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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2011・第21回:ボストン、モントリオールからミラノへ
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.10.20
なかしゅー世界一周2011・第21回:ボストン、モントリオールからミラノへ
By 中村 修平
ニューヨークを離れてモントリオールまでの1週間はベン・シュワルツさん、マジックのインターネット動画配信サイトGGslivesのメンバー、というより去年の世界選手権千葉で外国人向けの観光ガイドを書いた人と説明するのが一番通りが良いでしょうか。
去年京都の某大学に交換留学生としてホームステイしていたところを彼のお兄さん、ノア・シュワルツ経由で紹介してもらってからの縁なのですが、今回は彼の好意に甘えて、彼の大学寮に滞在させてもらいながらボストン観光に勤しんだり、ポーカーに興じたり、シュワルツ家とビル・ゲイツとの確執話や、彼らの上のお兄さん、RSSリーダーの開発者で今はその権利を売却してミリオネア、悠々自適なハーバードの院生をやっているお兄さんの変わった生態について、彼らのお勧め、曰く世界一おいしいジェラート屋で聞いたり。
ボストンの2大大学、アメリカで最も裕福なハーバード大学とノアが所属しているマサチューセッツ工科大学の違いについて実地でのレクチャーを受けたりしました。
それで肝心のグランプリの方はというと。
バイ空けの初戦を勝ったものの、その後3連敗ですぐさま初日落ちが確定という体たらく。
ドロップアウトを選択せずに続行したのですが、その理由はプレインズウォーカーポイントシステムではなくて、日本国内レイティングでの世界選手権招待ライン上にいる友人のために、自分のレイティングを下げるため。
ルール上問題ないとは確信していましたが、それはそれで心配する友人もいるので、ジャッジに再度、確認をとって投了を繰り返すというのは何とも皮肉な話。
それにしてもリミテッド戦でどうしようもないパックを掴まさた時の絶望感たるや、筆舌に尽くしがたいものがあります。特に対戦相手から出てきた《ソリン・マルコフ》に為す術もなくこちらの戦力を全滅させられた時には・・・
とまあ愚痴を書き出すと本当に限りがなさそうなくらい書き連ねてしまいそうなので、1つだけ、このグランプリで変わった制度があったということに留めたいと思います。
それは3バイ所持者限定でレートチェックイン。
10ドルの追加料金を支払えば本来のグランプリ集合時間である早朝ではなく、3時間後の昼前くらいに会場へ来れば、チェック済みのパックを使ってデッキを構築するというシステムが試験導入されていたのです、
プレイヤーとしてはデッキ構築とバイの間を横たわる3時間を回避でき、
主催者側からしてみればいくらかの追加収入が得られる。
私にとっては何故そんなシステムを使ったのかという自問自答のネタになってしまいましたが、利便性を考えればこれから先も是非続けて欲しいです。
さて大不作に終わった夏のプロポイント行についてはこれくらいにして。
これから先はイニストラードの世界、新しいセット、新しいフォーマット、そして新しいリミテッドです。
イタリア、ミラノという好きな国、行ったことのない都市という条件もさることながら、新セットでのリミテッド方式という私にとっては願ってもない組み合わせです。
一人旅ということもあって水曜日出発、現地発が月曜日の夜とかなりゆったりとしたスケジュールを組んで好き勝手にミラノ市街を歩きまわっていました。
もとい道に迷ってました。
地下鉄駅から出たところで碌に地図を確認せずになんとなくでこちらが東と歩いてみれば、実はそっちは西。
しかも微妙に目印となるドゥーモ、ミラノ大聖堂やスカラ座、アーケードからは1本道をそれているという間抜けぶり。
おかげでちょうど2駅分逆方向に行ったところのスフォルツェスコ城でようやく自分の過ちに気付き、泣く泣くタクシーで結構な金額を払う日本人がひとり。
全く、地図も読めないとは・・・
他にも10月だというのに蚊が大活躍していて噛まれまくったり、街中にたむろする怪しげな行商に2、3度絡まれかけたりと大きなものから小さなことまで色々な危機を味わっていましたが、何とか生きていけたのは、ミラノ滞在中にお世話になったマジックプレイヤーで日本語の翻訳を仕事にしているジャンルカさんとその奥さん、ワカコさんのお陰です。
ミラノ滞在中はジャンルカさんにくっついて地元の美味しいレストランに連れていってもらったり、
月曜日は市内観光に付き合ってもらい、友人からの頼まれものの某高級ブランド品を買いに行こうにも勝手がわからず右往左往していたところを助けて貰ったりと、本当に色々とお世話になりました。
ただ少し心残りなのはレオナルド・ダ・ビンチの『最後の晩餐』。
見るのには事前予約が必要で、ミラノ到着後になんとか取ろうと試みた時にはもう滞在中の分は売り切れていたのは残念でしたが、次のミラノ行きへの目標ができたと考えると、それはそれでアリなような気もします。
まだ来年のことは全く考えていませんが、ジャンルカさんによると来年はトリノでグランプリがあるとのことなので、ふらふらと北イタリアをうろついて、そのついでに最後の晩餐を見るのも面白いかもしれません、
グランプリの方は初日が8勝2敗、2日目が2勝1敗、3勝の通算13勝3敗の14位、プロポイント3点という結果。
ここのところグランプリでは初日落ちが続いていたので、それに比べれば格段に良い結果ですが、個人的にはこれでもまだもう一歩いけたはずなのに、という感触です。
かつては全てのグランプリに対して、全力を注ぐということが可能でしたし、それだけの準備がなければグランプリには行かないという選択肢もありました。
ただ、参加可能なグランプリは参加するという今の方針では準備もままならないままということも多々あります。
それでも、今回のグランプリは練習の手応え的には充分にトップ8を狙えたものでした。
加えて、プレインズウォーカーポイントシステムに転換するものの、未だ先行きが不透明な状態の今、来シーズンのレベル8を確保することはかなり意味があることだと思います。
そのために先月取れなかったプロポイントをリカバリーするという意味でも、ここでもう一段の上積みをしておきたかったというのが本音でした。
その点で、2回目のドラフトでこの環境のドラフトでの一つの到達点とも思えるデッキを構築できた時に、この段階で3敗していることが心底悔しかったのです。
10 《平地》 7 《島》 -土地(17)- 1 《宿命の旅人》 1 《秘密を掘り下げる者》 2 《不可視の忍び寄り》 1 《幽体の乗り手》 1 《アヴァシン教の僧侶》 1 《錯乱した助手》 1 《礼拝堂の霊》 2 《上座の聖戦士》 1 《忌まわしきものの処刑者》 1 《嵐霊》 1 《月皇ミケウス》 -クリーチャー(13)- |
2 《静かな旅立ち》 1 《戦慄の感覚》 1 《勇壮の時》 2 《幽体の飛行》 1 《叱責》 2 《肉屋の包丁》 1 《大物潰し》 -呪文(10)- |
私のリミテッドデッキにおける評価指針の1つに、
『弱いカードがデッキに入っている段階でもはや評価する価値がない』
というものがあります。
例えば今回で言えば、反転する可能性が限りなく薄い《秘密を掘り下げる者》がピックした青と白のカードの最後のクリーチャー、それでもわずか13枚目でした。通常のドラフト、特にビートダウンデッキは最低でも15体はクリーチャーが欲しいのに、です。
その意味でかなり危ういドラフトでしたが、それを差し引いて余りある強さがこのデッキにはあります。
2体の《不可視の忍び寄り》に7枚の不可視ビートダウン戦略を補強するカード、そのうち2枚は絆魂まで付いてしまう《肉屋の包丁》。
そうでなくてもクリーチャーの大半は人間で構成されている上に、それ以外は回避能力持ちの軽量クリーチャー。
私がこれまでした中でベストドラフト、ベストデッキの1つに数えても良い出来でした。
これで獲得プロポイントは36点。残りのグランプリは4回。
ブリスベン、サンチィアゴ、広島、サンディエゴとスタンダード、リミテッドが交互に2回ずつ、広島までは連戦。サンディエゴは世界選手権の前週に開催。
レベル8までは上乗せで12点が必要と、まだまだ安泰というには程遠い道のり。リミテッドに関してはそれなりに自信もあるので、ここいらで一発大きいのを当てたいのですが・・・
それではまた次回、
世界のどこかでお会いしましょう。
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