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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第33回:『ラヴニカの献身』発売! 新環境ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
最近は寒さも本格的なものになり、インフルエンザも流行と体調管理も一苦労な季節となりました。僕はなんだかんだピンピンしていますが、『ラヴニカの献身』が発売された直後なので体調を崩さぬよう気を付けたいところです。
さて、今回もいつも通り「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:ミシックチャンピオンシップ後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。
基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドデッキでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。
それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!
1.新環境~『ラヴニカの献身』のドラフト
『ラヴニカの献身』のドラフトは、『ラヴニカの献身』3パックを使用します。
ファーストインプレッション
今回の『ラヴニカの献身』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。
- 2マナ域に攻撃に適したクリーチャーが少ないため長期戦になりそう。
- 長期戦になるので長期戦に強いドロー呪文やシステムが重要になりそう。
- 門シナジーカードが非常に強力なため、5ギルドだけでなく多色も常に選択肢に入れる必要がありそう。
順番に解説していきます。
2マナ域に攻撃に適したクリーチャーが少ないため長期戦になりそう。
2マナ域にパワー3のクリーチャーや飛行等の回避能力を持つクリーチャーがほとんどいないため、早期ターンで決着がつくゲームが少なくなりそうな印象です。長期戦を見据えて低マナ域だけでなく4マナ以降のカードでしっかり戦う必要がありそうです。
長期戦になるので長期戦に強いドロー呪文やシステムが重要になりそう。
ゲームが長引いた時に真価を発揮するのが相手とカード枚数に差を付けるドロー呪文カードと、ターンの経過ごとにゲームを有利にするシステムです。
ドロー呪文は単純に相手とハンドアドバンテージに差を付けることができるため、長期戦の際に物量で勝利を目指すことができます。
システムは《ドビンの鋭感》などの繰り返し使えるカードのことです。各種ギルド魔導士のサイクルなどの起動型能力を持つクリーチャーはシステムクリーチャーと呼ばれ、これもまたシステムです。
システムはターンごとにゲームを有利にしてくれるので、膠着状態や長期戦において非常に有用です。中盤戦以降で巻き返しを狙うデッキだけでなく、ビートダウンを使う際にも《不正相続》のような長期戦で相手にプレッシャーを与えられるシステムがあると多角的に戦えて強そうですね。
門シナジーカードが非常に強力なため、5ギルドだけでなく多色も常に選択肢に入れる必要がありそう。
前回の『ラヴニカのギルド』では5ギルドをいかに綺麗に組むか、といった環境でしたが、今回は2マナ域に攻めに向いたクリーチャーが少ない都合でゲームが長引きやすいため、色を足した多色のアーキタイプも有用に見えます。
特に門シナジーカードである《燃え立つ門》、《門破りの雄羊》、《門の巨像》の3種は門の枚数を参照する強力なカードです。
結果、門を多数集める3色以上のデッキが一定数常に卓にいることになりそうなので、色の組み合わせを選ぶ際は今回は「5ギルド」と「門多色」を合わせた6つのアーキタイプから取捨選択する必要がありそうです。
ここまでがカードリストを見た最初の感想です。
長期戦に強い色が強く見えるので、ドロー呪文が使える青を含むアゾリウスや、順応という長期戦に強いシステムクリーチャーが多いシミックの2つのギルドが強く見えますね。とはいえ前回のゴルガリのような、極端に弱いギルドは無さそうなので、すべてのギルドの特徴をしっかり把握する必要がありそうです。
さて、次は『ラヴニカの献身』の新メカニズムについて見ていきましょう。
2.収録メカニズムについて
附則
附則 ― あなたがこの呪文をあなたのメイン・フェイズ中に唱えていたなら、~。
附則はアゾリウスのメカニズム(能力語)で、主にインスタント呪文をメイン・フェイズに、いわゆるソーサリー呪文を唱えられるタイミングで唱えることで追加のボーナスを得ることができる能力です。
附則持ちのカードは、基本的にはソーサリータイミングで唱えてボーナスを得た方がお得ではありますが、インスタント本来の使い勝手の良さを損なわないよう気を付けて使いましょう。
死後
死後N(このパーマネントが戦場から墓地に置かれたとき、飛行を持ち白であり黒である1/1のスピリット・クリーチャー・トークンをN体生成する。)
死後はオルゾフのキーワード能力で、死後を持つクリーチャーが死亡した時、Nの数値に等しい数の1/1のスピリット・トークンを生成します。
墓地に行かずに追放されてしまった場合はトークンが生成されないことにご注意ください。
絢爛
絢爛[コスト](このターンに対戦相手がライフを失っていたなら、あなたはこの呪文のマナ・コストを支払うのではなく、[コスト]を支払ってもよい。)
絢爛はラクドスのキーワード能力で、ターン中に対戦相手がライフを失っていた場合、絢爛コストを支払うことでカードを唱えることができます。
基本的にはマナ・コストが元より少なくなることがメリットである絢爛ですが、中には元より多く払うものもあります。それらは絢爛で唱えた場合何らかのボーナスがあるカードなので、絢爛できる場合は絢爛でプレイした方が得する場合が多いです。
暴動
暴動(あなたは「このパーマネントは+1/+1カウンターが追加で1個置かれた状態で戦場に出る。」を選んでもよい。そうしないなら、これは速攻を得る。)
暴動はグルールのキーワード能力で、暴動を持つクリーチャーが戦場に出るに際し、+1/+1カウンターが追加で1個置かれた状態か、速攻か、どちらかを選択する能力です。
クリーチャーは+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出るため、対応して除去を打つ際はサイズが大きくなるのに対応するタイミングが無いことに注意しましょう。
順応
順応Nを行う。(このクリーチャーの上に+1/+1カウンターが置かれていないなら、これの上に+1/+1カウンターをN個置く。)
順応はシミックのキーワード能力で、マナを支払うことで順応のNの数値に応じた+1/+1カウンターを起動したクリーチャーの上に乗せることができる起動型能力です。
注意点としては、順応したかどうかに関わらず+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーは以降順応しても追加でカウンターを置くことはできません。+1/+1カウンターが置かれていても順応自体は起動できてしまうのでご注意ください。
3.『ラヴニカの献身』の注目のカード
さて、それではここからは色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
白・アンコモン
《天使の称賛》:パワーが低いクリーチャーが多く、突破力に欠ける白の戦線を一気にバックアップしてくれる、強力なシステムエンチャントです。
《債務の聖職者》:3マナで死後2は非常に使い勝手が良い性能ですね。基本的にはディフェンシブなデッキで運用するのが良さそうですが、あらゆるデッキで活躍が可能な優秀なクリーチャーです。
《尖塔の霊》:白のギルドであるアゾリウスとオルゾフ、どちらも飛行が多いギルドなので飛行クリーチャー全体のタフネスを強化できるのは嬉しいですね。《厳戒態勢》との相性の良さは言うまでもありません。
白・コモン
《略式判決》:タップ状態のクリーチャーを対象とするので、起動型能力を持つシステムクリーチャーまで対応できる、除去の幅が広い強力な除去です。
《組織の伝書使》:飛行クリーチャーなので相手からは無視できない存在にもかかわらず、死亡するとさらにトークンでプレッシャーをかけ続けることのできる、強力な死後持ちクリーチャーです。
《公判への移送》:基本的にはサイドボードカードですが、《門の巨像》をスマートに解決することのできる、強力なサイドボードカードです。
青・アンコモン
《門道の密行者》:門が一定数入ったデッキだけでなく、2~3枚ほどのデッキで運用しても問題なく活躍できる、相手にとって非常にプレッシャーになる優秀なクリーチャーです。
《暴風のドレイク》:アゾリウスで使って強いのはもちろんのこと、オルゾフにタッチすることで死後のスピリット・トークンを上手く利用できる、活躍の場が幅広い飛行クリーチャーです。
《プテラマンダー》:多少デッキに縛りはつくものの、あらゆるマナ域で活躍する強力な順応持ちクリーチャーです。
青・コモン
《冷気をもたらす者》:ダメージレースを覆すタップ能力を持つ、全てのコモンの中でもトップクラスの性能を誇る飛行クリーチャーです。
《スライム縛り》:システムクリーチャーには効果が薄いものの、コンバットトリックとしても使える優秀な除去です。
《フェアリーの決闘者》:コンバットトリックとして使っても良し、相手のタフネス1のクリーチャーを打ち取って良しの、相手に持たれていると非常に厄介に感じる1枚です。
黒・アンコモン
《オルゾフの処罰者》:相手の地上クリーチャーと相打ちしつつ、さらにスピリットが戦場に残る、いつ引いても仕事をしてくれる優秀な2マナ域です。
《執念深い吸血鬼》:基本的にオルゾフで運用し、死後持ちのクリーチャーでプレッシャーをかけることができる、優秀なシステムクリーチャーです。
《ドリルビット》:長期戦が多くなるゲームにおいて、相手のゲームプランを見ることができるハンデスは貴重です。
黒・コモン
《刃の曲芸人》:絢爛状態でない場合はコストパフォーマンスが悪いものの、安定して絢爛できるラクドスで運用する場合は気にならない、強力なドロー付きクリーチャーです。
《不正相続》:ビートダウンで多角的に攻める際や、除去コントロールのフィニッシャーなど、幅広く活躍できる強力なシステムエンチャントです。
《奇怪な死》:グルールにはいまいち効きづらいものの、幅広く除去できる優秀な除去です。
赤・アンコモン
《騒がしいシャーマン》:赤いビートダウンで必須とも言える性能を持つ、短期決戦を可能にする強力なクリーチャーです。
《燃え立つ門》:タップインが多くなる門のアーキタイプにとって、序盤のテンポロスを巻き返すことのできる、強力な全体除去です。
《舞台照らし》:ほぼ1マナ2枚ドローとして運用可能な、極めて強力なドロー呪文です。
赤・コモン
《炎樹族の蛮人》:ビートダウンにおいて手札の質を担保することは重要なため、ルーター能力は非常に嬉しいですね。暴動付きなので速攻で使えるのも評価できます。
《焦印》:死後持ちクリーチャーを後腐れなく除去できる優秀な除去です。
《批判家刺殺》:絢爛状態ならば1マナでプレイ可能な、非常に使い勝手の良い除去です。
緑・アンコモン
《門破りの雄羊》:門アーキタイプにおいて必須級のクリーチャー。3マナ4/4警戒トランプル以上の性能になることも容易に想像がつく、強力なクリーチャーです。
《トロール種の守護者》:5マナ5/5と単純にスペックが良いだけでなく、起動が軽い順応と、トランプル付与の能力まで併せ持った非常に強力なフィニッシャーです。
《生体性改造》:基本的には+1/+1カウンターを6個置くカードですが、すでに+1/+1カウンターがあると一気に効果が大きくなる、非常に強力なバックアップ呪文です。
緑・コモン
《トカゲ体の混種》:序盤から終盤まで、あらゆる局面で活躍できる優秀な2マナ域クリーチャーです。
《尖塔に忍び寄るもの》:3マナ4/2と優秀なスペックなだけでなく、飛行まで付けることのできる、シミックの攻めの軸を担う優秀なクリーチャーです。
《縄張り持ちの猪》:2マナクリーチャーが攻めに向いたクリーチャーが少ない中、序盤~中盤にかけて継続的に攻撃可能な、グルールの攻めの軸となる優秀な2マナクリーチャーです。
5色の紹介はここまでとなりますが、今回は多色のカードも重要になりますので、ギルド別の項目も用意しました。各ギルドのアンコモン・コモン各1枚ずつ最重要カードを紹介したいと思います。
アゾリウス
《厳戒態勢》:タフネスが大きなクリーチャーが多いアゾリウスにおいて、一気に戦況を変えることができる強力なシステムエンチャントです。
《アゾリウスの騎士判事》:タフネス5で相手のクリーチャーをけん制しつつ、警戒とブロックされない能力で一方的に攻撃できる攻守のバランスに優れた強力なクリーチャーです。
オルゾフ
《屈辱》:クリーチャーを完全除去できるだけでなく、強力なシステムエンチャントが多数ある環境なのでエンチャントまで破壊できるのは非常に嬉しいですね。
《欲深いスラル》:ドレイン能力によりダメージレースをひっくり返すことのできる優秀な飛行クリーチャーです。
ラクドス
《ラクドスの火輪使い》:除去内蔵クリーチャーというだけで非常に強力ですが、本体にダメージが入るのもラクドスの性質に合致していますね。
《的中》:インスタントの完全除去に占術まで付いた非常にお得な除去です。
グルール
《野生の律動》:速攻とサイズアップを状況次第で選べる強力なキーワード能力・暴動が全てのクリーチャー(トークンを除く)に与えられるのは、さすがに凄まじいの一言です。
《激情のエイリンクス》:4マナ4/4トランプル相当のスペックなだけでなく、いざとなれば速攻やパンプアップ能力まで使える、コモンとは思えない強力なクリーチャーです。
シミック
《ヒレバサミダコ》:4マナ4/4と優秀なスペックなだけでなく、さらに順応や+1/+1カウンターでバックアップすることでタップ能力で一方的に攻め立てることができる非常に優秀なクリーチャーです。
《エアロムンクルス》:3マナ2/3と優秀な飛行クリーチャーなだけでなく、順応でサイズアップもできる攻守に優れた飛行クリーチャーです。
4.『ラヴニカの献身』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:厳戒態勢アゾリウス
厳戒態勢アゾリウスは、《厳戒態勢》を軸に、青と白のタフネス偏重のクリーチャーで攻守バランス良く立ち回るミッドレンジのアーキタイプです。
《厳戒態勢》があると受けに適したクリーチャーが急にフィニッシャースペックになるため、《協約のペガサス》や《評議会の急使》などのタフネス偏重の飛行クリーチャーを意識してピックしていきましょう。
また、《アゾリウスの騎士判事》は5点クロックのブロックされないクリーチャーとしてエースの性能になるので、《厳戒態勢》が取れている時は見たら取るレベルで意識してピックしましょう。
注目のアーキタイプ・その2:門コントロール
門コントロールは、序盤に《門の巨像》、《燃え立つ門》、《門破りの雄羊》のどれかがピックできた際に、多数の門を採用しこれらをバックアップする多色のコントロールデッキです。
門デッキは、門をたくさん入れる都合でタップインの枚数が多くなることから、序盤は攻められないので、基本的にはビートダウンでなくコントロールにした方が強そうです。
門をたくさん採用するので多色にしやすいため、あらゆる色の除去を優先的にピックしていけるだけでなく、強力なレアやアンコモンもタッチしやすいので、上手く行った際は非常に強力な多色デッキになります。
ただし、門をたくさん取る都合上、サイドボードのカードが不足しがちになるので注意しましょう。
注目のアーキタイプ・その3:接死ラクドス
接死ラクドスは、《焼印刃》を《短剣使い》や《脚光の悪鬼》に使って、戦闘以外のダメージで相手のクリーチャーを除去するコンボを内蔵したビートダウンです。
赤黒の色の性質上長期戦は分が悪いので、基本的には普通のビートダウンとしてふるまいつつ、隙を見てコンボを狙って相手の盤面を壊滅させてしまいましょう。
ある程度受ける形になってしまった場合は、《不正相続》を張って長期戦に備えましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回は長期戦になりやすく、色を増やすメリットが多い環境なので、ドラフトするたびに新たな発見がある面白いセットになっていると思います。たくさんドラフトして、自分だけの勝ち方をぜひ模索してみてください。
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。
それでは皆さん、また次回の連載の記事でお会いしましょう!
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