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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2012・第25回:身近な異国にて?グランプリ・台北と周辺観光
読み物
木曜マジック・バラエティ
2012.12.20
なかしゅー世界一周2012・第25回:身近な異国にて~グランプリ・台北と周辺観光
By 中村 修平
今年最後のアメリカ行も無事に終了し、ここまで獲得したプロポイントは32点。
2013-2014年のプロプレイヤー・クラブのプラチナステータス(45点)まで、あと2回プロツアーを残しているので最低獲得ポイント3×2=6を引くと必要なのは39点。つまり上乗せあと7点にまで来ることができました。
Pro Players Club Guidelines and Procedures(参考・英語記事)
もっとも、私のようにフルタイムでプロ生活を続けていくにはプラチナだけでは足りず、この度改称された世界選手権=プロプレイヤートップ16人で争われる年度末の総決算に参加することが最低ラインとなります。
そのためには何点要るのか?
一応我が事ながら、現時点ではさっぱりわかりません。何せ開催されるという発表とフォーマット以外は、未だに何も公開されてないのです。
去年に倣って1月あたりに、今度は逆にプレインズウォーカー・ポイントで決めるといわれる可能性や、全く別の基準であったりも...ないないと書き連ねているうちに、あり得るなと思ってしまいました。
そんな結末も可能性としてはありつつ、とりあえずは去年のプロポイント上位者ボーダーである50点を目標に、2013年からグランプリ1回あたりの参加報酬が減額されるので今年中に少しでも近づけないかと、毎週グランプリという荒行に挑んでいる5週目あたり。
日本帰国もそこそこに、次は台北-リスボンの2連戦へと出発です。
苦手の構築グランプリラウンドは一区切り、この2戦は再びリミテッドとなるので追加のポイント、できれば今年中にプラチナステータスくらいは確保といきたいところです。
台北へ
台北行きの飛行機はマイルで取ったこともあって、東京-上海-台北というちょっと面倒なもの。
朝に今年もう何度目かの成田を発ち、噂に違わぬ割り込み上等、血で血を洗う入国待ち列をくぐり抜け、台湾に到着する頃にはすっかり夕方です。
そこで事前に待ち合わせしていたのは、関西からの山本明聖、行弘賢といった和歌山勢。そういえば山本明聖は前日あたりに急用で都合がつかないからキャンセルになってしまいそうとの連絡をもらったのですが、なんとかなったようです。
ついでにいつものチェコ人。まあ、いつものアイツですね。
これも前日あたりに連絡があって、「行くことにしたから空港で合流しよう」とのメッセージ。こちらの方は滞在先を全く決めていないままとりあえず台湾行きの飛行機を取ったらしく、空港で
『入国審査でどうしても滞在先のホテル名がいるって言われたから、とりあえず教えてお願い。』
というメッセージをもらったのがちょうどこちらが入国ゲートを抜けたあたり。
空港にフリーWi-Fiがあって助かりました。
こうして所属不明1名、和歌山5名、チェコ2名の総勢8名のパーティーは一路、滞在先のホテルへと向かおうとしたのですが...
あまりに久しぶりで忘れていました。
台湾ではほとんど英語が通じません。
通じなさでは日本と良い勝負、いや実際はある程度解っているのかもしれませんが、話すという選択肢自体を拒否されるあたり、むしろ日本と同じかも。
英語での応対に慣れている空港のインフォメーションデスクから外れてしまうと、もう全然コミュニケーションが取れません。
具体的に困ったのはタクシーの中。つまり行き先を伝えられないマジックツアー御一行様と、英語、日本語、もちろんチェコ語も通じないタクシードライバーとの、待ったなし、時間無制限マッチが空港から台北に向かう高速道路の中で行われてしまったのです。
一応、和歌山勢に中国語喋れる人いない?と聞いてみましたが、
「『しぇいしぇい』くらいなら」
という素敵な返答。いいですね、もういろんな意味でくらくらします。
英語での住所の控えは用意してきていますが、地図まではさすがに必要ないだろうと保存しておらず。
中国語表記の住所を保存していないかと見渡してみましたがなし。
いよいよ高額になるのを覚悟でネットに繋いで地図を取り出そうとした矢先です。
運転手が自分の電話を差し出してきました。
『はい、日本語=中国語翻訳サービスです。』
なるほど。
ちなみにこういう状態になったのは台北滞在中、これ以外にも3度ほどあったり。
そのうち2度は電話ではなく、実際に日本語を喋れる人がその場に来てくれました。
冗談抜きに英語でしゃべるより、日本語を喋れる人を探してもらった方が早い。
見方によっては台湾は実に素晴らしいところです。
そのライフライン1つ目は早速その到着先、滞在先となるアイステイション サービスアパートメント。台北中央駅前の百貨店、その上階にあるウィークリーマンションを使ったのですが、かなり当たりといえる物件でした。やはり同じ金額で滞在するのであれば、ホテルの一室より、個室にリビングがある方が好みですね。
ですが、悲しいコミュニケーションエラーも何回かありました。
その最たるものは道を尋ねたときに、
こちら:英語で書かれた住所を見せる
あちら:一部だけ判別して違う場所だと合点する。
といったもの。
地下鉄でグランプリ会場のファクトシートを見せて、ここに行きたいと聞いてみると、住所の中にある『New Taipei City』を『新北市の市役所』と勘違いされて、目的地とはぜんぜん違うよく解らないところに到着してしまった時は頭を抱えてしまいましたね。(編注:新北市は台北市外縁の行政区域)
いや、改めて思い返してみると、そのことより会場までタクシーで移動中にお腹を下した行弘が人生最大のピンチを迎えていたほうが事件だった気もしますが。
とにかく中国本土よりはマシながら、次回来るときは中国語表記が記載されているガイドブックを持っていくことを心に誓うには充分なくらいには、トラブルに見舞われました。
台北の魅力
このように書いていると台湾では苦労したと思われてしまうでしょうが、実際は全く逆。
私も楽しめましたし、何よりも同行者達の評価も上々と言えるもの。
今シーズンで最も外歩きを楽しめた土地ではないか、少なくとも三指に入るくらい楽しめました。
理由は11月末なのに20度くらいと過ごしやすい気候であったり、日本の7割程度の物価であったり、アジア圏では毎回お世話になっているマッサージ店通いであったり、コンパクトで解りやすい都市の形状であったり、そこら中にある吉野家だったり、むしろ私には安定の旨さの小籠包であったりするでしょうが、
何よりも大きいと思うのが、台北全体が日本人の普段の感覚に限りなく近いこと。
私達日本人が何気なく受けている日本式のサービスやインフラ、風土がかなり近しくて、気疲れしないのが大きいように思えます。
もちろん完全に同じというわけではありませんが、かえってそのことによって「海外に来た」という観光気分も味わえる。そういうことではないかなと思うのです。
日本とほとんど同じシステムなのに、日本語とは違う言葉が飛び交っている。
かと思えば結構な頻度で日本語が話せる人とも遭遇する。
日本人にとって、これほど身近な異国というのはそうそう無いように思いますね。
と、ちょっと堅めなことを言ってみましたが。
実際の行動に還元しなおすと、夜な夜な屋台街、夜市に繰り出しては何回か前の台北行以来のお気に入りとなった魯肉飯=台湾式煮込み豚肉ご飯(80円くらい!)を食べに行き、変な食べ物には安いからというお題目を付けてはトライ、毎日足つぼを押されては悲鳴をあげるという......まあいつもとあまり変わっていませんね。
物価は安いはずなのに軽くなる一方の財布を尻目に、骨の髄まで楽しんでいました。
グランプリ・台北
さて、本業の方に話を向けましょう。
グランプリ初日のパックはかなり強かったと思います。
2体の《凍結燃焼の奇魔》からはじまり、レアには《超音速のドラゴン》と《混沌のインプ》。ついでに土地もイゼットに固まっているので青赤で組むのはまず確定。
問題は3色目をどうするかです。
もちろん2色でも組むこともできるのですが、これほど土地のサポートがあるのならば色事故の心配も大分軽減されますし、デッキ全体の強さを追求しても問題は無いでしょう。
むしろ色事故が起こりづらくなるというメリットと、デッキそのものがより弱くなるというデメリットを天秤にかけると、釣り合っているようには思えません。
では黒か白、どちらの色を足すのが良いのか? これは中々悩ましいものでした。
《刺し傷》2枚に軽量どころを追加、しかも追加の土地サポートがある黒と、
《騎士の勇気》3枚に加えて《三巨頭の執政官》という爆弾カードが付いてくる白。
最終的には決め手が多いほうが良いだろうということで青赤白にしましたが、どちらが良かったかは未だに計りかねています。
第5回戦の対三原槙仁戦で《群れネズミ》に殺され、8回戦を2ゲームとも完璧に動かれ手も足も出ずの負け。
初日通過がかかった最終戦、対クオ・ツー・チン戦はお互いに3ターン連続くらいでトップデッキし続けるという、どっかの漫画くらいでしか見たことのないようなゲームの末に勝利。
7勝2敗で2日目に進出、感触は良かったのですが結果はなんとかで首を繋いだという感じですね。
それはさておき、目に付く日本人たち、なにやら酷いプレイミスをして戒め正座をしている梅咲さんたちを捕まえて夜市に出かけるという動きには変わりなく。
トーナメントを終えて緩んだ気持ちでの会話は、いろいろなことが飛び出しますね。
気を取りなおして2日目です。
1回目のドラフトはまあまあの出来のデッキで3連勝。
続く2回目ドラフトを2連勝すれば引き分け選択でトップ8という位置にまで来た上で、フィラデルフィアの決勝ドラフトで組んだときのようなかなり強力な青白デッキを組めたのですが初戦で負けてしまってあっさり終わり。
1本目を取ってからの2本目マリガン後、土地2枚で死亡。
3本目になって出てくる《群れネズミ》。ネズミだけは駄目だ。
このあと1勝1敗で、終わってみれば通算11勝4敗のトップ32。プロポイントは2点。
コップに注がれた半分の水ではありませんが、なんとも言いがたい位置での終戦。
ちなみに優勝したのは私が初日にネズミで殺された三原。
準決勝、決勝と逆にネズミ入りのデッキを下すという、回想がネズミだらけというこれまたなんだかなあという結果でした。本当にネズミはアカン。
Mihara Triumphant in Taipei(英語イベントカバレージ)
九フンから市内観光
そんな齧られっぱなしだったマジックはここまでにして、もう少しだけ台北行は続きます。
実はグランプリ後、日本に向かわずそのままポルトガルに向かう飛行機の都合で火曜日まで滞在していたのです。
故宮は前回の時に行ったので、今回はどこか台北近郊の温泉にでも行こうかと考えていたところに見つけたのが「九フン(九?)」。
解説によると、某国民的アニメーションのスピリチュアルでアウェイな温泉街のモデルになったところ。紹介写真を見ているとなかなかそそられますし、電車とバスで乗り継いで1時間程度と距離的にも手頃。ということで行くことにしました。
グランプリ前は色々と忘れていたので失敗しましたが、これまでの反省から日本語での乗り継ぎガイドをスマートフォンに記憶させ、地下鉄を使って九フン行きのバス停へ出発。
ところが今回は行く先々で日本語の案内板があるじゃないですか。
肩透かしを食らいながらも目的のバス停に到着してバスを待っていると、タクシーの運転手らしき男がクリアファイルを差し出してきます。そこには、
『バスなら1時間半、でも当タクシーなら40分で九フンまでお届け。』
と、お値段たったの3倍くらい。ですが時間の節約などなどを考えると悪くない選択肢です。
ということで商売上手なタクシーに乗せられて九フンまで向かうことに。
本当に40分で到着しましたし、余計な料金も取られなかったので選択肢としてはかなり良かったのかもしれません。
こうしてたどり着いた九フンでしたが、炭鉱があった山の上の街が、廃坑と同時に急速に忘れ去られそのまま残っている、という解説通り、街全体がレトロな雰囲気。
言われてみれば確かにあの映画でこういうところがあったような気がします。
日本にもこういうところはあったような気がしますが、ではどこかと問い返されると言葉につまってしまう。妙に既視感があるところでした。
もう少し時間があれば良かったのですが、元々時間自体あまり取れない突発企画な上に、生憎の雨模様。
メインストリートを行って帰ったあたりで雨を吸った靴が酷いことになってしまって強制引き上げ。
せめて雨がきつくなっていなければ、炭鉱跡なんかまで足を伸ばしたかったのですが残念です。
ちょっと余った時間は売店の生姜茶をすすることと靴を乾かすことに費やしていました。
タクシーを捕まえて台北市街に戻ってからはちょっと近郊のカードショップ廻り。
アジアのグランプリでよく見るカードマスターズのお店を覗いて、適当に入った定食屋で再び魯肉飯という、台北に来てからはもはやお約束ともなっているコースで台北最後の1日は終わりました。
翌朝、日の上がらないうちから高速バスに乗って空港へ。
旅はまだまだ中間地点、ここから地球を半周してのポルトガル行きが待っています。
それではまた次回に、世界の何処かで。
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