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なかしゅー世界一周

なかしゅー世界一周2011・第22回:世界半周、マチュピチュへ

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木曜マジック・バラエティ

2011.11.03

なかしゅー世界一周2011・第22回:世界半周、マチュピチュへ

By 中村 修平


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 How can I get Machu Picchu?

 流石は秘境。はっきり言って物凄く遠いです。
 単純な距離という意味でもそうですが、それ以上に移動手段の少なさ、こなさないといけない乗り継ぎの多さは割と洒落にならないくらい。

 この旅行を企画した時は「せっかくなんだし、同じくペルーにあるナスカの地上絵も見に行きたいな」だなんて、今思えば大層ふざけていたことを考えていましたが、無理、全然無理です。直前のグランプリ開催地、ブリスベンからサンティアゴまでの5日、時差ボーナスを含めば6日間でも下手すれば足りません。
 日本に帰るのは時間効率、金銭両面で効率が悪いので諦めるとして、それでもペルーに行くためにどういうルートを使っても一日半はかかります。

 具体的には月曜の朝にブリスベンを出発して、シドニーに移動。
 そこから国際線に乗り継ぎ、一度アメリカ・ロサンゼルスまで。再び国際線乗り継ぎでペルーの首都リマまででおおよそ24時間、各乗り継ぎには最低2時間の乗り換え時間を用意しなくてはいけないので都合30時間。
 時差のお陰で月曜の深夜にリマ着なので、この日はリマでホテルを取って宿泊。

 ・・・のはずだったのですが、いきなりシドニーで躓いてしまいます。
 飛行機遅延と乗り継ぎ旅券の煩雑さによる手続き遅れのために、ロサンゼルス行きのゲートが締め切られて乗れないという事態になったのです。

 ここで同行していたジュザが本気を出しました。
 有無を言わせず一日後出発の便に変更しようとする職員を捕まえ、別の予約で次のフライトがある。だから最低でも火曜日の早朝にはリマに着かなくてはいけない、遅延したのはそちらの問題だからなんとかしてくれと交渉開始。
 喋ってる内容はなんとか理解できるのですが、そのやり取りが早すぎて全くその間に入れません。完全にジュザ任せのおんぶに抱っこ状態。いや、なんだかジュザが格好良く見えてきました。
 デルタ航空のマイレージ持ってるから、できればデルタの便でお願いね。とさり気なく自分に有利なマイルを稼ぎにきているところなんか素敵です。

 1時間以上に渡る交渉と、職員の必死のルート検索により、乗れなかった区間の代替として、シドニーからサンフランシスコ、ニューヨーク、そしてリマへおおよそ30時間、火曜日早朝7時着という乗り継ぎ便をユナイテッド航空持ちで取ってもらうことに成功しました。
 ちなみにレシートを確認すると、この区間の料金だけど本来のオーストラリアー南米ー日本の料金と同じくらいかかっていました。

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 非ネイティブだけどガチイングリッシュスピーカー。
 向かうところ敵なし状態の頼もしいジュザでしたが、トラブルというのは連鎖するもの。しかもより悪くなっていくものです。
 長期間の連続フライトで体調面ではボロボロになりながらも、なんとか火曜日の早朝に到着した我々マジック大好きマチュピチュツアーご一行様に、次は預け入れ荷物が届かないという危機が発生します。

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 頼りのマシンガン・ジュザも英語を解さない現地スタッフの前には沈黙を余儀なくされてしまいました。そう南米の公用語はスペイン語なのです。
 しかも次のフライトの刻限も迫ってきています。どうにか担当者の連絡先を名刺で手に入れ、次の滞在地で電話するということになりましたが。電話に出るのはみんなスペイン語しか喋れず、まるで普段の光景を見ているよう・・・
 そこに颯爽と現れたのは第三の男、謎のセニョール・ナカムラなのですが、それは後ほど。

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 マチュピチュに最も近いインカ帝国の旧都クスコまでローカル線の飛行機で移動して、現地の旅行会社とマチュピチュツアーの交渉と他の同行メンバーとの合流、そのままクスコ滞在。

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 これがまた色々かかるものなのです。
 マチュピチュ近郊までの特別列車の往復予約、駅までの送迎、マチュピチュ観覧料、その期間までの宿代金等々、しかも手続きがかなり面倒で個人では相当に骨が折れるというなんとも中間搾取をしやすい仕組み、ちなみに支払いは米ドルオンリー、一人400ドル少々。現地通貨ソルだと札束の数が多くなりすぎて駄目だそうです。
 まあ、30時間を超える長旅のせいで体が疲れきっていたしちょうど良かったとも言えます。物価がアメリカの1/3というクスコクオリティに驚きつつも夕方あたりには意識が飛んでいました。


 翌朝、水曜日になってようやくマチュピチュへと出発です。

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 早朝6時にハイヤーで宿を出発して山と峠を超えること2時間。

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 そこからマチュピチュ近郊の温泉村アスカリエンテスまでインカトレイルという特別列車で2時間。

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 残すところはバスで30分ですが、天候は生憎の雨。
 先にホテルへチェックインして様子を伺ってみましたが一向に収まる気配がありません。後で知ったのですがこの時期は雨期にあたり、毎日こんなものなのだそうです。

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 帰りの列車は翌日の午後6時半、それなら今日は無理をせずにと付近の散策をしたり、何故か物価がアメリカ並になっているアスカリエンテスで豪遊するなどなど。

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 翌朝の木曜日早朝。
 時差の都合も込みで4日間かかりましたが、ようやくマチュピチュをその目で見に行きます。


 その前にメンバー紹介:

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 アメリカで鳴らした俺たち特攻マジックバカは、
 濡れ衣を着せられ旅券や荷物をロストさせられたが、
 スペイン語の洗礼を切り抜けインカトレイルに飛び乗った。
 しかし、それくらいでトラブルとおさらばできてしまうような俺たちじゃあない。
 支払いともなれば、青天井でゲームをやってのける命知らず、
 豪雨も合羽で無問題、電子製品は転んで粉砕する、
 俺たち特攻野郎Cチーム!

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 僕はマーティン・ジュザ。通称ザージュー。
 自慢のルックスと英語トークに、交渉相手はイチコロさ。
 ハッタリかまして値引きから旅券の取りなおしまで、何でも揃えてみせるぜ。

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 ディビット・オチュア。通称ウェブ。
 食のマエストロだ。アルパカ一頭でも平らげてみせらあ。
 でもハムスター料理だけは勘弁な。
  (※本当にペルー名物であります。不味かったらしいです。)

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 よぉ、お待ちどう!、俺様こそベンスタ。通称クレイジージャージ。
 トラッシュトークとドラフトの腕は天下一品!奇人?変人?だから何。

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 俺はリーダーのルイス・スコット=バルガス。通称ルイスコ。
 スペイン語と変装の名人。俺のような天才策略家でなければ、百戦錬磨のつわものどものリーダーは務まらん。

 俺たちは、道理の通らぬ世の中に敢えて挑戦する、
 頼りになる神出鬼没の特攻野郎Cチーム!
 フラッシュバックも任せとけ。

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 それに加えてプロツアー・名古屋トップ8のパット・コックスと、

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 私の6人がパーティーのメンバー。


 バケツをひっくり返したような雨もなんのその、
 イニストラードから転移してきたインカマミーを退治してやるぜー!

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 とバスに揺られること30分。

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 午前8時にはマチュピチュ入り口に到着したまでは良かったのですが、私が宿に入場するために必要なパスポートとチケットを忘れるというタイムリーエラー。
 しかし心強い仲間たちとガイドさんの尽力によって何とかチケットの再発行してもらうことに成功。

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 何故か44歳のシューヘズさんとかいうよくわからない人になっていましたが、そんな細かいことは気にしません、

 そういえばスペイン語ではこんにちは程度の普通の呼びかけ『amigo』を使うみたいなのですが、英語ガイドさんだと『my friend』になってしまってかなり胡散臭くなりますが、それもこの時ばかりはさして気になりません。


 いよいよゲートを潜りぬけて、マチュピチュです。

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 うっすらと霧が立ち込める密林の山頂、突然目の前に現れる区画整理された都市の廃墟。まさに空中都市という名称にぴったり。

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 山の上のというよりはマチュピチュという都市をそのまま隆起させたと表現した方が良いかもしれません。

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 それくらい、都市として手を加えられている部分と、それ以外のほとんど90度にしか見えない斜面のコントラストが素晴らしいのです。
 マチュピチュを再発見したアメリカ人、ビンガムが終生この場所の周知に尽力したというのも頷けます。ガイドさんの説明を受けながら2時間程のツアーからの知識でした。

 霧が濃くてなかなか全貌は見えませんが、雲海の対岸にあるワイナピチュへの入り口前へ。

 ワイナピチュへの登山道は一日100人までの制限があって申し込みできませんでしたし、ワイナピチュとは逆側の未完成の通用口、通称インカブリッジといった距離があるものもガイドの範囲外でしたが、どこそこ構わず記念撮影に勤しみ、パワースポット的なものを紹介されると手をかざしてみる。エコーがかかるところでは試してみるなど。

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 小雨というにはかなり厳しい雨にも関わらず、我々マジックマチュピチュツアー一行は大満足。雨のお陰でマチュピチュドラフトができなさそうという当初のがっかりなどどこを吹く風と言った具合です。

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 ツアー終了後もその興奮は冷めやらず、マチュピチュ入り口前に一軒だけあるアメリカ物価から3倍、つまり現地感覚では10倍を超える金額の馬鹿高いホテルで結果的にルイスコ奢りの昼ごはんを食べながらマチュピチュ談義で盛り上がっていました。

 ・・・ですが、ちょうどオチュア以外がデザートに入ったあたりで、外の空気が一変しているのに皆気付きました。

『この時期のマチュピチュは女の子の気分のようなもの、5分もあればすぐ心変わりするよ』

 というガイドさんの説明が現実となっています。

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 あれだけ降っていた雨が上がり、晴れてきたのです。
 慌ててマチュピチュへと戻る我々6人。

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 1000ドル余分に払って来た価値がある。そういう光景でした。


 さて、次回更新はちょうど世界選手権直前での更新となる予定です。

 この原稿を書いている段階ではグランプリ・広島で初日落ちしてしまい、去年に続きプロポイント的には厳しいラインで世界選手権を迎えてしまいそうです。
 最後のグランプリとなるサンディエゴが得意とするリミテッドなのが唯一の救いでそろそろトップ8入賞くらいしたいところなのですが・・・

 それではまた次回、世界のどこかでお会いしましょう。

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