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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2011・第8回:グランプリ・ダラス/フォートワース
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.04.14
なかしゅー世界一周2011・第8回:グランプリ・ダラス/フォートワース
By 中村 修平
バルセロナから帰国して1週間、東京の新居での暮らしにもようやく慣れはじめ、家の近くにある桜の名所が少しずつ華やかになっていくのを眺めるのが日課になっていましたが、残念ながら満開直前に出立となってしまいました。今週はアメリカでグランプリなのです。
自宅から電車で1時間、成田からは乗り継ぎを含めて13時間、合計で14時間プラスの、何時ものと言えば何時もの旅程です。屋内の電灯が自粛されている成田空港のターミナルとの連結部分、ショッピングエリアで妙に暗い空間の中、アメリカ発祥の黄色いMを頬張っている海外からの観光客と思わしき一団を見ると、その写真を撮ってフェイスブックなりにアップして、実は成田が震源地でたったいま被災したと言われても通じるな、などと不謹慎な事を考えつつ不謹慎の定義についてなんてのを考えていましたが、時差ぼけで昨夜は寝れなかった頭では荷が重過ぎる内容でした。
ですが、震災からおおよそ2週間の間、関西なりヨーロッパなりにいて関東を戻ってくるまでに形成された何かに、その時外側にいた私はどうしても違和感が拭えないのでしょう。
まあ、それはそれとして飛行機の中で一睡すればアメリカに到着、そこから入国審査を経て乗り継げばテキサス州はダラスです。日中の平均気温は25度超え、クーラーはガンガンにかけ、燃費の悪いアメリカ車が高速道路をかっ飛ばし、ダウンタウンではこれでもかという電飾が夜の街を彩る。まごうこと無きアメリカの都市です。
あの地震から1ヶ月。その間に数々の不便なことがありましたし、これからもあるのでしょうが、その中でもガジェット好きにとって最も堪えているのは大幅に性能を向上させた某リンゴ社製のタブレット型決戦兵器、Iホニャララ2の日本での発売が延期になったことのようです。
旧パッドをどこぞのチェコ人からついこの間買ってしまった私のような人間にとっては、新製品など発売して悔しくなんかは・・・まあ相当悔しいのですが、出発前に鍛冶友浩から「アメリカに行くならついでにその少し大きくなったアイポッドを買ってきたらいいかもね、ついでに日本ではプレミアまで付いているから」と吹き込まれ、俄然やる気になってしまいました。栄光の1ドル120円時代を忘れられずに恒常的に大量の不良ドル預金を抱えている身としては、有り余るドル紙幣を有効活用できる、まさに千載一遇のチャンスなのです。
会場と滞在先ホテルがあるフォートワースのダウンタウンから徒歩圏内のショッピングモールを予め調べておき、時間に余裕がある金曜日に散歩がてらダウンタウンを抜け、丘を超え郊外の戦場へと向かってみれば、そこに並んでいるのは妙に見覚えのあるパッケージ。
事前情報として仕入れた知識によればニュータイプはこれ見よがしに薄くなった事を自慢するパッケージだったはずです。ショックのあまり店員に在庫が無いのか聞いてみると、
『新型? 10日前に5分で売り切れたよ』
所詮はにわか、新参者には216時間と1435分ばかり遅かったようです。
しかし捨てる神あれば拾う神あり、
『アップルストアならあるかもね』
という貴重なアドバイスをゲット、たしかにリンゴの直売店ならばリンゴの製品だけにあるかもしません。しかも話を聞いてみるとそれほど遠くない位置にあるようです。
一縷の望みをかけて向かってみれば・・・
ありました。山のようにある日本では使えないベライゾンモデルの在庫の中で、日本で使えるWi-fiモデルの一番安い物が一台だけ残っていました。
こうして鍛冶君へのお使いという使命だけは何とか果たせました。まったくジョブスにお金を貢ぐのも楽じゃない。慣れないことはだいたい失敗するという教訓と、アメリカのATMでは現金をおろす際の最高紙幣が20ドルというトリビアを、あまりの札束量に悲鳴をあげる財布と共に学びましたとさ。
さて、2週前のバルセロナから継続してスタンダードでの開催となる今回のダラス、蓋を開けてみれば右も左も《石鍛冶の神秘家》に《戦隊の鷹》コンビネーション、通称Caw-Bladeの天下だったのですが、私が使用したデッキは青黒コントロール。
4 《島》 4 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 1 《沸騰する小湖》 1 《湿地の干潟》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 3 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(3)- |
4 《定業》 4 《コジレックの審問》 2 《強迫》 2 《見栄え損ない》 4 《マナ漏出》 3 《喉首狙い》 1 《破滅の刃》 2 《広がりゆく海》 2 《漸増爆弾》 2 《冷静な反論》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《リリアナ・ヴェス》 -呪文(31)- |
4 《ファイレクシアの十字軍》 2 《先駆のゴーレム》 1 《見栄え損ない》 3 《瞬間凍結》 1 《漸増爆弾》 2 《記憶殺し》 2 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
Caw-Bladeにはあまり相性が良くないものの、その他のデッキには強いという利点と、その苦手なCaw-Bladeに対してもそこまで絶望的なマッチアップとは感じないという理由からの使用です。
初日の7回戦目、その青黒コントロールの製作者でフランスから1人で遠征してきているギヨーム・ワフォタパとたまたまフィーチャーマッチで席が隣り合うということがあって、サイドボードのゲームプランについてちょっと意見交換。
サイドボードの《記憶殺し》はもうばれてしまっているから《精神腐敗》の方が良いという、なんとなく感じていたことに対する的確な改善案や、《漸増爆弾》は遅いから《黒の太陽の頂点》の方が良いという、この後グランプリ期間中を通して確かにと実感するような部分などなど、参考になる話を聞けたのですが、後半になっていくと、この環境のどの相手にも後手を取るという、ちょっと高尚すぎて凡百たる私には理解し難い内容に話が展開されて戸惑うことしきりでした。
前提として、確かにワフォの持ってきた青黒は後手を取ったとき用の構成にはなっているし、同系対決などでは手札破壊を打ち合うのでドロー数が多い後手の方が有利だと納得できたのですが、先手ハメパターンがあるCaw-Bladeに対しても後手を取るとは。ドロー好きもここに極まれりと言ったところなのでしょうか、
そういえばこの時ワフォは1敗だったのですが、その1敗は赤単相手にマリガンをしたのに何故か7枚引いてしまって、強制ダブルマリガン。そして3本目に相手が先手からの《ゴブリンの先達》で土地がめくれ、返すターンで《沼》からの《コジレックの審問》で《板金鎧の土百足》を抜いたところで何故か手札が8枚あって、過剰ドローでゲームロスというもの。
そう語っているワフォタパはとても幸せそうでしたから、たぶんそういうことなのでしょう。
初日の結果は3連勝したところから件のフィーチャーマッチでマイケル・ジェイコブスに敗れ、続くブラッド・ネルソンとのフィーチャーマッチにも敗れて気がつけばバルセロナの再現かと慄いてましたが、最終戦の相手はしっかり対策を取ってきてあるボロス。
《ファイレクシアの十字軍》を並べての中押し勝ちで7勝2敗で初日通過。先々週の悪夢を振り払う事が出来ました。
翌日は初戦を白緑ビートダウンに負けスタートから、残りを全て勝てて通算12勝3敗の14位、プロポイント3点。これでようやく今期7点。
この調子で神戸も行きたいところですが、残念ながらフォーマットはしばらく触ってもいないエクステンデッド。少し以上に不安しかありませんね。
それではまた次回、世界のどこかでお会いしましょう。
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