ドラフト攻略
皆さんこんにちは! 先週末のマジックフェスト・名古屋にご参加された皆様お疲れ様でした! 僕もプレイヤーズツアーに参加してきましたよ!
結果はドラフトが5勝1敗とリミテッドも好成績で、なんと準優勝という結果で終えることができました。これもひとえに皆様の応援のおかげです! この場を借りて皆様にお礼申し上げます。
さて、今回はそんなプレイヤーズツアー・名古屋2020の対戦フォーマットの1つでもあった『テーロス還魂記』のドラフト記事をお送りするのですが、いつもと記事の形式が変わります。
というのも、今回は大会が発売翌週で記事を作成するタイミングが無かったため、今回はいつもの前編・後編の形ではなく、大ボリューム1回でお送りする形とさせていただきます!
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『テーロス還魂記』ドラフト環境のポイント
『テーロス還魂記』ドラフトは、『テーロス還魂記』ブースターパック3個を使用します。
環境のポイント1:「脱出」を中心に考える
この環境は最強のキーワード能力である「脱出」というシステムを中心に回っている環境です。脱出は繰り返し使えるカード、かつ、クリーチャーの場合はボーナス付きで戻ってくるので、消耗戦をする際は脱出を持つクリーチャーを有している方が非常に有利になります。
そのためこの環境では、「脱出を上手く利用した消耗戦に強いデッキ」か、「脱出と付き合わない、消耗戦までもつれ込ませないビートダウンデッキ」の2つに優位性があると言えます。基本的には、この2つを目指してドラフトするのがこの環境のセオリーです。
環境のポイント2:ビートダウンは飛行で
リミテッドにおけるビートダウンといえば白・赤・緑の3色を思い浮かべる方も少なく無いと思うのですが、この環境でもこの3色はビートダウンを推奨されたカードプールになっています。
ですが、この3色で戦いを挑む際に気を付けないといけないこと、それは飛行クリーチャーで攻める意識を持つことです。というのも、この環境地上クリーチャーは《激浪の亀》や《苔のバイパー》などの守備的なクリーチャーで比較的簡単に制圧されてしまうからです。
その上、脱出持ちクリーチャーと相殺していくと脱出が少ない白と赤は消耗戦で不利となり、攻めていたはずが、いとも簡単に逆転されてしまいます。ですので、地上攻めを主軸にするアーキタイプは基本的に避けるのが無難だといえます。緑をやる場合はビートダウンよりミッドレンジ気味に組むといいですね。
環境のポイント3:基本に忠実に
この環境は《未知の岸》と《旅行者の護符》がコモンにあるのでなんとなく色を増やしたくなりがちですが、ダブルシンボルが多く信心カウントも重要な環境なので、基本的には2色以内で組むことを推奨します。
デッキのカードパワーも大事ですが、まずはマナカーブ通りに動けること、色事故しないようにマナバランスに気を付けること、この2つが他の環境よりも重要です。基本的に脱出のおかげでガンガン消耗戦する環境で、手数の負けを後半取り戻すのは難しいので、できるだけスムーズな動きができるように気を付けましょう。
以上の3つのポイントを意識してデッキを作るようにするだけで、苦手なデッキに当たって簡単に負けたり展開が遅れて負けるケースが大幅に減るはずです。ぜひ参考にしてみてください。
それでは続きまして、今回の収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
2.収録メカニズムについて
脱出
脱出 ― [マナ・コスト]、あなたの墓地から他のカードN枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。)
脱出とは、指定されたマナ・コストと指定された枚数の自分の墓地のカードを追放することで、墓地からカードを唱えることができるメカニズムです。
クリーチャーだけでなく、インスタントやソーサリーにもある能力で、その場合はコストが払える場合は繰り返し使うこともできます。
墓地から唱えているので、打ち消し呪文の対象になることも覚えておきましょう。
英雄譚
英雄譚(この英雄譚が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンターを1個加える。~の後に、生け贄に捧げる。)
英雄譚とは、『ドミナリア』からの再録メカニズムで、第1メイン・フェイズに入る際に伝承カウンターを置いて、その後、置かれているカウンターの数に応じて効果が発揮されるエンチャントです。
最終章の数までカウンターが置かれた場合は、最終章の効果が解決された後、英雄譚は生け贄に捧げられます。効果がスタックに置かれている間はまだ英雄譚は戦場にあるので、対応する英雄譚をバウンスしたりすることもできます。その場合も効果は解決されます。
信心
あなたの[色]への信心とは、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる[色マナシンボル]の数に等しい。
信心とは、『テーロス』から再録されたキーワード能力で、戦場のパーマネントの色マナシンボルの数を参照するキーワード能力です。
例えば、{2}{B}{B}のマナ・コストを持つクリーチャーと、{B}{B}{B}のマナ・コストを持つエンチャントをコントロールしている場合は、あなたが持つ黒への信心は5になります。
信心は常に変動するので、信心のカードをプレイしたときに解決時に除去などで信心が減ってしまうと効果も変動するので、気を付けましょう。
星座
星座 ― エンチャント1つがあなたのコントロール下で戦場に出るたび、~
星座とは、エンチャントが自分のコントロール下で戦場に出るたびに誘発する能力です。唱えた時ではないので、その違いに注意しましょう。
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
3.『テーロス還魂記』のトップコモン&アンコモン
白・アンコモン
《払拭の光》:3マナの万能除去は流石に強力です。
《恭しき重装歩兵》:白の戦略の一つである横並びで全体強化のアーキタイプに必須のクリーチャーです。
《ヘリオッドの神罰》:ほぼ完全除去として活躍する強力な除去です。
白・コモン
《夜明けのキマイラ》:白の飛行ビートダウンの中心となる強力な飛行クリーチャーです。
《凄絶な無気力》:マナさえあれば完全除去になる《平和な心》は安心感ありますね。強力な除去です。
《ヘリオッドの巡礼者》:状況によってオーラをサーチできる、白のデッキの潤滑油として必須のクリーチャーです。
青・アンコモン
《魅了された者、アリリオス》:基本的に3マナで2:1交換できる強力なクリーチャーです。
《瞬き翼のキマイラ》:生き残りさえすれば無限のアドバンテージを稼ぎ出す、環境屈指のシステムクリーチャーです。
《挽歌の歌い手》:ダメージレースの展開や相手のクリーチャーを討ち取る展開、どちらでも大活躍する縁の下の力持ち的なクリーチャーです。
青・コモン
《海の神のお告げ》:これを1枚プレイしただけで、マナスクリューとマナフラッドどちらもある程度対応できる、非常に強力なドロー呪文です。
《神性の否定》:脱出持ちクリーチャーを後腐れなく対処できる、強力な打ち消し呪文です。
《厳格な放逐》:オーラをクリーチャーにつけることが多い環境なので、1マナでそれに対処できるのはあまりにも大きなテンポ差を生み出します。青のデッキに必須な呪文です。
黒・アンコモン
《エルズペスの悪夢》:3ターン目に上手く相手のクリーチャーを除去できたなら、そのまま相手のプランを崩壊させることができる強力な英雄譚です。
《ファリカの落とし子》:この環境の地上ビートダウンが厳しい要因を作り出している1枚。脱出コストも軽く、非常に強力ナクリーチャーです。
《死の国への引き込み》:インスタント、かつ信心分軽くなるため構えやすい強力な除去です。
黒・コモン
《最後の死》:追放なので脱出持ちクリーチャーを対処するのもお手の物。インスタントなのも嬉しい強力な除去です。
《ぬかるみの捕縛》:エンチャントなので、星座などのシナジーも見込める強力な除去です。
《毒の秘義司祭》:1枚で脱出のコストをまかなえる、強力なクリーチャーです。
赤・アンコモン
《鍛冶で鍛えられしアナックス》:環境最強クラスのシステムを有するクリーチャー。個人的にはトップアンコモンです。
《運命的結末》:優秀な手堅い除去ですが、本体にもプレイできるので終盤は火力換算もできます。
《夢忍びのマンティコア》:パワー4以上を参照する赤緑と、相手のターンの間に呪文を唱えることを参照するカードが多い青赤、どちらのアーキタイプでも重宝する、優秀なシステムクリーチャーです。
赤・コモン
《イロアスの恩寵》:クリーチャーを強化しつつ相手を除去できる、非常に強力なオーラです。
《鍛冶の神のお告げ》:《最期の噴炎》で生け贄に捧げてもよし、マナフラッドしている時は占術してよしと、シナジーも見込める優秀な除去です。
《山岳猛火のオリアード》:脱出が少ない赤のマナフラッド対策として優秀なクリーチャーです。
緑・アンコモン
《運命を紡ぐ者》:3マナ域までカバーする2/3という優秀なマナレシオ、かつマナフラッドに強い能力も持っている、強力な2マナクリーチャーです。
《ネシアンの角甲虫》:2マナのクリーチャーながら、フィニッシャークラスになりえる強力なクリーチャーです。
《ネシアンの放浪者》:星座により土地事故を回避することができる、優秀な2マナのシステムクリーチャーです。
緑・コモン
《大食のテュポーン》:緑をやる理由の1枚。コモンの脱出持ちクリーチャー随一のスペックです。
《戦茨の恩恵》:クリーチャーを強化しつつ除去できる、非常に強力なオーラです。
《毒々しいキマイラ》:パワー4以上を参照する赤緑のアーキタイプで重宝する、優秀な脱出持ちクリーチャーです。
4.『テーロス還魂記』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:黒緑脱出
「黒緑脱出」は、《大食のテュポーン》や《ファリカの落とし子》などの強力な脱出持ちクリーチャーを、《毒の秘義司祭》などの墓地を増やすカードでバックアップし、消耗戦で勝利を目指すアーキタイプです。
ある程度相手の動きに付き合う必要があるので、黒の各種除去も優先的にピックし、オーラ戦略や飛行クリーチャーに負けないようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その2:青赤フラッシュ
「青赤フラッシュ」は、《夢忍びのマンティコア》や《悪戯なキマイラ》などの、相手のターンに初めてカードをプレイした時に誘発するカードと、瞬速またはインスタントのカードとのシナジーで勝利を目指すアーキタイプです。
基本的には相手のターンにプレイできるカードがメインになるので、インスタントや瞬速のカードを重点的にピックしていきます。《闘技場のペテン師》はほぼ青赤でしか使えないですがフィニッシャーとして十分信用できるので、このあたりのクリーチャーを遅い巡目で取り、必須なインスタントや瞬速カードを中心にピックするようにしましょう。
また、構える行動と相性が良い《山岳猛火のオリアード》もぜひデッキに入れたいですね。
注目のアーキタイプ・その3:青黒コントロール
「青黒コントロール」は、青のドロー呪文と打ち消しと黒の除去を組み合わせ、リソース差で勝負するアーキタイプです。
基本的には青や黒の頼りになるレアからスタートするアーキタイプなので、レア無しの状態から参入するとフィニッシャー不足になりがちなのであまりお勧めできません。
逆にレアがあれば《激浪の亀》で地上を固め、《神性の否定》と各種ドロー呪文を構える動きでゲームを低速化させる動きが非常に強力なので、このパターンは青黒をやる際には常に意識しましょう。
注目のアーキタイプ・その4:白青飛行
「白青飛行」は、文字通り飛行クリーチャーを軸に相手を攻め立てるアーキタイプです。《夜明けのキマイラ》が飛行クリーチャーの軸となりやすいので、白がメインカラーになりやすいです。飛行クリーチャーを軸にピックするのは当然として、地上を固める《激浪の亀》や相手のオーラ戦略に強い《厳格な放逐》と《凄絶な無気力》は優先してピックするようにしましょう。
地上と飛行の二軸だとあまり上手くいかないことが多いので、クリーチャーはしっかり役割を持つものを考えて採用したいですね。
注目のアーキタイプ・その5:緑白オーラ
緑白オーラは、《ピレアス号の艦長、シオーナ》からオーラをエンチャントし、トークンを出して横並びで勝負するアーキタイプです。
《ピレアス号の艦長、シオーナ》の他にも《ヘリオッドの巡礼者》でオーラをサーチすることができるので、この2種を軸にオーラで戦況を変えていきます。
手数は担保されるので、最終的なゴールは《ピレアス号の艦長、シオーナ》のトークンと《恭しき重装歩兵》のトークンにより横並びし、最後は何かしらの全体強化でフイニッシュしましょう。
カードのシナジーや特定のカードに依存するアーキタイプなので、積極的に狙うというよりは、覚えておいて流れの中で狙えたら狙ってみるタイプのアーキタイプですね。
注目のアーキタイプ・その6:赤黒サクリファイス
「赤黒サクリファイス」は、《モーギスの殺戮神官》や《スコフォスの戦導者》でエンチャントやクリーチャーを生け贄に捧げながら攻めるアーキタイプです。
生け贄に捧げるカードと《裏切りの先触れ》を組み合わせると完全除去+打点も一気に追加できるので、できれば狙いたいコンボです。また、その際は《死の夜番のランパード》のような軽く生け贄に捧げられるカードも一緒に採用するようにしましょう。
生け贄シナジーは一度仕事を終えたエンチャントとも相性が良いので、《鍛冶の神のお告げ》や《マンティコアの様相》など、仕事を終えたカードも利用できることを覚えておきましょう。
注目のアーキタイプ・その7:赤緑アグロ
「赤緑アグロ」は、《ネシアンの角甲虫》から、パワー4以上を多く有する赤緑のクリーチャーで一気に攻め立てるアーキタイプです。
クリーチャーの質は随一の赤緑ですが、この環境は地上が膠着しやすいため、飛行が少ない赤緑はクリーチャーの質で相手を押し切れない場合に打つ手無しになりがちです。そのため膠着しないように、《傲慢の翼》や《炎の覆い》などで相手の狙いを崩す工夫をするようにしましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回のドラフトは、脱出持ちクリーチャーや各種お告げサイクルのおかげでマナフラッドがしにくく、安定してゲームができるようにリミテッドに向けて調整されたセットに見えます。ぜひ皆様も、この記事を参考にして遊んでみてくださいね!
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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