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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第14回:『異界月』ドラフト 答え合わせ編
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第14回:『異界月』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは! 今回は前回から続いての後編ということで、いつも同様に「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」をしていきましょう。
今回は久しぶりにプロツアーに参加いたしましたので、しっかりプロツアー後の振り返りやらせていただきます。
あ、申し遅れましたがプロツアー『異界月』でトップ8に入賞できたのでゴールドレベルが確定し、無事来年1年間はプロツアーに参戦のうえ、振り返りができるようになりました。プロツアー期間中に皆様に応援していただいたのは非常に励みになりました。この場を借りてお礼申し上げます。
1.プロツアーを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこれです。
- 緑にプレイアブルカードが少なく、弱い。
- マッドネス補助のカードが増え、赤・黒・青の3色が強くなった。
- 《テラリオン》のおかげで昂揚が達成しやすくなった。
そして、その後の実際の練習過程やグランプリ・シドニー2016で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
60点:緑にプレイアブルカードが少なく、弱い。
緑の弱い点はプレイアブルカードが少ない、これはある程度合ってはいたのですが当初僕が思ったより使い道があるカードはそこそこありました。しかしそれでも緑が弱いというのは変わりません。というのも、『異界月』と『イニストラードを覆う影』の緑のコンセプトが現出と狼・狼男でまったく違うことで、上手くかみ合わせるのが難しいからです。
唯一噛み合う昂揚だけは狙えればそれなりに期待値は高く、それを狙っていくことになるのですが、3パック目の《発生の器》や昂揚のカードの出次第でデッキの強さが左右されやすいので、積極的に狙うのも難しく、緑はムラが激しい色と言えます。
60点:マッドネス補助のカードが増え、赤・黒・青の3色が強くなった。
赤・黒・青はとても強くなりました。その一端は間違いなくマッドネス絡みのシナジーによるものではあります。
しかしそれ以上にこの3色は除去・クリーチャーの質ともに白と緑に比べ優秀で、なおかつトップアンコモンクラスのアンコモンがこの3色にそれぞれ用意されており、白・緑に対して相対的評価としてこの3色が強いので、マッドネス絡みというよりは、単純にカードの質が以前の環境よりも強くなりました。
100点:《テラリオン》のおかげで昂揚が達成しやすくなった。
以前は昂揚を達成するためには、ライブラリーからカードを直接落とせる緑か黒を使わないと難しかったですが、《テラリオン》のおかげで他のカラーリングでも昂揚を達成するのは難しくなくなりました。特に白はカードタイプが墓地に落ちづらいエンチャントで固まってしまうことが多いので、《テラリオン》は重宝します。
というわけで、今回は予想的中度は全体的に低めでした。前の環境以上にアーキタイプ環境で、最初予想していたよりも少し複雑な環境でした。
タフネス3以上のクリーチャーが環境に多く、パワー2の地上の2マナクリーチャーはすぐに足が止まってしまいます。単純な地上クリーチャーでのビートダウンは勝ちにくい環境なので、飛行を中心としたビートダウンや、上手くアーキタイプに寄せたアーキタイプドラフトが強い環境です。
新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- 緑は昂揚だけはコンセプトが一貫しているので、昂揚を意識したアーキタイプを目指そう。
- 赤・黒・青は除去・クリーチャーの質ともに安定しているので、ぜひメインカラーはこの3色から選ぼう。
- 昂揚を目指す時は墓地に落ちるカードの種類(《テラリオン》など)をしっかり意識しよう。カード・タイプが足りない時は、不足しているカード・タイプを意識し優先してピックしよう。
- 地上中心の単純なビートダウンはタフネスが高いクリチャーが多い環境で勝ちにくいので、装備品でバックアップするか、飛行中心のビートダウンにしよう。
- アーキタイプ環境なので、コンセプトに寄せたデッキになるように意識しよう。
皆さんもぜひ、これらの要素を意識しながらピックしてみてください。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。
2.各種注目アーキタイプ
「青赤《熱錬金術師》」
赤のトップコモンの一角である《熱錬金術師》を青の呪文でバックアップし最大限に活かすアーキタイプです。
このアーキタイプに必要なのは、《熱錬金術師》はもちろんのこと、《稲妻織り》や《詮索好きのホムンクルス》のような、呪文が多数採用されているのがメリットになるカードです。上記3種類のクリーチャーは最優先でピックしましょう。他には果敢持ちで呪文と相性が良い《巧妙なスカーブ》も優先度が高いです。
クリーチャーは基本的には10~14体に抑えて、呪文は9~13枚くらいと多めに採用しましょう。《棚卸し》のような他のアーキアイプでは使いにくいカードも青赤では点数が上がるので意識してピックしましょう。
「青白フライング」
白・青ともに飛行クリーチャーが充実し以前より組みやすくなった、飛行クリーチャー中心でビートダウンするアーキタイプです。
最優先するカードはトップコモンと名高い《不憫なグリフ》。他は《ぼろぼろの憑依者》や《夜明けのグリフ》、《霊体の予備兵》のような飛行クリーチャーは優先度が高いです。
パワーが上がる装備品や、止めの《恩寵借用》のようなカードは飛行クリーチャーをバックアップする上で重要となるので、呪文が除去ばかりにならないよう、これらのバックアップカードもしっかりデッキに採用するようにしましょう。
「赤黒バーン」
《熱錬金術師》と《スカースダグの嘆願者》の恒久的に相手のライフを削る2種類のクリーチャーを中心とした、バーン戦略のアーキタイプです。
《スカースダグの嘆願者》がマッドネス戦略と相性が良いので、《オリヴィアの竜騎兵》や《錬金術師の挨拶》のようなマッドネス絡みで必要なパーツを意識してピックしましょう。逆に《スカースダグの嘆願者》は基本的に使えるアーキタイプがマッドネス以外にないため安く拾えるので、高めにピックしないように気を付けましょう。
『イニストラードを覆う影』では《血管の施し》が安く拾えて強力なので、4手目以降にピックして意識的に1~2枚デッキに採用するようにしましょう。1~3手目で何もピックするものが無い場合は、もちろん《血管の施し》をピックしてもかまいません。
以上、3つの注目のアーキタイプでした。
他にも「青黒除去コントロール」や、「緑多色」等まだまだたくさんのアーキタイプがありますので、ぜひ皆さんで新たなるアーキタイプを見つけてみてください。
3.『異界月』のトップコモン&アンコモン
前回も『異界月』の各色トップ3を挙げましたが、今回はその改訂版です。
前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。
白・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《単体騎手》 |
《勇敢な先導》 |
《罪からの解放者》 |
白・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《捨て身の歩哨》 | 《恩寵借用》 |
《絞首束縛》 | 《絞首束縛》 |
《シガルダ教の僧侶》 | 《シガルダ教の僧侶》 |
in
《捨て身の歩哨》:現出のカードと相性が良く、昂揚時のスペックも高いので評価を上げました。
out
《恩寵借用》:効果は大きく強力なのですが、上手く使えるアーキタイプが少ないので評価を下げました。
青・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《ネベルガストの伝令》 | 《改良された縫い翼》 |
《厄介な船沈め》 | 《厄介な船沈め》 |
《溺墓のビヒモス》 | 《溺墓のビヒモス》 |
in
《ネベルガストの伝令》:相手のクリーチャーを1回無力化できる飛行クリーチャーならば十分に強いスペックです。もちろんスピリットとの相性は抜群です。
out
《改良された縫い翼》:強力な飛行クリーチャーですが、相対的に評価を下げました。
青・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《不憫なグリフ》 | 《不憫なグリフ》 |
《巧妙なスカーブ》 | 《巧妙なスカーブ》 |
《引きずり込み》 | 《ぼろぼろの憑依者》 |
in
《引きずり込み》:ソーサリーとはいえドロー付きのバウンス呪文は非常に強力です。
out
《ぼろぼろの憑依者》:強力な飛行クリーチャーですが、相対的に評価を下げました。
黒・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《殺害》 |
《憑依された死体》 |
《無情な処分》 |
黒・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《オリヴィアの竜騎兵》 |
《夜深の死体あさり》 |
《エムラクールの加護》 |
赤・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《血の霧》 | 《血の霧》 |
《稲妻織り》 | 《くすぶる狼男》 |
《粗暴な協力》 | 《粗暴な協力》 |
in
《稲妻織り》:呪文を多めに採用しなくてはいけませんが、3マナ1/4到達として飛行対策としても十分強く、特定のアーキタイプでは必須カードなので評価を上げました。
out
《くすぶる狼男》:タフネス1がいない場では活躍が難しく、ダブルシンボルなこともあり評価を下げました。
赤・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《流電砲撃》 | 《流電砲撃》 |
《錬金術師の挨拶》 | 《錬金術師の挨拶》 |
《熱錬金術師》 | 《猛々しい狼》 |
in
《熱錬金術師》:様々なアーキタイプで中心となる、強力なクリーチャーです。
out
《猛々しい狼》:依然として強力なクリーチャーで優先度は高いのですが、相対的に評価を下げました。
緑・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《邪悪の使者》 | 《ソンバーワルドの雄鹿》 |
《首絞め》 | 《首絞め》 |
《直接射撃》 | 《直接射撃》 |
in
《邪悪の使者》:現出クリーチャーを採用する場合は必須で、さらに後続のクリーチャーを探すのにも長けていて、緑の戦略と相性が良いので評価を上げました。
out
《ソンバーワルドの雄鹿》:パワー2以下のクリーチャーでないとアドバンテージを取れないため、強いシチュエーションが限られるので評価を下げました。
緑・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《ウルヴェンワルドに囚われしもの》 | 《ウルヴェンワルドに囚われしもの》 |
《過去との取り組み》 | 《捕食》 |
《辺境林の生存者》 | 《辺境林の生存者》 |
in
《過去との取り組み》:緑は昂揚が第一なため、昂揚絡みのカードの評価を上げました。
out
《捕食》:優秀な除去ですが相対的に評価を下げました。
以上各色トップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
4.最後に
『イニストラードを覆う影』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
冒頭でも書かせていただきましたが、ゴールドレベルプロに復帰したので次回からもプロツアーに参加することができます。ですが現状に満足せず、今後もより一層頑張ってプラチナレベル・世界選手権出場を目指してまいりますので、今後とも応援していただけますと幸いです。
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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