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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2013・第1回:グランプリ・シンガポール
読み物
なかしゅー世界一周
2013.01.24
なかしゅー世界一周2013・第1回:グランプリ・シンガポール
By 中村 修平
ある日のやり取り
『マイレージを使った特典航空券の予約を取りたいのですが』
『どちらの区間ですか?』
『東京からシンガポール、そこからオーストラリアのシドニーへ行ってから、また東京まで戻ってくる旅程でお願いします』
15分後...
『やはりエコノミークラスではシンガポール、シドニー間の空きが無いようですね』
『解りました、それではビジネスクラスではどうでしょうか?』
更に15分後...
『となると、あれ?』
『ちなみに往復ともビジネスだとかかるマイレージ差はどのくらいで...』
『今度はシンガポールまでのフライトが無くなってしまいました』
『あ、解りました。それでは、往復ともにビジネスで調べてもらえますか?』
更に15分後......
『それでは所要マイレージが○万マイルと、諸経費が...かなりかかりますね、別途で4万円強となります』
『そんなにするのですか? でもこれは例えばこことは違う提携会社にすればその費用を抑えられますよね? 例えば○○航空ではどうですか?』
更に30分後.........
『見つかりました。凹凸航空ですと諸経費が2万円ほどになりますね。』
『素晴らしい。ではそれで発券までお願いします。』
『了解しました。それでは発券まで...、あれ? えっ!? 少々お待ちください。』
10分経過............
『すみません、私の手違いのようでした。現状取れる最安値は初めの旅券となります。』
『ふむ、4万円強ですか...』
『お客様のマイレージクラスですとキャンセルされてもマイルが100%返ってきますし、空席も残り1席となっておりますので、取っておいてはいかがでしょうか』
『なるほど、後でキャンセルにしても問題ないわけですね。解りました。それではこの旅券で予約をお願いします。』
......1日後。
あ、こちらのマイレージ使うと、同じビジネスクラスでも3万マイルは安くて、経費も2万円以下だ。
こっちにするからとりあえず昨日取った旅券はキャンセルの電話を入れるか......
『はい、キャンセルされる場合はマイル返還ということで変更手数料として1万5000円をお支払いしていただくことになります。』
『えっ!?』
という経緯で、2時間近くの電話を経て取った旅券はトラップ付きのものでした。
さらにホテルのほうも。
今回は同行者とは別々のフライトで現地合流という形になるので、前々回のシンガポール行で使った「空港と接続していて、会場まで同じく接続している電車で一駅」という立地最高のホテルにしたのですが、念のために余裕を持って抑えていたらキャンセルの場合は代金が返ってこない、という警告文を「予約後」に見せられてげんなり。
1泊1万円近くという、普段の私が取る基準からして倍くらいする物件を取ってしまって、またしてもペイが難しくなってしまうという不具合。
これなら、いっそのこともう1万払って世に名高いラッフルズでシンガポール・スリングとか、何故か最上階がバナナボートになっている同じく最高級ホテル、マリーナベイ&サンズの宿泊客専用屋上プールでセレブ気分をしても良かったのじゃないかと。
まったく、キャンセル不可とは書かれていないから念のために抑えておいたらこの様です。同行者にも大変迷惑をかけてしまいました。
まあ、ホテル自体は立地も設備もすごく良いのですけどね。
そんなやってしまった話に上乗せして、もうひとつ頭の痛い問題があります。
今年からプロプレイヤークラブ・プラチナレベルのグランプリ報酬が削減、去年までは1回につき500ドルだったものが、半額の250ドルになってしまっているのです。
ただでさえグランプリ遠征を取り巻く状況が苦しくなったというのにこれは酷い、いや、酷すぎるのであえてここはネタにしてみましょう。
名付けて、『南に遠洋漁業の旅。果たせるかペイ』
ちょっと今回は趣向を変えて、費用を出していきたいと思います。
ここでは、実際に支払った諸経費の方だけを収支報告に置いてみることにしましょう。ビジネスクラスで贅沢をしていることに目を瞑るとしても、消費マイルを円に換算してカウントしてしまうと計算せずともお通夜状態になるのは見えてますからね。
航空券とシンガポールのホテルが、4万円+4万円=8万円。
幸いオーストラリア滞在は知り合いの家に行くのでゼロ。
これに滞在費が加算されていきます。
確定しているプラスが、250ドル+250ドルの500ドル。1ドル85円換算で4万2500円。
なんか大分下駄履いた上でもう無理な気がしてきた...
去年だったらこの時点で余裕のプラスマイナスゼロだったのに......
いやいや、両グランプリともベスト32なら400ドル+400ドルで滞在費込みでいけるはず!
そう考えると、なんか出来る気がしてきたぞ!!
ということで、果たして2回のグランプリでこの大きなマイナスを償却できるのでしょうか?
南へ
あわや氷点下という東京を抜け出し快適すぎる空の旅。
一時の快楽とその後の辛い現実を見てみぬふりはあっという間に終わりを迎え、シンガポール、チャンギ空港へと到着したのは日付が変わろうかというあたり。
直行であれば6時間程なのですが、時差と乗り継ぎの都合で午前出発で深夜着になってしまうのは、いかにビジネスクラスとはいえ仕方がありません。
さて飛行機を出るとそこは......当たり前ですが暑いですね。
赤道直下な常夏の楽園、逆に過ごしやすかったら異常気象というものでしょう。
早速コートを脱ぎ捨てて、空港内にあるはずのホテルを探して、同じような大きさのターミナル3つをあちらこちらへと。
何か記憶と違うなと思っていたのですが、答えはターミナルが違うというありきたりなものでした。2→1→3で3が正解でした。
記憶のとおりのロビーにガラス張りのバスルームの個室。
先にホテルに到着していた齋藤友晴とも合流を果たして一安心。
今日の仕事はここまで。
翌朝。
夜が明けてグランプリ前日なのですが、今日やらなければいけないことはグランプリの前日受付と、私がホテルを取った面々との合流です。
ここのところ「何故か日本で時差ぼけ」という、何を言っているのか自分でも訳が解らない症状だったわりには普通とも言える午前10時起床。
ゆっくりホテルの朝食を食べて、朝の日課であるメールチェックや個人用のページを巡回していると、何時ものチェコ人が、
『この前まで今年はあまりグランプリ行かないとは言っていたのに、何を言ってるか解らないと思うが、何故か飛行機に乗っている。テニスの全豪オープンが楽しみ』
だの、やっぱり何を言ってるか解らない書き込みをしています。
と、同時にチェコからと思われる国際電話が。
はい、いつものマーティン・ジュザからですね。
プロツアー「ラヴニカへの回帰」優勝のスタニスラフ・シフカと盛り上がってしまった結果、前日の記憶をバーに置いてきたまま今シンガポールにいるということらしいです。
会場で会うことを約束して、予定より少し早く向かうことにします。
ホテルの隣にある鉄道、MRTに乗って一駅先のEXPOで下車。
カウブレード全盛だった前回と開催場所が同じなので迷うことはありませんが、新たに建設されたショッピングモールやイベント会場の拡張が完了しているあたり、2年というのはそれなりの期間だなと思わされます。
あっさりチェコ人たちと合流成功。
詳しく話を聞いてみると、シンガポール→シドニー→メルボルンでテニス観戦からのグレートバリアリーフでバカンス、という流れらしいです。
一緒に行くと誘われ思わず検討してしまいます。
とりあえずはグランプリ後、プレリリースまでのおおよそ1週間は空いてる訳で、その間中なら行くのには問題はないな、ただチケットの変更が出来るのかが未知数なのと、2月からは再びアメリカ1ヶ月というのがネックではある......
判断を保留することにして、とりあえずチケットが変更できるか航空会社にメールを送ってみることにして、受付もまだ開いていないのでその間どうする?→ドラフトしようか→やる人周りにいないね→じゃあご飯でも食べに行くかという完全なグダグダムーブ。
ついでに、ちょっとだけ残っていたシンガポールドルはもう風前の灯火だったのでグランプリ参加費用も兼ねて手持ちの米ドルを換金することに。
100米ドルがおよそ120シンガポールドル(SGD)ということで、日本円換算で考えるとだいたい1SGDが80円弱ですね。
参加費を払いつつ都合4日の滞在をするにはちょっと少ない額ですが、そこはクレジットカードで対応するとします。
こうしてマイナス収支にまた新たな1行が加わったのですが、嬉しいサプライズがありました。
その頃会場ではプチバブルが発生していたのです。
プレイマット狂騒曲
かつてグランプリの参加賞といえばグランプリTシャツ。特にアジア開催ではそういう印象が強かったのですが、近年のアメリカ発のトレンドは個人用プレイマット。
これがシンガポールにも伝播し、今回はシャツではなくプレイマットが参加賞として配られていたのです。
ちなみに日本ではあまり一般的ではありませんが、アメリカではすごくポピュラーなグッズで、グランプリのテーブルを見回すと、中にはいろんな意味で「これ公共の場で出しても大丈夫なの」と思えるようなものまで、色々なアートを見ることができます。
そしてグランプリ参加者限定品、なおかつイラストが良いものともなると結構なお値段がつくことも。
例えばグランプリ・リンカーンで配られたリスイラストのプレイマット。ネットオークションでは100ドルを軽く超えているとか......
私はというと、個人的にはマジック関連グッズにはほとんど興味が無いということもあって、荷物の空きに余裕がある時に気が向いたら持ち帰る程度、それでも出てる回数が回数なだけに鍋の敷紙にしているような状態。
よく会場に出店しているバイヤーの「10USD買取」なんて言葉に即売りしている昨今、イラストが《死盟の天使》で人気もありそうだから、15SGDくらいになってくれたらいいなと何気なくバイヤーに聞いてみた買取価格は
『25ドル』
あれ? 参加費が45SGDなので20SGDでシールドのグランプリに参加できるぞ......
もちろん即売り。ですが結果的に利益確定売りが早すぎたようです。
1時間半後に到着した行弘賢にそのことを教えて売りに行かせたら、35SGD買取に上昇しているではありませんか。
こんなことなら『いくら見?』って聞いた時に1000円と答えたところを1500円くらいで買い取っていれば良かったのです。
何時もの40%増しくらいでニコニコしている行弘。ですが大きな顔ができたのも1時間程度でしかありませんでした。
それより後で会場に到着しバイヤーに売りさばいた荒井&高木組は、新参加プロモの《原始のタイタン》込みで参加費より高くなっていたとのこと。
まさか参加するだけでペイできるグランプリがあるだなんて...
しかしバブルは所詮バブルです。
いつまでも高騰し続ける訳もなく、売り時という意味ではここが最高到達点だったようです。
土曜日の当日参加組はプレイマットの配布が終了して手に入らなかったのにも関わらず、朝には20SGD買取まで落ち着いていました。
これからシドニーまでの道の途中で余計な荷物を持ちたくないということも考えれば、わりかし自分では良い線だったのではないでしょうか。
それとシドニーの参加賞は天使よりももっと人気が高そうな、ブックプロモのジェイスイラストだということを心に刻みつけておくことにして......
グランプリ・シンガポール 1日目・シールド
必要経費とはいえ、100米ドル分の出費で赤字幅は4万6000円に拡大しています。
これを覆すには12位入賞以上、賞金600ドルが1つのラインとなりそうです。
ドラフトまで行ければそこそこは問題ない、ということに自分を言い聞かせて、初日の鍵となるのはもらうパックの強さです。
文句は言わないので、そこそこ戦えるものを......
なんて言っていたら、本当にそんな感じのパックをもらってしまいました。
デッキの強度的には充分だと思いますが、問題は色。
組んだというか、これしか組みようがなかった、その組み合わせはラクドスです。
7 《山》 6 《沼》 2 《ラクドスのギルド門》 1 《ゴルガリのギルド門》 1 《イゼットのギルド門》 -土地(17)- 1 《ラクドスの切り刻み教徒》 2 《不気味な人足》 1 《流血の家の鎖歩き》 1 《快楽殺人の暗殺者》 1 《短剣広場のインプ》 1 《どぶ潜み》 1 《血暴れの巨人》 1 《オーガの脱獄者》 1 《暴動の長、ラクドス》 1 《乱打角》 1 《リックス・マーディの落とし子》 2 《長屋壊し》 1 《テーラスのワーム》 -クリーチャー(15)- |
1 《逸脱者の歓び》 1 《飛行術の探求》 1 《ミジウムの迫撃砲》 1 《穴開け三昧》 1 《滅殺の火》 1 《裏切りの本能》 1 《爆発の衝撃》 1 《ラクドスの魔鍵》 -呪文(8)- |
マジックのフレイバー的要素を除外して「ただの数字のやり取り」に置き換えるのは環境を理解する上で基礎的な部分のひとつなのですが、私はこのリミテッド環境を「4/4クラスのすり潰し合い」と考えています。
それを理解するにはコモンの飛行クリーチャーを例に取れば解りやすいと思います。
ほとんどのクリーチャーは2/2サイズであり、3/3を探そうとすれば6マナの《イスペリアの空見張り》にまで目をやらなければなりません。
標準よりタフネスが1違うだけの《太陽塔のグリフィン》が強いわけです。ほとんどの飛行クリーチャーを止められる上に自分は殴りに行けるのですから。
このようにパワー/タフネスが1つ違う毎に明確な壁が存在しており、コモンサイズで頂点に位置しているのが4/4、あるいは5/4の《ゴルガリの長脚》なのです。
それはアンコモンやほとんどのレアにすら言えることで、だからこそ《ミジウムの迫撃砲》はあれほどまでに強いのです。
もちろん、その論理は一部の神がかったレア達には全く通用しない訳ですが、残念ながらそういうパックをもらえるのはほんの一握り。神ならぬ私としてはこの泥仕合を勝ち残りやすい、白緑黒を主体とした「4/4クラスを並べつつ相手のレアを除去で押さえ込める」デッキを構築したいのです。
ところがラクドスのゲーム戦略は真逆です。
「相手より2ターン早くオーラで4/4を作り、相手の4/4を出させる間もなく削り切る」
「それが駄目なら、《裏切りの本能》などで押し込む」
といったものです。
デッキがとても強いなら問題はないのですが、カードプールがちょっとでも水準より下だと途端に紙の束に成り下がってしまう。
守勢を考えるよりは常に攻勢に出ることを考えるようなデッキなので、マリガン基準も厳しくしなくてはならない。
今回のデッキ自体は及第点以上あるとは思うのですが、分水嶺がどこかわからない状態で、普段の構想からは180度違う視点のデッキで戦うはめになったのです。
そんなおっかなびっくりでの結果は、勝ち、負け、勝ち、勝ち、勝ち、勝ち。
8勝1敗で初日抜け。
なんか予想外に勝ってしまいました。
5戦目の対マーティン・ジュザ戦をうっかり《ミジウムの迫撃砲》トップデッキで勝った後に、ラクドスらしい尻すぼみで2連敗したあたり、「やっぱりラクドスはこれだから嫌い」だなんてのたまってましたが、その後はデッキが急に言うことを聞いてくれて4連勝。
戦前に25%スプリットをしたジュザも1敗で通過し、上々ともいえる成績。
初日全勝を果たした行弘、今井さんのゴチバトルを肴にちょっと高級な中華を食べるくらいの余裕が、まあ翌日の惨事に繋がるわけなのですけどね。
八方塞がりの第1ドラフト
ということで、2日目は得意科目であるところのドラフト。
残念ながられまでの対戦相手の勝率(オポーネントマッチパーセンテージ)による同点内での順位はそれほど高くなく、17位。
ギリギリで3番テーブルとなってしまったのですが、タイブレーカーに良い影響が出る「上当たり」ができる1番テーブルや、逆に悪くなってしまう「下当たり」がある4番テーブルではないので特に問題はありません。
同卓で知っているプレイヤーは三原槙仁くらい。その三原が上のポジションの4番で私が5番という席順。
初手は問題なくレアの《鐘楽のスフィンクス》。予想通りいけば1周した後には赤のカードが確保できそうなので、イゼット本線でアゾリウスが2番手というところですね。
2手目はコモン抜けの《思考閃光》、3手目は《高射砲手》と目論見通りの展開でしたが、次あたりから早くもカードの流れに暗雲が立ち込めてきます。
青、赤、白がほとんど流れてこずにかなり黒が溢れている状態。
その黒が一線級ならばラクドスへのスイッチも考えれるのですが、どちらかというと二線級のカードが2枚同時に流れてくる、といったものでなかなか踏ん切りがつきません。
その極めつけは自パックが1周した状態である9手目。
見事に赤と青のカードが消えており危険信号全開なのですが、青主体でドラフトしていることもあって切り替え候補であるアゾリウスもカードがないというほぼ八方塞がり状態。予想通り2パック目ではそれなりにカードが取れて、3パック目では大不作という典型的な上被り状態。
なんとかデッキの方向性は付けましたが、完全に失敗作。
6 《島》 4 《山》 3 《沼》 2 《イゼットのギルド門》 2 《ラクドスのギルド門》 -土地(17)- 2 《ゴブリンの電術師》 1 《門衛》 1 《ラクドスの切り刻み教徒》 1 《どぶ潜み》 1 《ヘルホールのフレイル使い》 1 《イゼットの静電術師》 1 《高射砲手》 1 《浮遊障壁》 1 《オーガの脱獄者》 1 《虚無使い》 1 《乱打角》 1 《長屋壊し》 1 《鐘楽のスフィンクス》 -クリーチャー(14)- |
1 《払拭》 1 《謹慎命令》 2 《滅殺の火》 1 《刺し傷》 2 《本質の反発》 1 《思考閃光》 1 《中略》 -呪文(9)- |
三原が出会い頭の第一声で、
『おめーデッキが弱いだろ?』
と煽ってきたところから考えても、おそらく色被りをしてしまったのは確定です。
ちなみにこういう時の三原は自分のデッキも弱いというのがいつもの流れなのですが、予想通りイゼットな上、ひたすら弱そうなデッキでフィーチャーマッチを負けていました。
そのラウンドで私も負けているので、これはもしかして底辺マッチが行われるのではと危惧していたのですが、残念ながらならず。
失敗ドラフトの下には更に下がいて、2戦目こそ青白赤均等3色のひたすら弱いカード満載の相手に辛勝した私は、次のラウンドで《集団的祝福》だけに完敗。一方、2連敗で最弱対決をしていた三原はさすがに勝ったとのこと。
ん、お互いに1勝2敗。ということは...
カットの是非を問う第2ドラフト
5番ポッド。
既に3敗を喫しているのでトップ8の目はありませんが、ここからは1勝するたびにプロポイントが1点もらえるという戦いになります。
やっぱりというならやっぱり、またもや三原と同じテーブルに再び座ることとなりました。
しかも席順も前回と全く同じ三原が4番、私が5番。
嫌な予感しかしませんし、その予感は的中しそうです。
初手に《ロッテスのトロール》を見つけたのでゴルガリを本命にしつつ、白を足すことも視野に入れてドラフトを進めますが、前回と同じく肝心の緑が怪しい気配。このあたり、流石に私も学習済みです。
ついでに白青のカードも枯れているので、三原はセレズニアかアゾリウスのどちらかだとは思うのですが最悪の可能性を考え、逃げ道用にギルド門を押さえておくことにします。
1パック目終了時点ではややカードが足りないくらい。
ですが《門を這う蔦》とギルド門を既に2枚と押さえているので、《オーガの脱獄者》を優先的に取れるのと3色目以降のオプションがあるので及第点、といったところ。
呪文がほとんど取れていないのでその補充が課題です。
ところが2パック目はそんなことを言っている場合じゃないくらいの急展開。
まず初手のレアが《至高の評決》。自分の色で候補となるのは《ゴルガリのギルド門》のみ。
正直カットも考えましたが、三原にアゾリウスをちゃんとやってもらいたいので流すことに。しかし、直後に流れてくる《三巨頭の執政官》。
これを私は取ることにしました。
矛盾しているようですが、黒と緑で取るものがないということに加えて、既に三原にはアゾリウスはやっていないというメッセージは送信済みです。
《至高の評決》と違い{5}{W}{U}のこちらは私が多色になると使うことができるという可能性もありますし、三原を強くしすぎることは3勝を目指す自分としては障害になるのです。
その昔、八十岡翔太が、
『ドラフトは使えるカードが23枚とあと全てカットが理想』
と言い放っていましたが、私としてはちょっと修正を加えて「23枚+サイドボード用の2~3枚の26枚」が理想ではありますが、その考え方には全面的に同意します。
カットが悪とされるのは、やり過ぎたときに「自分の周りを2色ではとても組めないくらい弱くしてしまう→結果的に色被りで自分にも被害が及んでしまう」からです。
もし卓内の8人のうち、ただ一人だけがラクドスを独占しているなら、残りの7人が適度にカットしてやらなければ、3勝を目指す過程でとんでもなく強いデッキと戦うはめになってしまいます。
と、理論武装をしていますが、その加減がとても難しいのも事実。
正直放っておいても取れそうで、実際に一周して帰ってきた《構脚のトロール》を取るよりは、たぶんこちらの方が総合的に良い、というのが現実の判断に近いです。
とにかく2パック目はこんな感じで、まともなゴルガリ系のカードがほとんど取れなかったので、ゴルガリに白と青を加えた多色を真剣に検討していました。
一方で三原さんは何をしていたかというと、それは次の3パック目で解りました。
初手は色が微妙にずれている《穴開け三昧》か《スライム成形》で《スライム成形》。
2手目に流れてきたのは《究極の価格》と《穴開け三昧》で、《究極の価格》を。
3手目は《穴開け三昧》と《超音速のドラゴン》で、《穴開け三昧》をカット気味に。
4手目にまた《穴開け三昧》、《暗殺者の一撃》...
どんだけ除去流してくるねん!
とりあえずラクドスとイゼット、そして黒もやっていないのは解りました。
結局ギルド門の色が合っているという理由で、4色目は青ではなく赤にしたゴルガリ/フラット白赤という形になりました。土地以外のマナ生成カードが2枚余分にあるのと、ちょっと3、4色目に余裕を取りすぎたので、サイド後はよく《平地》を1枚削って重いカードや対策カードを注ぎこんでいました。
6 《森》 6 《沼》 1 《山》 1 《平地》 1 《ゴルガリのギルド門》 1 《ラクドスのギルド門》 1 《セレズニアのギルド門》 -土地(17)- 1 《ケンタウルスの伝令》 1 《短剣広場のインプ》 1 《快楽殺人の暗殺者》 1 《ロッテスのトロール》 1 《門を這う蔦》 1 《刷毛履き》 2 《構脚のトロール》 1 《斧折りの守護者》 1 《下水のシャンブラー》 1 《石載りのクロコダイル》 1 《危険な影》 1 《オーガの脱獄者》 1 《コロズダの監視者》 1 《野面背のサイ》 1 《ザーニケヴの蝗》 -クリーチャー(16)- |
1 《蛮族の血気》 1 《究極の価格》 1 《穴開け三昧》 1 《打ち上げ》 1 《スライム成形》 1 《騎士の勇気》 1 《暗殺者の一撃》 -呪文(7)- |
1戦目は同じようなコンセプトの多色相手に辛勝。
2戦目はとうとう直接対決となった三原。色はなんというか予想通りの緑白青。
これでゴルガリ、しかもまた後からホーミングだったら大会後に教育的指導行為に及びかねない勢いだったのに半ば残念ですが、メッセージは伝わっていたようです。
試合は1本目に流した《至高の評決》で1対4交換を取られた上に《集団的祝福》を貼られて死亡。
2本目、3本目は《集団的祝福》を貼られなかったこともあって、《至高の評決》を撃たせてからのゲームに持ち込めて勝ち。
なんというかとてもスッキリしました。
この時点で12勝3敗。
もし次を戦って勝っても16位以内に入れなかったり、負けてしまうと32位以内から落ちてしまうのであれば、合意の上で引き分けでお互いに32位以内というオプションもありうるのですが、直前の順位から計算すると次で負けてもお互いギリギリで32位以内、勝てば16位以内には確定で、もしかすれば12位以内ということもありそうということで、プロポイントを取るためにやることにしました。
3戦目は瀬村さんとのフィーチャーマッチ。
瀬村さんのデッキはかなりよく出来たイゼットで、完成度という点ではかなり負けている印象。
ですがこちらの「除去だけは」大量に入っているという構成と、それ以上に瀬村さんがマリガン後に土地が詰まっているという展開に助けられて、勝つことができました。
Yukuhiro Smashes Singapore!(英語イベントカバレージ)
これで通算13勝3敗。
順位は12位に一歩届かない13位で、500ドルと3点。
プロポイント的には16位から9位までは3点と変わらないのですが、賞金的には12位から100ドル上の600ドル。
今回のコンセプト的に、トータルでプラスに出来なかったのは損失ですが、それでもこれでだいたいの目標達成。ついでに来期のプラチナレベルについてもプロツアー最低獲得ポイント2回分、3×2=6点を加えれば46点で到達。
赤字もだいたい回避、めでたいなと浮かれていたら思わぬ伏兵に足元をすくわれました。
初日8勝1敗と好スタートを切っていたはずのジュザが下の方へとぶっちぎり、2日目0勝4敗1分けでドロップアウト、賞金無しで終了していたのです。
冒頭の「25%スプリット」、つまり私はジュザに25%分を払わないいけない訳で、賞金から125ドルが差し引かれ、獲得したのは都合375ドル。こちらがジュザに負けているのに...
まあ、わりとあるっちゃあること、なのですけどね。
ということで、まだまだ2万円程度の赤字が出ている状態。
黒字化までにまだもうひと頑張りしなくてはならないようです。
支出
8万円+100USD+125USD=99125円収入
250USD+500USD+250USD(見込み)=85000円※1USD=85円換算
今回はこのあたりで。
次回は翌日のシンガポール観光編からシドニー編としたいと思います。
それではまた世界のどこかで。
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