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第93回:ジャッジの楽しさ!と、モダン構築のキーワード能力(前半)

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ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2012.03.28

WPN通信 #93:ジャッジの楽しさ!と、モダン構築のキーワード能力(前半)


 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。

food1

 先週の火曜日からちょうど一週間、休暇をいただいてアジアンフードを満喫してきました。行き先はマレーシアの首都クアラルンプール。日本から飛行機で 6 時間あまり、いまだコートが必要な日本を飛び出して出かけたのは、年中半袖で過ごすこともできる常夏の国。空港に着くやいなや、日本との温度差に辟易しながらも、もうすぐ日本にもやってくるであろう暖かい春を思い出させてくれて気分が良くなったりも。

 クアラルンプールへ赴いた目的は、グランプリ・クアラルンプールです。先週末は二つのグランプリがクアラルンプールで開催され、片方はフェルナンド・アロンソが、もう一方は渡辺雄也がタイトルを獲得しました。

 グランプリ・クアラルンプール カバレージ(リンク先は英語)

 わたしはジャッジとしてマジックのグランプリに参加する予定だったのですが、ちょうど本誌連載陣の渡辺くん、塚本くんも友人といっしょにクアラルンプールへ行くということだったので、旅は道連れ、せっかくだからと同じホテルでルームシェアすることになりました。会場至近のホテルだからと深く考えずにホテルを予約したのですが、そもそもグランプリ会場がそのホテルだったという。ホテルの宴会場を舞台に 600 余名がチャンピオンタイトルを目指して戦ったマジック側のグランプリでした。

hall1

 毎晩それぞれの健闘を称えながら、あるいは翌日の健闘を祈りながらディナーを食べていたのです。友人たちとグランプリに参加する楽しみの大部分は、修学旅行的に過ごすオフタイムであると信じて疑わないわたしです。国内はもちろんのこと、わざわざ海外に行くとその楽しみはさらにプッシュされますね。

 そんなわけで、金曜日からさっそくショッピングモールを散策して、雰囲気がよさげなドイツ料理の店へ。どのビールを頼もうかとメニューを眺めていると「トロフィー」と名付けられたデカいグラスがあったので、せっかくなので縁起物として頼んでおきました。

watanabe

 金曜日の夜にトロフィーを掲げていたこの男が、日曜日に本物のトロフィーを掲げることになろうとは。この男、強すぎる。くわえて、デッキをシェアしたアジアの友人たちもそろってプレイオフ入りしたそうで。

 最終日の夜は渡辺くん(と併催イベントのスタンダードオープンで優勝した塚本くん)の祝勝会が開催されたことは言うまでもありません。

 あらためて、ナベ、おめでとう!


グランプリでジャッジをする楽しさ

grandprix

 さて、わたしがわざわざ休暇を取って、旅費も、宿泊費も支給されない海外のグランプリにジャッジをしに出かけたのか。食費を抜きにしても 10 万円くらいの出費になりますから、けっして安い金額ではないですね。

 一言でいえば「グランプリでジャッジがやりたかったから」。

 ウィザーズプレイネットワーク日本担当になってから、国内のイベントに仕事として赴くことが増えました。仕事として会場に行くと、純粋にジャッジ業務をしている時間を捻出することがなかなか難しい。日頃お目にかかれない店舗の方や、各地域のジャッジと交流したり、プレイヤーや出店ディーラーからヒアリングしたり、ジャッジやスタッフが抱えている問題を解決する細々した雑務をしたりと、いろいろやることがありまして。ジャッジをするイベントとしないイベント両方を経験して、ジャッジをしていない方がやれることが多いし、パフォーマンスがよいと感じました。

 とはいえ、この仕事をしていくうえで、ジャッジのみなさんと交流することは大事ですし、そうであれば最新の技術やノウハウを身につけておきたい。そのためにはプロツアー、グランプリなどの国際的イベントに定期的に顔を出しておきたくなります。そもそも、自分が最前線を知っておかないと、どういった問題があるのか気づけません。

「国内が難しいなら、海外に行けばいいじゃない!」

 思い立ったら即行動が信条なので、文字通り飛んでいきました。

headjudge

 国外のグランプリは久しぶりだったこともあって、レベル 2 までの若いジャッジは知らない顔ぶれが多かったですが、アジアのジャッジ・リーダーであるオーストラリアのジェームス・マッケイ、南アジアの地域コーディネータで今回のヘッドジャッジ、ワーン・チョンを筆頭に、レベル 3 はわたしが現役でプロツアーに参加していた頃から活動している、いわば同期ジャッジたちが名を連ねていて、「久しぶり、元気?」と声をかけられました。そのほか若手でもアジアから日本のグランプリまで武者修行に来ているような若手勢はだいたいそろっていました。となれば、挨拶もそこそこに近況報告を交わしたり「マニラはなんで来ないの?」って聞かれることにもなるのですが。

 先週のコラムでかんたんにご紹介しましたが、認定ジャッジはピラミッド構造になっています。多くのレベル 1 の中からやる気勢がレベル 2 を目指し、そのレベル 2 からごく少数がレベル 3 へ推薦されて、自国(あるいは隣国まで!)を担当します。

 地元の店舗を担当しているレベル 1 ジャッジが、上を目指そうとした場合はどのように勉強したら良いのか。おすすめは自分の試験官だった先輩に相談して、地域の大きめの大会でジャッジをしたり、グランプリトライアルやプロツアー予選でジャッジとしての技術を学んだりすることです。店舗のイベントは一人で担当できることが多いですが、大きめの大会は複数のスタッフでイベントを運営します。人が増えればチームができ、効率化のために業務分担をするようになります。大きめの大会の最大級がグランプリで、こうした技術を学ぶ場所としてはいちばんの学び場といえます。

「自分が与えられるものが少なく、得るものが多いと考えている以上、勉強代は支払おう。ただし、コスト以上のリターンを獲得して帰ろう。獲得したリターンは地元に還元して、全体のスキルアップを図ろう」

 年中海外を飛び回っていた頃は、そんな目標を立てて、海外のイベントに参加していました。

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 リターンには有形として謝礼のブースターパックやジャッジフォイル、無形として各国のジャッジとのコネクションや、あたらしい技術の入手があります。セミナーへの参加も無形のリターンでした。そうした活動が認められたのか、3 年ほどの武者修行期間を経てレベル 3 に推薦してもらいました。

 とりとめなくなってしまいましたが、わたしがグランプリで、あるいはプロツアーでジャッジとして活動してきた最大の理由は、ジャッジをすることが楽しいから。そして、イベントに行くたびに新しい発見があるから。

 自腹で安くはない航空券を手配して海外のグランプリに行くのも「日本国内でジャッジできそうもないから海外でジャッジやるか!」という、アジアの他のやる気勢とあんまり変わりません。グランプリに行けばジャッジ同士でつるんで、マジックの話をしたり、ジャッジの話をできたりするのは、国内のそれとあまり変わらないです。

 ジャッジ同好会のみんなと会って、地元の近況を交換したり、お互いが身につけた新しい技術をシェアしたり、よりよいイベントのために改善提案をしたり、そもそもディナーを楽しんだり。そうしたことが大好きで、楽しくて、わたしはジャッジを続けていますし、グランプリに参加しています。イベントが楽しいという部分に関していえば、プレイヤーで参加することに引けを取らないんですよ。

view

 年内に開催されるアジアのグランプリは、マニラ、上海、オークランド、台北と計画されていますが、上海と台北はなんとか都合をつけて参加したいですね。これからも日々勉強しながら、よりよいジャッジを目指して活動していこうと思います。



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モダン構築のキーワード能力(前半)

 今回はモダン構築で使用可能なカードセットから、キーワード能力に関する問題を集めてみました。回答はこの記事の後ろのほうに記載していますので、まずは考えてみてください。

 全ての問題において、特別な記載がない限り、APとNAPの2人が対戦しています。APは現在のターンのアクティブ・プレイヤーであり、NAPは非アクティブ・プレイヤーを指しています。


問1:ミラディンより「親和」

 メイン・フェイズにAPが《瞬唱の魔道士》を戦場に出し、その能力でAPの墓地にある《物読み》にフラッシュバックを付けた。
 APが合計3つのアーティファクトをコントロールしていて、APはこの墓地の《物読み》をフラッシュバックで唱える場合、APはどのようなマナを支払う必要があるか?


問2:フィフス・ドーンより「烈日」

 NAPは《スレイベンの守護者、サリア》をコントロールしている。

 メイン・フェイズにAPが《仕組まれた爆薬》を唱え、Xの値を2とした。APは結果として3マナ({B}{R}{G})を支払った。
 《仕組まれた爆薬》を解決すると、上にはいくつの蓄積カウンターが乗った状態になっているだろうか?


問3:神河謀叛より「忍術」

 APは《深き刻の忍者》を手札にもっている。
 APがこれの忍術を起動できるのは次のどのステップか? なお、APは最低1体の攻撃可能なクリーチャーをコントロールしており、NAPはブロックできるクリーチャーをコントロールしていないものとする。

 1) 戦闘開始ステップ
 2) 攻撃クリーチャー指定ステップ
 3) ブロック・クリーチャー指定ステップ
 4) 戦闘ダメージ・ステップ
 5) 戦闘終了ステップ


問4:ラヴニカ:ギルドの都より「発掘」

 APは自分のドロー・ステップのドローで、墓地にある《壌土からの生命》を発掘能力を使用して手札に入れたいと考えている。しかし、APのライブラリーは残り2枚しかない。
 APが墓地の《壌土からの生命》を手札に入れることは可能だろうか?


問5:ギルドパクトより「複製」

 NAPは上に1個の蓄積カウンターが置かれた《虚空の杯》をコントロールしている。
 APは《破壊放題》を唱え、複製コストとして{R}{R}を支払った。
 さて、APは最大いくつのアーティファクトを破壊できるだろうか?


問6:時のらせんより「待機」

 NAPは《金輪際》をコントロールしており、カード名を《裂け目の稲妻》と指定している。APの手札には《裂け目の稲妻》がある。
 さて、APはこれの待機コストを支払って、待機状態にすることはできるだろうか?




 それでは、回答編です。


回答1 「親和」: {1}{U}

 親和(アーティファクト)の場合、「この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき{1}少なくなる。」を意味する。
 《物読み》をフラッシュバックで唱えると、そのフラッシュバック・コストは右上のマナ・コストと同じなので、{4}{U}である。その後、親和能力のコスト減少を受けるので、総コストは{1}{U}となる。


回答2 「烈日」: 3個

 烈日能力によって+1/+1または蓄積カウンターが乗る個数は、それを唱えるために使われたマナの色1色につき1個である。これには追加コストや代替コストで支払われたマナも適用される。
 従って、問題の場合、3色のマナが使用されているので、《仕組まれた爆薬》は3個の蓄積カウンターが乗った状態で戦場に出る。


回答3 「忍術」: 3),4),5)

 忍術能力を起動するコストとして、「あなたがコントロールするブロックされていない攻撃クリーチャー1体をオーナーの手札に戻す」ことが含まれる。「ブロックされていない攻撃クリーチャー」は、通常では、ブロック・クリーチャー指定ステップの後、戦闘終了ステップが終了するまでしか存在しない。
 従って、選択肢では3,4,5のいずれかとなる。


回答4 「発掘」: できない。

 「発掘 N」は、「あなたのライブラリーに少なくともN枚のカードがあるかぎり、あなたがカードを引く場合、代わりに あなたは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置いてもよい。そうしたならこのカードをあなたの墓地からあなたの手札に戻す。」という意味を持つ。
 従って、APのライブラリーに3枚以上のカードがないと、発掘3である《壌土からの生命》の発掘能力を使うことはできない。問題では2枚しかないので、APは墓地の《壌土からの生命》を手札に戻すという選択はできない。


回答5 「複製」: 最大2つ。

 問題文の場合、《破壊放題》を唱えたことによって、APの「複製能力を持つ呪文を唱えたとき、複製コストが支払われた回数に等しい回数だけコピーする。」という誘発型能力が誘発する。
 それと同時に、NAPの《虚空の杯》による「いずれかのプレイヤーが、点数で見たマナ・コストが虚空の杯の上の蓄積カウンターの数と同じ呪文をプレイするたび、それを打ち消す」という誘発型能力も誘発する。

 NAPの誘発型能力が先に解決され、APの《破壊放題》は打ち消されるが、複製による誘発型能力まだスタックにある。それを解決すると、「《破壊放題》をコピーする」ことを2回行う。
 コピーのそれぞれの対象は新しく選びなおすことができるので、APはこれらのコピーによって2つまでのアーティファクトを破壊することができる。

 「コピーする」ことは呪文を唱えたわけではないので、コピーをスタックに積んだことではNAPの《虚空の杯》は誘発しない。


回答6 「待機」: できない。

 待機能力は3つの能力を併せ持ったキーワード能力であるが、その1つ目には「あなたがこのカードを手札からスタックに置くことで唱え始められる場合、あなたは待機コストを支払って、このカードをN個の時間カウンターを置いた状態で追放してもよい。この行動はスタックを使わない。」とある。

 APの《裂け目の稲妻》は唱えることが禁止されているので、手札からスタックに置くことで唱え始めることができない。
 従って、待機コストを支払って時間カウンターを置いた状態で追放することもできない。

 

 前半はここまでです。来週は後半をお届けします。




ライター:testing

 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。


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 3/28 現在、以下の WPN プログラムならびにイベントが申請できます。イベントの申請は、ウィザーズイベントレポーターからかんたんに操作できます。ウィザーズイベントレポーターは WPN サイトからダウンロードしてください。

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  • Membership Card Request - 2012(新規メンバーカードの請求)

 WPN プログラムの申請方法については、WPN 通信 第47回に詳しく記載がありますので、ご一読ください。それでもわからないことがありましたら wpnjapan@wizards.com へ気軽にご相談ください。

グランプリトライアル(アドバンス店舗)

 グランプリトライアル(GPT)とは、競技レベルのトーナメントへの架け橋となるイベントで、該当するグランプリの不戦勝を選出するトーナメントです。プレインズウォーカーポイントのイベント倍率は 3 倍です。

 グランプリ トライアル

 GPT 開催に際しては、十分な席数を持つ会場と、イベント当日の運営を担う DCI 認定ジャッジが最低一人は必要です。また、イベントの申請に際しては遅くとも開催予定日の 3 週間前までに申請を済ませてください。

 現在トライアルの開催申請を受け付けているグランプリは次の通りです。

グランプリ グランプリ開催日 本戦のフォーマット トライアル開催時期 申請締切
マニラ(フィリピン) 6/16~17 スタンダード 3/18~6/1 4/2
横浜 6/23~24 モダン 3/25~6/8 4/9

 申請された日付によっては GPT 開催が許可されないことがあります。上記の各トライアルの場合は、アヴァシンの帰還プレリリース(4/28~29)、アヴァシンの帰還発売週末(5/4~6)、アヴァシンの帰還ゲームデー(5/26~27)の開催日には、GPT を開催することはできません。

 GPT のフォーマットは、シールドデッキ、スタンダード、エクステンデッド、モダン、ブロック構築のいずれかで開催することができます。GPT 開催を希望する店舗は、開催希望日、開催ロケーション、フォーマット、当日のヘッドジャッジを明記のうえ、締切日までに wpnjapan@wizards.com へご連絡ください。


 日本語のルール文書まとめページが mtg-jp 内に設置されました。

 mtg-jp.com ルールページ

 ジャッジを目指す人必読の、マジック総合ルールや違反処罰指針、イベント規定といったお堅い文章から、プレイヤーに一度は目を通して欲しい基本ルールブック、プレインズウォーカーのルールやよくある質問集まで、日本語で読んでおいたほうがいいルール文書にアクセスしやすくなりました。


 各 WPN プログラムの申請スケジュールおよび大会日程、ならびに国内プレミアイベントの大会日程は Google カレンダーにまとめてありますので、よろしかったらご利用ください。

 また、注目イベントのページが特設されました。ブックマークに入れてぜひご利用ください。

 公開されている Google カレンダーは、各自が利用しているスケジューラにインポートすることができます。

 Google アカウントを利用して自身のカレンダーに表示させたり、スマートフォンのスケジューラへインポートすることで、自分の予定表とリンクさせることができるようになります。「今週の大会はどうだったっけ?」と悩んでいるような方にお勧めです。

 それでは、また来週。

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