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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2012・第26回:リスボンで世界一周
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なかしゅー世界一周
2013.01.10
なかしゅー世界一周2012・第26回:リスボンで世界一周
By 中村 修平
もう1ヶ月前にもなってしまいますが、グランプリ小籠包......ではなかった台北からの続きとなります。
それにしても台北空港のエアラインラウンジは素晴らしかった。
まさか無料麺スタンドがあるだなんて!
そんな些細なことは置いておくとして、2012年最後のグランプリ行は折り返し地点。
台北でのトップ32入賞、プロポイント2点獲得はノルマ的には良しですが、コンディションを考えればもう少し取れても...といった感じ。次のリスボンではもう少し上を目指したいところです。
と、意気込んでみたところで今何をしているかというと、
カレーの本場でカレーを食べているところです。
???
台北から最短距離でヨーロッパに向かう飛行機に乗り込んだはずですが、たどり着いたのはインド、デリー。
ちょっと違和感を覚えた人は正解です。
世界地図で台湾からヨーロッパに直線を引くイメージを浮かべてみれば、何故最短距離航路でインドに到着するのかと思われるでしょう。
別に何かを悟ってだとか、食うか食うかのこの生活に飽いてだとか、今更自分探しだとかだとか...ああそういうのもありだな、1ヶ月くらいぶらっとマジック無しでプランも立てずにとりあえず世界一周旅券を片手に......
っと、脱線どころか危うく出家しかねないところまで行きかけてしまいました。
いい加減本筋に戻るとして、答えは台湾であるところの中華民国と中華人民共和国との政治的な関係により。ということみたいです。
色々な意味で、日本はまだまだ平和な国なんだなと再認識させられます。
おっと、そんなことをつらつらと書き連ねている間に搭乗の時間です。
もし余裕があればデリー観光、というかインド1週間くらいまでは全然有りだったのですが、今回は保安上の理由で飛行機から追い出された後、また同じ飛行機に乗るというだけ。
わずか2時間のインド滞在の先はリスボン、ではなくてローマ。
リスボンまではまだ遠く。今日はここで1泊後に翌朝にポルトガル行きの飛行機へと乗り込む計画です。
胡散臭い英語でスペシャルうんにゃらでメーターから10ユーロ増しね、なんて寝言を言っているタクシーの運ちゃんに笑顔でメーター分の金額を差し出してホテルへチェックイン。
余裕があれば近郊の遺跡でも見に行こうかなと思っていたのですが、そんな余裕もないくらい疲れていたようです。
気がつけば朝、かなりいい加減なフロントと定刻になっても一向に現れないシャトルバスの運転手にやきもき。
なんというか悪い意味で適当という、イメージ通りな残念イタリア人にしか遭遇していない気がするのですが極めつけがまだ残っていました。
リスボンに到着してから預け入れ荷物を待っていたのですが、もしやと思って確認を取ってみると、やっぱりローマで放置されているとのこと。
やられました。待ち合わせの時間もあるというのに。
とりあえず諸々の手続きをした上で、明日届けられるであろう荷物の送り先を指定する段にきて、どのみち待ち人と合流しなくてはならないということに気付き、中断。
出口でその人を探してみると...
いました。いや正確には、最後に見たときよりかなり痩せていて、手を振ってくれるまで気付きませんでした。
アンドレ・コインブラ。
『2009年世界王者』と言うのが、マジックで彼を紹介する時には一番良いでしょうね。
ですが私としては、オリヴィエ・ルエルや私のような、かつては確かに存在した
『マジックをしつつ世界を旅する』
マジックプレイヤーだった、という紹介をしたいと思います。
私もそうですが、プロプレイヤーズクラブの黎明期にプロツアーで成功。
彼の場合は2005年の世界選手権トップ8入賞し、グランプリを廻ることでプロレベルを維持するというサイクルをしていたプレイヤーでした。
何度か日本にも来たことや、そういえば我が家に滞在したこともあります。
現役のプレイヤーで言うと、マーティン・ジュザのような奴ですね。
もっともジュザほど適当ではなく、講義がつまらなくて1週間で大学を退学したりはせずに、かなり綱渡りだったようですが大学生活とも両立させていたようです。
よく「今度こそは危ない」とか言っていましたけどね。
また思い出すのは、当時ヨーロッパでマジックが隆盛だったこと。
思いつくだけでもフランス、ドイツ、イギリス、オランダ、ベルギー、そしてポルトガルと各国に強豪プレイヤーがいる上、プレイヤー数も世界最多。
今では信じられないことかもしれませんが、グランプリで1000人超えというのはヨーロッパだけの異常現象だったのです。
『ヨーロッパのグランプリで勝つのと、プロツアートップ8はほぼ同価値なんじゃないか』
とは、当時のヨーロッパの知り合いとよく議題にのぼったものです。
さらに、30人以上が到達できるプラチナレベルとは違って、例年5人程度のレベル8、そして10人程度のレベル7という壁に更なる障壁となっていました。
グランプリを廻る為にはお金が必要、そして学校にも行かなくてはならない。
それを解決するためにコインブラが選択した道が、ポーカー。
だったようです。当時はあまりそういう話をしていなかったのですが、いつぞやのヨーロッパの空港で帰り道で同じ便になり、
『卒業するために今年を最後にこの生活を辞める』
と言っていたころには、既にポーカーへと生活の支点が変わっていたようですね。
それが、コインブラが自作の『ナヤライトセイバー』を引っさげて世界選手権を優勝した、その更に1年後のこと。彼をほとんど見なくなってからひょっこりという塩梅なので、私の印象としては世界王者というよりは、かつて共に世界を廻った仲間という印象が強いのです。
そんなコインブラから、知り合い経由で便りをもらったのが9月ごろ。
『グランプリ・リスボンに来るのなら家に泊まりなよ』
もちろん二つ返事です。
ついでに今年から私も遊びはじめたポーカーについてあわよくばレクチャーしてもらえれば万々歳。
ちなみにコインブラはオンラインポーカー界では超有名人。
ガールフレンドのカタリナ共々、マジックでいうところのプラチナレベルみたいなランクを毎年維持しているスーパープレイヤーなのです。
というのは最近知った、カタリナについてはたった今知った事実。
ガールフレンドと一緒に迎えに来るとは聞いていたのですが、ギリシア人で英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、もちろんギリシア語と5ヶ国語を操るスーパーウーマンだとは思いもよりませんでした。
コインブラと一緒に荷物の交渉をやってくれたのち、ハンバーガースタンドに立ち寄ったのですが、そこで私とは英語で、コインブラとはポルトガル語/英語を織り交ぜて、先週から滞在しているフランス人のルーファスとはフランス語でしゃべっている姿は、聞いているこっちが訳が分からなくなりそう。
あ、ちなみにコインブラはグランプリ0バイで、カタリナはトライアルを勝ってるので3バイあるんだそうです。
そんなコインブラとカタリナ、彼らが招待したフランス/ギリシア/スペイン人達とコインブラ邸(見晴らし最高4LDKバスルーム2つ!!)でドラフトしたり、車を運転するカタリナにお願いしてリスボン旧市街を観光ガイドしてもらったり。
到着した水曜日夕方に案内してもらったのですが、どうしても見てみたいところがもう1箇所あったので、金曜日の午前中にもう一度お願いして観光に付き合ってもらったり。本当にお世話になりました。
発見のモニュメント
私が持っているポルトガルのイメージと言えば『大航海時代』。
それに教科書に載っている発見のモニュメントで先頭に立っているエンリケ航海王子。
自分で言うのもなんですが案外ミーハーなもので、世界史に掲載されていたものをこの目で見られるなら見てみたいという欲求はかなり強いのです。
ましてや自分が比較的興味がある時代、分野のものであれば尚更。
私が滞在している空港近くのリスボン新市街からは車で20分ほど、海と見誤るテージョ川に添って下ったところ、すぐ道を挟んでジェロニモス修道院。
少し先にはベレンの灯台が見えるところに建っていました。
こうやって間近で見ると随分大きなモニュメント。
まさか内部を登って上から景色が見物できるくらいだとは思いもよりませんでしたが、それもまた面白い。
人より多く、見たいと思うものを見ることができたとは思いますが、まだまだ底が知れない。
そう思える間は、まだこういうことを続けていそうです。
雨の中、靴に穴が空いた状態で来た価値はありました。
そういえば忘れていました。フランシスコ・ザビエルもスペイン出身らしいですがポルトガルという縁の深い人物ですね。
だけどあの人はキリスト教世界ではそこらじゅうに、それこそローマやプラハに像があったりするくらいの人なので、なんとなくポルトガルというよりは教会の人というイメージ。まあ、せっかくなのでパシャりっと。
世界遺産のベレンの塔、
ジェロニモス修道院と回って、
昼食はこのベレン地区で有名らしいシーフード・レストランで。
メニューがポルトガル語で、ウェイターが英語で説明してくれるのですが、途中から面倒になったのか、
『郷土料理だとこれがお勧め。口に合わなかったらお代そのままで別の皿にしてあげるから』
と言われて決断。
そして運ばれてきた豆ライスらしきものは苦手なイカが入っていたりで口に合わずという流れだったのですが、顔色を察したのか、即ウェイターがやってきて、
『よしきたもう1品持ってくるぜ』
とやってきたヒラメのソテーは見た目通りの良い味。
しかも本当にお代は本当に無料。男前です。
締めは隣の店で名物エッグタルト&ポルトガル式コーヒーを頂いてもう限界。
よい一日でした。
グランプリ・リスボン
2週続けてのシールド戦となるのですが、もらったパックは悪くはないものです。
さすがに先週ほどレアと土地が固まっていて明確に強いということはありませんが、《ロクソドンの強打者》が2枚というのはセレズニアをやる材料としては充分。
安定の2色かパワー重視の3色か、といういつもの問題で、3色を選ぶのもいつも通り。
土地が潤沢だった前週のものとは違って、土地関連にはよく悩まされましたが、8勝1敗で初日を通過。
最終戦でアメリカから単身遠征してきたシャハーラ・シェンハーとマッチアップされたのですが、3本目にお互い土地を止まりあったところから先に回復して勝てたのは本当にツイてました。
翌朝は午前8時スタート。
この時期のリスボンは午前7時でも日が上がらないので本当に早朝といった具合です。
あまり寝付けない、寝過ごすというお約束のような展開に、タクシーがポルトガル語しか話せない、こちらの喋れる言葉がスペイン語/英語/日本語で、いくら親戚の関係であるスペイン語とポルトガル語でも通じないものは全く通じない、という光景を見せつけられてなんとか時間ギリギリに着いてみれば、会場はまだ空いていないという噛みあわなさ。
そして2日目の序盤戦にさっそく初日の反動が来てしまいました。
自分内セオリーに従った結果である、悪くないゴルガリデッキで1勝2敗。
2戦目の相手はどうやっても勝てなさそうだったのですが、最終戦の3本目で土地が2枚でストップしたまま《超音速のドラゴン》に3回小突かれて負けというもの。
これで通算3敗目なのでトップ8の可能性も消滅してしまいました。
ドラフトにはかなり自信があっただけにショックもかなりのもの。
ですが、ここからは「1勝する毎にプロポイント1点をもらえる」と切り替えられたのは幸いでした。
そして矛盾しているようですが、こういう時に私がよくやるのは、「次回の大会に向けて何か従来とは違ったことをやってみる」ということです。
苦手としている赤をドラフトするのに、おあつらえ向きにまだこのフォーマットでのグランプリが残っているのです。
ということで普段はやらない赤の中でも更にやらない形のドラフト、《飛行術の探求》や《不実な衝動》といった超短期決戦ではない形の赤を志向してドラフトしたのがこのデッキです。
8 《山》 7 《島》 2 《イゼットのギルド門》 -土地(17)- 1 《フェアリーの騙し屋》 1 《凍結燃焼の奇魔》 1 《ゴブリンの電術師》 2 《ニヴィックスのギルド魔道士》 2 《流血の家の鎖歩き》 1 《浮遊障壁》 1 《血暴れの巨人》 1 《不安定な装置》 1 《暴れ玉石》 2 《虚無使い》 1 《乱打角》 1 《混沌のインプ》 1 《長屋壊し》 -クリーチャー(16)- |
1 《圧縮》 1 《払拭》 1 《電謀》 1 《イゼットの魔除け》 1 《瞬間移動門》 1 《中略》 1 《通りのひきつけ》 -呪文(7)- |
結果は3連勝、トップ16入賞でプロポイント3点獲得。
予想外の勝ちもあり、久しぶりにのこの位置。立て直しが上手くいき取りこぼしがなかったのは上出来です。
これでプロポイントは37点。目標であるプレイヤー選手権までは未だ手探りですが、最低ラインであるプラチナまでは、プロツアーが2回残っていることを加味して残り2点、というところまで来ることができました。
帰国は道険し
と、ここで終われれば上々の旅だったのですが...
ちょっと無理をして動きまわった反動が来てしまいました。
グランプリが終わった頃にはこれは危ないかもといったぐらいだったのですが、夜になると完全にアウト。完全に発熱してしまってもうどうしようもない状態。
しかもそんな時に発生してしまう飛行機の遅延、ええ経由先のイタリアが原因です。
かくしてフラフラになりながら帰りの飛行機について交渉させられること、そしてこれはイタリア人の風土だと半ば確信を持って言えるのですが、人が困った事態になっていたらなんとか助けてあげようではなく一目散に逃げるというのが...まあ、思い出すだに怒りがぶり返してきた。
我ながら良く生きて日本に帰れたものです。
結局ローマから元の便には乗れず、フランクフルトに移動した上で日本行きの夜発便に乗れて帰れた、らしいです。
そして翌週のグランプリ・名古屋は、まあ見るも無残な結果で2012年のマジックは終了しました。どうしてこう最後で躓くのかと...
2013年の旅へ
と、少々現実に比べて遅れ気味だったこの旅行記ですが、ようやく現実に追いつきましたね。
これを書いている現在の日付は2013年1月10日の日付が変わったあたり、夜が明ければ2013年最初のグランプリであるシンガポール、そしてシドニー行きの便が待ち構えています。
まったくもって嬉しいような忌々しいような...
本当は去年で一区切りを付けようと思っていたのですが、まだまだマジックとのこういう関係は、もう少しだけ続くようです。
それではまた次回に、本年もよろしくお願いします。
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