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なかしゅー世界一周2011・第23回:世界一周、最終戦への道のり

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2011.11.17

なかしゅー世界一周2011・第23回:世界一周、最終戦への道のり

By 中村 修平


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 グランプリが20回ほど、プロツアーが4回、そして日本選手権。

 あわせて25回のプレミアイベントを1年=52週で割るとすれば2週に1回換算なのですが、日程がそう均等であるわけもなく、私たちのようなプレイヤーにとって優しくしてくれるなんてことはありません。
 現実には夏の国別選手権シーズンでプレミアイベント中断期間があり、またその時点でグランプリの全行程の半分程度が消化されていたりという事情で、私は前半戦、後半戦という区切りをつけて1年を考えています。

 今年2つ目のプロツアー、名古屋を区切りとした前半戦が終わった段階で私の獲得プロポイントは26点。
 プロプレイヤークラブ・レベル8を維持するのに必要なプロポイント数が年間「50点」であることを考えると、ペース的には上できとは言えないまでも悪くはないと言ったところでしょうか。
 ちなみに苦労した去年はこの時点で19点。そして2年前が同じ26点でした。

 ですが直後に10点以上を獲得できたあの年とは違い、今年の後半戦は誤算からのスタートとなりました。

イベント名 成績 獲得ポイント
グランプリ・カンザスシティ 初日落ち 0点
日本選手権 32位 0点
グランプリ・上海 トップ32 2点
グランプリ・ピッツバーグ 初日落ち 0点
プロツアー・フィラデルフィア トップ64 5点
グランプリ・モントリオール 初日落ち 0点
(リンク先は過去の当連載記事)

 プロポイント的には「16位からでようやく1点」と非常に厳しい戦いになる日本選手権のノーポイントはある程度覚悟していましたが、この時期のグランプリの連続初日落ち。
 プロツアーこそそれなりの結果を出せましたが、アメリカに1ヶ月滞在して参加したグランプリ2つともに初日落ち、それ以上に得意としているリミテッド戦の大会での取りこぼしは青写真から大きな歪みを引き起こしてします。

 第3四半期が終了した段階で追加ポイントは7点で合計33点。
 何時の間にか31点だった去年の足音が迫ってくるところまで来てしまいました。
 こんな状態で陰鬱になりつつもイニストラード発売までの空白期間となった残りの9月は過ぎ去り、ここからは連戦が続く10月の、最後の1ヶ月半を迎えることとなります。

 初日落ちでジュザと管を巻いていたモントリオールの夜、二人でチリ行きの移動プランを練りながら、
『レベル7に落ちることも考えに入れないと駄目になってきたね』
 と呟き合っていたのが正直な気持ちでしたね。

 まあ泣き言を言っていれば誰かが解決してくれる訳ではもちろんありません。自分の力で解決する、それができなければ行き着く先は1つしかないというのはどの道でも同じこととでしょう。
 唯一の救いとしては、全容が見えた新環境のリミテッドが比較的好みの環境だったことでしょうか。道は一本でも、自分にあった歩き方で歩けるならそれに越したことはありません。

イベント名 成績 獲得ポイント
グランプリ・ミラノ トップ16 3点
グランプリ・ブリスベン トップ16 3点
グランプリ・サンチアゴ トップ32 2点


 ほとんど準備ができていなかったスタンダードのブリスベンで3点の追加ポイントが取れたのは望外の結果。

 ですがかなりの自信を持って挑んだグランプリ・ミラノでトップ8に残れなかったこと、それ以上にグランプリ・サンチアゴの2日目は痛恨の出来事でした。(リンク先は英語カバレージ)


 ミラノ、ブリスベン、ペルーに立ち寄るなど強行軍を重ねたことで薄々体調の悪化に気がついてはいたのですが、体のダメージは予想以上に深刻だったようです。
 日付が変わるくらいまでに伸びてしまった最終戦を負けてしまったものの、2敗で初日を通過しホテルに戻って休もうとしたのも束の間、
 胃が張ってるような感じから急激に気分が悪くなり、そこからはトイレで戻しては、部屋で我慢するという作業の繰り返し、結局朝まで1時間眠れたかどうか。食事なんて考えにも入らない。
 そんな状態でも64名を超える通過人数のため、プロポイントを確保するためには少なくともどうにかして2勝はしておかなくてはなりません。

 文字通り体を引きずるような感じで会場に向かい、そのまま会場の椅子を並べて横になるか、トイレに向かうかというのを繰り返してました。
 事情を話して心配してくれた現地スタッフが救急担当を呼んでくれたのと、たまたまグランプリ参加者にドクターがいて薬を処方してくれたおかげで、ちょっとずつ体調は良い方向に進んでいましたが、思い返してみるとこの日曜日ほど消耗した一日はありませんでした。

 30分。体調的にはこのあたりが限界で、速攻できるデッキを組んで後は横になる。
 これくらいしか考えはまとまっていなかったように思えます。

 しかしその結果は勝ち、勝ち、負けで最終ポッドを3番テーブルに座ります。

 前回のミラノ・2回目のようなデッキ、今回は青緑主体の白がタッチで、2本の《肉屋の包丁》と大量の《アヴァシンの巡礼者》、1枚の《不可視の忍び寄り》、そして《聖トラフトの霊》という解りやすいデッキを組み上げ、2連勝で最後のマッチ。
 違う点数が混在するテーブルだったので自分より上位の点数のプレイヤーを倒していった結果、ここで勝つことができればトップ8というところまで進むことができました。

 試合はこちらが回ることができれば勝ち、そうではないと負けというのが2本目までです。

 《》2枚で後は欲しいカードが全て揃っている手札をキープして、さらに《》《》としか土地を引かないで1本目を落とし、2本目は《聖トラフトの霊》に《幽体の飛行》を付けるだけのゲーム。

 そして3本目。

 《》《》《》《平地》《ゆらめく岩屋》、
 《肉屋の包丁》、《幻影の掌握》。

 実は1つ前のマッチでこんな手札をキープして1本落としています。
 《アヴァシンの巡礼者》のような序盤専用のカードが大量に入ったデッキでは、展開できる序盤のクリーチャーが無いというのはそれだけで通常のデッキ以上のリスクをはらみます。
 経験則。それも特に直近であればあるほど、私は軽視しません。
 普段の私なら決してキープしないでしょう。ですがこの時の私は早く決着をつけたいが為にキープを選んでしまいました。

 《幻影の掌握》のフラッシュバックを打っても手札にまだ余り続ける土地。そして未だに何もない私の戦場では勝てるべくもありません。

 そして16位には1つ足りない17位、獲得プロポイントは2点。

「体調の割に」
 そういう言い方であれば、確かに貴重な2点でした。
 ですが5点以上を棒に振ってしまったと言うならば、ミラノ以上に手痛い結果です。
 トップ16を取りつづける。それはレベル8という道のりにとっては理想的ともいえるペースなのですが、一方でよりプロポイントと賞金を稼げるトップ8を取りこぼし続けているということでもあるのです。

イベント名 成績 獲得ポイント
グランプリ・広島 初日落ち 0点
グランプリ・サンディエゴ 12位 4点


 取りこぼしてしまったツケは、この最後の折り返し地点で顕在化してしまいました。

 広島で初日落ち。同じようにレベル8を目指しこの1ヶ月一緒に行動し、そしてデッキを一緒に調整したジュザが優勝してレベル8を決めたことは我がことのような嬉しさでしたが、同時にほとんど同じデッキを使って2日目に残れなかった悔しさ、不甲斐なさが胸に去来したのもまた事実です。

 そして今シーズン最後のグランプリ、サンディエゴはそんな自分のやりきれなさと、自分の中でも惰性となりかけてしまっているゆえに、全力をかけて挑んだグランプリでしたが、結果は12位。
 あと一歩という結果で上乗せ4点。そうれあれば世界選手権では64位以内、おそらく10勝7敗1分け以上でレベル8に到達という貴重なポイントが入る一方で、今年最後のグランプリで本当に本当に強力なパックをもらっても全勝できず、トップ8に入れずと、今シーズンの私そのもののような結果。

 安定して好成績を残す。そうなってしまったことが良いことなのか悪いことなのか。
 それは私が決めることではなく、世界選手権の成績、私以外が決めるというのが私が歩いている道なのでしょう。
 評価は人任せというのは全くもって自分らしいところ、
 忌々しさと納得が混在しているところまで全くもって自分らしい幕間!

 不本意ながらも今年もレベル8を賭けた最終戦となってしまったというのをお伝えしたところで、それではまた次回、良い報告ができることを祈っていただければ幸いです。

 また世界のどこかでお会いしましょう。


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