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第37回:続・サイドボードの扱いかた

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ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2011.02.15

WPN通信 #37:続・サイドボードの扱いかた

 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。

プロツアー・パリ イベントカバレージ

 週末のマジックウィークエンドは盛り上がりましたね。プロツアー、グランプリ、はてはプロツアーとグランプリの両方に参戦する選手もいて! わたしはといえば、リアルタイムに中田直樹選手を応援してからの決勝戦観戦までやりとげて、目がウサギのようになりました。うさぎ年だけに。ツイッターを通じて各地のみなさんといっしょになって盛り上がれて楽しかったです。

 こっそりオヤジギャグを交えてすみません。

 次に盛り上がれそうなのは、来月に日本で開催されるグランプリ・神戸でしょうか。インターネット中継で盛り上がるのも楽しいですが、会場で、生で楽しむイベントは格別です。真剣勝負がしたい人は、グランプリに参加するもよし。アーティストとの交流を楽しみたい人は、サイン会をどっぷり楽しむもよし。

 そんな楽しみたっぷりなマジックの祭典は、来月 3/19 から神戸で開催されます。ちょうど 21 日まで三連休となっていますので、イベントが終わった祝日の月曜日は、観光がてら元町へ繰り出すのも悪くないかもしれませんね。


Limits ゲートウェイトーナメント・ラウンド 1 開幕!

 今週から 3/21 までの一ヶ月間、全国の WPN 店舗でミラディンの傷跡ブロック・シールド戦で遊べる機会がやってきます。もしかしたら、ブースタードラフトだったりするかもしれませんけど。シールド戦が三度の食事より好きなあなたにとっては楽しいシーズンとなりますね。

 Limits ゲートウェイトーナメントはシールドデッキ戦またはブースタードラフトで開催される WPN プログラムで、各ゲートウェイの優勝者は、秋に開催される地区予選の 1 ラウンド不戦勝を獲得できます。

 自宅の近所でゲートウェイトーナメントが開催される店舗を知りたい人は、イベント検索をご利用ください。

 リンク先へ行くと、日本地図のうえにピンがたくさん表示されます。検索する地域のほか、イベントの開催期間を指定できますので、イベントの開催日を 2/14~3/21 に指定して決定ボタンを押してください。地図上のピンが Limits ゲートウェイトーナメント開催店舗に更新され、ページ下部には店舗の一覧が表示されます。

 ピンをクリックすると、各店舗でのイベント予定が確認できます。近くの店舗が見つかったら、詳細は店舗へ電話やメールでお問い合わせください。


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続・サイドボードの扱いかた


チーム戦でのサイドボード

 ほとんどのチーム戦では、それぞれのチームのプレイヤーが、個々にサイドボードを持ちます。構築形式での4枚制限や15枚固定といったルールにも従います。リミテッド形式では、各人それぞれにサイドボードを持ち、他のチームメイトと共用することはできません。

 双頭巨人戦・リミテッド形式の場合、メインデッキに使わなかったカードは、チームで共用されるサイドボードになります。いずれのプレイヤーもサイドボードのカードを使用することができます。が、双頭巨人戦は1本勝負なので、サイドボードのカードを使用することはおそらくないでしょう......《ウラモグの種父》のようなカードを使わない限り。


統率者戦でのサイドボード

 統率者戦でも選択式ルールとしてサイドボードを使用することができます。使用する場合、10枚固定です。全員の統率者が公開されてから、デッキのカードとサイドボードのカードを交換することができます。また、ゲーム中にゲームの外部を参照するようなカード(《燃え立つ願い》等)は、この10枚のサイドボードから使用できます。

 とはいえ、元々カジュアルな形式なので、サイドボードを使用している人はあまり見受けられません。あくまで選択式ルールであることを念頭においてください。


プレイヤーをコントロールした場合のサイドボード

 前回の記事でも書いたとおり、ゲーム中、プレイヤーは自由に自分のサイドボードを確認できます。では、《精神隷属器》や《ソリン・マルコフ》によって、対戦相手のコントロールを得た場合、あなたは対戦相手のサイドボードを見ることはできるでしょうか?


 サイドボードを確認しても良い、というルールの根拠はイベント規定(MTR)によるものです。ところが、他のプレイヤーをコントロールするというルールは、総合ルール(CR)に書かれています。そして、その総合ルールにはこう書かれています。

 ......また、コントローラーはイベント規定によって必要とされている選択や決定を行えない。(CR711.5b

 つまり、この記述に従うと、イベント規定に書かれている「サイドボードを確認しても良い」という選択は、コントロールを得ているプレイヤーには行うことはできず、従って、あなたは対戦相手のコントロールを得たとしても、その人のサイドボードを確認することができない......という裁定が下されていました。しかし、この裁定のために、対戦相手の手札に《燃え立つ願い》などがあった場合に問題となっていました。サイドボードのカードしか取れないのに、そのサイドボードに何があるかを確認することができないからです。

 しかし、このルールは改正されました。2011年1月のイベント規定の改正により、「プレイヤーは自分や自分がコントロールしているプレイヤーのサイドボードを見てもよい」とされました。従って、前述した例ですと、あなたはコントロールを得た対戦相手のサイドボードを確認することができます。


実際のゲームでのやりとり

 上記のように、《精神隷属器》や《ソリン・マルコフ》を使用して相手のコントロールを奪った後、その対戦相手のサイドボードを見ることができます。が、相手はサイドボードを見られたくない場合、ゲームを投了することで、サイドボードを見られずにすみます。

 いきなり相手のサイドボードをひっつかむのではなく、「見てもいいですか?」とコミュニケーションをとってから、相手のサイドボードを確認するようにしましょう。


 


 それでは、解答編です。


問 1

 サイドボードに関する以下の記述の中で、間違っているのはどれか。(複数回答可)

  1. ゲームの開始前に、サイドボードを対戦相手に提示する必要がある。
  2. ゲーム中、サイドボード用をどうするかといった、事前に準備されたメモを見てもよい。
  3. 構築形式の場合、全てのゲームの開始時では、サイドボードは0枚または15枚である。
  4. サイドボードのカードは、あらゆる領域に存在しない。


回答1: 2)

 事前に用意されたメモを見ることができるのは、ゲームとゲームの間である。
 ゲーム中は、事前に用意されたメモを見ることはできない。


問 2

 A と B が対戦している。 A のターン、 A は自分の墓地の《カラストリアの貴人》を対象に、《不気味な発見》を唱えた。

 これに対し、B は《不気味な発見》を対象に《余韻》を唱えた。この時、B の墓地には《ゴブリンの先達》と《乾燥台地》があった。B の手札に加えることのできるカードの組み合わせは以下のうちどれだろうか? (複数回答可)

  1. ゴブリンの先達》のみ。
  2. 乾燥台地》のみ。
  3. ゴブリンの先達》と《乾燥台地》の両方。
  4. 1~3のうち、Bが好きに選ぶことができる。
  5. 何も無し。

回答2: 1)、5)

 《余韻》によって作成された《不気味な発見》のコピーは、オリジナルと同じモードを持つ。他のモードは選べない。

 従って、対象を変更する場合、「あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1つ」しか選べない。結果として、対象を《ゴブリンの先達》にしてこれを手札に入れることになる。

 コピー《不気味な発見》の対象を、《カラストリアの貴人》のままにして、変更しないことも選べる。この場合、コピー《不気味な発見》の解決時には、適正でない対象が選択されているので、これは打ち消される。この場合、あなたは何も手札に入れることができない。


問 3

 (前回の出題と似たような状況です)

 店舗での一般イベントで、第一ゲームが開始されて数ターン経った後、サイドボードにあるべきカードを引いて、サイドボードを戻し忘れたことに気がついたプレイヤーがいた。

 さて、どのように状況を正すべきだろうか?


回答3:

 一般イベント用ジャッジ法(JAR)に、該当する項目がある。

 この場合、デッキとサイドボードを正常になるように戻した後、改めてカードを引き直させる。サイドボードの確認をするように指導するのが望ましい。


問 4

 目標:このゲームに勝利せよ!

 あなたはスタンダードのイベントに参加している。

 あなたは対戦相手のクリーチャーに終始押される展開になり、ライフが1まで減ったが、なんとか場を盛り返し、少しづつ相手のライフを削っていた。
 しかし、相手は《起源の波》をX=5で唱えて、5枚のパーマネントを一度に戦場へ出した。このままでは敗北してしまう。

 が、運のよいことに、あなたの次のドローは《精神隷属器》だった! そして盤面をよく見直した後、このゲームに勝てることに気がついた。

 さて、勝つための手順を考えて欲しい。


---------------
(対戦相手) ライフ:12 


対戦相手の手札:
酸のスライム》《風の突き刺し》《自然の要求》《銅角笛の斥候》《苦行主義

対戦相手のライブラリーの一番上: 《地盤の際

対戦相手の墓地:《起源の波

対戦相手のコントロールしているパーマネント:
エルドラージの碑》《復讐蔦》《エルフの大ドルイド》《ラノワールのエルフ》《ジョラーガの戦呼び》(カウンター無し)

(タップ状態) 《ムル・ダヤの媒介者

(タップ状態) 《巨森、オラン=リーフ
(タップ状態) 《》x5枚


---------------
(あなた) ライフ:1 

あなたのコントロールしているパーマネント:

方解石のカミツキガメ

永遠溢れの杯》(カウンター2個)
忍び寄るタール坑
闇滑りの岸》x2
》x4

あなたの手札:
決断の手綱
見栄え損ない
漸増爆弾


精神隷属器》(このターンのドロー)

*現在はあなたのターンの戦闘前メインフェイズです。
*示されていないカードは問題とは関係ありません。
-------------------------------

戦場


回答4:

1) 《》をプレイして、全ての土地と《永遠溢れの杯》からマナを引き出す。そのうち{6}で《精神隷属器》を唱えて戦場に出し、残りの{4}で《精神隷属器》を起動する。あなたは次の対戦相手のターン、対戦相手のコントロールを得る。

2) あなたのターンの終了を宣言する。

3) 対戦相手のターンに入る。対戦相手のコントロールする全てのパーマネントをアンタップする。

4) 対戦相手のターンのアップキープ・ステップに、《エルドラージの碑》の誘発型能力が誘発する。あなたは《復讐蔦》を生け贄に捧げるように指示する。《復讐蔦》は墓地に置かれる。

5) アップキープ・ステップ中に、《ムル・ダヤの媒介者》をタップして能力を起動させ、適当な色のマナを引き出させる。このマナはアップキープ・ステップが終了すると失われる。

6) ドロー・ステップに、対戦相手は《地盤の際》を引く。

7) 戦闘前メインフェイズに入る。《酸のスライム》を唱えさせる。マナは《エルフの大ドルイド》({G}{G}{G}{G})、《ラノワールのエルフ》({G})から支払わせる。

8) 《酸のスライム》を解決する。誘発型能力の対象を《エルドラージの碑》にさせる。これの解決前に、《風の突き刺し》を、どちらの対象も《酸のスライム》にして唱えさせる。マナは《》1つから支払わせる。

*《エルドラージの碑》があるので、《酸のスライム》は飛行を持っている。

9) 《風の突き刺し》を解決する。《酸のスライム》は3ダメージを受ける。が、この時点ではまだ《エルドラージの碑》が戦場にあるため、これは破壊されない。

10) 《酸のスライム》の誘発型能力を解決する。《エルドラージの碑》は破壊され、《酸のスライム》は致死ダメージを負っている状態になるため、状況起因処理で墓地に置かれる。

11) 《銅角笛の斥候》を唱えさせる。これでこのターン2枚目のクリーチャー呪文を唱えたので、墓地の《復讐蔦》の能力が誘発する。

12) 《復讐蔦》の誘発型能力を解決する。《復讐蔦》が戦場に戻る。

13) 《銅角笛の斥候》がスタックにある間に、《巨森、オラン=リーフ》の2番目の能力を起動する。このターンに出た緑のクリーチャーで、まだ戦場にあるのは《復讐蔦》のみなので、これに+1/+1 カウンターを置く。

14) 《銅角笛の斥候》を解決する。《銅角笛の斥候》が戦場に出る。

15) 戦闘フェイズに入り、《ジョラーガの戦呼び》のみで攻撃させる。あなたはこれを《方解石のカミツキガメ》でブロックする。互いにダメージを負うが、致死ダメージには足りないので、どちらのクリーチャーも戦場にとどまる。

16) 残ったアンタップ状態の《》を全て起動させ、マナを引き出させてから、ターンを終了させる。引き出したマナは消滅する。


 結果として、対戦相手の手札には《地盤の際》、《自然の要求》、《苦行主義》が残る。対戦相手のコントロールしているパーマネントでアンタップ状態なのは、《復讐蔦》(+1/+1カウンター1つ)と、《銅角笛の斥候》のみになる。


17) あなたのターンに入る。あなたのコントロールする全てのパーマネントをアンタップする。アップキープ・ステップにやることは特に無い。

18) ドローステップになにかしらのカードを引く。(これは回答とは関係ない)

19) 戦闘前メインフェイズに入る。《決断の手綱》を、対戦相手の《復讐蔦》を対象に唱える。マナは4つの《》と、《永遠溢れの杯》から引き出す。あなたは《復讐蔦》のコントロールを得る。

20) 《》をプレイする。《方解石のカミツキガメ》の上陸能力が誘発する。解決し、パワー/タフネスを入れ替えることを選択する。《方解石のカミツキガメ》は、ターン終了時まで4/1になる。

21) 《銅角笛の斥候》を対象に、《見栄え損ない》を唱える。マナは先ほどプレイした《》から引き出す。解決し、《銅角笛の斥候》のタフネスが0になったので、これは墓地に置かれる。

* この時点で、対戦相手にはブロックすることのできるクリーチャーがいなくなる。

22) 《闇滑りの岸》2つと、《》からのマナで、《忍び寄るタール坑》を起動し、クリーチャーにする。

23) 戦闘フェイズに移り、《方解石のカミツキガメ》(4/1)、《忍び寄るタール坑》(3/2)、《復讐蔦》(5/4)で攻撃する。対戦相手はこれらをブロックすることができないので、合計12点の戦闘ダメージが与えられ、対戦相手のライフは0になる。
 あなたはこのゲームに勝利する。


キーポイント:

* 対戦相手のアップキープ・ステップ中に、《ムル・ダヤの媒介者》の能力を起動しないと、次のカードがわからないので、タップ状態にできないおそれがある。

* 《巨森、オラン=リーフ》の起動の際に、《銅角笛の斥候》が戦場にあると、これにもカウンターが置かれてしまい、《見栄え損ない》で除去できなくなる。(《エルフの大ドルイド》がいるため)

* 結局2ターン必要になるが、手持ちのカードのみで勝つことができる。



ライター:testing

 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。

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