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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2011・第2回:グランプリ・アトランタ
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.01.27
なかしゅー世界一周2011・第2回:グランプリ・アトランタ
By 中村 修平
しばしの休暇はここまで、今日からはいつものごとく10時間を軽く越える空の旅と、50点のプロポイントを求めてグランプリ、プロツアーを行脚する、私にとっての日常が帰ってきました。
去年までと違い、この連載の合間には2週間という時間差が横たわっている筈なのですが、この2週間を振り返ってみると・・・見事に何も印象に残っていません。
ひたすら引越しの準備やその他の用事に時間を取られて気がつくと、もう1月も残り僅か、そしてグランプリ・アトランタへ出発という事態になっていました。
こんな状態でエクステンデッドの調整が進んでいる道理はありません。私がやった調整といえば、諸業務に忙殺されている日常に叛旗を翻し、現実逃避気味にマジック・オンラインでエクステンデッドトーナメントに参加しつつ、デッキリストの検分をしていたくらいで、実戦の経験は限りなくゼロに近い状態でした。
おまけに現実逃避はあくまで現実逃避でしかありません。その反動は現実世界に返ってくる訳で、引越しも兼ねていた荷造りが終了したのはアトランタ出発の朝、らしいといえば完全に普段の状態ですが、もう少し何とかならないかと、自分でも思います。
しかし、いざ住み慣れた大阪を離れて、これからアメリカを往復してから新天地の東京に向かうと思うと見慣れた光景も感慨深くなってしまいます。
私の住んでいた枚方市からは直線距離では近い伊丹空港、でも所要時間は遥か遠くの関西空港と同じくらいの伊丹空港も、なんだか変わって見えてしまいます。
今回の旅は行きは大阪伊丹から東京成田、シカゴを経由してアトランタ。帰りはワシントンDCから東京に戻り、そのまま東京生活をスタートさせるという道程です。
成田で予定通り渡辺[注1]、板東[注2]の日本人ツアー御一行様と合流、シカゴの入国審査もスムーズに通過。
ところで、アトランタという地は日本人マジックプレイヤーにとって呪われた土地という評判を聞いていました。
アイスを食べていたら飛行機のハッチを閉められて置いてけぼりを食らったり、乗り継ぎ先が何故か予定と違う場所に連れて行かれたり、ついでにタクシーでぼったくられることも。
しかし今回はそんなことも無く、あっさりホテルに到着。ホテルに着いてみれば部屋が取られてないという事もありません。かなり身構えていたのにいささか拍子抜けしてしまいました。
翌朝、こじんまりとした宿から、隣のヒルトンホテル――変形してもおかしくない様なフォルムをしていましたがもちろんそんなことはなく――そして、今回の会場へと移動・・・
・・・完全にお約束ですが、広すぎてどこで開催されているのかわかりません。
それらしき人の後ろをストーキングする事で発見、という万国共通の民間療法を用いて、無事10分程度の迷子で到着です。ま、所詮は迷信ですからね。
ポーカー勢は何かのイベントと被っているのか姿を見せませんでしたが、ジュザ[注3]、ルーカス[注4]のチェコ勢や、フランスの両ギヨーム[注5]といった顔達が参戦してきています。
それと突然、チャネル・ファイアーボールからスターシティ・ゲームズに移籍したブラッド・ネルソン[注6]。スターシティのシャツのデザインが一新されていて初めはわからなかったのですが、同じく今年からスターシティに加入したマティノンが同じシャツを着ていたので、ようやく気付きました。
プロツアーやグランプリでも何回かアトランタに来た事はありましたが、今回の会場はアトランタ市内のダウンタウン中心部、クラウンプラザ、マリオットにハイアット、そしてヒルトンと高級ホテルが立ち並ぶ一角であり、それぞれが連絡通路で繋がっているのですが、まるで迷路のような構造です。
ちょっと外に行くのに寒いから、という理由で連絡通路を使ってしまうと、途端に道に迷ってしまいます。というのも、ダウンタウン全体が丘陵地となっていて、例えばヒルトンの2階から行く連絡通路を行き、隣のハイアットに到着すると地下1階になってしまう、という具合です。そして見上げれば、こんな奇妙な構造(名称不明)に迷いこんでしまうことも・・・
その上連絡通路先の建物が閉まっていれば引き返す羽目に、もちろん、そんな手間を考えると、最初から外に出て目的地に向かえば良いのですが、寒いからなんていうふざけた理由で安楽を求める人間にそんな正論は全く通じません、というか通じさせません。
かくして、引き返したり、階層を上り下りしたりですっかりホテルで迷子になった日本人がいたとかいなかったとか、たまたま遭遇したチーム・チャネル・ファイアーボールの一団に助けて貰わなければグランプリに出られたかどうか・・・
ミラディン包囲戦導入直前のエクステンデッドで開催されるグランプリ・アトランタ、私が今回使用したのは板東潤一郎製作の青白コントロールです。
4 《島》 4 《平地》 4 《金属海の沿岸》 4 《秘教の門》 4 《天界の列柱》 4 《氷河の城砦》 3 《地盤の際》 -土地(27)- 4 《前兆の壁》 4 《台所の嫌がらせ屋》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《悪斬の天使》 3 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(14)- |
2 《流刑への道》 4 《マナ漏出》 3 《忘却の輪》 4 《謎めいた命令》 2 《審判の日》 2 《ジェイス・ベレレン》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(19)- |
4 《珊瑚兜の司令官》 4 《テューンの戦僧》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《悪斬の天使》 2 《審判の日》 1 《流刑への道》 1 《滞留者ヴェンセール》 -サイドボード(15)- |
出発前からこのデッキを使うつもりでいました。そのうえ、前日トライアルを、ちょっとした遊び気分と違うデッキを使ってみたいという理由から、赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》デッキで参加したところ、会場は見渡す限りのビートダウンデッキ。
そのデッキ分布を見るにつけ、やはりメリケンさんはクリーチャーで殴るのが大好きなんだと理解、対クリーチャーに大きくシフトを移した構成での参加となりました。
結論、大失敗。
たしかにアメリカ人はビートダウン好きという傾向はあります。それこそ、日本人が青好きというくらいには。しかし、トライアルやプロポイント、レイティングで3バイを持っている強いアメリカ人は、みなビートダウンを狩るデッキを使ってきていたのです。
バイ明け4戦目からのフィールドを見渡せば一面のフェアリー、もしくは《風景の変容》デッキだらけ。マーフォークに勝ち、青緑《虹色の前兆》ヴァラクートに勝ち、絶望的な相性の赤緑ヴァラクートに勝ったまでは良かったですが、そこからフェアリーに2連敗し、この時点で同じデッキを使っている渡辺、板東さんは3敗目を喫して討死を遂げており、最終戦の対青白タッチ黒同系をなんとか勝って、本当になんとか通過といった感じでの初日抜けとなりました。
こんな調子だったので、2日目も気分は初めから目指せプロポイント1点という、それでもある意味で高尚な心意気です。
結果は初戦でいきなり赤緑ヴァラクートで負け、ようやくのお客さんの赤単に勝ち、フェアリーに勝ち、青緑前兆に負け、フェアリーに勝って、迎えた最終戦。もう気分はやる前から引き分け希望だったのですが、順位から予想すると、勝っても32位圏内は望み薄、引き分けると64位にすら入らないという悲しい位置にいました。普段の感覚でしたら最終成績4敗は32位、4敗1分けは64位なのですが、これが1000人クラスのグランプリの悲しいところです。
それでも最後の最後に想定敵であるナヤデッキで勝つことが出来て、通算11勝4敗、プロポイント1点という最終成績。何はともあれ1点を取れたのは収穫でした。
次のプレミアイベントはプロツアーパリ、史上初のプロツアー/グランプリ同時開催のイベントです。
それではまた次々週、世界の何処かでお会いしましょう。
――油断していたら帰りにばっちり呪いの力でシカゴで4時間待ちの合間にて
中村修平的脚注
注1:渡辺 雄也
今期レベル7。
本サイトでもご存知、2009年度POY。四半期に一度死ぬ男。
注2:板東 潤一郎
通称JB。
青白コントロールフリークにして、世界選手権後のエクステンデッド環境に大繁殖した青白コントロールの製作者。
注3:ルーカス(Lucas Blohon)
今期レベル7。
二年連続でチェコ選手権を優勝している剛の者。一部にはジュザより強いという声も。
注4:ジュザ(Martin Juza)
今期レベル8。
今年からチャネル・ファイアーボールに加入する、とアトランタからの帰りに初めて知りました。
注5:両ギヨーム
○ギヨーム・ワフォタパ(Guillaume Wafo-Tapa)
今期レベル8。
世界で1・2を争うコントロールフリーク、惜しくも準優勝でしたが、去年の世界選手権決勝戦ではワフォタパ・デザインのミラーマッチという対決を実現しました。
○ギヨーム・マティノン(Guillaume Matignon)
今期レベル8、世界選手権王者。
史上初の同点決着ということで、グランプリ・パリの3バイ中にネルソンとのPOY決定戦が開催される事に。
注6:ブラッド・ネルソン(Brad Nelson)
今期レベル8。
マジック・オンラインのアカウント名「FFfreak」は、やっぱりファイナルファンタジーからだそうです。
マティノンとネルソンの二人について、詳しくは来週三田村さんが紹介してくれるとのことなので、お楽しみに。
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