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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第34回:『ラヴニカの献身』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは!
今回は前回から続いての後編ということで、いつもと同様に「新環境リミテッド:プロツアー改めミシックチャンピオンシップ後の振り返り」をしていきましょう。
今回もミシックチャンピオンシップに参戦してきたので、その後の振り返りしっかりやらせていただきます。
1.ミシックチャンピオンシップを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた、僕が感じた最初の印象がこちら。
- 2マナ域に攻撃に適したクリーチャーが少ないため長期戦になりそう。
- 長期戦になるので長期戦に強いドロー呪文やシステムが重要になりそう。
- 門シナジーカードが非常に強力なため、5ギルドだけでなく多色も常に選択肢に入れる必要がありそう。
そして、その後の実際の練習過程やミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
100点:2マナ域に攻撃に適したクリーチャーが少ないため長期戦になりそう。
この環境は2マナ域から強烈なプレッシャーを与えることができるクリーチャーがアンコモンの《ザル=ターのゴブリン》くらいしか無く、ビートダウンも本領発揮するのが3マナ域以降のクリーチャーが大半です。
そのため早期決着はなかなか起きず、ビートダウンは3マナ域以降のクリーチャーの質が、ミッドレンジやコントロールは3マナ域以降の相手の動きをどう捌くかがゲームの焦点になりやすいです。
80点:長期戦になるので長期戦に強いドロー呪文やシステムが重要になりそう。
序盤のクリーチャーが攻めに向いておらず、長期戦になりやすいこの環境においては、ドロー呪文や継続的に効果を発揮するシステムは非常に効果的です。
ただ、それだけでは相手のレアなどの著しく突出したカード1枚に負けることもあるので、こちらもしっかりと勝ち筋=ゴールを用意しておくことが重要になります。
勝ち筋が強力なものを用意できず、長期戦に確実になると予想できるデッキを作る際は、相手の強力なエンチャントやアーティファクトに負けないように、《日晒し》をメインに採用することも検討しましょう。
70点:門シナジーカードが非常に強力なため、5ギルドだけでなく多色も常に選択肢に入れる必要がありそう。
《門の巨像》、《門破りの雄羊》、《燃え立つ門》の3枚はどれも1枚で戦況を変えうるレアに等しい価値を持つ強力なアンコモンで、これらが早いタイミングでピックできた場合は門をたくさんピックして多色の門デッキを目指すことも考慮に入れるべきです。
とはいえ多色といってもわざわざ5色を狙う必要はなく、門の優先度は上げつつ、基本の2色をベースでまとめた方が安定しやすいです。《門破りの雄羊》と《燃え立つ門》が緑・赤のカードなので、これらは最低でもタッチできるように門を集めておきたいところですね。もちろん赤緑ベースで固めて、門も最低限6~8枚あれば上手く使うことができます。
2.新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- 序盤のクリーチャーが弱く長期戦になりやすい環境なので、ビートダウンは長期戦に強い3マナ域以降の質の高いクリーチャーが、ミッドレンジ以降のアーキタイプはドローやシステムが大事。
- 長期戦をする際に、相手から出てくる強力なレアに負けないように、こちらもデッキを組む際に勝ち筋をしっかり意識するようにしよう。もし勝ち筋が少ない場合は、オールラウンドに対応できるよう《日晒し》のような置物に触れるカードを採用しよう。
- 門シナジーカードは強力ですが、門の枚数を確保するために手順を使ってしまいがちなので、門の優先度は上げつつも緑赤ベースを基本に2色~3色を軸に戦える形で収めることも検討しよう。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。
3.各種注目アーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:エスパー《精神純化》
エスパー《精神純化》は、《ドビンの鋭感》や《スフィンクスの眼識》でアドバンテージを稼ぎつつ、あらゆる除去呪文で相手のクリーチャーを完封した後に《精神純化》でライブラリーを修復し、使った除去や勝ち筋を復活させる超長期戦を見たコントロールで、環境で一番遅いアーキタイプです。
《精神純化》は2枚採用することでライブラリーアウトしなくなるので、それ自体が勝ち筋になります。そのため、極論クリーチャーが1枚も無くとも大量の除去とドロー呪文だけで勝つことができます。
ある程度クリーチャーが採用されている場合は2枚採用しなくても1枚打てばおおむね勝ち筋には困らないと思いますので、自分のデッキに応じて入れる枚数を決めましょう。
注目のアーキタイプ・その2:グルールフレイム
グルールフレイムは、《激情のエイリンクス》や《トロール種の守護者》などの質の高いクリーチャーを、《猪の祟神の炎》でバックアップし盤面を圧倒するアーキタイプです。
グルールは地上クリーチャーが主軸になるため、接死や細々としたチャンプブロッカーを用意され飛行クリーチャーとのダメージレースをされる展開を非常に苦手とします。
その解決策が《猪の祟神の炎》であり、上手くパワー4以上を用意できれば相手の盤面を壊滅させることができます。
地上主体ということもあり、序盤のクリーチャーで押し切ることは難しいので、3マナ域以降の質の高いクリーチャーで盤面を押し返していくイメージでデッキを作るようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:マルチカラー単
マルチカラー単は、レアである《ギルドパクトの秘本》を初手でピックした時に向かうアーキタイプで、デッキを多色の呪文を中心に組むことで無尽蔵のアドバンテージを稼ぎ相手に圧倒的リソース差をつけるアーキタイプです。
マルチカラー単で重要なのは《ギルドパクトの秘本》をまずは引くことなので、《可能性の揺らぎ》はぜひ採用しましょう。また、早期ターンに着地させたいのでマナサポートを兼ねて各種ロケットも複数採用しましょう。
単純にさまざまな色の多色のカードばかり集めては、デッキのまとまりに欠けた弱いデッキになりやすいので、使いやすい《評議会のグリフィン》などの混成マナカードを中心に青白軸で組むように意識すると、《ギルドパクトの秘本》を引かない時でも戦える形になりやすいです。
以上、3つの注目のアーキタイプでした。
この環境はギルドごとにさまざまなアーキタイプが存在するため、ドラフトする度に発見があると思います。ぜひ皆さんで新たなるアーキタイプを見つけてみてください。
4.『ラヴニカの献身』のトップコモン&アンコモン
前回は『ラヴニカの献身』の各色トップ3を挙げましたが、今回は各ギルド毎のトップ3を挙げていきます。
アゾリウス・アンコモン
《評議会のギルド魔道士》:起動が他のギルド魔導士と比べ軽く、能力も強力で、アゾリウス最強の2マナ域なのは疑う余地がありません。
《解任 // 開展》:序盤土地が詰まった時はキャントリップとして、中盤以降はダメージレースを大きくずらすライフ回復能力とトークン生成ができる、非常に強力な使いやすい分割カードです。
《新プラーフのスフィンクス》:4ターン目に出たならば非常に除去されづらく、パワー4の警戒&飛行という非常に優れた攻撃性能で速やかにゲームを終わらせてくれる、アゾリウスきっての優秀なフィニッシャーです。
アゾリウス・コモン
《法魔道士の束縛》:戦場にいるだけで効力を発揮するもの以外に対しては基本的に完全除去として機能する、環境屈指の除去です。
《スフィンクスの眼識》:ドローにライフゲインと非常にお得な1枚。コントロール気味のアゾリウスでは重宝します。
《冷気をもたらす者》:盤面を押し返しつつ、こちらは飛行の優秀なクロックを追加することができる、環境屈指の飛行クリーチャーです。
オルゾフ・アンコモン
《屈辱》:3マナインスタントの確定除去の時点で文句のない性能ですが、エンチャントまで触れてしまうのは驚愕の一言。環境のベスト除去です。
《無慈悲な司教》:生け贄能力により、地上戦を制圧できるのは言うまでもなく、死後持ちのクリーチャーと組み合わせてシナジーを形成するなど、オルゾフの軸となるクリーチャーです。
《聖堂の鐘憑き》:4マナ3/4と優秀なスペックなだけでなく、「手札破壊」「ライフ回復」とリミテッドで嬉しい要素を兼ね揃えた、強力なクリーチャーです。
オルゾフ・コモン
《不正相続》:長期戦になりやすいオルゾフにおいて、張るだけでプレッシャーをかけ続けることができる貴重なシステムです。
《欲深いスラル》:飛行クリーチャーかつドレイン能力を保有してため、一気にダメージレースをひっくり返すことのできる、オルゾフの攻めの軸となるクリーチャーです。
《最後の支払い》:追加コストがそこそこ重いものの、マナ・コスト自体は軽く非常に使い勝手の良い確定除去です。
ラクドス・アンコモン
《騒がしいシャーマン》:常に相手の一番強力なブロッカーを無力化させる、攻めに特化したラクドスに最適なクリーチャーです。
《ハックロバット》:条件は厳しいですが、もし2ターン目に出たならば速やかにゲームを終わらせることのができる、ラクドスきっての優秀なスペックを持つクリーチャーです。
《ラクドスの火輪使い》:「除去しながら、対戦相手にダメージも与えながら、4/3という優秀なスペックを持つクリーチャーがいたらいいなぁ」って妄想が具現化した、オリカのような性能のクリーチャーです。
ラクドス・コモン
《不正相続》:攻めを継続させる優秀なシステムです。毎ターン確定で絢爛するのも嬉しいですね。
《的中》:インスタントの確定除去に占術のおまけがある、強いことしか書いてない優秀な除去です。
《刃の曲芸人》:3マナ3/2でキャントリップ付きは破格の性能です。複数ピックできた場合は、ちゃんと絢爛して3マナで出せるように、2マナ域以下のクリーチャーを複数採用してサポートしましょう。
グルール・アンコモン
《騒がしいシャーマン》:地上戦しかできないグルールは接死が大の苦手。接死持ちクリーチャーを回避できるこの能力は、グルールと相性が非常に良いですね。
《猪の祟神の炎》:大雑把なゲーム展開になりやすいグルールが盤面を押し返すことができる、非常に強力な除去です。
《ザル=ターのゴブリン》:2マナ3/3相当のカードは環境でこのクリーチャーのみ。2ターン目に戦場に出たなら早期決着も狙える強力なクリーチャーです。
グルール・コモン
《激情のエイリンクス》:4マナ4/4トランプル相当と、本当にコモンか?と疑いたくなる優秀なクリーチャーです。
《野蛮な一撃》:除去に追加打点まで期待できる、強力な格闘呪文です。
《瓦礫帯の世捨て人》:サイズ差で勝負するグルールにおいて、圧倒的サイズで勝負できる優秀なクリーチャーです。
シミック・アンコモン
《ヒレバサミダコ》:単純に4マナ4/4という優秀なスペックに加え、順応により疑似的除去性能とサイズアップまでできる、環境屈指の高スペッククリーチャーです。
《エリマキ神秘家》:打ち消しに3/2のおまけはあまりにも強力。1枚でゲームの展開を変える環境最高峰のアンコモンです。
《トロール種の守護者》:順応が多い青緑において、トランプル付与の能力が嬉しいですね。自身も5/5から7/7トランプルへと順応できる、非常にスペックの高いクリーチャーです。
シミック・コモン
《エアロムンクルス》:3マナ2/3飛行と単純に優秀なスペックなだけでなく、順応でさらにサイズアップできる、シミックの中盤を支える優秀なクリーチャーです。
《冷気をもたらす者》:除去の少ない青緑というカラーにおいて、疑似的とはいえ除去性能がある、シミックに欠かせない優秀なクリーチャーです。
《尖塔に忍び寄るもの》:3マナ4/2と攻めに特化した優秀なスペックを持つだけでなく、いざとなれば飛行で攻めることもできる、シミックの攻めの軸となる優秀なクリーチャーです。
以上、各ギルドトップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
5.最後に
『ラヴニカのギルド』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
ミシックチャンピオンシップではドラフトは3-0することができたものの、その後のスタンダードでまさかの0-5で初日落ちと、あまりにも不甲斐ない結果となってしまいました。ドラフトの成績を良かっただけに非常に残念な結果となってしまいましたが、次回はドラフトに加え構築でもいい成績を残し、皆様の応援に応えたいと思いますので、引き続き応援していただけますと幸いです。
また、次のミシックチャンピオンシップは発売より早くドラフトを体験できるということなので、いつもとちょっと変わった形式で記事をお届けすることになると思いますのでお楽しみに!
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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